川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
短編小説のようでいて、だんだんエッセイに近くなる、最後までとりとめのない印象だったが、独特の心地よい空気のようなものを感じながら読んだ。
小説家の朝見と、アン、カズ、銀坂など、近しい人たちとの日常が流れていく。特にカズとの恋愛のような友情のような、付かず離れずの距離感が心地よい。60代、まだ元気だし、無理しない範囲で仕事もするし、なんとか一人で生活できるうちは、これはある意味理想なのかもしれない。
川上弘美さん、最近の作品はとにかく自由だなあ。もう文壇の大御所というか、野心みたいなものはとっくになくて、気の向くままにのびのび書いてるのかなあ、と感じた。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ喪失と、「距離」の物語。「距離」とは、他人との距離でもあり、自分との距離でもあり。
百の成長と、それに伴ってなくなってくるもの。時間が経つに従って、変わってくる他人との関係(百でも、母でも、青茲でも、礼すらそうだ)、それに伴う何かの喪失。喪失がいいことなのか悪いことなのかは分からない。決めるのはその人間との距離と関係のような気もする。自分の中での喪失もまた然り、であろうか。
水のようにひたひたと様々な「距離」にふれ、最後は光が差してくる。光が差すのをハッピーエンドと判断するのは楽観的すぎると思うが、自分と他人と向き合い続けたこの物語の末には少しでも希望があって欲しいとは思った。