川上弘美のレビュー一覧

  • ざらざら(新潮文庫)

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    短編23編のいずれもがなかなかに優れものの1冊です。梅酒の如くサラリと読めますね♪
    2002~2006年にかけて掲載された作品を纏めたものです。 作者40代半ばの頃の作品。
    短編は作者の特色がけっこう出てくるので面白いし気軽に読めて良いですね。

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    2020年07月05日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    ずっと前、居たなそういう人、原田聖子のような理解できなかった存在の人。(ゴーヤの育て方)
    「ねえ、大学時代はさあ、会社に入って働くとか、考えてもなかったよね」「いろんな女や男やおっさんやおばさんがいるところで、自分も働いていることが、まだ信じれん」
    不特定多数の人と、誰もが良い人間関係を結ぶのは難しいと学んだ自分の「お勤め」のころを思い出した。
    輪ゴム、はよかった(全部よかったけど)。どのお話も哀愁が漂って、ふわふわしてるのにせつなくて、だけど穏やかになる。

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    2020年06月15日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    通り過ぎるような、あるようなことを引き延ばしてふわりとお話になった、かんじ。月火水では、「やっぱりいいです」と言いそうになったが、やっぱりと言いはじめたあたりで、おじさんがくるりと振り向いて・・たのでいいやめることができた。この感じがよくわかる。私も迷い癖があるので、相手に委ねたい方だから(笑)
    好みでは、菊ちゃんのおむすび。菊ちゃんは尻ポケットから何やらたたんだものを取り出す。小さな青いビニールふろしきだった。青いビニール風呂敷か(笑)!?と、私はひとり突っ込みを入れる。
    椰子の実では、「それより、咲はおれのかわりに親孝行してくれ」ってところが泣けた。
    合間にちょっと読むも、次も次もとやめら

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    2020年06月14日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    タイトル通り変愛を集めた短編集。

    「お、おう、そんなところに」「そんなのと」「え、何この設定」とか本当にそれぞれ変な愛ばっかり笑

    吉田篤弘目当てだけど、電球交換士が出てきていたとは。

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    2020年04月16日
  • ハヅキさんのこと

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    なんでかよくわかんないけど、よく思い出す記憶ってある。なんでだろう? 「ハヅキさんのこと」をはじめとする話、ふと思い出す断片的な映像みたいだった。や〜良い。

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    2020年04月11日
  • ハヅキさんのこと

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    川上弘美さんの短編集。
    一話が本当に短い。2,3~4,5ページのものが多い。
    その短い中で、登場人物がうまく描写され、ストーリーがある。当たり前か。
    どのストーリーも、登場人物がどんな人か、こんな短いページ数でも把握できる。
    女性同士の付き合いの話が多く、共感できる。
    面白かった。

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    2020年04月01日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    息子が持っていた『神様』が著者との出会い。本書も含め、作品のタイトルが気に入って、著者の作品は数冊が積読状態だ。構成は連作短編で、途中から人物相関図を作りながら読み進めた。そうすると、この街(作品)の中心が魚春だと気付く。親と子、男と女、そして他人同士が関わり交わる、あるようでないような世界観が良かった。

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    2020年03月23日
  • いとしい

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    ネタバレ

    川上弘美さん2冊目。
    修飾語が好き。
    「ミドリ子にとってチダさんとのセックスは、真夜中ひっそりと起きて読む哀しい小説にようなものだった。読んでひそかに涙を流すとあんまり気持ちがいいのでやめられない、やめられないことが情けなくてさみしくせつないのだけれど、やめられないことがうれしくもある。」

    「姉の吐き出していた空気がなくなり、姉の持ち物と姉自身も見えなくなってしまうと、しばらく家の中はまばらな感じになったが、やがてまばらなところは均された。知らぬ間に母と私は薄く家の中に広がり、姉の不在によってできた隙間は満たされた。」

    「疑ってるんじゃないよ ぜんぜん信じてないだけだよ」

    「誰かを好きに

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    2020年02月21日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    川上弘美には冬が似合う気がする。からりと乾いた感じが、何となく。
    川上ワールドの女性達は、没個性な印象を強く受けるのに、何故かみんな魅力的です。短編集だと、そんなチャーミングなヒロインに沢山会えるから、一冊で何粒も美味しい。

    ほんの10ページ前後で描かれるのは、彼女達の人生どころか、本当に些細な日常のワンシーンのそのまた一部。
    なのに、読んでいる瞬間、強烈に彼女達の人生の淵に立って体感してる感覚を得られるのも心地良いのです。

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    2020年02月10日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    短編小説。
    中には情景がぼんやりしたまま終幕になったものもあるが、大半は程よく心地良い作品。
    日本には暦のほかにこんなにも豊かな四季の表現があると温かさも得た。

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    2020年02月09日
  • 水声

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    家族の物語。
    55歳になった都の思い出。
    心にはいつも死んだママがいる。
    ママが死んでから同居をしないといって出て行ったパパがいる。弟の陵がいる。
    パパと呼んでいるが実は叔父で子供の時からママと一緒にいるのでずっとパパと呼んでいる家族だ。
    一緒に暮らしている陵は弟で生まれた時を知っている。

    ママの心はいつも満たされていて、家族の中心だったが若いのに癌で死んでしまった。

    最後のピクニックでママがいった。
    「もうすぐあたし、死ぬのね」
    「もうそれ,飽きたから、やめて」
    「せっかくその気になっているのに」
    「その気になってならなくていい」
    「こんなにこの家で権力をふるえるのって,初めてのことなん

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    2020年01月13日
  • 水声

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    テーマは、家族と愛。愛は近親相姦と世間で呼ぶ類のものかもしれないけれど、卑猥な感じではなく、読んでいると、愛の変形系の一種としてナチュラルにスムーズに受け入れられる。主人公の都の両親は、実の兄妹で、都も弟の陵に恋愛感情を持つ。都の母親「ママ」はさばさばしていて冷たいところがあるけれど、どこか人を惹きつける魅力を持った女性。世間から見れば、都の家族は歪んで、ねじれている。いとこの奈穂子はアメリカ帰りの帰国子女で、都から見ればいつも笑顔なように見えて、少しも笑っていない無表情にも見える女の子。(「奈穂子は笑っていた。あるいは、無表情でいた。」)都の育ての父親は、時計コレクターで、都の弟の部屋には掛

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    2020年01月09日
  • 溺レる

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    現実とは、少し軸のずれたところにいるような男女。どの作品も片方は生活者として社会参加もしている、しかし、どちらかは日常生活の中で時間や、住んでいる地面から少し浮かんだような奇妙な空間で暮らしている。
    二人はこういうカゲロウのような淡い、見方によってははかない弱い生き物になってしまっている、そんな日向か蔭よく分からない、流されて生きる人を書くのは、川上さんならでの世界だ。

    短編集だが、テーマは、道行というか、世間からはみ出した二人連れの話で、行き着くところは、お定まりの別れだったり、話の最初から心中行だったりする。
    別れは、まぁ文字通り、世間並みに生きていける方が去っていく。
    情死は遂げ

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    2020年01月05日
  • これでよろしくて?

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    今まさに読みたかったような本だった。
    するする1日で読めた。
    みんなそれぞれ意見はあるけど、これでよろしくて?同好会、みんななんか良い。暖かい。
    そして光は私的には理想の旦那さんだなぁ。でもどの夫婦にも家族にも人間関係にも中に入らなきゃ分からないモヤモヤや悩みはあるよね。
    終盤、「今」を生きることに意義を見出す主人公、とてもステキな締めだしほっこりスッキリ、とても良い本だった。
    また旅先とかで読みたいな。

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    2019年12月10日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    12名の著名な作家の短編が72候の解説と一緒に読める、ある意味で贅沢な本だ.重松清の鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)は父親としての最後の旅行で息子の翔太を見つめる親心がうまく描写されている.筒井康隆の蒙霧升降(ふかききりまとう)は戦後の風物詩を散りばめた彼独特の文章でしっかり意見を述べているのが良い.堀江敏幸の熊蟄穴(くまあなにこもる)は菱山の取材活動のなかで村の古老たちとの奇妙な会話が面白かった.

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    2019年12月08日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    物語ではなく、読書そのものと、日本の繊細な四季の移ろいを味わう一冊。初めて読む作家さんもいて楽しかった。

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    2019年12月05日
  • いとしい

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    読み終わってからこんなにもタイトルがしっくりくる本は初めて。一人ひとりに相手への愛おしい気持ちがあって、それは偶然生まれたものであったり、または歪みからかもしれない。本物どころか、愛とも呼べないものかもしれない。しかし気持ち自体はどうしようもなく確実にそこにいて、ふとした時に少し姿をあらわすことで自分にも相手にも影響を及ぼす。王道な、合理的な、理性的な、普通な、永続的な、愛なんてないのだろう。

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    2019年10月28日
  • これでよろしくて?

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    川上弘美作品は「センセイの鞄」や「どこから行っても遠い町」など読んできたけれど、一番テンポ良く読めた。まさに、ガールズトークを聞いているような。

    夫と義母と自分で帰省した時のお風呂問題などなど、とりあげられるテーマがおもしろい。 
    そして新川亭で皆が注文するオムライスやビーフカツ、ポークソテーもおいしそう。

    人と人との難儀な関係性については納得。
    ちょっとした言動を気にしてしまったり、あれこれ憶測したり。夫婦間でもそうだし、会社の人間関係でも。
    そして自分の悩みを人に聞いてもらいたい時、いざ言葉にしようとすると大したことではなく思えたり、言葉にすればするほど本当に悩んでいることから遠ざかっ

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    2019年10月21日
  • 森へ行きましょう

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    パラレルワールド小説。
    生きる道を選択しているようで、流されているようで。
    いろんな人生が用意されているようでいて、実はどれもあんまり変わらないのかなとも思った。
    それでも、家族を理解したいと努力したり、自分を見つめ直したりしながら、それぞれ真剣に生きている。

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    2019年09月23日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    解説にあった、「生きていくということはどうやっても、不安に充ち満ちたものなのです」
    という一文がこの短編集を簡潔に言い表している気がした。
    そして、自分にとても刺さった。

    すっきりしないこと、いろんな人からの言葉、未来への不安を心に抱えながら、年齢を重ねれば重ねるほど、未来からの逆算をしながら生きてしまう。
    幼い頃は、もっと目の前のことだけを見て生きていた。目の前のことに夢中になれた。
    未来を考えるようになってしまって、いまを大切にできなくなってしまった。

    そんなことを考えました。

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    2019年09月08日