川上弘美のレビュー一覧
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「本書は、本当日記です。少なくとも、五分の四くらいは、ほんとうです。ふつうに生活していても、けっこう妙なことが起こるものだなあと、読み返しながら、なつかしく思い出しました。」(あとがきより)
本書は、川上弘美さんが、雑誌『東京人』にて連載中の『東京日記』の単行本化です(2001年6月号~2004年5月号分を収録。 )
著者ならではの、エッセイとも小説ともつかない、おかしみとシュールさの入り混じった世界が広がる本書は、川上的世界のエッセンスがたっぷりつまった、ファンの期待にこたえる一冊です。
まるで創作のような、不思議さがぼんやり霞がかっているような出来事が書いてあるが、あとがきにもあるよう -
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ずっと読みたかった本。ようやく入手。
●江國香織「生きる気まんまんだった女の子の話」
……世界観がそのまんま。いいねえ。
生きる気まんまんだった女の子は、なんだかんだで幸せな人生を送ったのだろうな。
●岩瀬成子「竹」
……よく分からなかった。児童文学の作者なのに、やや難解。
●井上荒野「ある古本屋の妻の話」
……夫婦は仲良くありたいね。分かりやすく。誤解を招かずにすむくらいに。
●角田光代「おかあさんのところにやってきたねこ」
……いろいろ深読みしたくなってしまう短編。
飼い猫の幸せ?野生の幸せ?
親の子知らず、子の心親知らず。
人生の因果、幸福とは?
そして、元絵本でねこが、王様や船 -
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Posted by ブクログ
絵本「100万回生きたねこ」へのトリビュート短編集。作風も、絵本の活かし方もさまざまで、それぞれに味わい深かったです。
印象的だったのは川上弘美さんの「幕間」。RPGの主人公と、ねこを重ね合わせるとは……着想が面白く、また、皮肉に満ちて切なかった……。
小説の中に混ざる、くどうなおこさん「インタビューあんたねこ」の詩、好きだなぁ。リズムが良い。言葉選びのセンスが良い。普段なかなか詩に親しむ機会がないのですが、ことばのひとつひとつがキラキラしてる……。
短いながら優しい、谷川俊太郎さんの「虎白カップル譚」で締めくくられていて、後味が良くてほっとしました。 -
Posted by ブクログ
留津とルツ。
パラレルワールドに生きる女性の物語だ。
二人の人生が交互に現れる。
そして時々、さらにパラレルに、琉通や流津や琉都やるつが登場し、さらに読者は深い森に迷い込む。
時代の変わり目だからそう思うのか、「縁」を思う。
私が今生きている人生は、どこかで過去の私が選択をしてきた結果としてある。
この「私」が生きてきた人生は、辛いことも、悲しいことも、苦しいことも、悔しかったことも、数え切れないくらいあった。
それでも、いくつかの大きな決断については、正しかったし、きっとそれはどんな私であってもそう思うだろうと思うのだ。
前職を辞めて大学に進学したこと(出戻り転職は未だ叶っていないけれど) -
Posted by ブクログ
ところどころいかにもエッセイというふうに肩に力が入ったものもなくはないが、基本は本と酒とダラダラするのが好きという、とても共感できるものが通底にあり心地よい。途中まで読んで、ずいぶんと間が空いてしまったので、最初のほうは忘れてしまった。まあそれもよし、またダラダラと読み返す楽しみがあるというものだ。
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173ページ
『坊やはこうして作家になる』片岡義男著(水魚書房)。片岡義男の小説が昔から好きで、でも作中人物のあまりのいさぎよさにときどき驚いたものだった。一種の自伝ともいえる本書を読むと、その理由がよくわかるような気がする。幼いころからなんと自由だった人だろう。自由を尊重し、自由でない