あらすじ
結婚したのは、唯一無二のはずだったひと。高丘さんに教えてもらった「魔法」で、むかしむかしの世に旅に出るようになるまでは。あるときは江戸吉原の遊女、さらには平安の世の女房として、梨子はさまざまな愛を知り……。『伊勢物語』をモチーフに、夢とうつつ、むかしと今のあわいをたゆたい、恋愛の深淵をのぞく傑作長編。〈解説〉千早 茜
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Posted by ブクログ
昔の章
すべての女をとりこにする魅力的な男、ナーちゃんと結婚した主人公、梨子。
常に他の女性の影が消えない夫との暮らし
夢の中では別の女として生きます。
貧農の家から10歳で売られ、江戸吉原の、かむろ
になります。
廓での生活が、食べ物、着るもの人間関係などなど、かなり詳しくて興味深い。
夢の中では、かむろとして、生き、話してはいるものの、気持ちは現代の梨子のままなのです。
昔昔の章
現実の世界で梨子は、ナーちゃんの子供を産みます。
夢の中、今度は源氏物語より少し前の時代へ。
10歳で、貴族の姫さんに仕える女官である、女房として働きます。
そして姫さんは婿取りをして…
平安貴族たちの日常が細かに描かれます。
これは、伊勢物語の世界?
現代、江戸吉原、平安時代(モテモテ男業平)の時代
千年も前からの恋愛模様。
伊勢物語、まったく知らなかったけれど、興味深い。
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伊勢物語を理解していれば、
もっと楽しめただろうと思いつつ。
最近の長編は特に、
後半部のぎゅいんと動く、
まさに動く描写のスピンがすごくて、
どうやってこれを生み出すのだろうかと、
川上弘美の内界を考えてしまう。
表紙が大好きなjunaidaであるのも素敵。
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読む手を止められない。
でも、噛み締めて読みたい…!
年間100冊以上読む私が「一気読みするのは勿体ない…!」と躊躇するのは初めての体験でした。
と、同時にこれはどんな答えを見出せばいいのか…今でも少し戸惑います。
すっごくカロリーが高い作品であることは間違いないです。
本来「愛しい」という気持ち、「愛」というものは、もしかしたら心苦しいものなのかもしれない。
幸せを運ばないのかもしれない。
けれども、人は「愛」を心に抱くことを辞められず、傷つき、悲しみながら生きていく。
「愛の形」は時代によって変わるけれども、「愛しい」「愛する」という気持ちの本質は変わらず、悲しいものなのかもしれないと思うようになりました。
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いちずに?ほんに、まことにか?へ、くそ、かずら、ばいのりちい、えいわがらくさあい?だらだらしやくねつわおん、ていおんやけどにごちゆういを、なんにつけ、やけだけしおんちやんどくさい、へりくだう、くだらけた、くらい、くおにはーにちいどくさい?へくだまだまだしだらく、ないがらなきなきのばいおん?
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第一章前半の現代の話はいわゆるありきたりの恋愛話であり、読み始めた当初は、なんと盲目的な恋だろうと思いましたが、なるほどそれはプロローグのようなもので、梨子が高丘さんと再会してからの話こそ、この小説の真骨頂でしょう。なにより、『伊勢物語』をモチーフにした作品ですから、はたして梨子が在原業平とどのような関係を結びつくのかを知りたいです。
案外、梨子は直接的に業平と関わっているわけではありません。多くの場合、彼女はあくまでも他人として彼を観察したり、時に姫様のために憤慨したりしたに過ぎません(終盤のあるシーンを除いては)。
でも、面白いことに、その観察の視線は、『伊勢物語』を読んでいる読者の視線と重なるものとも言えましょう。業平という男の魅力ははたしてどこにあるのだろうという疑問を、私たちは梨子の目を通して解こうとしている。
もちろん、この小説のなかに呈されている在原業平は、本当の在原業平ではないし、『伊勢物語』のなかの業平を思わせる男も、実在の業平とは言えません。現在放送中の『光る君へ』に登場する紫式部の人生は、本当の紫式部の人生とはだいぶ違うでしょうということと同じように。
でも、それにしても、物語の面白さは減りません。『三度目の恋』を読んで、『伊勢物語』も読みたくなりました(現代語訳ですけど)。そして、紫式部と藤原道長はたぶん恋仲ではないとわかったとしても、私は毎週まひろと三郎の恋の行方を楽しみにしています。
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とにかく女性を惹きつける天然プレイボーイ、年上の男性との恋、美味しそうな食べ物などこれまでの川上作品にも見られた要素が詰まった作品でしたが、現代編、江戸時代編、平安時代編とそれぞれ独立した3つの小説になりそうな物語を一つの作品として紡ぎあげていて、とても良かったです。
現代パートの恋模様にちょっと引いて読んでいたのですが、過去パートでもっと本能に忠実な野生的な恋愛観が語られることで、現代パートの物語に説得力を持たせてくるところが面白かったです。
平安時代編は光る君へを見た後だったので自分のなかで理解の解像度が高くなっていて、より面白く感じられたように思います。
川上さん、結構年齢の離れた年上男性に恋するお話が好きですよね。
Posted by ブクログ
三度目の恋というタイトルから、初恋の人と結婚した梨子が夢の中で江戸時代の吉原の遊女として、平安時代の女房として、時を超えても同じ男と恋をしていて、現代でも結ばれたという話なのかと思って読み進めましたが、そんな単純な話では無かった〜。
現代の梨子の意識と昔の女の意識との境目がなく、ぼんやりとつながったりたゆたんでいるような表現が川上弘美先生らしくて、好きな雰囲気でした。
今、大河ドラマでは光る君へで平安時代、来年はべらぼうで江戸の吉原が出てくる予定。こんな世界なのかなと小説で補習&予習できた感じでした。
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莉子がナーちゃん好きすぎて、
ナーちゃんの女関係に最後はショックを受け…
でも、魔法で本気の恋愛や憧れ?を経て、
莉子の考え?意識?が成長するいい作品。
伊勢物語アレンジがわかりやすく、
スラスラ読めた。
Posted by ブクログ
一途な恋、嫉妬、愛する形、うつりゆく気持ち、消えない想い…。
伊勢物語をモチーフに現代、江戸、平安を渡り歩く中で描かれる女性の心を、自分は正確に理解できるわけではない。
ただ、どんな事よりも強く心をとらえて離さない恋なのに、脆さ、儚さをとても感じる。
だからこそ人を想う自身の気持ちを大切にしたい。
Posted by ブクログ
川上弘美さんは『センセイの鞄』から大好きなのだけど、どうも最近、不倫というエッセンスがものすごく苦手。それが現代だろうが、平安時代だろうが、関係なし。このごろは若い頃より光源氏に対する嫌悪感も爆上がり。
というわけで、内容はとても面白いのだが、腰を引きつつ読んでいる感じで、あまり楽しめなかった。