川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
未来、人類は絶滅衰退から逃れるために新たな遺伝子を持ち、進化と循環を繰り返す道を選んだ。作られた新しい人類の世界、新しい人類の暮らしの物語。
一般的なSFとは違う読み心地で、とにかく静かなお話。
進化のスピードはとんでもなく速いのに、人間たちは怒鳴りもせず取り乱しもせず、どこか淡々としていておだやかで。そのギャップが薄ら怖い。
作中の人間の生活ぶり、進化や衰退の過程はテクノロジーや環境のもう引き返せない変化が静かに進んでいる現実と、そのことに気付いているのに気付かないふりをして日常生活を送っている私達の姿が重なって見えて、今を生きる私達に差し迫った危機への警鐘のようにも感じた。
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Posted by ブクログ
途中めげそうになったものの、終盤で怒涛の展開具合に気づいたらのめり込んでしまっていたのが個人的ハイライト
内容はSF調かなと思います。
終始、世界観は普段過ごしている日常から若干軸がズレており、それが不思議ではあるものの、軸がズレているなりに人の営みに溶け込もうとする者達。
作品を読んでいると、もはや上記の『者達』と表現するのも相応しいのだろうか?とも思ってしまいます。一単語として形容すべき存在なのかな主人公なるものはと思います。
読んでいないと、このレビューもなんじゃこりゃといった感じですが、恐らく読むとなんとなく共有できると信じたいです。
常に頭に『?』を浮かべながら読んでいくのが、主人公達が人の営みに疑問を持ちながらも日々を過ごしていく様と、なんか似てるかもしれません。
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Posted by ブクログ
ネタバレモテ男ニシノユキヒコの女性遍歴を、女性たちの側から語る本作。
男の側からすると、くっそぅー、あんなに沢山いい思いをしやがって、と一瞬思う。ただ、読中からその思いは消え、おかしみ、あるいは哀しみの情へと変化してゆく。
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この主人公ニシノ氏は人を愛せない。
いや、もちろん、愛していると口にはする。でもそう感じられない。優しいし、偉そうでなく、夜の営みもお上手、ガツガツしていない。
ウォーターベッドやビーズクッションのように優しく気持ちよく包んでくるけど、どこか相手に対しての真摯さが感じられない。
それを本人も、そして相手の女性側も理解してゆき、最後に別れを切り出される。
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終盤でニシノ氏が心中をほのめかすのも、分からないでもない。
だってほら、人を求めず求められもせずっていうのは、寂しいし。自分が本気でないことを自分も気づいちゃうんだろうな。
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全くモテなかったけど、求める相手がいて、求められてもいてっていう奇跡が起こってよかったかなと思いました。
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ということで川上弘美氏の作品は初めて読みました。
作中はひらがなも多く、フォントもたおやかな感じ。そこはかとなくユーモアが漂い、ほのぼのとしています。とてもやさしく柔らかい、それでいて輪郭のある文章だったと思います。
こういう書き味、好みかもしれません。
今後も川上氏の作品、渉猟してゆきたく思います。 -
Posted by ブクログ
ジェンダーという概念の行きつく形を、何者でもない物で型取りをしてみた話なのかなと。概念(ガイネン)::物事や現象に共通する性質や特徴を抽象的に捉え、ひとつのまとまった考えやイメージとして理解するための枠組み。これがまさにこの本の説明のようである。人間ではなく人間のようなもので男でも女でもない。その都度性別が変わったからこそ見える世界が違う。世界は何も変わってないのに自分の性別が変わったら全てが変わるように思えて戸惑う事もある。それが日本で見る時だけに限らず世界で見た時の事も描かれているからこそ主人公の某が変わるのと同時進行で世界も実は少しづつ変わっていく様子がどことなく感じ取れる。
そしてこの某は成長はしない。そればかりか物質としてでもないけど生きているという形にもなる。これも新たな性別の無い個体達が産み出したものが、成長していく変化も、この世のジェンダーという概念の変化の進みとリンクしている気がする。
壮大な感想みたいになってしまったが、確かな実感はなく、気がしている。に留まった感想なのだけど
それこそ読み手の感想に託されたのうは不思議でSFのようでいて哲学的だと思わされる作品。
その中でも変わらなかったのは病院の看護師で、歳をとってもずっとこの某を気に掛け続けたのは
ジェンダーとかを横に置いても何か母のような存在。
どんなにジェンダーという意識の変化はあっても女性の体内から生まれるのは不変である事のように思う。 -
Posted by ブクログ
【2025年127冊目】
亡き妻の愛人と共に住む男、碌でもない父親を名前で呼ぶ息子、どこか距離のある母娘、運のない男、互いにマイペースな嫁姑、添い遂げられない男女、訳ありの恋愛を見つめる友人、占い師になった男、雨を切り取る女、二人の女に挟まれる男、死んだ女の回想。人に歴史と事情あり――とある町に住む人々の関係性と人生を描いた連作短編集。
物語は一人称で進み、登場人物たちは自らもしくは他人の数奇な人生について語ります。人の数だけ人生があって、当人にとっては平凡で平均でも、他人から見ると普通ではないと言えることばかりなような気がします。
振り返るように語られる物語は、不思議と溶け込むように頭に入ってきますし、連作短編集なので区切りもつけて読みやすいです。ある話で出てきた名前の人が、違うところで主人公だったりして。町は、見えていないだけで、そういった人々の集合体で成り立っているんでしょう。
そもそも文章が大変読みやすい作家さんなので、するする読めるのも魅力的。他の作品のほうが話としては好きなものが多いですが、十分楽しめました。