川上弘美のレビュー一覧
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お仕事小説であり、恋愛小説であり、人間ドラマでもある。面白いバランスの作品だった。
主人公は、中野商店という古道具屋でアルバイトをしているヒトミ。経営者の中野さんはけっこう適当で、仕事中たびたび出かけて行っては、不倫相手のサキ子と会っている。
ヒトミは同僚アルバイトのタケオと、付き合っているのかいないのか、微妙な関係が続いている。
中野さんの姉であるマサヨさんは芸術家で、中野商店の面々と程よい距離感で絡んでいる。
そして月日が過ぎ…というお話。
雰囲気は緩いのだけど、実はものすごく深い。
人と人の関係(とくに恋愛)のままならなさ。若いからこそお互い意地を張ってすれ違って、そこから数年過ぎた -
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2016.6.22
『夫を好きだから、夫にまだ関心があるから、夫の身内との関係がぎくしゃくする』
ヤキモチ焼きな私にとって、これほど救われる言葉はこれまでなかった。
今のパートナーとの関係が、随分ラクになりました。
日常の、"家族"を軸とした人との関係の間に起こる気持ちを、主人公・菜月の目線で丁寧に言語化されています。
そして、やや非現実的な"これでよろしくて?同好会"。友達でもない、知り合いでもない人たちだから、友達には言えないようなことも話せたり。自分について話しているわけではないのに、自分にも心当たりがあって。そうやって、人の意見を聞いたり、 -
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久々に川上弘美さんの本を読みました。
【パスタマシンの幽霊】のレビューで、川上弘美さんの文章は美しい!と書きました。
この本でもやっぱりそう感じます。
そして優しい!読んでいて、安心できるというか、心を任せられるというか…
川上さん、どこへでも連れて行って~!というような気持になるというか~(笑)
上原菜月は夫と二人で暮らす専業主婦。
偶然、元カレの母、土井母と再開する。
土井母が菜月を誘ったのが『これでよろしくて?同好会』
興味をそそられ菜月が参加してみると、そこに集う面々は老若女女。
そうの老若男女ではなく、老若女女!!
同好会では議題があって、書記がいて…
でも、堅苦しいものではなく -
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森見さんの話が聞きたくて講演会に行って、欲しくなって買った本。森見登美彦さんの「竹取物語」は、確かに森見さんらしい。ファンタジーで、竹林が出てきて、美女も出てきて、そして男たちが片想いをする。川上弘美さんの「伊勢物語」は、授業でやった文章が出てきて懐かしい。在原業平すごい笑 中島京子さんの「堤中納言物語」は、歌の訳も三十一文字にしているのがすごい。こんなに楽しい物語だったんだと驚き。堀江敏幸さんの「土左日記」は、ひらがなで訳して貫之の考えを示すという独特の訳。江國香織さんの「更級日記」は、これも授業でやった文章が懐かしい。歌の訳など工夫されているのが伝わってきました。
古典文学のエキスパートで -
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児童文学、に位置付けられるのだと思うけれど、十分に楽しめた。
一番良かったのは解説で、上中下三冊を読んでいるうちにふわりふわりと感じていたことと、これまでの読書体験の中で、あるいは自分の物語の読み方として、一部言葉にしていたこととが、より高い位置から見渡した視点で紡がれていた。10ページにも満たないこの解説が付いているだけで、印象が、多分星一つ分くらい増している。
本編は、特別何かが起こるわけでもなくて、特別難しい課題に迫られているわけでもなくて、どちらかと言えばのんびりと、物語が語られていて、自分の読み方で本編だけを読んでいたら、可もなく不可もなく、という印象で終わっていたと思う。
すべてを -
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神様2011
この本は、著者のデビュー作である「神様」を、福島原発事故を体験してしまった「神様2011」として書き換えた小説です。
先に当時の「神様」も収録されていて、そのあとに「神様2011」が続く構成です。
そもそもこの「神様」に出てくるクマは普通のクマだけど、だからこそ、大地の象徴というか、自然の代表というか、神の中でも八百万の神のようなイメージでいました。
その神とわたしの平凡な日常が、「あの日」を境に物々しいものに変わってしまうのです・・・防護服を着、被ばく線量を気にする日常です。
人間が手に負えない、手を出してはいけない領域に手を出し、結果としてのどかな日常は永久に戻ってこな -
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古本屋で見つけて、図らずも初の川上弘美。
短編『神様』は1993年発表。そして2011年3月末に、『神様2011』を発表されたそうです。
その2作とあとがきを収めたこの本には、連作としての意図がはっきりあるわけですが、単体の『神様』も良かった。くまの律儀さとか、寂しさとか。(なんて言っちゃうと陳腐ですが)
そんな『神様』が、「2011」が付いてセットで読まれることによって全然違った意味を放ってしまうという、周到な本。もともとの『神様』読者だったらどう思うだろう、いやそれより、そもそもこれを書こうと思い付いた作者の「静かな怒り(あとがきより)」を思うと。