川上弘美のレビュー一覧
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ネタバレいつだって家族の中心にいたママが
病気になって死んでいくまでと、
都が本当に愛していた人は、弟の陵だったこと。
時々尋ねてきてくれる武治さんのこと。
パパは本当のパパではなくて、
ママの兄だったこと。
互いを思い合う姉と弟。
その思いは恋を超えている何か。
p39ママが
都たちが子供の頃の話をしているとき
当時は理解できなかったけれど、なんとなくママがわざとふざけているようにわたしは感じられた。
後年、ママは、子供を育てるなんてこと、不真面目にでもやらなきゃ、たまらない苦行だわよって打ち明けて
じゃあ、わたしや陵を育てるのも苦行だったのかと都が聞けば
いいえ、苦行じゃなかったわ。だっ -
Posted by ブクログ
ご当地ソングというのがあるが、ご当地小説も興味あるもので。
川上弘美『真鶴』
まさにそう、ご当地小説である。川上弘美氏(96年115回芥川賞)という作家も初だから興味があり、さらに地名にも反応して文庫版化なったのでさっそく読んだ。
「代表作」と帯にあるから芥川賞の『蛇を踏む』や他の作品を読んでいなくても、この方の雰囲気が解かるのか?そうだとすると、幽玄的な幻想の場面が色濃く深層心理に迫る、それでいてふんわり感がただよう作風だ。
ストーリーは失踪した夫を探して「東京」と「真鶴」往還して半島を彷徨う主人公の物語り。失踪した夫が「真鶴」と手帳に書き残したのが唯一の手がかりだったから。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ留津とルツという女性のそれぞれの人生が比較するように書かれていて、
これは、一人の女性のパラレルワールド・・
この本を借りたときには、登場人物が森へ行くのかな‥と思っていたのですが、
一人の女性の生まれてから60歳までの人生を(男女、特に夫婦がテーマかな?)
淡々と読み進めていくうちに人生は、森を歩くようなもの・・という言葉で、やっと気が付きました。
森に入っていくときは、1本道だけど、目の前には幾本の道が伸びていて、どこへ向かって歩いていくか、その道がどうだったかなんて、その時はわからなくて、
歩いて行ってみて、振り返り、あれこれと考えあぐねるもの。
小説は、ほとんどが40代半ばまでにページ