川上弘美のレビュー一覧

  • 森へ行きましょう

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    るつの人生がどのように終焉を迎えるのか、最後が気になりながら読み進めた本。

    もしあのとき、と誰しもが思ったことがあるはず。
    だけど、人生はやり直せないので、あのときああしていたらどうなっていたのかは誰にもわからない。
    るつの人生を辿りながら、その点が味わえたのが面白かった。

    人生を森に喩えるなら、楽しく森を散歩したいと読後に思わせる1冊だった。

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    2021年02月06日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    短い短編が沢山入っているので、ちょっとずつ読むのもいいかもね。一気に読み終わりましたが。
    あまりにも沢山入っているのですぐ忘れてしまいますが、3編出てくるコロポックルの山口さんと、OLの誠子との淡い恋の話がとてもよかった。これだけ中編にして欲しい。
    種族を超えての恋も良いし、どちらも憎からず思っているのに、控えめで歩み寄れない切なさもよい。読んだ後もふと思い出すこの感覚が「余韻」っていうんだろうなあ。

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    2021年01月22日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    東京のとある小さな町に住む人々の日常が11人の視点から語られる短編連作。語られる人が語り手になったり、複数の話の中に登場してくる人がいたり、普通の人々の人生が浮き彫りになってくるようで面白かった。しかし平凡とは何だろう?良い事ばかりではなく悲しいこともあったけれど、不幸ではなかった、そんな人生。たとえ死んでも、誰かの記憶の中に残っていてたまに思い返されるゆえに存在する、そんな人生。切なさと暖かさが混在してしんみりじわり…となりました。

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    2020年11月24日
  • 光ってみえるもの、あれは

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     のんび〜〜〜りたんたんとしたお話でした。少し、退屈な気もしました‥。
     翠の主観になっているので随分難しいことを考える人なんだなあと思っていましたが、島に渡ってからはなんだか良い意味でぼんやりと、深く考えないかんじがして気持ちよかったです。

    家は蜜蜂と薔薇の花で一ぱいだらう。
    午後から寺の晩課の鐘が聞えよう、
    透明な宝石のやうな色の葡萄は
    ほのかなもの蔭に日を浴びて眠るかに見えよう。
    そこでどんなにわたしがお前を愛するだらう。

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    2020年11月16日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    川上弘美 著「どこから行っても遠い町」、2011.9発行。連作短編11話。登場人物が多くて、連作かどうかわからなくなりそうでしたw。メモ取りながら読んだのですが(^-^) テーマは難しかったです。私は、「人は二度死ぬ」がテーマかなと思いました。死んでも、自分を知ってる人、自分を想う人が生きてる限り、自分はまだ生きていると。

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    2020年11月13日
  • 物語が、始まる

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    ちょっと不気味な短編集。神様の様な雰囲気の方が好きかな。しかしこういう話を書けるのは才能なんだろうな

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    2020年10月04日
  • これでよろしくて?

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    この本は、(私が抱く川上さんのお話のイメージより)軽くて楽しいものかと思えば、徐々に重くなって、ラストにはずしっときてしまった。
    菜月、38歳、2つ年上の夫、光と平穏な結婚生活を送っている(子供はいない)。あるとき、菜月は結婚前の元彼の母親(土井母)から声を掛けられ、「これでよろしくて同好会」の入会を勧められる。この会は年齢も環境も違う女性5人が、洋食屋で集い、そのつど(人のある事柄とか)議題について討論し合う。井戸端会議のように。土井母のテンポが面白い。
    最初は「会」について、訝しげな菜月だったが次第に居心地の良い場所となってゆく。

    それとは別の場面。菜月の家族との絡みの部分、二つの構成で話は進んでゆく。
    義妹、郁が信じられない。いきなり菜月夫婦宅を訪れ、しばらく滞在する。と思ったら入れ替わりに義母がやってきて、たいした理由もなく長期に渡って平然と滞在するのだ。
    ありえない、この義母の傍若無人さには呆れ果て、付ける薬がない。
    親族あるあるの感情がわかるところが多くて、余計に心が痛かった。例えば、結婚して間もない頃は、夫の実家に行っても、自分の周りだけ空気が違う感じがしたものだった(自分もそうだった)。
    光が菜月の作った目玉焼きに文句をつけた。もっととろっとしてたほうがいい、と。菜月はむっとしたが言い返さなかった。私ならどうしたか。結婚生活はこういうことばかり。
    結婚生活や親族関係は、些細な心情のもつれはあって当然。どこまで我慢?どこまで言えばいいか?の連続。
    永遠のテーマではないか。菜月の性分が自分(私)にも似ていて読んでいて苦しいところもあった。
    「会」に救いを求めたくなる菜月の気持ちがわかる。
    私もこんな会があったら入会したい。疲れない程度の議題で。

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    2020年09月20日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    どこから行っても遠い、決して近づけない、人と人との絶妙な距離感を、一つの町における人間模様をベースにして描いている。
    はじめから終わりまで読んでまたはじめから読みたくなる、解説にあったこの言葉がまさにこの本の、この町をぐるぐるとめぐる味わい深さを表しているように思う。

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    2020年08月26日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

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    割とクズだけど愛おしい男と、儚い時間をそれぞれの愛し方で過ごした女性たちの話。
    ドラマチックな展開はないものの、読みながらじわじわと愛おしさが込み上げてくる感じがした。

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    2020年08月11日
  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)

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    なまめかしいタイトルから、想像していたものと少し違った(それはそれでよいが)。重い、この時期重いのは辛く、星三つになった。
    生(母性も)と性と死を描いてある。話を追うごとに難解になってゆく。
    二つ目の「terra」。また私は川上さんの世界に引きずられてゆく。沢田と対話しているのは、女友達と思っていたら違った。最後に謎が明かされる。死の無念さをこんなにも淡々と語って、いや淡々だから余計にやるせない。
    「死んじゃったな、麻美」
    「つまらないなあ、死ぬと」
    あなたが巻いてくれなくなったので、最後に自分で巻いてみた左手首の紐を確かめようとしたけれど、もう体がないので、できない。
    土に還って二酸化炭素や窒素に分解されて記憶もすっかりなくなって、それからまた何かのかたちをとるかもしれない。でもずいぶんと先のことだ。
    数日尾を引いた。心で号泣した。著者の好きな短編の中でもかなり上位だ。また川上さんにやられた。
    希しくも、これを読んでいたとき、(私の)スマホの通知音が僅かに響いた。好きな俳優さんの訃報を知った。
    二つが繋がり離れられないお話となってしまった。
    最後の二つはまだまだ私には難解すぎて、何度も読み返すが今一つ付いてゆけなかった、もどかしい。
    そう簡単に読み解ける一品じゃないですよね。
    いつも思うが、言葉にならない思いが言語化されている。そういうところ、心奪われる。

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    2020年07月23日
  • これでよろしくて?

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    "日本の男たちはすべからく、妻に「母性」だの「いたわり」だの「包容力」だのを望むものなんだからね。"(p.184)


    "「いい子」になりたいから、嘘をつくのではない。そうではなく、今ここで人生が終わるわけではない、人生はこの先もたぶんしばらくは続いてゆくから、嘘をつくのである。"(p.204)

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    2020年08月07日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

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    ネタバレ

    イケメンで優しくてセックスも上手くて、そして良い声の持ち主、ニシノユキヒコ。
    彼と関係のあった女の人達が、ニシノユキヒコとの思い出やら本人について語るのだが…

    こういう男って、現実にいるよね。ってのが感想。
    生粋の女たらし。めちゃくちゃモテる。
    女の人から別れようって言われると、途端に寂しそうにする。いるわー。笑

    さて。そんなニシノユキヒコだが。
    人を愛するっていうのはどういうことなの?とか、お姉さんのこととかで、彼なりに様々思い悩んでいた。
    読んでいて、何だが掴み所のない男だなと思った。
    自分の欲求に素直に従っているような感じなんだけど、それだけじゃないんだよね。

    読後感は、何か夏の夕暮れを見ているような、爽やかなセンチメンタルさがある。

    彼は結局、自分の居場所を見つけることと、人を本当に愛することは出来なかったんだろうけど、でもそれでよかったのではと思う。ニシノユキヒコってそういう感じの人だった(ただの読者だけど)

    読みやすくてよかった。

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    2020年05月30日
  • 溺レる

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    入り込むと現世から逃れられないような引力がある。誰もが逃げていて、何から逃げているのか、頂点に君臨している者達から逃げているのか。何世紀経っても不老不死で生き続けている夫婦もいるのだから果てがない。どれが自分にとって理想的な逃避行か、探すのも面白いかもしれない。愛欲の故の溺レるというは正にそうで、どの短編でも少なくとも愛情や欲に溺レていた。

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    2020年05月14日
  • 100万分の1回のねこ

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    13人の作家による、
    佐野洋子の絵本「100万回生きたねこ」へのオマージュ

    どの作品も、原作への愛に満ちている
    ひとつだけねこ関係ないのがあったけど(笑)
    あれはあれで面白かったし。

    原作をもういちど読みかえしたくなった。

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    2020年05月02日
  • 七夜物語(下)

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    上・中巻を数年前に読み、下巻の存在をすっかり忘れており
    本棚を整理していて下巻を未読なことに気付く。

    物語の中で出てくるサクランボのクラフティー、
    ちょうど1年前くらいに娘と作った事を思い出す。

    大人になってしまった私には少し退屈だったけれど、
    雰囲気は充分楽しめた。

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    2020年04月27日
  • 光ってみえるもの、あれは

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    なんだかつかみどころのない話ですね。
    本棚に眠っていたので、多分以前にいちど読んだことがあると思うのですが全く記憶にございませんでした。今回再読してみて改めてつかみどころのない話なんだなと思いました。登場人物はそれぞれに魅力的な人たちですが、実際には存在し得ないと思います。

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    2020年04月22日
  • 森へ行きましょう

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     「るつ」という音の名前を持つ複数の女性の生涯を、パラレルワールドのように並行して綴った物語。
     前半は「留津」と「ルツ」という二人が登場し、後半になると「るつ」「流津」「瑠通」「る津」「琉都」などというように徐々に主人公が増える。彼女たちはどのストーリーでも同じ家庭に生まれるが、その家族構成は母の生死、父母の関係性などの点で微妙に異なっている。その小さな枝分かれが、やがて森の木々のように入り組んで、後の人生に大きく差をつけていく。
     「るつ」たちの友人や恋人、同僚は、彼女の人生に登場するタイミングを変えながら、それぞれのストーリーに登場する。すなわち、あるストーリーでは友人だった女性が違うストーリーでは夫の不倫相手で、というようなことが起こる。その中で、夫の俊郎だけはどのストーリーでも夫のままだ。それゆえ、彼との関係性が、全ての「るつ」の人生に最も大きな影響を及ぼしている。
     専業主婦になったり、独身を貫いて仕事に専念したり、どっちにしてもいろいろ悩んだり・・・という内容そのものは割とありがちなように感じたけれど、何よりも、同じ名前の人間を主人公に据えて、その人生を並行して綴っていくという形式の小説は初めてだったので、こんな書き方もあるのか!という驚きが強かった。
     全体を通して滑らかで読みやすい文章の随所に、初めて耳にするような文学的な言い回しや慣用表現が鏤められていて、ときどき辞書を引きながら読んだので、語彙の勉強にもなった。

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    2020年04月17日
  • これでよろしくて?

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    川上弘美さんの長編小説。
    子どものいない主婦が、ある日元カレのお母さんに出会い、「これでよろしくて」同好会に誘われ参加するようになる。
    そこではそれこそ他愛のない日常的な疑問や不満が話し合われる。
    そこで話すこと以外も、主人公の主婦が日常生活の中で日々感じていることや、旦那さんや義理の家族に対し感じている細かい感情が、これでもか、というくらいに吐き出されていて、多くは共感できるものの、ずっと読んでいるとつらくなる。
    最後にどんでん返しがありそうで、ちょっと期待したが、そうでもなく、読み終えて脱力した。

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    2020年04月10日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    恋愛でも偏愛でもなく、変愛。変な愛の短編集。変だけど当人たちにとっては大真面目。
    幻想小説を読んでいるときみたいな、いつの間にか背後にこことは違う世界の気配がぶわっと広がって迷い込んでいくような没頭感を覚える作品が多め。
    一部文章が合わなくて読みづらい作品もあったけれど、そこを乗り越えたらすいすい読めた。
    形見…川上弘美さん
    梯子の上から世界は何度だって生まれ変わる…吉田篤弘さん
    クエルボ…星野智幸さん
    あたりが好み。

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    2020年04月06日
  • いとしい

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    恋愛小説ですがいろいろ奇妙です
    まぁそこが川上弘美ワールドなんでしょうけど

    オトヒコは何者なのか?
    ミドリ子は何者なのか?

    たんたんと読んだって感じです

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    2020年03月20日