川上弘美のレビュー一覧

  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

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    「本書は、本当日記です。少なくとも、五分の四くらいは、ほんとうです。ふつうに生活していても、けっこう妙なことが起こるものだなあと、読み返しながら、なつかしく思い出しました。」(あとがきより)
    本書は、川上弘美さんが、雑誌『東京人』にて連載中の『東京日記』の単行本化です(2001年6月号~2004年5月号分を収録。 )
    著者ならではの、エッセイとも小説ともつかない、おかしみとシュールさの入り混じった世界が広がる本書は、川上的世界のエッセンスがたっぷりつまった、ファンの期待にこたえる一冊です。

    まるで創作のような、不思議さがぼんやり霞がかっているような出来事が書いてあるが、あとがきにもあるよう

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    2019年10月19日
  • 100万分の1回のねこ

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    ずっと読みたかった本。ようやく入手。
    ●江國香織「生きる気まんまんだった女の子の話」
    ……世界観がそのまんま。いいねえ。
    生きる気まんまんだった女の子は、なんだかんだで幸せな人生を送ったのだろうな。

    ●岩瀬成子「竹」
    ……よく分からなかった。児童文学の作者なのに、やや難解。

    ●井上荒野「ある古本屋の妻の話」
    ……夫婦は仲良くありたいね。分かりやすく。誤解を招かずにすむくらいに。

    ●角田光代「おかあさんのところにやってきたねこ」
    ……いろいろ深読みしたくなってしまう短編。
    飼い猫の幸せ?野生の幸せ?
    親の子知らず、子の心親知らず。
    人生の因果、幸福とは?

    そして、元絵本でねこが、王様や船

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    2019年10月15日
  • 水声

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    ネタバレ

    互いのことを愛している姉弟と、その家族にまつわる話。兄弟に性愛を感じるってことに奇妙さを感じてはいたが、最後には、別に何ということはないような気もした。読後感が不思議だ。

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    2019年10月05日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    恋愛について、他人には表面的なところしか話せない。知りたいのは、聞きたいのは、話したいのはそういうことじゃないと、頭の片隅にその気持ちを押しやって、それでも近況のひとつとして披露する。そういうとき私は本や音楽に頼る。答えが載っているわけではない。けれど、誰からも教えてもらえない微妙な心の揺れや名前がつかない感情がたっぷりと描かれている。こんなに四六時中考えているわけではないけれど、気づいたらぼんやりと想ってしまう何か。その凝縮のような短編集でした。

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    2019年09月22日
  • 川上弘美書評集 大好きな本

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    ぱらぱら読み。
    吉田修一や江國香織、小川洋子、私も好きな作品がいくつか。
    時間が経って、なんども読み直すと、また違った印象を持つんだろうなぁと思いながらも
    なかなか再読ができていないけれど、
    好きな本を再読してみようと思った。

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    2019年08月24日
  • 七夜物語(下)

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    ミヒャエルエンデ的な世界観はよくできているが、ストーリーのメリハリがぼんやりしていて、不燃焼感。
    子供の頃なら引き込まれたのかもしれない。

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    2019年08月19日
  • 100万分の1回のねこ

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    『100万回生きたねこ』に捧げるトリビュート短篇集。

    『100万回生きたねこ』からこんな素敵な作品たちが生まれるなんて『100万回生きたねこ』、やっぱりすごい。そして、何回読んでもいい絵本だなぁ。

    町田康「百万円もらった男」
    世にも奇妙な物語っぽくて面白く、一気読みした。

    角田光代「おかあさんのところにやってきた猫」
    猫をこよなく愛する角田さんらしいなぁ。
    文章がするすると入ってくる。

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    2019年08月17日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    23編の短い物語をまとめた掌編小説集です。

    さまざまな登場人物たちの体験する恋愛が、何気ない風景を切り取ってきたかのようにえがかれています。江國香織の小説にすこし近い雰囲気もあるのですが、本書の物語のほうがもうすこしドライで、不思議な静けさが感じられるように思います。

    個人的には、著者の作品ではもうすこし明快なテーマ性のある作品のほうが好きですが、これはこれでたのしんで読むことができました。

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    2019年12月08日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

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    著者の作品はそんなに好きではないんだけど、この本は好き。
    古道具というキッチュさがいいのかな。
    全体的にぼやーっとしてる感じも、また良し。

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    2019年08月12日
  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)

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     死んだとたんにぽっかりと隙間ができるのではなく、何年もしてからはじめて隙間や穴になる。その時が、いちばんいやだ。悲しいとか、くやしいとか、むなしいとか、そういうものではない、ただ何もないような、そんな隙間になるのがいやでこわい。
    (P.155)

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    2019年08月09日
  • 100万分の1回のねこ

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    絵本『百万回生きたねこ』へのトリビュート短編を13編集めた作品集。

    好きな作家が何人かいたので、空き時間にぽちぽち読むために購入したのだけれど、思いのほか力作揃いでひと息に読んでしまった。
    元の絵本は一度読んだら忘れられない素晴らしい作品だが、やはりどの作家からも絵本への強い思い入れが感じられる。
    なかでも、角田光代のは秀逸で胸に沁みた。
    最後の二編は息子と元夫で締めくくっていて、佐野洋子への思いのこもった追悼の一冊としてまとまっていた。

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    2019年07月28日
  • 100万分の1回のねこ

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    絵本「100万回生きたねこ」へのトリビュート短編集。作風も、絵本の活かし方もさまざまで、それぞれに味わい深かったです。

    印象的だったのは川上弘美さんの「幕間」。RPGの主人公と、ねこを重ね合わせるとは……着想が面白く、また、皮肉に満ちて切なかった……。

    小説の中に混ざる、くどうなおこさん「インタビューあんたねこ」の詩、好きだなぁ。リズムが良い。言葉選びのセンスが良い。普段なかなか詩に親しむ機会がないのですが、ことばのひとつひとつがキラキラしてる……。

    短いながら優しい、谷川俊太郎さんの「虎白カップル譚」で締めくくられていて、後味が良くてほっとしました。

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    2019年07月23日
  • 東京日記4 不良になりました。

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    川上弘美さんのエッセイ「東京日記4 不良になりました。」、2014.2発行。①加齢臭と古本の匂いは、同じ成分であると聞いて、びっくりする。(私もびっくりしましたw)②「人間を知れば知るほど犬を素晴らしいと思う」って、エリック・サティが言ってるよと、突然こどもに言われる。(私もそう思いますw)③こどもに、ピアスの穴を自慢する。こどもは、じいっと穴を見つめたあと、小さな声で「かあさん、不良になったんだ」と、つぶやいた。

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    2019年06月15日
  • 猫を拾いに(新潮文庫)

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    恋をすると不幸になる。
    それでよいとおもう。
    川上弘美のそういうところが好きだ。

    どういうところかと言われても、
    そういうところ、としか言いようがない。



    どうしても欲しいものは、
    いつだって、
    僕の手に入らない。
    それがでも、
    僕は決していやではない。

    『トンボ玉』



    少しずつ、すべてがまんべんなく、
    痛かった。

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    2019年04月27日
  • 森へ行きましょう

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    留津とルツ。
    パラレルワールドに生きる女性の物語だ。

    二人の人生が交互に現れる。
    そして時々、さらにパラレルに、琉通や流津や琉都やるつが登場し、さらに読者は深い森に迷い込む。
    時代の変わり目だからそう思うのか、「縁」を思う。
    私が今生きている人生は、どこかで過去の私が選択をしてきた結果としてある。
    この「私」が生きてきた人生は、辛いことも、悲しいことも、苦しいことも、悔しかったことも、数え切れないくらいあった。
    それでも、いくつかの大きな決断については、正しかったし、きっとそれはどんな私であってもそう思うだろうと思うのだ。
    前職を辞めて大学に進学したこと(出戻り転職は未だ叶っていないけれど)

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    2019年04月14日
  • 溺レる

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    う~ん、退廃と現実逃避の世界だなぁ~。
    でも面白い...。この世界観はなかなか味わえないので、定期的に触れてみたくなるだろうな...。好き嫌いが分かれる作品だと思う。私はOKにしたい。

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    2019年02月28日
  • あるようなないような

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    川上弘美のエッセイが好きだ。
    小説以上にふわふわしていて、
    ぼーっとしていて、
    それなのに日常的な景色や行為に宿る、
    人間の様々な感覚に鋭敏で、
    この人の目を通すと世界がこんなふうに見えるのかと、
    少し怖くなる。
    癖になる。

    読後に、
    あぁ、川上弘美のエッセイは、
    まるで詩のようだから好きなのだな、とわかった。

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    2019年02月17日
  • 東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。

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    ゆるゆると読みながら、ふふっと笑ったり、
    むむっと思ったり、おお…と驚いたり。
    肩の力を心地よく抜いて読める東京日記。

    ほんとかなぁ。でも、ちゃんと見渡せばあるのかも、
    と思えるところも、読後のお楽しみ。

    疲れた時の、美味しいお菓子のような
    嬉しい読書時間。

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    2019年02月11日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

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    いつもの日常に潜む、ちょっとした不思議な時間。
    こんなバイトがあったらとても面白いんだろうな〜。

    バイトを経験したところで、それが確実に未来に生きてくるということ保証はない。
    でも、どこかで何かが繋がるときもある。
    こういう現実味のある文章を読んで、やっぱりときめいてしまう。

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    2018年11月09日
  • ゆっくりさよならをとなえる(新潮文庫)

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    ところどころいかにもエッセイというふうに肩に力が入ったものもなくはないが、基本は本と酒とダラダラするのが好きという、とても共感できるものが通底にあり心地よい。途中まで読んで、ずいぶんと間が空いてしまったので、最初のほうは忘れてしまった。まあそれもよし、またダラダラと読み返す楽しみがあるというものだ。

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    173ページ
    『坊やはこうして作家になる』片岡義男著(水魚書房)。片岡義男の小説が昔から好きで、でも作中人物のあまりのいさぎよさにときどき驚いたものだった。一種の自伝ともいえる本書を読むと、その理由がよくわかるような気がする。幼いころからなんと自由だった人だろう。自由を尊重し、自由でない

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    2019年04月02日