川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「恋愛」ではなく「変愛」…変わった形の愛が描かれたアンソロジーです。
面白かったです。
ディストピア文学が大好きなので、「形見」が好きでした。工場で作られる動物由来の子ども、も気になりますが、主人公の子どもがもう50人くらいいるのも気になりました。色々と考えてしまいます。
「藁の夫」「逆毛のトメ」「クエルボ」も良かったです。藁の夫を燃やす妄想をしたり。クエルボはラストは本当に名の通りにカラスになったのだろうか。。
多和田葉子、村田沙耶香、吉田篤弘は再読でしたがやっぱり良いです。
岸本佐知子さんのセンス好きです。単行本から、木下古栗さんの作品だけ再録されなかったようですが。
表紙の感じに既視感が -
Posted by ブクログ
パラレルワールドの設定で、交互にルツと瑠津が出てくる。
登場人物も入り乱れる。
川上弘美さんの味のある世界観、噛み締めたくなるような文章が好きで読み始めたが、
この作品はあっさり読めるもの。
ただ、さすが、書き留めたくなる言葉がたくさんあった。
女の人生、簡単に分けてしまうと、
結婚して子供がいる人生と、独身の人生。
どちらも理解できる、どちらの道を進んでも、
迷いもあるし、別の生き方をしていたらと考えてしまう。
今28歳の自分が読んで共感できる部分と、これから歳を重ねて理解できる部分とあるんだろうな。
歳を重ねても、大きくは変わっていないのかもしれない。歳を重ねてもわからないこと、歳を重 -
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ネタバレ都心から私鉄で20分ほどにある小さな町。その町の商店街を舞台にした11の物語は、それぞれがゆる~く繋がりながら、人と人が暮らすなかで起こる、小さな心の動きをさりげなく描く。
何か特別なことが起こるわけでもなく、それぞれの物語の終わりはなんとも中途半端で、だからこそ、わたしたちの日常は、決して物語のように切り取られて完結するものではなく、平凡に続いていくことに思い至る。
前の物語で脇役だった人物が、あとの物語で主人公になるとき、最初に見えていた景色が違う色彩を帯び、立体的になる。最後まで読むとまた、最初に戻って読みたくなるようなそんな配置もgood。解説の松家仁之さんの文章も秀逸。
どの物 -
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あとがきに、わかりやすいわかりにくさではなく、わかりにくいということが容易にはわからないようになってる本。と、あるけどまさにそんな一冊。
一冊丸々ガールズトーク?井戸端会議?みたいので終始するんだけど、一回一回あーーーーーわかるよ、それ、わかる!なんかわかる!
っていう議題。笑笑ほんと、些細なことなんだわ。すごく嫌でもなく、めちゃクチャハラタツわけでもないけど、なーんかチクチクきになるよね。それ。わかるよ。
っていう日々の積み重ねの諸事。笑笑
それを一つ一つみんなで考えて、まるで結論は出ないんだけど、言って、言われてスッキリするっていう、そんなとりとめもない女たちの会話が、なぜか読んでて -
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相変わらず不思議な小説を書く人です。
ルツという女性が生まれて50才になるまで、どの道を選ぶかで並列世界を各々のルツの人生が変化していくという本でした。結構こんがらがるかなと思ったのですが、エピソード読んで行くうちに、人生が全く違っているので別の人として認識出来たので問題ありませんでした。さらに奥深い所は、ルツだけではなく他の人が選んだ人生にによって、大幅に変わっている人生もあり、無限の並行世界があるという事が感じられる事でしょうか。
自分の人生振り返っても、どこか時点での選択を変えると人生が違っていたのかな?と思うと怖いような、面白いような・・・