川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
江國香織さんの「夕涼み」と綿谷りささんの「青春リグレット」が読みたくて手に取った。夕涼みは、夫の行動にゾッとしたし、私だったらそんなズレた夫とは一緒にいられないと思った。「逃げたかったわけではない、が、逃げられないと思わされることは恐怖だった。竦むような、恐怖だった。」という言葉に共感。誰かに自分の選択肢を奪われたり、縛られたり、自分で自分を決められないことを、人は恐怖と感じるんだなと思った。そして誰にもその出来事は話せないことも、夫を含む周りにはいつまでも愛し合っている夫婦だと思われていることも、自分だけがこのザワザワした気持ちに気づかないふりをしていればいいんだと感じるのもわかる。老女たちの夕涼みを今になって理解できるようになってしまったことも、それを見て単に奇妙だと思うだけだった過去を無敵だったと表現したことも、妹にはそんな日が来ないでずっと幸せでいてほしいと思う姉の気持ちも、切なかった。
「青春リグレット」は、自分の何がそんなに好きかわからないくらいに愛してくれた人を、自分は愛せなかったことを夫に離婚を切り出された時に思い出す。愛される恋愛がどれだけ幸せだったか、それはその時には理解できなかったのだから仕方ないし、後悔しないでほしいなと思った。後になって気づくものってある、もう取り返しはつかないけれど。彼との時間を俯瞰で冷めた目でみてしまうところ、古傷が痛んだ。愛の重さは同じくらいがいい。 -
Posted by ブクログ
つかめそうで、つかめない。それが心地良いと思う。
現実と非現実の間を描くのが本当に巧みだと感じる。
どちらかと言えば、今までも、これからも、この短編に出てくるような不思議なことが、私に起きることはないだろうけど、似たようなやりとりはするんだろうなっていう、身近な感じというか、親近感がある。
川上弘美さんの作品は、いつも夢の中みたいで、目が覚めたら夢のことなんか忘れてしまうみたいに、読み終わったら詳細に思い出せない。でも、夢で見た一場面とか、言葉とか、小さな要素は頭の片隅にちゃんと保管されていて、ふとした時に思い出す。これを思い出したときがまた不思議な感覚になって、読んで良かったなあとしみじみ思う。
表題作は、まさかのディストピアで面白かった。こういう世界も書く人だったのか!
私もどこかでカウンター機を見つけたら、物語の2人みたいに持ち歩いてカウントしたいなと思った。
個人的に、解説の壇蜜さんの文章が面白くてとても好みで、壇蜜さんの本も読んでみたいなと思った。解説も読む価値大アリです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大学で学んだのが生物で、その後理科の教師をやっていたという経歴に驚いた。知らなかった……。
本の話が非常に多かったのが興味深かった。本を読んでいる日々、こちらもニコニコしてしまう。私も読みたくていくつかメモした。
そしてこのエッセイ自体もまるで小説のようで終始素敵だった。どんな感情を持ったのだろうと想像させてくれる余白があった。特に、どのエッセイも最初の一文が良くて、そこでグッと掴まれる。
淡々と穏やかに綴られた日々をただ読んでいくのは幸せで、だんだん心が落ち着いてくる。サッパリしていてやわらかく、私にとって安心できるエッセイだった。