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川上弘美さんの恋愛と結婚を描いた長編小説。一気読み必至の傑作です。
主人公は1966年ひのえうまの同じ日に生まれた留津とルツ。このパラレルワールドに生きるふたりの女性は、いたかもしれないもうひとりの「自分」。それは読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれませんし、留津とルツの恋人や夫も読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれません。
主人公の2人のように「いつかは通る道」を見失った世代の女性たちのゆくてには無数の岐路があり、選択がなされます。選ぶ。判断する。突き進む。後悔する。また選ぶ。進学、就職、仕事か結婚か、子供を生むか……そのとき、選んだ道のすぐそばを歩いているのは、誰なのか。少女から50歳を迎えるまでの恋愛と結婚が、留津とルツの人生にもたらしたものとは、はたして――
道は何本にも分かれて、つながっていて、いつの間にか迷って、帰れなくなって……だからこそ「人生という森は深く、愉悦に満ちている」。
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Posted by ブクログ
川上弘美はやっぱり天才ですね。
こんなに分厚い小説をどんどん読ませる才能!
川上弘美独特の美しい文章と、「そういう気持ち感じたことある!」と思うものの、うまく言語化できないものを的確に表現する巧みさ。
いつも思いますが、漢字とひらがなの使いわけが絶妙ですよね。あえて「はんぶん」と表記してみたり。
この本では、主に(というのも、最後の方に行くにつれてさらに主人公のパターンが増えるので)ルツと留津という二人が出てきます。
主人公が行う選択。
たとえば女子校か、共学か。
理系に進むか、文系に進むか。
結婚した人生としなかった人生。
結婚したあとの人生の選択について。
どちらの人生にも違ったかたちで同じ人物が現れたりするので、国語の授業のように簡単なメモを取りながら読み進めて行きました。
同じ人でも他の道すじを辿ると、嫌なやつになってたりするんですよね。
ぜひ読んでいただきたい。傑作です。
Posted by ブクログ
とても良かった。パラレルワールドと言ってしまえばそうなんだけど、人生って本当のところこんな風なのかも知れないと、読み終わって本を閉じ、しみじみ思ってしまった。
川上弘美って、たぶんもう大御所なのだろうけど、よくこんなこと思いつくなあ。
主人公は表裏みたいな「留津」と「ルツ」。わたしは、さばさばした性格のルツの方により共感できた。誰もが様々な選択をして、何かを得たり何かをあきらめたりしながら、ままならない、と思いながら生きている。
でも物語の終盤近くなって、選ばなかった人生を生きてきた「流津」や「るつ」が少しだけ登場するが、不思議と彼女たちは一様に満たされた表情をしている。どんな選択をしても自分なりに誠実に生きていれば、それなりの充足が得られるということか。
タイトルの「森へ行きましょう」。森って何のことかと思っていた。森の中の道を右へ行くか左へ行くかさんざん迷うけど、自分が自分でいる限り結局は同じ森の中を進んでいる。見えてないだけで。正解も不正解もない、ただ信じて進み続ければよいのだと思った。
Posted by ブクログ
「ルツ」という女性が様々な平行世界で、どんな選択をしてどういう生き方をしているかを、それぞれ描いているという物語。
誰しもが「あの時こうしていたら」と、生きていく中で思ったことがあると思うけど、それが物語の中で行われていて、すごく満足感のある話だった。
最終的にはそれぞれが、幸せというものを発見して噛み締めていた。
中には、「それで本当に幸せって言えるの?」と思えるような結末もあったけど、それぞれ自分が選択した人生だから、っていうのが答えなのかな?
小説を書いた世界線の話、身近な人間を参考に物語を広げて書いているっていうのが面白そうすぎて私も書いてみたいな、と少し思った笑
でもそう簡単に上手くは行かないんだろうな!?
私が今この小説を読んで、物語を書いたとしたらどんな自分になってるのかな?こう想像してみると面白いなあ
Posted by ブクログ
パラレルワールドに存在する、留津とルツ。同じ日に同じ親から生まれたのに、歩む人生は全くちがう。さらに、分岐点で異なる道を進んだたくさんのるつ、琉都、瑠通、流津、る津…。選んだ道によってたくさんの『るつ』がいて、それぞれの人生を歩んでいる。
こんなふうに、自分の人生も選択肢ごとに見れたら、楽しいかもなぁって思ったり。
でも、結局のところ、分岐点がいっぱいあったとしても、選べる道は一本しかなく、選ばなかった道を選んだらどうなるかなんか、わからない。
いったい、どの『るつ』が一番幸せだったのかって考えると、どの『るつ』もある程度幸せである程度不幸せ。ベストな選択肢なんてものはなくて、どの人生もベターってことなのかな。
私も、森で迷いながら、生きてくんでしょう…。
Posted by ブクログ
人生、パラレルワールド、選び取らなかった未来、これまで歩んできた道、それらを「森へ行きましょう」で昇華させる川上氏。うつくしいです。
ルツか留津かはじめは見分けがつかないけれど、時が進むにつれてルツか留津か、はっきりと区別がつくようになる。はじめはちょっとずつのズレだったのに。昔のことの記憶が曖昧になっていく感じも、まるでルツたちと同じ時間を過ごすようだった。
追記
時間が経ってじんわりと俊郎のことばを思い出すことがふえた。すべてを知らなくて良い、一緒にいたいと思ってくれている、結婚してくれている、嫌いではないでしょう、それで良いよ、そうだよね。
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