あらすじ
かりん、という琺瑯の響き。温泉につかったあと、すっぴん風に描く眉。立ち飲みで味わう「今日のサービス珈琲」。
48歳、既婚者で「中途半端」な私が夢中になった深い愛――。さりげない日常、男と女の心のふれあいやすれ違いなど、著者独自の空気が穏やかに立ち上がる。虚と実のあわいを描いた掌篇小説集。
感情タグBEST3
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とっても短い短編を集めた短編集。登場人物がみんなひょうひょうとしていてつかみ所がない。川上弘美の小説はいつもそう感じる。「森」50歳になってから好きだった幼なじみに再開する話が好きだった。それぞれの視点から描かれる浮気を疑う連作の「疑惑」もいい
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書き始めの一行から、何気ないちょっとした生活の中に入って、淡々とした物語が始まる。
すっと終わりがくるけど、その余韻がたまらない。
作品の中では「琺瑯」「浮く」「森」が好き。
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過去に関わりを持ったひとたちへの想い。
満たされているようないないような。居心地が良いような悪いような。
妙に曖昧な感じがいいです。
ささやかな掌小説の中に、いろんな思いがぎゅぎゅっと詰まっていて、温かさが溢れてきます。
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短編でありながら、行間の余白というか、語らずして語られていることが多く、空気感が伝わってくる作品ばかり。特に気に入っているのは、「琺瑯」「かすみ草」「床の間」「白熱灯」「動物園の裏で」「吸う」。すべてを語りきらない余白が、人間の世界の認識のしかたってこうだよなと、逆にリアリティをもって迫ってくる。引っかかったり、急にとんでもないところへ飛んだりする筋運びも、現実はたしかにこんな感じだと、腑に落ちる。作品の世界に浸った後で、自分自身の現実が、これまでとは違う見え方をしていることに気付いた。
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やっぱり好きです 川上弘美さんはほっこりします。
26編もの短編集ですが どの話もすぐそばに あるような気がするはなしです
わたしは「かすみ草」がすきです。
何年も夫婦やってきて わかっている分かり合っているはず…でもね秘密がね あってもいいよね
「吸う」は とっても色っぽかった
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25の掌編小説集。
どの作品も余韻が心地好い。綺麗にまとまっているとかオチがつくわけではないが、空間や時間の広がりがふわっと薫り作品の奥行きを感じさせる。
川上作品は語りすぎない行間が魅力的だ。
読み手の想像力を掻き立てながらも、そっと予感を残していく。
挙げればキリがないけれど、「琺瑯」「グッピー」「かすみ草」「ハヅキさんのこと」「島」が特に好きだ。
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あとがきにもあった通り、『知っている』人に出会う話と『いろいろな恋愛』に関する話の二種類からなるショートショートの作品群。どの作品もしっかり中身が深く一語一語にはっきりと意味を感じられ、川上ワールドを体験できた。小物もよく使っており、ともすれば読み飛ばしてしまいそうになる所もしばしば。短いながらも一話ずつ噛みしめるようにして読め、ちょっとした隙間時間にちょうどよかった。個人的にはかすみ草が好みだった。評価の星は3.5をつけたいが、システム上できないため4。
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なんでかよくわかんないけど、よく思い出す記憶ってある。なんでだろう? 「ハヅキさんのこと」をはじめとする話、ふと思い出す断片的な映像みたいだった。や〜良い。
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川上弘美さんの短編集。
一話が本当に短い。2,3~4,5ページのものが多い。
その短い中で、登場人物がうまく描写され、ストーリーがある。当たり前か。
どのストーリーも、登場人物がどんな人か、こんな短いページ数でも把握できる。
女性同士の付き合いの話が多く、共感できる。
面白かった。
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解説にあった、
「一気に読むより、一ページずつ、一本ずつじっくりゆっくり読むにふさわしい本だと思う。」
川上弘美さんの作品はどれもそう。この作品も、一つ一つ大切に読んだ。
日常のなんでもなさを切り取ったお話が好き。
でも「疑惑」が実は一番面白かったかな。
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とても短いお話がたくさん、でもどのお話もすっと世界に取り込まれる感じが好きでした。
ありそうでなさそうな出来事。中には、川上さんの実体験なのかな?と思うようなお話もありました。
ぼんやり始まって、ぼんやり終わる、でもはっとするお話です。後からじわじわきます。
どれも好きなのですが、「ぱちん」と「島」がなんだか良かったです。こんなこと、いつか起こりそうだな、と思うと楽しいです。
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内容(「BOOK」データベースより)
かりん、という琺瑯の響き。温泉につかったあと、すっぴん風に描く眉。立ち飲みで味わう「今日のサービス珈琲」。四十八歳、既婚者で「中途半端」な私が夢中になった深い愛―さりげない日常、男と女の心のふれあいやすれ違いなど、著者独自の空気が穏やかに立ち上がる。虚と実のあわいを描いた掌篇小説集。
何処がどうという訳では無いのだけれども、この淡々とした文章でさらりと書かれた短編が沢山入っています。もっと膨らませて沢山本出せそうだなあと凡人は思ってしまいますが、出し惜しみせず書けるのは才能の成せるわざか。
どの話も落ちは無いし、哀しくもうれしくもない話ではありますが、なんとなくチクリと細いとげが触るように、彼らの先行きが気になるようであります。
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なんだろうな、この、川上先生の書く恋愛小説の、べたべたしてない感じ。
ドライというのともちょっと違うし、さっぱりというほど爽やかでもない。
やっぱり、なんというか、夏の午後にぬるんだプールで、背泳ぎするでもなく、空見上げてぷかぷかしているみたいな、そんなゆらゆら感。
すごく心地いいんだよなぁ…
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短編集は良く読むがこれほど短い話が集まった本も珍しい。それくらい1編1編が短い。1つ辺りの話の長さがページで4枚以下のものばかりだった。それでもしっかりとインパクトのある話が描けている事に驚いた
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多数の短編から構成されている。どの話も、川上ワールドに入っていると感じます。「蛇を踏む」や「センセシの鞄」の中に出てくる夢を見る下りを読んだ時と、共通の感覚です。何とも奇妙な感覚ですね。人間関係や互いの環境が、相互に行き違っているんだけど、それでも一つの世界に留まって、繋がっている感覚です。その僅かに繋がっている部分が、本来の人間同士の繋がりではないのかと言われているような気がします。
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うそばなしとほんとのはなしが混ざったような感じ
エッセイと小説を混ぜ合わせたようなかんじだとあとがきでもおっしゃっていた
話の内容も短いのにきれいにまとまっていて、かつ感情移入しやすいはなしがたくさんあるため読みやすかったです
わたしは短編はおふろのなかでゆっくりと読むのが好きなので多少時間かかりましたが、川上弘美さん独自の世界観、ことばつかいにうっとりしました
わたしはこの作品とても好きです
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短編よりも短い10ページほどのお話ですぐに読めてしまった。短いだけに細かい説明がなく読み手の想像をふくらませなければならない部分もある。20年前のこと、とかもあるから短い話の中にその人の半生にまたがっていたりするから行間を読んでじっくりと文章を読むとまた違う感想になりそうだ。
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琺瑯
「町子っていうの」その子は小さな声で名乗った。
「町子」私はぼんやりと繰り返した。
短編好きにはたまらない、ふわふわとあわあわとどこに向かうのかわからないまま進み、ベージをめくったら、ふっと終わってしまうこの感覚。「あっ」と思ったあとに、ふふむ、と感じるこの感覚。
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もうちょっと続きが読みたいと思わせる短編集。
登場人物は若い人も年配の人も。
不思議な人、不思議な関係の人。
もう会わない(会えない)人。
人との繋がりの儚さ、別れの切なさ、またはすっきり感。
静かに描かれる。
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短編集。現実なのにどこか不思議な感覚もあって、でも静かに話は進んでいく、著者のそんな雰囲気が好きです。恋愛話もあったり、日常のさりげない話だったり、今回は人とのつながりが多かった気もします。表題作の「ハヅキさんのこと」が印象的でした。
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最近、定期的に川上弘美を読みたくなる。この作品は表紙のようにシンプルな短編集である。シンプルだけど、奥が深い。そんな作品ばかり。年齢の違う登場人物達だが、みんな掴みどころがない人ばかり。どの作品も味わい深い。
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恋愛、出会い、再会をテーマにした掌編小説集
日常の一部を切り取ったようなお話しが多い
最近はこんな感じの本を読んでいなかったので、随分と新鮮に感じた
久しぶりに江國香織を読みたい感じ
さて、数々のタイトルの中で、個人的に好きなのは「グッピー」
失恋した際に、泣けるお話しを求めるけど
「泣ける」と言われているお話しの恋愛は大抵恵まれた恋愛をしていると言うのは同感
本人たちにとっては悲劇なのかもしれないけど、周りからみた評価はまったく別だよな~ と思ってしまった
他にも表題作もなかなかよい
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シュートショートが25話。
エッセイのような短い話がブツッと終わる感じに最初は馴染めなかったけど、1冊読み終えるころにはこういうのも悪くないなと思うようになっていた。
言葉の選び方が上手い作家さんだなぁと思った。
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「ほんとはね、あんな男それほど好きじゃなかった」
「好きじゃないのにどうして好きなつもりになってたの」
「むこうがこちらのこと好きになってくれないから」
「ばかばかしい」
「ばかばかしいけどほんとだもん」
「不幸な恋愛」が終わったばかりのハヅキさんとわたし。したたかに酔っ払って気がつくと、ラブホテルのベッドの上。
きちんとコートを着たまま、ってとこが川上さんらしいなぁ。
いいなって話と、んー?って話が入り交じったエッセイ風の短編集。
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掌編集。一つ一つは短すぎて。
表現力に乏しい私には、何が面白いのか説明できないのだけど...何か面白い。若い頃には理解どころか、感じる事もできなかっただろうけど。
描写が綺麗なのかな?言葉のセレクトが好みかな。
登場人物の多様さは魅力。全くドンピシャと共感するわけでも無いし、憧れるほど素敵なわけでもないんだけど。だからこそのリアルかなあ。
しかし、こういう本って男の人でも面白く読めるんだろうか?
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一篇が数ページという掌編が全部で26作品集められています。
写真は、そこに存在するものを、フレームという枠と、瞬間と言う時間で切り取るもの。誰でもが見られるものを、どう「切り取る」かが撮影者の技(芸)術なのでしょう。
この本もそんな感じがします。いかにもありそうな場面、人生と言う尺度で見れば一瞬に過ぎない時間を狭い視野で切り取って見せるような掌編です。
川上さんの体験では無いことは明確ですが、何故か私小説の匂いがあります。ただ、何故この瞬間が切り取られたのか、私にはどこかしっくり来ないところが多かったようです。
嵌れるか嵌れないか、結構好みの分かれる作品のように思います。個人的には川上さんにはもっと「うそ話」を書いて頂きたいなと思います。