川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ジェンダーという概念の行きつく形を、何者でもない物で型取りをしてみた話なのかなと。概念(ガイネン)::物事や現象に共通する性質や特徴を抽象的に捉え、ひとつのまとまった考えやイメージとして理解するための枠組み。これがまさにこの本の説明のようである。人間ではなく人間のようなもので男でも女でもない。その都度性別が変わったからこそ見える世界が違う。世界は何も変わってないのに自分の性別が変わったら全てが変わるように思えて戸惑う事もある。それが日本で見る時だけに限らず世界で見た時の事も描かれているからこそ主人公の某が変わるのと同時進行で世界も実は少しづつ変わっていく様子がどことなく感じ取れる。
そして -
Posted by ブクログ
【2025年127冊目】
亡き妻の愛人と共に住む男、碌でもない父親を名前で呼ぶ息子、どこか距離のある母娘、運のない男、互いにマイペースな嫁姑、添い遂げられない男女、訳ありの恋愛を見つめる友人、占い師になった男、雨を切り取る女、二人の女に挟まれる男、死んだ女の回想。人に歴史と事情あり――とある町に住む人々の関係性と人生を描いた連作短編集。
物語は一人称で進み、登場人物たちは自らもしくは他人の数奇な人生について語ります。人の数だけ人生があって、当人にとっては平凡で平均でも、他人から見ると普通ではないと言えることばかりなような気がします。
振り返るように語られる物語は、不思議と溶け込むように頭 -
Posted by ブクログ
短編小説のようでいて、だんだんエッセイに近くなる、最後までとりとめのない印象だったが、独特の心地よい空気のようなものを感じながら読んだ。
小説家の朝見と、アン、カズ、銀坂など、近しい人たちとの日常が流れていく。特にカズとの恋愛のような友情のような、付かず離れずの距離感が心地よい。60代、まだ元気だし、無理しない範囲で仕事もするし、なんとか一人で生活できるうちは、これはある意味理想なのかもしれない。
川上弘美さん、最近の作品はとにかく自由だなあ。もう文壇の大御所というか、野心みたいなものはとっくになくて、気の向くままにのびのび書いてるのかなあ、と感じた。 -