川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ薄い本。
ページ数的には読みやすいと思うんですが、それよりも何よりも、言葉遣いと感性が独特で、理解できるできないがはっきり別れそうな作品でした。
話の内容としては。
ユリエとマリエの姉妹がいて、妹のマリエが主人公。
彼女たちの母親は、母性よりも女性を匂わせる人。
そんな中、成長したマリエは、高校教諭になり、教え子であるミドリ子の兄と恋に落ちる。
ところが、ミドリ子が関係を持っている相手は、母の元恋人だった……
という感じ。
なんだか、人間関係複雑そうな話だなあ……と思って手に取ったんですが、それぞれがそれぞれに対して割り切っていて、全然、ドロドロしないです。
なんか、「あー……そうなんだ……」という感じでした。
これは、読者の視点であるマリエがそうだからなのかもしれないですけど、人間って意外とこういう時って淡々としているのかもしれない、と思わされてしまいました。
個人的にはこんな複雑な人間関係って体験したことがないし、恋人を他の人に取られるってどんなものなのかもわからないですけど、淡々とした小説でした。
「愛」ってそういうものなのかなあ、と……。
基本的には、「それぞれの愛を見つける」って書いてあるので恋愛に関する話なんですけど、サラサラしててつかみどころがない。
後、現実なのか非現実なのかの境界も曖昧で、なんだかよくわからない、というのが正直な感想です。
でも、作者さんは多分、わかってもらおうと思って書いていないと思うので、これはこれでいいのだろうなあ……と思いました。
さらっと読めるけど、独特な雰囲気を持つ小説をお探しの方にはオススメします。
わかりやすいリアリティのある小説が好きな人は「げっ」と思って引いてしまいそうな作品だと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ第六章のタイトルは「終わりから二番目の夜」で、第七章が「終わりの夜」となる。
うつくしいこども、と、そうでないこどもの件にはかなり惹かれるものがある。
さよは、そうでないこどもに内なる輝きに愛しさを感じ、仄田くんはうつくしいこどもの持つ完全性を「どうしても」求めてしまうのだった。
このときの二人の考え方が、後の二人の行く末に繋がったのかなあと思うと、面白い。
七夜が明けて、目に見えるものはなくなったかのように見える。
誰もがそんな特別な夜を過ごしたような錯覚に陥るラスト。私も、幼い頃、こんな不思議な体験をしたかもしれない……と思わせて物語は終わる。
やわらかく、楽しい旅をした読後感。 -
Posted by ブクログ
中巻。
第四章「二つの夜」は良かった。
お互いに、夜の世界で自分の心の中と向き合う場面を経て次の一歩を踏み出していく。
その作業は決して楽ではなくて、苦しみながらも見つめるしかない二人の描き方が上手い。
更に、仄田くんに野村くんが声をかけるシーン。
「うん。悪いこと言っちゃったって、ずっと後悔してた。だって、そういうこと言われるのって、すごくいやなことだから」
「ぼくも、そういうふうに言われたことがあるから、わかるんだ」
「医者にならない子なら、いてもいなくても同じだって、いつか大人が話してるのを聞いちゃったことがあるんだ」
野村くんは、苦笑いのような顔をした。
……というシーン。
大人の世界を受容するしかない子どもの表情。
言われて傷付く言葉を誰かに転化することの意味を考えさせられる。
第五章は道徳的になり過ぎている感が……。
次は早くも下巻。どんなラストなんだろう。