川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ真夏に昼寝をしている二人の姉妹、姉の長い髪が妹の左足に絡まる……という冒頭の描写に惹かれて購入。
戯れに結んだ髪が、取ろうとすればする程からまってしまう。
様々な二者の間に生まれる「いとしさ」が、全て比喩で描かれている。
母の恋人と娘、「一回いくら」という関係の男性と少女、兄と妹、春画のモデル同士など、どれも少しずつアブノーマルな関係。
世間的には普通の恋人同士という設定の二人でも、やはりどこかアブノーマルで何かが欠落している。
好きかどうか自分でもよく分からない、愛し合っているはずなのにどこか欠落している、お互いの「昏さ固さ」に惹かれ合う(そして一方がストーカー化)など、真っ直ぐな意味で -
Posted by ブクログ
なぜに中年女性作家の書く「パンツ率研究」などを熱心に読まなければならないのかと思いながらも、ページを繰るスピードが落ちないのは、嘘っ八百の川上ワールドに惹かれているからに違いない。2008年夏まで雑誌「東京人」に連載され、その後「Web平凡」に引き継がれてきた「東京日記」の第三集。 相変わらずのマイペースぶりと、ほんわかしたムードはこの著者ならではのもの。「ほんとうのこと率」アップと言いながらも、ついつい眉に唾をつけたくなる話のオンパレードだ。むずかしい本の合間の息抜きにぴったり。各月毎にまとめられた日記は、それぞれ個性的なタイトルをつけられ36編にも達する。つまり3年間36ヵ月分というわけ。