川上弘美のレビュー一覧

  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    登場人物たちが思っていたより上の世代だった。
    60代は自分にとって未知なので、みんな達観しているようなイメージを持ってしまいがちだけど、
    小さいことで悩んだり、それを友達に聞いてもらいたかったりするんだよなと当たり前のことを思ったし、改めて友達は大事と思った。また60代の自分でも読んでみたい。

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    2024年10月12日
  • 真鶴

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    ネタバレ

    他者と自分の境、自分であること、他人であることとは一体なんなのだろう。

    これまで読んできた川上弘美作品のなかでもかなり独特で、読み終わるのにだいぶ時間がかかった。
    霧の中をゆっくり小舟で進むような物語で、時に掴めない表現のかさなりになんだか眠くなったりもした。
    しかし不思議と退屈さはなく、真鶴に引かれるようにして通い続ける主人公のようにつらつらと読み続けた。
    特に最後の方は波にひかれるように読み切ってしまった。

    喪失に折り合いを付ける、というのはとても時間のかかることで、相手が自分の中に食い込めば食い込んでいるほど難儀で、相手がいない以上明確な回答はどこにも存在せず、存在しないゆえに輪郭を

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    2024年10月11日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    純文学作家の発想
     ひとつづつ評していく。

     川上弘美。未来SF。
     発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
     人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
     厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
     未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
     妙にSFが現実路線のわりには

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    2024年10月10日
  • 神様

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    短編は一度途切れると次に読み進むのに少し労力がいるタイプだが、これは読みやすい。
    時々続編もあったりして、次が気になるせいかも。
    非現実的なキャラクター達が人間以上に上品に振る舞うので、そのギャップが奇妙で面白い。

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    2024年10月08日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    酒井駒子さんの挿絵が美しかった七夜物語…
    こちらは、ちょっと雰囲気がちがうな…と思ったらヒグチユウコさんの装画。
    どちらも素敵です。

    そしてやはり、川上弘美さんの子ども心の表現がなんとも愛おしい。
    「大人になったら、子どもの時のことは、わすれちゃうのかな」という絵くん
    「わからない。子どもの時にあったできごとは、きっとわすれないよね。でも、今の自分の気持ちは、おぼえてるかどうか、わからない。だって、大人になったら、ちがう気持ちになってるかもしれなくて、そうすると、もっと前の気持ちをいつまでもおぼえてて、いちいちそのことを思い出してたら、気持ちが決まるのに、すごく時間がかかっちゃうじゃない?」

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    2024年10月07日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

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    ニシノユキヒコの恋愛遍歴を描いたお話です
    モテ男子の生活を疑似体験してみたら、意外と楽しそうじゃなかった

    あまり努力しなくても手に入れられると、決め手に欠けてしまうのですね
    まさに器用貧乏という感じです

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    2024年10月03日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    『七夜物語』の続編。前作読んだのは12年前とかみたいで、なんにも覚えてない。前作の主人公たちのこどもたちが主人公。終盤に前作のあの人(?!)が出てきてなんとなく思いだした。ふしぎな世界観。

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    2024年10月08日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    川上弘美さん、三浦しをんさん、糸井重里さんと好きな作家さんのラインナップに惹かれて手にとった。本のデザイン素敵だなーと思ったら、クラフト・エヴィング商會だった。
    九州の豪華寝台列車「ななつ星」にまつわるお話。寝台列車の旅って憧れがあるけど、なかなかなお値段。それでも抽選になるぐらいだから、きっと素敵なんだろうな。
    途中のイラストも小山薫堂さんの「旅する日本語」も素敵で、眺めているだけでほわっとした気分になった。

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    2024年09月30日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    ネタバレ

    仄田くんとさよの子供達りらと絵が紡ぐ続編.もちろん二人も親となっての登場.小学3年生の悩みなどから人生哲学のようなものまで壮大に広がる世界観.グリクレルも登場して懐かしい.

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    2024年09月25日
  • 蛇を踏む

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    三篇の「うそばなし」は、言葉の力で人や物や空気の境目を曖昧にして、破壊と再構築を読者に強いる。
    自分とその他を隔てるのは肌であるから、肌感覚を研ぎ澄まして、様々な言葉で世界を切り貼りするのを面白がっているのかも。

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    2024年09月16日
  • 100万分の1回のねこ

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    佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』。インパクトの強い緑色の瞳をしたオスのトラ猫が表紙の絵本です。おそらく子どもの頃にも読んだことがあったと思うんですが内容はほとんど記憶になく、大人になって改めて読んでグッときました。

    1977年に発売されて以来、今なお多くの人に読まれ続けている大ロングセラーであるこの絵本への、13人の作家によるトリビュート短篇集です。

    佐野洋子さんの息子さんで絵本作家の広瀬弦さんや元旦那さまの谷川俊太郎さんも執筆されています。結構著名な作家陣ばかりですが、私は読むのは初めましてな作家さんが多かったですね。

    どういうこと?と理解が追いつかないお話もあれば、ちょっと不思

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    2024年09月16日
  • これでよろしくて?

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    平凡な主婦が道でばったり会った元カレの母親から奇妙な女子会に誘われて…という話
    主人公の菜月が相対する困難は夫婦間の溝や嫁姑問題など
    自分は結婚していないけど、よくある夫婦、嫁姑問題ってこんな感じだよなぁという感じ。
    大事件が起きるわけではないけど、なんとなくもわもわする感じ…
    テンポ良くは読めたのと、女子会のおばさまたちのトークは軽快で面白かったが、特に大きな感動も驚きもなかった。
    読んで疲れる傑作の合間、箸休めに読むのにおすすめ。
    良作ではある!

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    2024年08月18日
  • 七夜物語(中)

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    ネタバレ

    上巻の続きを読み始めます。
    三夜目から五夜目までの物語、

    う〜ん、正直自分にはそれほど面白いとは思えません。

    頑張って下巻を読破します。

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    2024年08月22日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

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    あなたは、こんな依頼を受けたとしたらどうするでしょうか?

     「ぼくの死体をよろしくたのむ」

    いやいや、これはまずいでしょう。『ぼくの死体』というからには、目の前の人がこれから死にゆくことを意味します。どう考えてもやばい、やばすぎる!止めなきゃ!一刻も早く!そうあなたが行動すべき場面なはずです。

    もちろん必ずしもこれから死を選ぶ人を前にした緊迫感のある場面とは限らないのかもしれません。病気療養中にある方から遺言のようにお願いを受けている場合かもしれません。しかし、どのような場面であっても『死体』を『よろしく』とたのまれることには動揺も走ります。
    
    さてここに、「ぼくの死体をよろしくたのむ

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    2024年08月05日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    ネタバレ

    まさかの続編。
    あの冒険を忘れて大人になった2人がそれぞれ家庭を持ち、その子どもたちが巡り会う。りらと絵の冒険譚、というには現実世界の比重が大きいかな。

    グリクレルも懐かしい。欲を言えば、酒井駒子さんの絵で見たかったな(ヒグチユウコさんが悪いわけじゃなくて)。

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    2024年08月04日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    予想以上に「大人」の物語だったが、今まで出会った物語の中で一番リアルな「大人」像だったし、こんな風に歳をとれたらいいのになと思った。
    しかし難しい言葉がたくさん出てきた。主人公が小説家だからかな?

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    2024年08月03日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    主人公の小学生、仄田りらと鳴海絵の二人を中心としたストーリーが視点を変えて進んでいく。りらはマイペースで自分のルールのようなものがあって、確かにちょっと変わっている。りらと絵は性別を超えて仲が良く、いつもべったりなわけではないけど、すごく良い関係だなと思った。最後のあとがきまで読んで初めて知ったけど、『七夜物語』という作品の続編らしい。

    この物語は小学生二人が自分の成長やら両親のこと、いじめなどに直面していく成長ストーリー…かと思いきや、ファンタジー要素もあり、幼い頃ってこんな風に感じてたなぁと思うこともあれば、二人(特にりら)はずいぶん大人だなぁと思うこともあった。

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    2024年07月29日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    小学生の目線で書かれているのに、所々ハッとさせられるような真理に出会った。なつかしいと、さみしいは、近い気持ち、など。

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    2024年07月29日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    ずるいなぁ。続編書かれたら読まないわけにはいかないでしょう!
    しかも仄田くんの娘とさよの息子が同級生ときたら。仄田くんがどんなお父さんに、さよがどんなお母さんになってるかも知りたいじゃないですか。

    存分に味合わせてもらいました。
    「七夜物語」のゾクゾク感は薄れたものの、またあの世界に入れたのはうれしいかったです。

    最後のおまけエピソードも、ずるいなあ。

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    2024年07月22日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    本編は読んでいないが、後半から繋がりが段々とわかってくる。
    りらと絵の関係、小さい頃にはあったな。りらみたいに変わってないかったけど(笑)

    本題にもなっている最後の章。
    ちょっとご都合主義だけど、なんだか許せる。
    時代は変わっても、いろいろな形で歴史は繰り返す。

    大好きなヒグチユウコさんの装画がうれしい。

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    2024年07月18日