川上弘美のレビュー一覧
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竹取物語・伊勢物語・堤中納言物語・土佐日記・更科日記
どれも学校で古典や歴史で学んだ物語ですが、一度も
読んだことがありませんでした。(絵本とかあらすじみたい
なものを除いて)
初めて読みましたが、現代と異なって違和感のある部分
もありますし、想いのほか現代でも共感できる部分も
多く面白く読めました。現代訳が秀逸であったことも
要因だろうと思います。
中でも、伊勢物語の和歌と話しの内容の奥深さ。単なる
恋愛だけではなく人とのつながりを大事にしてきた文化
が垣間見える部分。
堤中納言物語の短編小説のような、また現代でも共感できる
家族や仲間での何気ないやり取りの記載。
土佐日記の紀行文としての情景の描き方や、昔の船旅の
リアルな様子。
更級日記の現代でも十分に共感できる日記文学と、主人公の
リアルな感情。至極日常的な感情。ドライな感情が
垣間見える部分。
など、面白かったと思います。 -
Posted by ブクログ
お仕事小説であり、恋愛小説であり、人間ドラマでもある。面白いバランスの作品だった。
主人公は、中野商店という古道具屋でアルバイトをしているヒトミ。経営者の中野さんはけっこう適当で、仕事中たびたび出かけて行っては、不倫相手のサキ子と会っている。
ヒトミは同僚アルバイトのタケオと、付き合っているのかいないのか、微妙な関係が続いている。
中野さんの姉であるマサヨさんは芸術家で、中野商店の面々と程よい距離感で絡んでいる。
そして月日が過ぎ…というお話。
雰囲気は緩いのだけど、実はものすごく深い。
人と人の関係(とくに恋愛)のままならなさ。若いからこそお互い意地を張ってすれ違って、そこから数年過ぎた頃、大人になって素直さを手に入れたらすんなり進んでしまうちょっとあっけない感じ。
でもやっぱり、大人になっても別のままならなさがあったりして。
3組のカップルが出てくるのだけど、みんなそれぞれに小さな苦しみがある。
著者の川上弘美さんの弟さんが実際古物商をされているらしく、古道具屋の仕事の内容や競りの様子なども描かれていて興味深かった。
住み分けじゃないけれど、この店はどの分野に強い、とか同業者でもお互い何となく線引きしている感じが面白い。
日常の些細な痛みをあぶり出すのがやっぱり巧いなぁ、と思った。生きていればそういうことの積み重ね。
ドラマチックなことなんて、そうそう起きるわけじゃないものね。 -
Posted by ブクログ
2016.6.22
『夫を好きだから、夫にまだ関心があるから、夫の身内との関係がぎくしゃくする』
ヤキモチ焼きな私にとって、これほど救われる言葉はこれまでなかった。
今のパートナーとの関係が、随分ラクになりました。
日常の、"家族"を軸とした人との関係の間に起こる気持ちを、主人公・菜月の目線で丁寧に言語化されています。
そして、やや非現実的な"これでよろしくて?同好会"。友達でもない、知り合いでもない人たちだから、友達には言えないようなことも話せたり。自分について話しているわけではないのに、自分にも心当たりがあって。そうやって、人の意見を聞いたり、自分の考えを言ったりすることで、わかることや気づくことがあって。その過程により、変化していく。
夫婦について、子供を持つことについて、自分の親について、夫の親や家族について。
近いのに、最も厄介な人間関係。
結婚目前にこの本に出会えてよかった。 -
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久々に川上弘美さんの本を読みました。
【パスタマシンの幽霊】のレビューで、川上弘美さんの文章は美しい!と書きました。
この本でもやっぱりそう感じます。
そして優しい!読んでいて、安心できるというか、心を任せられるというか…
川上さん、どこへでも連れて行って~!というような気持になるというか~(笑)
上原菜月は夫と二人で暮らす専業主婦。
偶然、元カレの母、土井母と再開する。
土井母が菜月を誘ったのが『これでよろしくて?同好会』
興味をそそられ菜月が参加してみると、そこに集う面々は老若女女。
そうの老若男女ではなく、老若女女!!
同好会では議題があって、書記がいて…
でも、堅苦しいものではなく、話し合われる内容と言ったら、「議題」と言えるものではなきけれど、普段から気になることとか、どうしても聞いてほしいこととか…
う~~~~ん、と思っていることが、老若女女の口からでると、な~~~~んだ!と思えたり、なるほど~~~~!と思えたり、その通り~~~!と思えたり、それはないでしょ~~~~!と突っ込んだり…
自分自身、家族関係、仕事関係等々、自分を取り巻く環境を見直したり…
知らぬ間に問題が解決の糸口が見つかったり、思考回路が前向きになったり!
なんて素晴らしいの!
『これでよろしくて?同好会』!!
はい!
私、『これでよろしくて?同好会』に入部希望です!! -
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森見さんの話が聞きたくて講演会に行って、欲しくなって買った本。森見登美彦さんの「竹取物語」は、確かに森見さんらしい。ファンタジーで、竹林が出てきて、美女も出てきて、そして男たちが片想いをする。川上弘美さんの「伊勢物語」は、授業でやった文章が出てきて懐かしい。在原業平すごい笑 中島京子さんの「堤中納言物語」は、歌の訳も三十一文字にしているのがすごい。こんなに楽しい物語だったんだと驚き。堀江敏幸さんの「土左日記」は、ひらがなで訳して貫之の考えを示すという独特の訳。江國香織さんの「更級日記」は、これも授業でやった文章が懐かしい。歌の訳など工夫されているのが伝わってきました。
古典文学のエキスパートでもない現代の作家たちが訳すというのはどうなんだろうと思ったりもしたけれど、豪華な作家たちの名前から読んでみようと思う人もいるはずだし、その点では素晴らしいこと。平安文学を読むことがないので新鮮な気持ちで読みきりました。思った以上に面白い作品たちでした。 -
Posted by ブクログ
児童文学、に位置付けられるのだと思うけれど、十分に楽しめた。
一番良かったのは解説で、上中下三冊を読んでいるうちにふわりふわりと感じていたことと、これまでの読書体験の中で、あるいは自分の物語の読み方として、一部言葉にしていたこととが、より高い位置から見渡した視点で紡がれていた。10ページにも満たないこの解説が付いているだけで、印象が、多分星一つ分くらい増している。
本編は、特別何かが起こるわけでもなくて、特別難しい課題に迫られているわけでもなくて、どちらかと言えばのんびりと、物語が語られていて、自分の読み方で本編だけを読んでいたら、可もなく不可もなく、という印象で終わっていたと思う。
すべてを読み終わって、解説を読んで、その意味を理解して振り返ると、確かにすごくよく表現されていたことに、そこで初めて気付くことができた。
ほとんど解説に対する感想だけれど、この本編あっての解説でもあるわけで、1+1が2に収まりきっていないと、もしかすると初めて感じたかもしれない。
151213 -
Posted by ブクログ
神様2011
この本は、著者のデビュー作である「神様」を、福島原発事故を体験してしまった「神様2011」として書き換えた小説です。
先に当時の「神様」も収録されていて、そのあとに「神様2011」が続く構成です。
そもそもこの「神様」に出てくるクマは普通のクマだけど、だからこそ、大地の象徴というか、自然の代表というか、神の中でも八百万の神のようなイメージでいました。
その神とわたしの平凡な日常が、「あの日」を境に物々しいものに変わってしまうのです・・・防護服を着、被ばく線量を気にする日常です。
人間が手に負えない、手を出してはいけない領域に手を出し、結果としてのどかな日常は永久に戻ってこない、ということを痛感させられました。
哀しいです。
原発反対。