川上弘美のレビュー一覧

  • センセイの鞄 1巻

    Posted by ブクログ

    食べ物にまつわるシーンが美味しそうに書かれているのはやっぱりこの作者ならではかな。独特な擬音語にクセを感じる。
    小説を完全になぞった感じだが、絵にされると初老のセンセイの絵面が正直ちょっときつかった。けれども物語に魅力があるせいか、そんな歳の差を感じないほどやはりきゅんきゅんしてしまった。

    0
    2016年01月17日
  • 七夜物語(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレを極力避け、
    雰囲気と文傾向、シナリオ構成についての感想をば。

    絵本であれば「おしいれのぼうけん」
    児童文学であるならば「ナルニア国物語」を感じさせるストーリー展開。
    また、川上さんの作品がそれまでそうだったように、
    登場人物の性格を示す文章は、
    まるで日記を読んでいるかのように想像しやすく、
    読んでいてとても楽しい。

    長編ではあるのだが、
    章によってそれぞれ物語が紐解かれていくので
    少しずつ読み進める方にやさしい構成になっている。

    これから読書を習慣づけたい方にとっては
    入門編としても非常に優秀。

    0
    2015年12月18日
  • おめでとう(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    15/12/16
    ぽっかり明るく、深々しみる、まさにそれ。『夜の子供』がたまらなくすき。ちなみに子供はでてきませんよ。イチゴミルク~~


    P60-61 『春の虫』
    「もらったからあげたのかな、あたし」
    「もらった?」
    「うん、もらった、いろんなもの」
    「どんなもの」
    「目に見えないいろんなもの、目に見えないけどなんだかほかほかするもの」
    「もらったのかあ」
    「うん、たしかにくれたような気がする」
    (中略)
    「ショウコさんがあげたのは、何?」
    「お金と時間」
    「なるほど」
    「つまらないものよね、あたしのほうは」

    0
    2015年12月16日
  • 七夜物語(下)

    Posted by ブクログ

    児童文学、に位置付けられるのだと思うけれど、十分に楽しめた。
    一番良かったのは解説で、上中下三冊を読んでいるうちにふわりふわりと感じていたことと、これまでの読書体験の中で、あるいは自分の物語の読み方として、一部言葉にしていたこととが、より高い位置から見渡した視点で紡がれていた。10ページにも満たないこの解説が付いているだけで、印象が、多分星一つ分くらい増している。
    本編は、特別何かが起こるわけでもなくて、特別難しい課題に迫られているわけでもなくて、どちらかと言えばのんびりと、物語が語られていて、自分の読み方で本編だけを読んでいたら、可もなく不可もなく、という印象で終わっていたと思う。
    すべてを

    0
    2015年12月13日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    アンティークでも骨董でもなくどこかテキトーな古道具を扱う中野商店。
    そこに集まるのは人たちもダメっぽかったり、不器用だったり、
    大人になりきれない人たちばかり。
    中野商店に漂うゆるい空気は
    そんな一癖も二癖もあるモノや人をすっぽり包み込みこんでくれます。
    ちょっと寂しく切ないけれど
    「ちゃんとしてなくていい」というある種の居心地よさに
    どっぷり浸れる一冊です。

    0
    2015年12月04日
  • 神様 2011

    Posted by ブクログ

    神様2011

    この本は、著者のデビュー作である「神様」を、福島原発事故を体験してしまった「神様2011」として書き換えた小説です。
    先に当時の「神様」も収録されていて、そのあとに「神様2011」が続く構成です。

    そもそもこの「神様」に出てくるクマは普通のクマだけど、だからこそ、大地の象徴というか、自然の代表というか、神の中でも八百万の神のようなイメージでいました。
    その神とわたしの平凡な日常が、「あの日」を境に物々しいものに変わってしまうのです・・・防護服を着、被ばく線量を気にする日常です。

    人間が手に負えない、手を出してはいけない領域に手を出し、結果としてのどかな日常は永久に戻ってこな

    0
    2015年12月04日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    古道具屋さんという、外から見るとわかるようなわからないようなあいまいで不思議な空間。
    死傷事件、別れ話、怨念の丼に、淫靡な会話等々出てきても、愛憎ドロドロ方向には向かわない。それどころか肩の力の抜けた空気がポワンと回っているよう。
    散らばったちょっとしたおかしみもまた楽し。

    なんというか、みんなかわいい人たちだなぁ。
    つっかえながらも、それぞれ自分らしく歩いてゆく。
    数年後彼らがどうなっているのか、ちょっとのぞいてみたい気がした。

    0
    2020年05月23日
  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    現代では、古典に近いような言葉が溢れて、その世界観がいい。
    普段は胸の奥にしまってあるけれど、時折噴き出してくる何か、それは善悪ではカバーしきれない何か根源的なもの。それ補思い出させてくれる。
    ちょっと怖いけどね。

    0
    2015年11月03日
  • なんとなくな日々(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    川上さんのエッセイ第2弾(?)。
    相変わらずほわんとしたタッチで書かれているので
    読んでいてほっこりしてしまいます。
    また読みたい一冊ですね。

    0
    2015年10月29日
  • ゆっくりさよならをとなえる(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    昔新品で購入しました。
    川上さんのやわらかい文体がとても好きです。
    エッセイでより如実に表れます。
    ゆっくりとお酒が飲みたくなります(飲めないけど)。

    0
    2015年10月29日
  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    淡々と現実を語るようで現実離れしていて、この足は地についているのか本当に不思議な気持ちになる。川上さんの物語には、優しいようなすこし怖いような形容できない複雑な気持ちが詰まっていて、わたしはそれを一生うまく言い表せないんだけどずっと読んでいたいなあ。terraが好きです。無理に悲しまずに淡々と過ぎて、切なさが残る。それを噛みしめて本を閉じ眠りたい。

    0
    2015年10月26日
  • 神様 2011

    Posted by ブクログ

    古本屋で見つけて、図らずも初の川上弘美。
    短編『神様』は1993年発表。そして2011年3月末に、『神様2011』を発表されたそうです。
    その2作とあとがきを収めたこの本には、連作としての意図がはっきりあるわけですが、単体の『神様』も良かった。くまの律儀さとか、寂しさとか。(なんて言っちゃうと陳腐ですが)
    そんな『神様』が、「2011」が付いてセットで読まれることによって全然違った意味を放ってしまうという、周到な本。もともとの『神様』読者だったらどう思うだろう、いやそれより、そもそもこれを書こうと思い付いた作者の「静かな怒り(あとがきより)」を思うと。

    0
    2015年10月19日
  • 龍宮

    Posted by ブクログ

    『神様』のあの感じ。

    川上弘美の、好きだなあと感じた成分がぎゅっと詰まっておりたいへん楽しく読めました。

    曾祖母のオトさま、が好き。

    0
    2015年08月26日
  • 椰子・椰子(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    な、なんじゃこりゃぁ…
    アパートの管理人がハトだったり、出かける前に子どもを折りたたんで押し入れにしまったり、ニホンカモシカと目を合わせてはいけないルールが渋谷にあったり…
    主人公の「わたし」は冬眠とかしてるし…
    なんじゃこりゃぁ…
    明らかに現実的ではないのに、なぜか「普通の日記」に思えてしまう、妙な説得力…いや、納得力?
    こんな日常があったら面白いのに。

    0
    2015年07月14日
  • 七夜物語(下)

    Posted by ブクログ

    朝日新聞に連載されていた作品の文庫版。酒井駒子の挿絵が印象的。
    童話のような語り口で話が進む。内容も、少年と少女の冒険ファンタジーといったところで、これまでの著者の作風とは少し異なる。常に、大事なことを優しい言葉で伝えてくれる作家だが、それが遺憾なく発揮されている。
    (2015.7)

    0
    2015年07月13日
  • ハヅキさんのこと

    Posted by ブクログ

    なんだろうな、この、川上先生の書く恋愛小説の、べたべたしてない感じ。
    ドライというのともちょっと違うし、さっぱりというほど爽やかでもない。
    やっぱり、なんというか、夏の午後にぬるんだプールで、背泳ぎするでもなく、空見上げてぷかぷかしているみたいな、そんなゆらゆら感。
    すごく心地いいんだよなぁ…

    0
    2015年07月13日
  • おめでとう(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    一筋縄ではいかぬ恋や愛がごろごろしているのに、なぜかえぐみもいやみもない。
    息をするのと同じように、当たり前のことのように思えてくる。
    そして、そんな当たり前の人生と同じように、笑ってしまったり、どうしてか泣きたくなってしまうような寂しさに襲われたりする。
    なんで、こんなに、この人の作品って切ないんだろう。

    0
    2015年06月30日
  • 七夜物語(上)

    Posted by ブクログ

    児童書の括りで良いのでしょうか。
    表紙がとっても素敵。
    見るだけで、私自身も本の中に入り込んだ様な気持ちになります。

    小学四年生の男の子と女の子。
    絵本の物語の世界への冒険。
    あーこれは小学生の時に出会いたかった本だなぁ。
    大人になった今でもこれだけワクワクして読めるのだから、当時の私なら更に楽しめただろうな。

    二人の男の子と女の子はそれぞれ片親なのです。
    子供といえど、自分の置かれている境遇とちゃんと向き合っており
    それが何とも切なくなります。
    頑張れ二人とも。
    中巻へ続きます。

    0
    2015年06月30日
  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

    Posted by ブクログ

    タイトルが、いい。
    「卵一個ぶんのお祝い」タイトル通りのほわほわした内容。
    現実なのか妄想なのか夢なのか。日常の中の非日常がやわらかく染みてくる一冊。

    0
    2015年06月04日
  • ハヅキさんのこと

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    短編集は良く読むがこれほど短い話が集まった本も珍しい。それくらい1編1編が短い。1つ辺りの話の長さがページで4枚以下のものばかりだった。それでもしっかりとインパクトのある話が描けている事に驚いた

    0
    2015年05月27日