川上弘美のレビュー一覧

  • 掌篇歳時記 秋冬

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    ショートパンツを穿いてサンダル履き、シャーツの前をはだけて、腹を丸出しにして、裾を風にはためかせている奴の姿を見ると、破滅の予感が沸いてくる。Tシャーツに印刷された絵や文字は、どうにも珍妙で道理に反している。自分の内在している思想や感情を表現しているように見えてしまうことが卑怯すぎる。見えてしまうことによって、人は破滅に向かう。Tシャーツ1枚で偉そうに思想を語った気になる。自分の弱いモチーフを服によって増幅させる。これは刺青をちらつかせて人を威圧するのと変わらない。相応の覚悟もないまま雰囲気だけまとって、さも中身があるかのように取り繕う人間には破滅の道があるだけ。破滅が恐ろしくてTシャーツが着

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    2020年01月18日
  • 川上弘美書評集 大好きな本

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    川上さんの新聞に掲載された書評や単行本の後書きが纏められた作品。
    10年以上昔のものばかりなので今その本を探すのは難しいものがあったりする(実際気になった本を大きな書店で探すが売っていないことが多い)。
    書評もそうだが総じて本について深くは書くことはないので勿論ネタバレの心配はない。しかし、その背景、どこが魅力かなどを自身の感性を混ぜて(メインかもしれない)書かれてるのでより魅力的に感じられて面白かった。

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    2019年11月01日
  • 東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。

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    日記シリーズ、第5巻。2013年から2016年収録。

    自分が気づかないだけで、実は川上さんと同じような不思議なことが、自分の周りにも起こっているのかもしれない…??
    不思議な事実に遭遇する or 気づける才能、というのがあるのかも。特に作家さんには。
    その面白さをこうしてお裾分けしてもらえるのって、とても幸せだなぁと思うのでした。

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    2019年10月27日
  • 七夜物語(下)

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     「きみたちは、一番小さなものを救おうとした。そしてそれは、きっときみたちでなければできなかったことだろう」
     「自分にとって一番大切なものを救おうとすること、失うとみんなが困るものを守ること、それは、誰にでもできること。でも、とるに足りないもの、失っても誰もたいして困らないものを守ることは、ばかな子供にしかできないことだったわ」
     「そして、一番ちっぽけなものを救おうとしたからこそ、きみたちの夜の世界は光に満たされたのさ」
    (P.314)

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    2019年10月26日
  • 東京日記4 不良になりました。

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    東日本大震災、引っ越し、入院、手術……。2010年~2013年は、ほんとうに、いろいろなことがありました。カワカミ・ワールドのエッセンス。

    日記シリーズ、面白いからイッキ読み。
    震災や手術など、大変なことがあっても、川上さんの不思議な呑気さ?はそのままで、ホッとする。
    大変なときこそ、少しおとぼけなことで気を紛らわせるのは、生きていく上で大事だと思う。

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    2019年10月26日
  • 東京日記3 ナマズの幸運。

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    おおむね楽しい、ちょっぴりさみしい。カラダ半分、ずれている――。カワカミ・ワールドが詰まった、日記シリーズ最新作。2008~2010年までの3年分を収録。

    読みやすいから、次々読んでしまう日記シリーズ。
    日常から言葉に対するアンテナが敏感なところが作家さんたるところ。
    「おじゃま虫」「うる覚え」「矢沢永吉さん命」
    何でもない一言を、ずっと覚えていて、咀嚼して楽しんでいる気がする。

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    2019年10月25日
  • 東京日記2 ほかに踊りを知らない。

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    たんたんと、ちょっとシュールに、日々は流れゆく――。
    ウソじゃないよ、五分の四はホントだよ。カワカミさんの日記、続いてます。
    2004年~2007年分を収録した『東京日記』第2弾。

    体調悪いけど、本読みたい…そんなときに、気負わず読める日記。
    川上さんとお子さんのやりとりが可愛くて好き。
    些細なことで不安になったりメソメソしてしまう川上さんを、お子さんが仕方ないなぁと見守っている、そんなイメージ。

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    2019年10月25日
  • いとしい

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    みんなが不思議ちゃんなお話。正直わからないことが多すぎた。みんな飄々としていて掴みどころがない感じ。でも、読んでいて柔らかい空気感が心地よかった。

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    2019年10月25日
  • 七夜物語(中)

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     それは、わたしたちがずっと考えつづけてきた、そして今も考えつづけている、たいそう難しい問題なのである。
     人と人が傷つけあっている時、人が何かを損なおうとしている時、いったいわたし、という一人の人間は、そのことに対して何かをすることができるのだろうか、という問い。
    (P.298)

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    2019年10月19日
  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

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    「本書は、本当日記です。少なくとも、五分の四くらいは、ほんとうです。ふつうに生活していても、けっこう妙なことが起こるものだなあと、読み返しながら、なつかしく思い出しました。」(あとがきより)
    本書は、川上弘美さんが、雑誌『東京人』にて連載中の『東京日記』の単行本化です(2001年6月号~2004年5月号分を収録。 )
    著者ならではの、エッセイとも小説ともつかない、おかしみとシュールさの入り混じった世界が広がる本書は、川上的世界のエッセンスがたっぷりつまった、ファンの期待にこたえる一冊です。

    まるで創作のような、不思議さがぼんやり霞がかっているような出来事が書いてあるが、あとがきにもあるよう

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    2019年10月19日
  • 100万分の1回のねこ

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    ずっと読みたかった本。ようやく入手。
    ●江國香織「生きる気まんまんだった女の子の話」
    ……世界観がそのまんま。いいねえ。
    生きる気まんまんだった女の子は、なんだかんだで幸せな人生を送ったのだろうな。

    ●岩瀬成子「竹」
    ……よく分からなかった。児童文学の作者なのに、やや難解。

    ●井上荒野「ある古本屋の妻の話」
    ……夫婦は仲良くありたいね。分かりやすく。誤解を招かずにすむくらいに。

    ●角田光代「おかあさんのところにやってきたねこ」
    ……いろいろ深読みしたくなってしまう短編。
    飼い猫の幸せ?野生の幸せ?
    親の子知らず、子の心親知らず。
    人生の因果、幸福とは?

    そして、元絵本でねこが、王様や船

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    2019年10月15日
  • 水声

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    ネタバレ

    互いのことを愛している姉弟と、その家族にまつわる話。兄弟に性愛を感じるってことに奇妙さを感じてはいたが、最後には、別に何ということはないような気もした。読後感が不思議だ。

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    2019年10月05日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    恋愛について、他人には表面的なところしか話せない。知りたいのは、聞きたいのは、話したいのはそういうことじゃないと、頭の片隅にその気持ちを押しやって、それでも近況のひとつとして披露する。そういうとき私は本や音楽に頼る。答えが載っているわけではない。けれど、誰からも教えてもらえない微妙な心の揺れや名前がつかない感情がたっぷりと描かれている。こんなに四六時中考えているわけではないけれど、気づいたらぼんやりと想ってしまう何か。その凝縮のような短編集でした。

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    2019年09月22日
  • 川上弘美書評集 大好きな本

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    ぱらぱら読み。
    吉田修一や江國香織、小川洋子、私も好きな作品がいくつか。
    時間が経って、なんども読み直すと、また違った印象を持つんだろうなぁと思いながらも
    なかなか再読ができていないけれど、
    好きな本を再読してみようと思った。

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    2019年08月24日
  • 七夜物語(下)

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    ミヒャエルエンデ的な世界観はよくできているが、ストーリーのメリハリがぼんやりしていて、不燃焼感。
    子供の頃なら引き込まれたのかもしれない。

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    2019年08月19日
  • 100万分の1回のねこ

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    『100万回生きたねこ』に捧げるトリビュート短篇集。

    『100万回生きたねこ』からこんな素敵な作品たちが生まれるなんて『100万回生きたねこ』、やっぱりすごい。そして、何回読んでもいい絵本だなぁ。

    町田康「百万円もらった男」
    世にも奇妙な物語っぽくて面白く、一気読みした。

    角田光代「おかあさんのところにやってきた猫」
    猫をこよなく愛する角田さんらしいなぁ。
    文章がするすると入ってくる。

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    2019年08月17日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    23編の短い物語をまとめた掌編小説集です。

    さまざまな登場人物たちの体験する恋愛が、何気ない風景を切り取ってきたかのようにえがかれています。江國香織の小説にすこし近い雰囲気もあるのですが、本書の物語のほうがもうすこしドライで、不思議な静けさが感じられるように思います。

    個人的には、著者の作品ではもうすこし明快なテーマ性のある作品のほうが好きですが、これはこれでたのしんで読むことができました。

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    2019年12月08日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

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    著者の作品はそんなに好きではないんだけど、この本は好き。
    古道具というキッチュさがいいのかな。
    全体的にぼやーっとしてる感じも、また良し。

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    2019年08月12日
  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)

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     死んだとたんにぽっかりと隙間ができるのではなく、何年もしてからはじめて隙間や穴になる。その時が、いちばんいやだ。悲しいとか、くやしいとか、むなしいとか、そういうものではない、ただ何もないような、そんな隙間になるのがいやでこわい。
    (P.155)

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    2019年08月09日
  • 100万分の1回のねこ

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    絵本『百万回生きたねこ』へのトリビュート短編を13編集めた作品集。

    好きな作家が何人かいたので、空き時間にぽちぽち読むために購入したのだけれど、思いのほか力作揃いでひと息に読んでしまった。
    元の絵本は一度読んだら忘れられない素晴らしい作品だが、やはりどの作家からも絵本への強い思い入れが感じられる。
    なかでも、角田光代のは秀逸で胸に沁みた。
    最後の二編は息子と元夫で締めくくっていて、佐野洋子への思いのこもった追悼の一冊としてまとまっていた。

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    2019年07月28日