川上弘美のレビュー一覧

  • 森へ行きましょう

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    選ばなかった、もしくは選べなかった人生の話。
    何を選んでも何かしらの満足と不満はある。
    みんな森に行くんじゃなく、森にいるという感じ。

    私自身は諦めと見切りが早すぎるのかもしれない。
    でもどこかに長い目で見て付き合っている私がいて、何かに悩んで困ってるかも。

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    2021年02月07日
  • 森へ行きましょう

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    るつの人生がどのように終焉を迎えるのか、最後が気になりながら読み進めた本。

    もしあのとき、と誰しもが思ったことがあるはず。
    だけど、人生はやり直せないので、あのときああしていたらどうなっていたのかは誰にもわからない。
    るつの人生を辿りながら、その点が味わえたのが面白かった。

    人生を森に喩えるなら、楽しく森を散歩したいと読後に思わせる1冊だった。

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    2021年02月06日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    短い短編が沢山入っているので、ちょっとずつ読むのもいいかもね。一気に読み終わりましたが。
    あまりにも沢山入っているのですぐ忘れてしまいますが、3編出てくるコロポックルの山口さんと、OLの誠子との淡い恋の話がとてもよかった。これだけ中編にして欲しい。
    種族を超えての恋も良いし、どちらも憎からず思っているのに、控えめで歩み寄れない切なさもよい。読んだ後もふと思い出すこの感覚が「余韻」っていうんだろうなあ。

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    2021年01月22日
  • 100万分の1回のねこ

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    初読み作家さんばかりで、新しい作家さんに出会えた。角田光代さん、綿谷りささん、川上弘美さんのが好き。
    それにしても凄く豪華。

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    2020年12月29日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    東京のとある小さな町に住む人々の日常が11人の視点から語られる短編連作。語られる人が語り手になったり、複数の話の中に登場してくる人がいたり、普通の人々の人生が浮き彫りになってくるようで面白かった。しかし平凡とは何だろう?良い事ばかりではなく悲しいこともあったけれど、不幸ではなかった、そんな人生。たとえ死んでも、誰かの記憶の中に残っていてたまに思い返されるゆえに存在する、そんな人生。切なさと暖かさが混在してしんみりじわり…となりました。

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    2020年11月24日
  • 光ってみえるもの、あれは

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     のんび〜〜〜りたんたんとしたお話でした。少し、退屈な気もしました‥。
     翠の主観になっているので随分難しいことを考える人なんだなあと思っていましたが、島に渡ってからはなんだか良い意味でぼんやりと、深く考えないかんじがして気持ちよかったです。

    家は蜜蜂と薔薇の花で一ぱいだらう。
    午後から寺の晩課の鐘が聞えよう、
    透明な宝石のやうな色の葡萄は
    ほのかなもの蔭に日を浴びて眠るかに見えよう。
    そこでどんなにわたしがお前を愛するだらう。

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    2020年11月16日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    川上弘美 著「どこから行っても遠い町」、2011.9発行。連作短編11話。登場人物が多くて、連作かどうかわからなくなりそうでしたw。メモ取りながら読んだのですが(^-^) テーマは難しかったです。私は、「人は二度死ぬ」がテーマかなと思いました。死んでも、自分を知ってる人、自分を想う人が生きてる限り、自分はまだ生きていると。

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    2020年11月13日
  • 蛇を踏む

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    これだけ突拍子もない寓話的な物語を説得力を持って、読者に違和感を抱かせず描き切っていることに驚愕した

    おそらく、違和感がない、という違和感こそがこの作品のキモだ。
    世界との不和に悩む女性の姿が、蛇に乗せられてありありと描かれる

    蛇は、現代人の孤独のメタファーとして僕は読んだ
    結局、他者はどこまでも他者でそこに壁がある。その壁があるからこそ会話が成立するのだ。
    一方、壁のない自分自身との対話はぬるま湯のように心地よく、泥沼化する。その先に何もないとわかりながら、自分自身に依存していってしまう。

    踏むというのは、自己の発見に他ならない。それは偶然でありかつ、どこまでも主体的行為なのだ。
    “踏

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    2020年11月10日
  • 物語が、始まる

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    ちょっと不気味な短編集。神様の様な雰囲気の方が好きかな。しかしこういう話を書けるのは才能なんだろうな

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    2020年10月04日
  • これでよろしくて?

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    この本は、(私が抱く川上さんのお話のイメージより)軽くて楽しいものかと思えば、徐々に重くなって、ラストにはずしっときてしまった。
    菜月、38歳、2つ年上の夫、光と平穏な結婚生活を送っている(子供はいない)。あるとき、菜月は結婚前の元彼の母親(土井母)から声を掛けられ、「これでよろしくて同好会」の入会を勧められる。この会は年齢も環境も違う女性5人が、洋食屋で集い、そのつど(人のある事柄とか)議題について討論し合う。井戸端会議のように。土井母のテンポが面白い。
    最初は「会」について、訝しげな菜月だったが次第に居心地の良い場所となってゆく。

    それとは別の場面。菜月の家族との絡みの部分、二つの構成で

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    2020年09月20日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    どこから行っても遠い、決して近づけない、人と人との絶妙な距離感を、一つの町における人間模様をベースにして描いている。
    はじめから終わりまで読んでまたはじめから読みたくなる、解説にあったこの言葉がまさにこの本の、この町をぐるぐるとめぐる味わい深さを表しているように思う。

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    2020年08月26日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

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    割とクズだけど愛おしい男と、儚い時間をそれぞれの愛し方で過ごした女性たちの話。
    ドラマチックな展開はないものの、読みながらじわじわと愛おしさが込み上げてくる感じがした。

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    2020年08月11日
  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)

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    なまめかしいタイトルから、想像していたものと少し違った(それはそれでよいが)。重い、この時期重いのは辛く、星三つになった。
    生(母性も)と性と死を描いてある。話を追うごとに難解になってゆく。
    二つ目の「terra」。また私は川上さんの世界に引きずられてゆく。沢田と対話しているのは、女友達と思っていたら違った。最後に謎が明かされる。死の無念さをこんなにも淡々と語って、いや淡々だから余計にやるせない。
    「死んじゃったな、麻美」
    「つまらないなあ、死ぬと」
    あなたが巻いてくれなくなったので、最後に自分で巻いてみた左手首の紐を確かめようとしたけれど、もう体がないので、できない。
    土に還って二酸化炭素や

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    2020年07月23日
  • これでよろしくて?

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    "日本の男たちはすべからく、妻に「母性」だの「いたわり」だの「包容力」だのを望むものなんだからね。"(p.184)


    "「いい子」になりたいから、嘘をつくのではない。そうではなく、今ここで人生が終わるわけではない、人生はこの先もたぶんしばらくは続いてゆくから、嘘をつくのである。"(p.204)

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    2020年08月07日
  • 溺レる

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    入り込むと現世から逃れられないような引力がある。誰もが逃げていて、何から逃げているのか、頂点に君臨している者達から逃げているのか。何世紀経っても不老不死で生き続けている夫婦もいるのだから果てがない。どれが自分にとって理想的な逃避行か、探すのも面白いかもしれない。愛欲の故の溺レるというは正にそうで、どの短編でも少なくとも愛情や欲に溺レていた。

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    2020年05月14日
  • 100万分の1回のねこ

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    13人の作家による、
    佐野洋子の絵本「100万回生きたねこ」へのオマージュ

    どの作品も、原作への愛に満ちている
    ひとつだけねこ関係ないのがあったけど(笑)
    あれはあれで面白かったし。

    原作をもういちど読みかえしたくなった。

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    2020年05月02日
  • 七夜物語(下)

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    上・中巻を数年前に読み、下巻の存在をすっかり忘れており
    本棚を整理していて下巻を未読なことに気付く。

    物語の中で出てくるサクランボのクラフティー、
    ちょうど1年前くらいに娘と作った事を思い出す。

    大人になってしまった私には少し退屈だったけれど、
    雰囲気は充分楽しめた。

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    2020年04月27日
  • 光ってみえるもの、あれは

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    なんだかつかみどころのない話ですね。
    本棚に眠っていたので、多分以前にいちど読んだことがあると思うのですが全く記憶にございませんでした。今回再読してみて改めてつかみどころのない話なんだなと思いました。登場人物はそれぞれに魅力的な人たちですが、実際には存在し得ないと思います。

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    2020年04月22日
  • 森へ行きましょう

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     「るつ」という音の名前を持つ複数の女性の生涯を、パラレルワールドのように並行して綴った物語。
     前半は「留津」と「ルツ」という二人が登場し、後半になると「るつ」「流津」「瑠通」「る津」「琉都」などというように徐々に主人公が増える。彼女たちはどのストーリーでも同じ家庭に生まれるが、その家族構成は母の生死、父母の関係性などの点で微妙に異なっている。その小さな枝分かれが、やがて森の木々のように入り組んで、後の人生に大きく差をつけていく。
     「るつ」たちの友人や恋人、同僚は、彼女の人生に登場するタイミングを変えながら、それぞれのストーリーに登場する。すなわち、あるストーリーでは友人だった女性が違うス

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    2020年04月17日
  • これでよろしくて?

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    川上弘美さんの長編小説。
    子どものいない主婦が、ある日元カレのお母さんに出会い、「これでよろしくて」同好会に誘われ参加するようになる。
    そこではそれこそ他愛のない日常的な疑問や不満が話し合われる。
    そこで話すこと以外も、主人公の主婦が日常生活の中で日々感じていることや、旦那さんや義理の家族に対し感じている細かい感情が、これでもか、というくらいに吐き出されていて、多くは共感できるものの、ずっと読んでいるとつらくなる。
    最後にどんでん返しがありそうで、ちょっと期待したが、そうでもなく、読み終えて脱力した。

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    2020年04月10日