川上弘美のレビュー一覧
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通り過ぎるような、あるようなことを引き延ばしてふわりとお話になった、かんじ。月火水では、「やっぱりいいです」と言いそうになったが、やっぱりと言いはじめたあたりで、おじさんがくるりと振り向いて・・たのでいいやめることができた。この感じがよくわかる。私も迷い癖があるので、相手に委ねたい方だから(笑)
好みでは、菊ちゃんのおむすび。菊ちゃんは尻ポケットから何やらたたんだものを取り出す。小さな青いビニールふろしきだった。青いビニール風呂敷か(笑)!?と、私はひとり突っ込みを入れる。
椰子の実では、「それより、咲はおれのかわりに親孝行してくれ」ってところが泣けた。
合間にちょっと読むも、次も次もとやめら -
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ネタバレ川上弘美さん2冊目。
修飾語が好き。
「ミドリ子にとってチダさんとのセックスは、真夜中ひっそりと起きて読む哀しい小説にようなものだった。読んでひそかに涙を流すとあんまり気持ちがいいのでやめられない、やめられないことが情けなくてさみしくせつないのだけれど、やめられないことがうれしくもある。」
「姉の吐き出していた空気がなくなり、姉の持ち物と姉自身も見えなくなってしまうと、しばらく家の中はまばらな感じになったが、やがてまばらなところは均された。知らぬ間に母と私は薄く家の中に広がり、姉の不在によってできた隙間は満たされた。」
「疑ってるんじゃないよ ぜんぜん信じてないだけだよ」
「誰かを好きに -
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家族の物語。
55歳になった都の思い出。
心にはいつも死んだママがいる。
ママが死んでから同居をしないといって出て行ったパパがいる。弟の陵がいる。
パパと呼んでいるが実は叔父で子供の時からママと一緒にいるのでずっとパパと呼んでいる家族だ。
一緒に暮らしている陵は弟で生まれた時を知っている。
ママの心はいつも満たされていて、家族の中心だったが若いのに癌で死んでしまった。
最後のピクニックでママがいった。
「もうすぐあたし、死ぬのね」
「もうそれ,飽きたから、やめて」
「せっかくその気になっているのに」
「その気になってならなくていい」
「こんなにこの家で権力をふるえるのって,初めてのことなん -
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テーマは、家族と愛。愛は近親相姦と世間で呼ぶ類のものかもしれないけれど、卑猥な感じではなく、読んでいると、愛の変形系の一種としてナチュラルにスムーズに受け入れられる。主人公の都の両親は、実の兄妹で、都も弟の陵に恋愛感情を持つ。都の母親「ママ」はさばさばしていて冷たいところがあるけれど、どこか人を惹きつける魅力を持った女性。世間から見れば、都の家族は歪んで、ねじれている。いとこの奈穂子はアメリカ帰りの帰国子女で、都から見ればいつも笑顔なように見えて、少しも笑っていない無表情にも見える女の子。(「奈穂子は笑っていた。あるいは、無表情でいた。」)都の育ての父親は、時計コレクターで、都の弟の部屋には掛
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現実とは、少し軸のずれたところにいるような男女。どの作品も片方は生活者として社会参加もしている、しかし、どちらかは日常生活の中で時間や、住んでいる地面から少し浮かんだような奇妙な空間で暮らしている。
二人はこういうカゲロウのような淡い、見方によってははかない弱い生き物になってしまっている、そんな日向か蔭よく分からない、流されて生きる人を書くのは、川上さんならでの世界だ。
短編集だが、テーマは、道行というか、世間からはみ出した二人連れの話で、行き着くところは、お定まりの別れだったり、話の最初から心中行だったりする。
別れは、まぁ文字通り、世間並みに生きていける方が去っていく。
情死は遂げ -
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川上弘美作品は「センセイの鞄」や「どこから行っても遠い町」など読んできたけれど、一番テンポ良く読めた。まさに、ガールズトークを聞いているような。
夫と義母と自分で帰省した時のお風呂問題などなど、とりあげられるテーマがおもしろい。
そして新川亭で皆が注文するオムライスやビーフカツ、ポークソテーもおいしそう。
人と人との難儀な関係性については納得。
ちょっとした言動を気にしてしまったり、あれこれ憶測したり。夫婦間でもそうだし、会社の人間関係でも。
そして自分の悩みを人に聞いてもらいたい時、いざ言葉にしようとすると大したことではなく思えたり、言葉にすればするほど本当に悩んでいることから遠ざかっ