川上弘美のレビュー一覧

  • 水声

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    この本の空気は、江國香織の書くものに似ていると思った。
    家族は、一緒に暮らせば暮らすほど思い出が増えていく。
    歴史のようなもの。水の流れのように、とどまることを知らない。
    思い出を共有し過ぎた姉弟の、愛の物語。
    優しすぎて、深すぎて、なんだか泣けてくる。

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    2018年07月29日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    いくつか読んだことがある作品も収録されていましたが、今までの愛に対する見方を思いっきり揺さぶられる一冊であることは間違いなし。
    どれもこれもお勧め?
    「韋駄天どこまでも」は漢字遊びの要素なので、編者も書いているように翻訳は超絶技巧が必要だなぁ。
    単行本にしか収録されていない作品があるそうなので、単行本も読まねば。

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    2018年07月21日
  • 水声

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    終始ふわふわしていて、タイトルじゃないけれど水の中にいるような雰囲気が流れる小説。
    手っ取り早く言えば姉弟の近親相姦のお話なのかもしれないけれど、そういう枠に当てはめるのは何だか違和感がある。
    独自の愛、独自の家族感、というか。
    ひとつの夫婦やカップルにはそれぞれの形がある。というように、この2人はこの形なのだろう、と妙に思わされてしまうのだけど、とてもしっくり来るわけではないというか。。

    難しいな。笑

    実はけっこう前に読み終えていた作品で、タイムラグがあるので感想をつづる感覚も若干遠いのだけど、時系列が行ったり来たりしながら、1組の姉弟とその母と父(その両親にも1つのいわくがある)を中心

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    2018年07月18日
  • 物語が、始まる

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    面白かったです。
    とても奇妙なお話なのですが、ぐいぐい引き込まれました。
    「婆」と「墓を探す」が好きです。川上さんの描く、強引なお年寄りは良いなぁと思います。
    生と死は近いものなのだということを感じました。
    登場人物たちは流されているようで、でも芯があるようで。
    ぼんやりとたゆたう川上ワールドよりも、ちょっとだけ力強い世界でした。
    穂村弘さんの解説も面白かったです。

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    2018年06月27日
  • 光ってみえるもの、あれは

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    若者3人と、変わった大人たちの話。変わったって言っても、普通の人など現実にもほんとはいないのかもしれないなぁーなどと思った。淡々と話は過ぎるし、特に盛り上がることもないのだけど、川上さんの文章はとても魅力的で、その文章を単純に楽しんだ感じ。どの登場人物も魅力的。特にキタガーさんは、あんな先生いたらいいなと思う。

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    2018年05月24日
  • これでよろしくて?

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    とても面白かったです。
    ガールズトークとは言え、この「これでよろしくて?同好会」はなんだか不思議でおかしくて好きです。
    わたしもいろいろ参加してみますが、いつも菜月さんポジションで話を聞いている人だな…と思っているので、勝手に親しく思いました。
    菜月さんの日常は閉塞感だらけで、菜月さん我慢強いなぁと思いましたが、結婚生活って多かれ少なかれこういうものなのかもな、と思いました。大変そう。
    人は変わっていくもの、という菜月さんの気付き、わたしも大切にしようと思います。
    「これでよろしくて?同好会」、入りたいです。
    会の新メンバーの、「ゲイの修三くん」って、「ざらざら」とかの「オカマの修三ちゃん」と

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    2018年05月16日
  • 神様 2011

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    「神様」は以前読んだときと同じく、不思議でぽかぽかしたお話で好きでした。
    「神様2011」と並べられることで、「あのこと」が起こって変わった日常と、それでもここで生きていくわたしのくまとのひとときが心に迫ってきます。
    2011年からは何年も経ちましたが、薄れさせてはならない思いです。
    あとがきも好きです。

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    2018年05月04日
  • あるようなないような

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    このエッセーを読んだおかげで、高浜虚子や武田百合子の作品に出合えた。川上さんによる「読書案内」は私にとってどストライク。はずれがない。

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    2018年04月06日
  • ハヅキさんのこと

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    とても短いお話がたくさん、でもどのお話もすっと世界に取り込まれる感じが好きでした。
    ありそうでなさそうな出来事。中には、川上さんの実体験なのかな?と思うようなお話もありました。
    ぼんやり始まって、ぼんやり終わる、でもはっとするお話です。後からじわじわきます。
    どれも好きなのですが、「ぱちん」と「島」がなんだか良かったです。こんなこと、いつか起こりそうだな、と思うと楽しいです。

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    2018年03月25日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

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    面白かったです。中野商店の人々が醸し出す空気が好きでした。
    シビアな人間関係も、ゆるゆると描かれるので、ぼんやりと読んでしまいます。
    何が起こるわけでもないですが退屈ではなく、ずっと浸っていたい世界です。
    生きるってめんどくさい。でも、こんな世界もあると思えば素敵です。
    ヒトミさん、好きだなぁ。タケオも、中野さんも憎めない。
    解散しても、成長してまた会える結末が素敵でした。

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    2018年02月17日
  • 女性作家が選ぶ太宰治

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    未読既読入り交じっていたけれど、男性作家が選ぶ作品とはやはり色が違って面白い。くすっと笑ってしまえるあたり、やはり太宰の魅力。

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    2018年02月11日
  • 水声

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    川上弘美さん特有の艶っぽい文体で綴られるひとつの愛と絆のかたち。ともすればドロドロとしてしまいそうなのに、上品さを保っている。世間一般の価値観ではありえない関係なのに『こういうのもアリかもなぁ。人生の正しさなんてあるようでないんだよなぁ』と、読み進めるうちに素直に彼らを肯定してしまう。その感覚が心地良かった。

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    2018年01月20日
  • 水声

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    きれいな物語だった。川上弘美さんの小説が好きなのは、解説で江國香織さんが書かれているように、そこにゆるやかな肯定があるからかもしれない。
    許さないことや否定することが流行っている中で、そのゆるやかな肯定が懐かしく温かく優しく感じられる。

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    2018年01月16日
  • 龍宮

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     読んでいて感情が高ぶったり、あるいは落ち込んだりしない。
     どこまで読み進めても感情はずっと平坦なまま。
     そんな感じ。
     そしてそんな平坦さが意外と心地よい。
     何食わぬ顔付きでそれとなく読み手を自分の世界に誘う。
     ただ、最後の「海馬」は非常に切なく、心が強く揺さぶられた。

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    2018年01月06日
  • これでよろしくて?

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    「これでよろしくて?同好会」。おばさまを中心に女の人たちが集まっては夫婦や家族の問題についてごはんを食べながら話し合う場。話し合うと言ってもゆるく、でも実はなかなか鋭い納得の洞察があったりして、すごーく面白い。
    ひょんなことからこの会に参加するようになる菜月は30代の専業主婦(子どもはまだなし)。そこそこ幸せだけど、夫や姑とその家族のこととかなんとなくのもやもやを抱えていて。この会に参加して即何かが解決するわけではないけど、菜月の中で少しずつ整理されてゆっくりと前に進み出せた・・のかな。
    ストーリー性はあまりないんだけど、同好会の話し合いがいちいち面白すぎる!おばさまの的を得た物言いも良い。経

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    2017年12月13日
  • 溺レる

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    再読でも好きでした。何かから逃げ続けている男女の、ふわふわとしていながらも、寂しい官能を感じる短編集でした。いくらアイヨクに溺れても、相手との間の空気を改めて知るような、満たされないふたり。人ではないものになって、百年とか五百年を過ごしても、寂しさは続くのかもしれません。食べる場面も、悲しくて寂しくてとても好きです。亀って鳴くのかな。解説も好きでした。「つまらない女」にひっかかったら最後、もう帰れないのである。

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    2017年11月20日
  • 東京日記2 ほかに踊りを知らない。

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    ネタバレ

    前作もゆる~い面白さがあったが、今回もよかった!
    (東京音頭以外の)踊りを知らない
    次を読みたい!

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    2017年11月04日
  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

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    ネタバレ

    なんとも、独特のゆる~い雰囲気の文章。面白い物の見方をしていて、この人は日常をこんな風に切り取って感じられるんだ、と感じた。
    シリーズになってるみたいなので、ほかも読みたい。

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    2017年11月04日
  • 龍宮

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    川上さんを読むたびに思うのです。私はこんな作品は嫌いなはずだと。
    不思議な幻想譚です。ファンタジー。登場するのは人間になった蛸、膝ほどの大きさの14歳の姿の曾祖母、ケーンと鳴く老人、台所に出没する小さな荒神。。いずれも人にあらざるもの。私はこうした幻想作品にはあまり手を出さないはずなのです。
    それでも川上さんの世界に入り込めます。それは、そうした不思議な世界がおどろおどろしくでもなく、少女趣味的なファンタジックでもなく、ごくありふれた事象の様に描かれているせいかも知れません。フワフワと心地よく川上ワールドを漂えば、それはそれで心地よいのです。

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    2017年10月30日
  • 光ってみえるもの、あれは

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    川上さんは、何時も不思議な話を書く人ですが、その中でも"有り得ざる者”や”有り得ざる事"が出てくる「蛇を踏む」などの作品と、ちょっと変わった人々を主人公にする「センセイの鞄」のような作品があるようです。
    これは、そういう意味では「センセイの鞄」の系列です。
    例によって、なんだかフンワリした感覚に浸ってしまいます。所々ではニマニマと笑い出してしまいます。そして、時に切なくなります。
    他の人の評価を見ると、やはり極端に割れてしまいます。リアリティを求めてしまうとダメでしょうね。こんな高校生は居ないし、周りの人物も変過ぎます。川上さんの作品は小説と言うより"物語&

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    2017年10月30日