川上弘美のレビュー一覧
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成長譚には違いない。前作の冒険を経て何かを獲得していくスタイルとは少し違って、本作では、自分や周りをみつめ、内面に深く潜ってゆくような印象だ。
そもそも子どもと大人の差とはなんだろうか。18歳になれば成人という話ではなく、成長の証としての大人とは何を指すのか。経験値はその指針の一つかと思う。しかし、経験を通じて何も考えることをしなければ、経験値は上がらない。人としての成熟度は、物事と真摯に向き合うことによって深まるのではないか。だとすれば、りらと絵の夜もやはり冒険だったのだろう。
成熟もさることながらゾンビになって永遠にさまよわないよう気をつけねばと思う反面、既にゾンビだったりしませんよね?と -
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たけやぶやけたたけや
ぶやけたたけやぶやけ
た・・・
たけやぶやけたを三回
唱えればいろんなこと
が大丈夫になる。
かんたんなおまじない
だけどけっこう効くよ
とりらちゃんは言う。
りらちゃんの姓は仄田。
そう、あの仄田くんの
娘がりらちゃん。
そして、さよちゃんの
息子は絵(かい)くん。
ふたりは両親とおなじ
小学校でクラスメイト
になり、
かれらもまた夜の世界
へと導かれていきます。
あのくちぶえ部の麦子
さんも、
もちろんグリクレルも
登場しますよ♪
そっか、そうだよなあ。
仄田くんとさよちゃん
も大人になるんだなあ。
うん、時の流れは止め
られないもんね。
そ -
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りらと絵がいとしくてたまらない。
りらはちょっと変わった女の子。蛇や昆虫が大好きで夢中になるとまわりがみえなくなる。
絵は普通の感覚の男の子。でも誰よりも(りらのパパの次くらいに)りらのことを理解している、しようとしている。
ふたりとも聡明。どこにでもいそうでいない子どもたち。
途中、メイという大学生も加わっての会話が楽しい。
”おかゆ”(犬)がいじめられるシーンは私も胸が苦しくなったよ。なんならりらがクラスの女子3人にいじめられるよりも。
最後の頁まで読んでびっくり。りらおばあちゃんと絵おじいちゃんになっているでないか!
りらはロボット工学の研究家になり、絵は写真集を出していた。
ふたりは結 -
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小学生の幼なじみ男女2人の語りで、物語は進む。『七夜物語』の主人公たちの子どもの成長譚を描く続編。
次から次へと本を読んでいるので、すぐに読んだかどうかすら忘れてしまう今日このごろ、七夜〜の内容もすっかり抜け落ちている状態で読み始めた。と、「グリクレル」という単語が出てきたとき、主人公の父親のように記憶の奥のほうにある何かが引っかかってきた。
いじめや家族関係のあり方などの問題を絡めたこの作品は、小学生らしい彼らのつぶやきのなかに丁寧な思考と哲学的な問答もあって、じんわりと心に沁みてくる。
登場人物のその後にさらりと触れる、エピローグ的な最終章もよかった。 -
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最近「推し活」という言葉を私もよく聞くようになりました。私の世代で「ファン」という言葉がありましたが、どうもそれ以上の熱気を帯びた活動のようです。
私はそれほど熱を帯びた「推し」はありませんが、好きな作家さんというのは、なんとなく出来上がっています。そのお一人で、川上弘美さんの作品をここ数日で480ページの長編を読み終えました。
今回の主人公は小学4年生の少年と少女で、2人共に外側からは大きな問題だろうことを、静かに日常の中で流しつつ、ファンタジーな出来事にも遭遇して、成長していく姿がとても美しく、優しい物語です。
特に少女は学校でいじめを受けるのですが、主人公の少年少女が、いじめに対し -
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2011年3月11日14時46分、宮城県牡鹿半島沖130キロメートルを震源とする大地震が発生しました。
金曜日の午後というその時間に目の前で起きた衝撃的な光景は今もはっきりと覚えています。しかし、その大地震の本当の恐怖はその後時間を空けた後にやってきました。場所によっては波高10メートル以上と言われた巨大な津波の襲来です。個人の携帯やスマホで録画された生々しい襲来の様子を映した映像には言葉を奪われました。そして、さらに恐怖が襲いかかります。それこそが、東京電力の福島第一原子力発電所で発生した全電源喪失による大規模な原発事故でした。少し離れた場所から撮影した、水素爆発によって建屋が壊れて