川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ニシノユキヒコが主人公(?)ながら、ニシノユキヒコの心情は一切記されておらず、ニシノと交流したさまざまな女性たちの視点で、ニシノが語られます。
1番最後に配された「水銀体温計」で、ニシノの少し屈折した女性への態度の背景が明かされ、その一つ前の章「ぶどう」で、唐突に訪れた彼の冒険の終わりが綴られます。姉への気持ちを明確にするのが怖かった、ということなのでしょうか?ただ、思えば、1番最初の「パフェー」で成仏しきれず他の女の元へ行くあたり、もうその浮ついた性分はもう自制の効く類のものではなく、生まれついた性質なのでしょうか。
ニシノと女の儚い関係の中の穏やかな熱情に、なんだかやつされるような想いがし -
Posted by ブクログ
幸せなのにさみしい。
主人公の多くの「私」には名前が出てこない。それがよけいに自分に語られ、問いかけられているようだった。
心のままの感情を持ってしまうことへの辛さ、心細さとか、人との絡まる感情は、どうにも消化できない。
多くは「ままならぬ関係」だったりするが、それでもふふっと笑えたり、不確かなものだって存在するんだと、人の心の儚さが、ずしっと刺さった。
無機質でお人形さんみたいに感じる登場人物…そういう、ゆめうつつのところが、それはそれで好きなんだと思う。笹蒲鉾を持ってタマヨさんに会いに行った「私」は、私でもあった。空想の中で会いたい人に会いに行く、つい移入してしまう。
「夜の子供」「冷た -
Posted by ブクログ
人生、パラレルワールド、選び取らなかった未来、これまで歩んできた道、それらを「森へ行きましょう」で昇華させる川上氏。うつくしいです。
ルツか留津かはじめは見分けがつかないけれど、時が進むにつれてルツか留津か、はっきりと区別がつくようになる。はじめはちょっとずつのズレだったのに。昔のことの記憶が曖昧になっていく感じも、まるでルツたちと同じ時間を過ごすようだった。
追記
時間が経ってじんわりと俊郎のことばを思い出すことがふえた。すべてを知らなくて良い、一緒にいたいと思ってくれている、結婚してくれている、嫌いではないでしょう、それで良いよ、そうだよね。