川上弘美のレビュー一覧

  • 溺レる

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    別の本に『百年』が紹介されていて、気になったので読んでみました。
    川上さんの作品は初めてです。

    内容に疑問や余白が多く、短編なのに詩みたいだなと思いました。

    サカキさんはどうして死にたくなってしまったのだろう。
    助かって?しまったあとは、どんな気持ちで87歳まで生きたのだろう。

    この物語は、主要な登場人物二人が、既に他界しており、「私」が俯瞰してみている文章になっていて、とても不思議な気持ちになりました。

    この作品を通して、何を伝えたかったのか。余白が多い分、考える甲斐があります。
    肉体はなくなっても、人の想いは一生残り続けるのかなと思いました。

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    2025年06月01日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

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    魔性の男、西野幸彦の
    思春期から事故で死ぬまでの女と恋の遍歴
    10人の女達が語るニシノ君の連作短編
    映画では竹野内豊さんがユキヒコ役だったみたい
    ぴったりなんていうか、ちょっと照れちゃうってような事をさらりと言ったりやったりしちゃう感じのイケメン
    そしておそらく本気の恋ができなかった男子
    紹介文のように果てしなくしょうもない男子
    なんだけど憎めない男子
    川上さんの若い時の作品ですね

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    2025年05月27日
  • 蛇を踏む

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    川上弘美作品を初めて読んだ。
    語りは、南米文学に通じるマジックリアリズム的手法を思わせつつも、感情の余白や語りの間に日本的な静けさが漂っていて独特の読後感があった。

    日常のすぐそばに異界が忍び寄る感覚。怖くもなく、かといって完全に受け入れられるわけでもない違和感が、じわじわと染みてくる不思議な読書体験だった。

    構造や、理屈では無いところで五感に訴えかけるような文章がとても魅力的。

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    2025年05月25日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    ネタバレ

    よく考えられた設定、それに全体を通して不思議な世界観がありました。ディストピアなのに、暖かみもあり。

    連作短編の形を取っているのですが、これにより読者は都度都度、世界設定とキャラクターを把握し直さなければならなくなり、やっと把握し終えると次の話に行ってしまいます。ひたすら説明を聞いてるみたいで読む楽しみがあまり感じられなかったのが残念でした。
    せめて様々な世界を一緒に巡る、共通のキャラクターがいたらもっと楽しめたのかなと思います。

    特に、短編作品の一つである「運命」は、もはや小説というよりもひたすら設定の説明でした…。

    小説なのだから、説明ではなく、その世界で起こることや生きてる人々をき

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    2025年05月18日
  • センセイの鞄

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    ネタバレ

    スラスラ読みやすく、温かい。
    気持ちがくたびれた時に読みたい小説。

    65
    ツキコさん、ワタクシはいつも一緒だと言っているでしょう

    78
    人が生きていくことって、誰かに迷惑をかけることなのね

    96
    ツキコさん。センセイは答えた。わたしの名前だけを、ただ口にした。

    182
    この世の誰も気づかないくらいに、わずかに。しかしわたしは今や、センセイのどんな表情の変化も見逃さないのだ。

    186
    ひどく優しいほほえみ

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    2025年05月16日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    さよと仄田くんの物語が心の成長を描いたものならば、りらと絵くんの物語は体の成長を描いているように思われる。
    だから少し、気持ち悪い。

    時代は移り変わって、物語は少なくなったのかもしれないと思う。
    さよと仄田くんはもともと友達ではなかったけれど、りらと絵くんは友達で、だから着地点も違うわけで。
    でも二人に限らず、恋愛とは違うところでの結びつきがどんどん広がっているようだ。
    麦子と南生が夜の冒険を潜り抜けてきたのかどうかは分からないけれど。
    夜の冒険が結びつけることもあるし、そうではない時もあるかもしれない。
    さよと仄田くんの冒険とその結末は、希有なものだったのかもしれない。

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    2025年05月06日
  • 真鶴

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    1歳児を育てている身としては、娘の百が母からどんどん離れていくこと、娘の言葉に母が疵付けられることがあることが苦しかった。

    セックスエデュケーションの中でも、主人公の母ジーンが「息子に傷つけられる」と話し、それに対してのちに恋人になるヤコブが娘にたいして"hate"という言葉を使っていたので驚いた。思春期に入った子どもたちに親はここまで傷つけられるのか、と思った。
    いまこんなに一緒にいて、くっついて、その柔らかさ温かさを共有してくれる娘が離れていくなんて想像がつかないし、そのとき私がどんな風に感じるかも実感が湧かない(もちろん身が捩れるほど寂しいだろう、とはぼんやりと想像

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    2025年05月01日
  • ゆっくりさよならをとなえる(新潮文庫)

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    川上弘美さん、文庫版の小説はほぼ読んでしまったので、エッセイに手を出す。もうタイトルからして秀逸。ホントは星5つでも良いくらい、でも小説をもっともっともっと読ませてほしいので星3つ。

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    2025年04月20日
  • 機嫌のいい犬

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    2025.4.14
    以前読んだ川上さんの本の言葉が素敵で
    こちらを買ってみた。
    歴史的仮名遣いで俳句作る方なんですね。
    ことばのチョイスもステキです。
    どこが季語なんだろうというのも
    あるのだけど…
    やっぱり、俳句は難しいですね。

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    2025年04月13日
  • 某

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    「彼はひまわりを栽培していました。観賞用のひまわりを品種改良し、市場に流通させました。彼の家の食卓には、いつもそのひまわりが飾られていました。でも彼は本当は、ひまわりがあまり好きではなかったのです。ひまわりを栽培することにも、妻と生活することにも、子どもたちを育てることにも、彼は倦んでいたのです。遠くに行きたいと、彼は切望していました。でも遠くにいくことはかなわない。だから彼は、自分に罰を与えるような気持ちで、必ず毎朝一本のひまわりを畑から切ってきて、食卓に飾ったのです。緑色の硝子の花びんに。」

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    2025年04月09日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    ななつ星にまつわる小説やエッセイ集。ななつ星乗ってみたいけど、一緒に行く人を選びそう。
    糸井重里の”帰るところがあるから旅人になれる”というのは私も昔から思っていたことだから共感できた。

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    2025年04月06日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    ある小さな町の商店街を舞台にした連作短編集。
    平凡といえば平凡と言えるかもしれないが、そこには、現実的で、不揃いで、決して格好の良いものでもないリアルな人生がある。豊かさなのか、不幸なのか。

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    2025年03月25日
  • 三度目の恋

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    人生だったり恋愛だったり、伊勢物語をベースにしながらもそこにちゃんと川上弘美自身の哲学があることがすごい。

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    2025年02月26日
  • 真鶴

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    真鶴に行く理由、ついてくる女⋯
    失踪した夫に思いをはせ、女と会話をするが礼のことは、曖昧で⋯
    最後は希望の光が差したかのようで終わりは良かった。

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    2025年02月22日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

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    味わったことのない読後感。
    現実と狂った世界を行き来してるような不思議な気持ちになった。
    続きが気になるとかではないけど「もうちょっと読んでみたいかも」という気持ちが最後まで続いた。

    人々の会話の中の抜け感や、『間』が心地よい。
    それぞれの生死観で、それぞれの人の愛し方がある。
    『この感覚っておかしいのかな?』というような個々にしか発生し得ないような気持ちを丸ごと受け止めてくれる作品です。

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    2025年02月16日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    達観した小学生男女のやり取りや、周りの大人の人間関係が、小学生たちの目線で書かれている本作は、日常系なのに不思議な出来事も絡み合って、頭の中で光景を浮かべながら読んでいた。

    終始、何かが始まって終わるわけでもない、不思議感じだった。

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    2025年02月10日
  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

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    暑いを集めて、発電などに利用できないかという話が面白かった。少し前に、子供が騒音を集めてエネルギーに変えられないかという話をしていたので。
    それから、子供がオクラごっこをしようと言ってきた話も面白かった。

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    2025年02月05日
  • 溺レる

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    2025年6冊目『溺レる』(川上弘美 著、2002年9月、文藝春秋)
    愛欲に溺れる男女の道行きを描く8つの物語が収められた短編集。
    性表現は多いが、その背後に執着心のようなものは感じられない。また、短編は全て一人称小説なのだが、いずれの語り手も物事を俯瞰的に観測している。
    本作の文体は軽やかで瑞々しく、登場人物たちのまぐわいは時として生々しいが、この著者と物語の距離感が、作品に乾いた寂寥感と儚さを生み出している様に思う。

    〈ここはいったいどこなのだろうと不思議に思いながら、モウリさんに身を寄せていた〉

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    2025年01月27日
  • これでよろしくて?

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    ネタバレ

    他人。血が繋がらない家族。義理の◯◯。人間が集まって暮らすってなんて大変なんだろう。人から評価されたり比べられることが苦手なわたしは、なるべく遠くに結婚を追いやってのんびりと生きている。

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    2025年01月25日
  • 王将の前で待つてて

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    すっかりベテラン作家だと思っていたのですが、デビューの頃の俳句もあって、解説を読んで初々しさを感じました。

    この俳句、上手く言えないけれど小説と似ている気がします、とっても良い意味で。
    声に出して読んでました、なぜかとても心地よく。

    数読の俳句、行き詰まり感に共感。

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    2025年01月17日