川上弘美のレビュー一覧

  • 物語が、始まる

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    ぼんやりするなかにドキッとする刃がひらりと出てきては何事もなかったようにおさまって・・・気がつくと話が終わっているという何ともいえない読後感です。不思議だな〜

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    2009年10月04日
  • 蛇を踏む

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     描かれる世界の流れにひたすら身を任せて面白がることが、この本を楽しむ方法としてベストであるような気がする。突飛な展開に出くわすたびに驚いて考え込んでいては物語の中で遊べない。理不尽でも意味が分からなくてもそういうものだと、丸ごと受け容れよう。
     明らかに変なことが起きているのに、当たり前のように平然と変だからつかみどころがない。秩序を超えた自由がある。

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    2022年11月20日
  • 物語が、始まる

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    2008.7/20
     すごく不思議な話。「夢」みたいだと思った。なんか変だけど、ここではそうなんだと理解している感じが夢っぽい。

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    2009年10月04日
  • 此処 彼処

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    1月から12月まで思い出の場所について書かれている日経新聞に掲載されていたエッセイ。淡々としていてゆるやかで妙に納得したりもして、気持ちよく読めた。2008/5

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    2009年10月04日
  • 物語が、始まる

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    短編が4つ入っています。

     最初は「物語が、始まる」で、男の雛形(人形ではないらしい)を手に入れて女性と、その人間のようになっていく雛形の、奇妙な恋愛物語。
     2つめは「トカゲ」で、幸福のトカゲを飼う事になったマンションの奥さんたちの話から、最後は一種狂気じみたオカルトのような世界になります。
     3つめは「婆」。何となく立ち寄ることになってしまった、婆の家。不思議な穴が奇妙な世界観を醸し出しています。
     最後は、「墓を探す」。あまり親密でない姉妹が、先祖の墓を探すことになります。ご先祖様がとりついているような姉と、不思議な世界を経験しながら墓を探す。物語は、墓にたどり着く前で終わっていますが

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    2009年10月04日
  • 東京日記2 ほかに踊りを知らない。

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    ネタバレ

    他人の日常って不思議。
    同じ文化圏で同じ言語を話して暮らしているのに自分とは全く異なる気持ちになる。

    人に読まれることを前提としていないような、メモのように個人的な日記ほど面白くて好き。その点この本は満点!

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    2017年05月16日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

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    系列で言えば「センセイと鞄」。川上さん得意のウソばなしではない現実的な物語です。
    現実的では有るけれど、どこかフワフワして、そのあたりは川上さんらしい。「センセイと鞄」もそんな雰囲気でした。
    ただね、もっとフワフワしても良いのじゃないかと。表面はフワフワなのだけど、少し中を探ると硬いコアがありそう。川上さんにはもっともっと捉えどころの無い話を書いて欲しいなぁと思ってしまうのです。そんな我儘な不満を持ちながら読んでました。でも最終章が気持ちよかったので、マルにしておきます。

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    2016年08月07日
  • 物語が、始まる

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    素晴らしい物語を読むと「ごめんなさい」と思ってしまう。
    「素晴らしい物語を提供してくれてありがとう」ではなく、
    「こんな私がこの物語を読んでごめんなさい」と。
    性格が捩れているのは今に始まったことじゃないけど、
    素晴らしいものをきちんと賞賛できない性格は少し難儀です。

    そんなふうに、久しぶりに「ごめんなさい」と思った作品でした。

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    2009年10月04日
  • 東京日記2 ほかに踊りを知らない。

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     カワカミさんの東京日記第2弾 相変わらずのです。 ほわほわでは無い、ふらふらでもふわふわでもへろへろでもない、なんだか不思議な日記です。

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    2009年10月07日
  • 此処 彼処

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    一月から十二月まで、それぞれ三、四のエッセイが書かれています。川上さんらしくゆたりとした文章が、上手い!時間がたつのがゆっくりと感じられます。この時間にひたっていたいけど、それじゃあ今の生活に支障をきたすかなあ〜と思われます・・・九月の最後に『堅田』というエッセイがあって、冬に湖を見るのなら諏訪湖がよいということをちょろっと書いてあって、感動しました。まさにそのとおりです。凍った諏訪湖はとても美しいと思います。

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    2010年04月29日
  • 東京日記2 ほかに踊りを知らない。

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    川上さんの日記を集めたもの第二弾。十一月二十日に出たばかりの本で、この本を書店で見つけなかったら、第一弾も知らなかったでしょう。一巻よりも、文章がほんの少し長くなっています。普通の日常が文章にしてみると、すこしぶれているようなそんな感覚が返って心地よい気分にさせてくれます。

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    2010年04月29日
  • いとしい

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     同じ作家を何冊か読んでいると、自然と作者が心地いいのだろう文字のリズムが浮かび上がってくる事がある。
     ところが川上弘美は大抵私の想像を覆していく。感覚の準備運動が出来ない。
     50メートル走のつもりで走り出したらマラソンだった、くらいの衝撃がある。
     あ、そっち行っちゃうの?みたいな。「行く」じゃなくて「行っちゃう」。
     『西日は私の閉じたまぶたからつるつると私の中にまで入りこみ』
     ひとつの表現が磨かれた鋼みたいにギラギラしてて、文章がこっちに食いついてくるみたいなお話。

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    2012年11月25日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

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     恋多きニシノユキヒコ、しかし愛した女性とは必ず別れてしまうニシノユキヒコ。彼の恋愛遍歴……いやいや、恋と人生を巡る冒険、を描く10の短編。
     すごく優しいんだけど悲しくて、不可解で切なくて、恋愛というものに対して疑問ばかり抱いてしまうような内容だったけれど。ひとを愛するってこういう(不可解で曖昧な)ものなのかも、と思いました。文庫版に付いている藤野千夜さんの解説は素晴らしいです。

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    2022年03月06日
  • 此処 彼処

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    一年間、毎週新聞に掲載されたエッセィ。
    地名を具体的に出すという趣旨で綴られており、タイトルも最初と最後が「此処」と「彼処」以外は全て地名。

    いつもながらの川上節で、読んでいて楽しい。
    あとがきで具体的な名前を出すと、自分をはっきり書いたような気がするが、全然そんなことはない、と書いてあるのも興味ぶかい。

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    2009年10月04日
  • 物語が、始まる

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    相変わらずの”うそばなし”です。
    川上さんの作品を読むたびに「これは何だ?」とか「何故読むのか?」という疑問が浮かび上がってしまうのです。身に付いて役に立つわけでも無し(まあ、大抵の小説はそうですけど)、生きる勇気を与えてくれる訳でもなく。
    で、考えた末に出した結論が「旅みたいなもんだ」と。
    日常から離れて、川上さんの作る不思議な世界を旅する。遊ぶ。それが楽しければ良いじゃないかと。多くの旅なんてそんなものだし、何故旅するかなんて考えることなく、普通に行ってるし。
    ただ、この世界は、論理も通じない不可思議な世界なのに、なぜか異様な実存感がある。それが川上さんの凄い所だと思います。

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    2016年08月16日
  • 龍宮

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    「夢十夜」「冥途」みたいなカンジ。薄暗く、ジメジメしてるんだけど、好奇心が勝って思わずドキドキのぞいてしまう。すべてオチがありません。後味すっきりしないな。とても女性的な小説です。
    なんか首のあたりがムズムズします。こういう作家さんてあまり読んだことがないから感想もいいにくいなあ。最初の話「北斎」は海から上がって何百年もたってしまい、戻り方を忘れたかなしい男の話。最後の「海馬」も何百年も海から上がって久しい女の話。陸にあがった理由は二人ともセックスです。
    なんか対象的なのでとても印象に残っています。女のほうは海に帰れるんだけどね。でもこの小説の主人公たちはみんな空虚で何考えてるのかわかりません

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    2014年02月19日
  • 物語が、始まる

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    現実と非現実の境界線があまりにも曖昧で、どっちが本当の世界かわからなくなる。読み手を異世界へ誘うのが非常に巧い作家。ひとつひとつの言葉や単語にとてもそそられる。表題作に出てくる雛形こそ、天性の小悪魔だと思う。雄だけど。そうして彼に出会った人たちの物語は、延々と始まりをむかえるのだ。

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    2009年10月07日
  • 此処 彼処

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    川上さんのゆるい文章のリズムの隙間に「ほんわか」の素がつまっています。特筆すべきことのない暮らしでも彼女にかかれば味わい深し。

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    2009年10月07日
  • 此処 彼処

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    川上さんは可愛いなぁと再確認する一冊。
    普段あまりエッセイは読まないのでありますが、小説でストーリーを追ったり凝った美しい文章を追ったりするのが疲れてくると、ゆるゆると読めるものを欲するようになります。
    「此処彼処」は場所に関するエッセイで、あの町この町にまつわる川上さんの思い出話をたくさん聞かせていただいた気分になれる本でした。
    あっという間に読める。

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    2009年10月04日
  • 物語が、始まる

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    表題作は今ひとつながらも、「墓に入る」がとても秀逸です。ああ、文学! と思いました。思想があるなぁと。
     女の人には珍しい感じの文学だと思います。前述の三人の文学はとてもやわらかくて身近な物語だけれど、川上弘美が「墓に入る」で書いていたのは世界の構造みたいなもので、それがとても意外でした。女の人でそういう文学を書く人はとても少ない気がします。

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    2009年10月04日