川上弘美のレビュー一覧

  • 真鶴

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    とてもしずか。波のない湖面をじいっと眺めているよう。そしたらそのまま、沈んでしまうみたいな。行きたい、と、生きたい、と、逝きたいがあっさりと併存し、彼岸と此岸の境は次第に曖昧になる。

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    2021年04月30日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    表紙絵も相まって、雨の日に読みたい一冊。
    はかない、ものがなしい人間の側面と、それらがもつ美しさを描いている。関わり合いの中で人は生きていて、少しずつ重なり合ってこの世界はできている。長い夜の紅茶、がおきにいり。

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    2021年04月28日
  • おめでとう(新潮文庫)

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    安定の川上先生。大好き。

    毎度毎度憧れる世界観に人間観。
    何気なく過ぎていく日常の、何気ないやり取りの不思議さ奇妙さ切なさ可笑しさ。。

    独りでいるのも寂しいけれど、誰か好きになるのもなかなかに寂しい…
    とはいえオトナなのでそこそこ楽しく生きている、
    そういう人ならより一層美味しくいただけると思います。

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    2021年02月27日
  • 森へ行きましょう

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    もしかしたら、もう1人の自分がいるかもしれないパラレルワールド。
    主人公とともに、自分もその時代、その年齢を生きている感覚で読みました。
    読んでいるこちらも、森に迷いこんでしまう感覚が、心地よい混乱。
    どの「るつ」も「としろう」とつながっているように、私も、違う人生を選んでも、結局行き着くところは、ここなんだろうな、と思いました。

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    2021年02月26日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    23の短編そのどれもが少し寂しい終わり方をする。狭義の恋愛話ばかりではないけれど、どれも誰かに愛着を持つ話。中で印象に残ったのは「トリスを飲んで」「パステル」「草色の便箋、草色の封筒」。一番好きな登場人物は修三ちゃんかな。

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    2021年02月14日
  • これでよろしくて?

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    コメディぽい小説かと思ったら、意外と真面目なテーマもあって、結婚て何だろうと考えさせられた。主人公の夫の言動にイライラするけど、最後の方の夫の本音?の部分が何か染みた。

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    2021年02月09日
  • 森へ行きましょう

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    1966年に生まれたルツと留津、ルツは公立の小中を出て理系の大学へ行きある研究所に就職する。留津は、私立の女子中高を出て文系の大学へ行く。裕福な家庭の俊郎と結婚し専業主婦になる。二人の「るつ」が平行して描かれる。周囲の登場人物もシンクロするが、関わりや性格は微妙に違う。この二人を軸に、パラリルワールドは二人が六十歳になる2027年まで続く。

    後半、もう三人の「るつ」も現れちょっと混乱した。とても不思議な小説だ。

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    2021年02月08日
  • 森へ行きましょう

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    ネタバレ

    留津とルツという女性のそれぞれの人生が比較するように書かれていて、
    これは、一人の女性のパラレルワールド・・
    この本を借りたときには、登場人物が森へ行くのかな‥と思っていたのですが、
    一人の女性の生まれてから60歳までの人生を(男女、特に夫婦がテーマかな?)
    淡々と読み進めていくうちに人生は、森を歩くようなもの・・という言葉で、やっと気が付きました。
    森に入っていくときは、1本道だけど、目の前には幾本の道が伸びていて、どこへ向かって歩いていくか、その道がどうだったかなんて、その時はわからなくて、
    歩いて行ってみて、振り返り、あれこれと考えあぐねるもの。
    小説は、ほとんどが40代半ばまでにページ

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    2021年02月07日
  • 森へ行きましょう

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    選ばなかった、もしくは選べなかった人生の話。
    何を選んでも何かしらの満足と不満はある。
    みんな森に行くんじゃなく、森にいるという感じ。

    私自身は諦めと見切りが早すぎるのかもしれない。
    でもどこかに長い目で見て付き合っている私がいて、何かに悩んで困ってるかも。

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    2021年02月07日
  • 森へ行きましょう

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    るつの人生がどのように終焉を迎えるのか、最後が気になりながら読み進めた本。

    もしあのとき、と誰しもが思ったことがあるはず。
    だけど、人生はやり直せないので、あのときああしていたらどうなっていたのかは誰にもわからない。
    るつの人生を辿りながら、その点が味わえたのが面白かった。

    人生を森に喩えるなら、楽しく森を散歩したいと読後に思わせる1冊だった。

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    2021年02月06日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    短い短編が沢山入っているので、ちょっとずつ読むのもいいかもね。一気に読み終わりましたが。
    あまりにも沢山入っているのですぐ忘れてしまいますが、3編出てくるコロポックルの山口さんと、OLの誠子との淡い恋の話がとてもよかった。これだけ中編にして欲しい。
    種族を超えての恋も良いし、どちらも憎からず思っているのに、控えめで歩み寄れない切なさもよい。読んだ後もふと思い出すこの感覚が「余韻」っていうんだろうなあ。

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    2021年01月22日
  • 100万分の1回のねこ

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    初読み作家さんばかりで、新しい作家さんに出会えた。角田光代さん、綿谷りささん、川上弘美さんのが好き。
    それにしても凄く豪華。

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    2020年12月29日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    東京のとある小さな町に住む人々の日常が11人の視点から語られる短編連作。語られる人が語り手になったり、複数の話の中に登場してくる人がいたり、普通の人々の人生が浮き彫りになってくるようで面白かった。しかし平凡とは何だろう?良い事ばかりではなく悲しいこともあったけれど、不幸ではなかった、そんな人生。たとえ死んでも、誰かの記憶の中に残っていてたまに思い返されるゆえに存在する、そんな人生。切なさと暖かさが混在してしんみりじわり…となりました。

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    2020年11月24日
  • 光ってみえるもの、あれは

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     のんび〜〜〜りたんたんとしたお話でした。少し、退屈な気もしました‥。
     翠の主観になっているので随分難しいことを考える人なんだなあと思っていましたが、島に渡ってからはなんだか良い意味でぼんやりと、深く考えないかんじがして気持ちよかったです。

    家は蜜蜂と薔薇の花で一ぱいだらう。
    午後から寺の晩課の鐘が聞えよう、
    透明な宝石のやうな色の葡萄は
    ほのかなもの蔭に日を浴びて眠るかに見えよう。
    そこでどんなにわたしがお前を愛するだらう。

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    2020年11月16日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    川上弘美 著「どこから行っても遠い町」、2011.9発行。連作短編11話。登場人物が多くて、連作かどうかわからなくなりそうでしたw。メモ取りながら読んだのですが(^-^) テーマは難しかったです。私は、「人は二度死ぬ」がテーマかなと思いました。死んでも、自分を知ってる人、自分を想う人が生きてる限り、自分はまだ生きていると。

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    2020年11月13日
  • 物語が、始まる

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    ちょっと不気味な短編集。神様の様な雰囲気の方が好きかな。しかしこういう話を書けるのは才能なんだろうな

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    2020年10月04日
  • これでよろしくて?

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    この本は、(私が抱く川上さんのお話のイメージより)軽くて楽しいものかと思えば、徐々に重くなって、ラストにはずしっときてしまった。
    菜月、38歳、2つ年上の夫、光と平穏な結婚生活を送っている(子供はいない)。あるとき、菜月は結婚前の元彼の母親(土井母)から声を掛けられ、「これでよろしくて同好会」の入会を勧められる。この会は年齢も環境も違う女性5人が、洋食屋で集い、そのつど(人のある事柄とか)議題について討論し合う。井戸端会議のように。土井母のテンポが面白い。
    最初は「会」について、訝しげな菜月だったが次第に居心地の良い場所となってゆく。

    それとは別の場面。菜月の家族との絡みの部分、二つの構成で

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    2020年09月20日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    どこから行っても遠い、決して近づけない、人と人との絶妙な距離感を、一つの町における人間模様をベースにして描いている。
    はじめから終わりまで読んでまたはじめから読みたくなる、解説にあったこの言葉がまさにこの本の、この町をぐるぐるとめぐる味わい深さを表しているように思う。

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    2020年08月26日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

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    割とクズだけど愛おしい男と、儚い時間をそれぞれの愛し方で過ごした女性たちの話。
    ドラマチックな展開はないものの、読みながらじわじわと愛おしさが込み上げてくる感じがした。

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    2020年08月11日
  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)

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    なまめかしいタイトルから、想像していたものと少し違った(それはそれでよいが)。重い、この時期重いのは辛く、星三つになった。
    生(母性も)と性と死を描いてある。話を追うごとに難解になってゆく。
    二つ目の「terra」。また私は川上さんの世界に引きずられてゆく。沢田と対話しているのは、女友達と思っていたら違った。最後に謎が明かされる。死の無念さをこんなにも淡々と語って、いや淡々だから余計にやるせない。
    「死んじゃったな、麻美」
    「つまらないなあ、死ぬと」
    あなたが巻いてくれなくなったので、最後に自分で巻いてみた左手首の紐を確かめようとしたけれど、もう体がないので、できない。
    土に還って二酸化炭素や

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    2020年07月23日