川上弘美のレビュー一覧
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留津とルツ。パラレルワールドの話。途中、どっちの話なのか混乱することもあったけど、引き込まれた。(多少読み進めにくいところもありつつ)
留津/ルツをとりまく登場人物は大きくは変わらいけれど、関係性が少し違っていたので面白かった。
パラレルワールドについて想像したことなかったので、「ああーこの世界のルツはこういう人生なのか」と、「もう1人の自分を覗いてみている」という、なんとも不思議な気分になった。
別の世界線の自分を妄想してみるのも、たまには愉快かもしれない。
ただ、その時は「こうだったら…こうしていたら…よかったのに…」と、ないものねだりをすることになりそうだが。 -
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ご存知の通り、『100万回生きたねこ』(1977)は、佐野洋子さんの絵本です。最後に主人公の猫が死ぬのに、心からよかったーと思える、不思議でとっても深いお話でした。少し哲学的で、大人の方が響くかもしれませんね。本書は、この名著に捧げる13名の錚々たる作家諸氏のアンソロジーです。
最近読んだ町田康さん、谷川俊太郎さんも書かれていて…、あ、谷川さんは佐野洋子さんと(短期間)ご結婚されていたんですね。また書き下ろしの広瀬弦さんは佐野洋子さんの息子さん!
なんと不思議な巡り合わせです。当然ながら、全編とも名作絵本への愛と敬意が根底にあり、様々な視点で読ませてくれました。
各話の冒頭には、作 -
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贅沢な列車に、贅沢な名前の並ぶ小説
それぞれの物語がとてもあたたかい気持ちになる
そこに乗車するそれぞれが
何らかの思いを一緒に乗せて旅に出る
誰かを大切に思って
大切な人を誘って
願い叶わなかった列車の旅になっても
「その人を思い出すこと」が供養にもなる
1話目の
さよなら、波瑠/井上荒野
一見、芯もあって強くて…こういう人の気持ちが
苦しくて苦しくてね
思わず感情移入、涙が出た
糸井重里さんの
「帰るところがあるから、旅人になれる」
当たり前なんだけど
そんなふうに考えたことなかったからね
さすがだな、
糸井さんの言葉だな、って思った
静かな気持ちで読めるキレイな本でした -
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ネタバレこれってもしかしてエッセイ?と何度も思った。主人公・朝見のイメージがあまりにも川上さんぽいので。
小説家の朝見、"飛んだ"ことが3回もあるアン、作詞家のカズ。幼馴染みが四十年ぶりに再会。
3人とも六十代とは思えない程若い。3人で呑みに行っても噛み合わないようで、でも3人とも大人だからかとてもフラットにラフに付き合える。彼らの距離感がとても良かった。
それに3人とも離婚を経験しているせいか、恋愛に対してどこか冷めている感じが良かった。それは年齢のせいだけではないと思う。
私も六十代になった時、こんな感じで幼馴染みと再会してラフな距離感で付き合える友達がほしいと思った。
「カ -
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空気自体は澄んでいるくせに周りには水滴の靄がかかっていてなかなか遠くまで見渡せない。真っ直ぐ進んでいるつもりなのになぜか遠回りになってしまう。何だろう、そんな感覚。
川上さんの無二の感性と願いがこめられた素敵な作品でした。
ただ、夜の校舎での顛末だけがどうしても違和感があって共感できなかったのだけが残念だった。ここのエピソードは他の作品(「七夜物語」?)とリンクしているのかな?それを知っていればまた受け止め方も変わったのかな?
読み終わってみれば、とても壮大な物語。りらと絵のようなつながりにとても憧れる。タイトルがとても素敵。「川上弘美」っていう字面までがなんだか素敵に見えてしまうのが不思議