川上弘美のレビュー一覧

  • なんとなくな日々(新潮文庫)

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    穏やかな秋の日、お日様があたるお気に入りの場所でこの本を読むと、ほっこり癒されます。
    解説でも書かれていますが(串間努さん著)、「川上さんにはもっと人にいえないような体験がきっとあるに違いないと思いますが、それは私も同じなので、大人なるものそのようなことは詮索しないものなのであります」

    きっと大変な半生を送ってこられたのに、「なんとなく」な日常を、さらりとありのままに表現されている。読み手のほうは、ゆるく楽しんでおられる様子に安堵し笑えてしまう。そういう言葉選び、起こる出来事を面白く捉えられてクスっと笑えてしまう。肩の力を抜かせてもらえる。
    例えばこんなところ、
    お葬式の帰り道、河童に会った

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    2020年10月18日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    教科書、それも抜粋でしか触れたことがなく、苦手意識もあった古典文学が、現代語訳と更に訳者の個性も加わったことで、とても読み易く物語に入り込めた。
    また、この全集には対となる「作家と楽しむ古典」という本がある。
    訳者自身による解説で、原典への解釈やそこから感じた思いなどを知ることができて、物語への理解がより深まったように思う。
    是非合わせて読んでもらいたい。

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    2020年10月07日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    竹取物語・森見登美彦/伊勢物語・川上弘美/堤中納言物語・中島京子/土左日記・堀江敏幸/更級日記・江國香織。現代語訳で読みやすいが、例えば森見ならもっともっと森見節で書いて欲しかった。伊勢は元が好きでないが、歌の訳が流石。堤中納は初見。虫愛ずる姫君のみ知ってた。他に図々しい坊主など。土佐日記初見、愚痴じゃん。ひらがな辛い。更級日記。猫に宿った姫君の話。「焦がれた物語を読む楽しさといったら妃の位も及ばない」そうそう!

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    2020年10月05日
  • あるようなないような

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    タイトルのようにふわりとしてそれでいて濃い、印象的なエッセイでした。まるで、そこにあるかのように目の前に情景がうかびました。
    例えば、地下鉄の広尾の駅を上がったところに見える「逃げ森」のお話とか。本当に目の前に緑の木々が広がり、都会の空気を感じることができました。
    そして、11月になると散歩に行きたくなるお話。井の頭公園での場面。小学生の鼓笛隊のお話。鉄腕アトムを演奏する楽器の音が聞こえてきそう。あったな自分もそういう、目にしたけど語らないこと。なんてことない日常なのだけど。その風景は見る人によって、希望に満ちてはつらつしたものにも、もの悲しくも、ざわざわにも映る。どのようにもとれるありのまま

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    2020年09月16日
  • 夜の公園

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    リリ35歳。世間で言う、恵まれた結婚をしている。が、最近夫の幸夫のことがあまり好きではないと気づく。例えば、夫のふとした仕草。髭を剃るその掌の動き、とか。たてる音。はっきりとした咳払い、とか、そういう感じ。
    リリは思う。そういうところが嫌いなのではない。幸夫を好きと信じてた頃はそれさえ愛していた、と。
    なんなんだこの感情は?幸夫にではなく自分に向かっている感情って。
    そんなころ、夜の公園をひとり歩くリリは、マウンテンバイクを飛ばしている9歳年下の暁と出会う。

    夫幸夫は、リリの親友春名の猛烈な押しで関係を持つようになる。ありえないな、春名という女性。親友の夫に会った瞬間に。「リリは春名のその目

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    2020年08月30日
  • 神様 2011

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    川上弘美さんの作品を知ったのはまだ数年前ですが、
    1993年に書かれた「神様」が…ほんわかして優しくて大好きです。
    その後、2011年に「神様2011」が「あのこと」をベースにした神様の物語が書かれています。
    あのこととは、2011年東日本大震災による福島原発事故。わたしは、震災のニュースを見、大きな衝撃を受けたが、原発事故のことは、あまり意識の中になかった(というか、わからなかった)。
    最後の川上弘美さん自身の「あとがき」は、まるで川上さんが話しておられるような語り調で、背筋が伸びる気がした。非常に訴えを感じた。怒りと受容にも似た。

    本の中の前述の「神様」の文は、原文そのまま。
    後の方の「

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    2020年08月22日
  • 水声

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    ネタバレ

    両親(兄妹、でも肉体関係なし)のもとに生まれた近親相姦姉弟(肉体関係あり)の生まれてから約50年間の話。戦後から昭和の終わり、バブル崩壊、松本サリン、阪神淡路大震災など当時の大きなニュースが挟まれるのが特徴的。登場人物が皆どこか不思議だけれど、純文学。
    やはり文章が美しい。

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    2020年08月12日
  • 夜の公園

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    こういう乾いた恋愛ものはとても好き。語弊があるかも知れないけれど、江國香織さんの世界観とも共通するものがあるように感じた。
    川上弘美さんの小説は私の場合、はまるものと世界が独特すぎてついていけないものに分かれる。この小説は完全に前者。

    主人公は35歳のリリ。主婦で、夫の幸夫がローンで買ったマンションに暮らし、申し分ない生活をしている。だけど毎日が、なんとなく退屈だ。
    幸夫は、リリの親友の春名と恋人関係にあり、リリもまた、マンション前の公園で知り合った9歳年下の暁と恋人関係にある。
    こんなにせまい人間関係のなかで、さらにあるひとつのつながりがある。

    リリはどことなく謎めいていて、感情をあまり

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    2020年08月02日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    短編23編のいずれもがなかなかに優れものの1冊です。梅酒の如くサラリと読めますね♪
    2002~2006年にかけて掲載された作品を纏めたものです。 作者40代半ばの頃の作品。
    短編は作者の特色がけっこう出てくるので面白いし気軽に読めて良いですね。

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    2020年07月05日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    ずっと前、居たなそういう人、原田聖子のような理解できなかった存在の人。(ゴーヤの育て方)
    「ねえ、大学時代はさあ、会社に入って働くとか、考えてもなかったよね」「いろんな女や男やおっさんやおばさんがいるところで、自分も働いていることが、まだ信じれん」
    不特定多数の人と、誰もが良い人間関係を結ぶのは難しいと学んだ自分の「お勤め」のころを思い出した。
    輪ゴム、はよかった(全部よかったけど)。どのお話も哀愁が漂って、ふわふわしてるのにせつなくて、だけど穏やかになる。

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    2020年06月15日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    通り過ぎるような、あるようなことを引き延ばしてふわりとお話になった、かんじ。月火水では、「やっぱりいいです」と言いそうになったが、やっぱりと言いはじめたあたりで、おじさんがくるりと振り向いて・・たのでいいやめることができた。この感じがよくわかる。私も迷い癖があるので、相手に委ねたい方だから(笑)
    好みでは、菊ちゃんのおむすび。菊ちゃんは尻ポケットから何やらたたんだものを取り出す。小さな青いビニールふろしきだった。青いビニール風呂敷か(笑)!?と、私はひとり突っ込みを入れる。
    椰子の実では、「それより、咲はおれのかわりに親孝行してくれ」ってところが泣けた。
    合間にちょっと読むも、次も次もとやめら

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    2020年06月14日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    タイトル通り変愛を集めた短編集。

    「お、おう、そんなところに」「そんなのと」「え、何この設定」とか本当にそれぞれ変な愛ばっかり笑

    吉田篤弘目当てだけど、電球交換士が出てきていたとは。

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    2020年04月16日
  • ハヅキさんのこと

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    なんでかよくわかんないけど、よく思い出す記憶ってある。なんでだろう? 「ハヅキさんのこと」をはじめとする話、ふと思い出す断片的な映像みたいだった。や〜良い。

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    2020年04月11日
  • ハヅキさんのこと

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    川上弘美さんの短編集。
    一話が本当に短い。2,3~4,5ページのものが多い。
    その短い中で、登場人物がうまく描写され、ストーリーがある。当たり前か。
    どのストーリーも、登場人物がどんな人か、こんな短いページ数でも把握できる。
    女性同士の付き合いの話が多く、共感できる。
    面白かった。

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    2020年04月01日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    息子が持っていた『神様』が著者との出会い。本書も含め、作品のタイトルが気に入って、著者の作品は数冊が積読状態だ。構成は連作短編で、途中から人物相関図を作りながら読み進めた。そうすると、この街(作品)の中心が魚春だと気付く。親と子、男と女、そして他人同士が関わり交わる、あるようでないような世界観が良かった。

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    2020年03月23日
  • いとしい

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    ネタバレ

    川上弘美さん2冊目。
    修飾語が好き。
    「ミドリ子にとってチダさんとのセックスは、真夜中ひっそりと起きて読む哀しい小説にようなものだった。読んでひそかに涙を流すとあんまり気持ちがいいのでやめられない、やめられないことが情けなくてさみしくせつないのだけれど、やめられないことがうれしくもある。」

    「姉の吐き出していた空気がなくなり、姉の持ち物と姉自身も見えなくなってしまうと、しばらく家の中はまばらな感じになったが、やがてまばらなところは均された。知らぬ間に母と私は薄く家の中に広がり、姉の不在によってできた隙間は満たされた。」

    「疑ってるんじゃないよ ぜんぜん信じてないだけだよ」

    「誰かを好きに

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    2020年02月21日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    川上弘美には冬が似合う気がする。からりと乾いた感じが、何となく。
    川上ワールドの女性達は、没個性な印象を強く受けるのに、何故かみんな魅力的です。短編集だと、そんなチャーミングなヒロインに沢山会えるから、一冊で何粒も美味しい。

    ほんの10ページ前後で描かれるのは、彼女達の人生どころか、本当に些細な日常のワンシーンのそのまた一部。
    なのに、読んでいる瞬間、強烈に彼女達の人生の淵に立って体感してる感覚を得られるのも心地良いのです。

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    2020年02月10日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    短編小説。
    中には情景がぼんやりしたまま終幕になったものもあるが、大半は程よく心地良い作品。
    日本には暦のほかにこんなにも豊かな四季の表現があると温かさも得た。

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    2020年02月09日
  • 水声

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    ママが死んでしまったのでパパが出て行った。子供の頃からいてパパと呼んでいる人は実は叔父だった。
    家族の物語。55歳になった都の思い出話。

    心にはいつも死んだママがいる。
    ママが死んでから同居をしないといって出て行ったパパがいる。弟の陵がいる。

    パパと呼んでいるが実は叔父で子供の時からママと一緒にいるのでずっとパパと呼んでいた、家族だ。
    一緒に暮らしている陵は弟で生まれた時を知っている。

    ママの心はいつも満たされていて、家族の中心だったが若いのに癌で死んでしまった。

    最後のピクニックでママがいった。
    「もうすぐあたし、死ぬのね」
    「もうそれ,飽きたから、やめて」
    「せっかくその気になって

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    2020年01月13日
  • 水声

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    テーマは、家族と愛。愛は近親相姦と世間で呼ぶ類のものかもしれないけれど、卑猥な感じではなく、読んでいると、愛の変形系の一種としてナチュラルにスムーズに受け入れられる。主人公の都の両親は、実の兄妹で、都も弟の陵に恋愛感情を持つ。都の母親「ママ」はさばさばしていて冷たいところがあるけれど、どこか人を惹きつける魅力を持った女性。世間から見れば、都の家族は歪んで、ねじれている。いとこの奈穂子はアメリカ帰りの帰国子女で、都から見ればいつも笑顔なように見えて、少しも笑っていない無表情にも見える女の子。(「奈穂子は笑っていた。あるいは、無表情でいた。」)都の育ての父親は、時計コレクターで、都の弟の部屋には掛

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    2020年01月09日