川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
スナックという場所は、お酒が飲める種々雑多なお店の中でもとりわけ“家(ホーム)”の感がつよいイメージがある。私自身は下戸なので一度も訪ねたことはないのだけれど、ドラマやバラエティで観る、そこで交わされるコミュニケーションは、家族と友達と元恋人のちょうど中間地点のような距離感で、いつも何だかとても心地よいものに映る。この世ならざる者がふらりと訪れ、生きている者の隣でグラスに満たされたビールやハイボールをなめるひと夜の、お客同士の営みの中で、読み手もまた一人のお客としてそこに居るかのような空気が漂ってくるのは、スナックという空間だからこそ立ち上がる、温かでささやかな奇跡ではないだろうか。
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Posted by ブクログ
ネタバレ森へ行きましょう
微妙に違う世界で生まれ・成長していく女性ルツと留津の物語。
いわゆるパラレルワールドものですが、二人(?)の世界が読者以外には決して交わることが無いので、それを期待していた竹蔵としては、ちょっと肩透かしな感じでした。
出てくる人たちが同じということもあり、「あれ?今どっちの章だっけ?」というのも読みづらかったです。
女性の生まれてから50歳代くらいまでを描いているので、女性だったら共感する部分もあるのかな?と思ったりしましたが、竹蔵としては「ふーん、こういう風に思うの」という程度。
500ページ超えの大作だっただけに、もうひとひねりふたひねりが欲しかったかな。
竹蔵 -
Posted by ブクログ
3編の作品が収められた短篇集。
どの作品も、見た夢を鮮明に覚えていて、それを書き起こしたかのような不思議な世界が広がっている。『神様』よりも、さらに現実と非現実の境目が曖昧な印象だ。
ご本人は、頭のなかで想像した「うそばなし」だと書いているが、そもそもこれほど奇妙な世界を想像できること自体がすごい。荒唐無稽なのに、読んでいるうちに妙に納得させられてしまう。
3編のなかでは、表題作「蛇を踏む」が一番印象に残った。主人公の母になろうとする蛇は、愛情を装いながら生活に入り込み、相手を支配しようとしてくる。その姿は、過干渉な親や、子どもを自分の一部のように扱う「毒親」を思わせる。
蛇は、愛情と支配が分かちがたく結びついた母性の象徴なのだろうか。意味を一つに決めきれない不気味さも含めて、強く印象に残る作品だった。