川上弘美のレビュー一覧
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幸せなのにさみしい。
主人公の多くの「私」には名前が出てこない。それがよけいに自分に語られ、問いかけられているようだった。
心のままの感情を持ってしまうことへの辛さ、心細さとか、人との絡まる感情は、どうにも消化できない。
多くは「ままならぬ関係」だったりするが、それでもふふっと笑えたり、不確かなものだって存在するんだと、人の心の儚さが、ずしっと刺さった。
無機質でお人形さんみたいに感じる登場人物…そういう、ゆめうつつのところが、それはそれで好きなんだと思う。笹蒲鉾を持ってタマヨさんに会いに行った「私」は、私でもあった。空想の中で会いたい人に会いに行く、つい移入してしまう。
「夜の子供」「冷た -
Posted by ブクログ
読者開始日:2021年12月25日
読書終了日:2021年12月28日
所感
【蛇を踏む】
不思議な作品だった。
ニシ子、願信寺坊主、サナダ、家に蛇が住み着いた3名の日々は、それ以前まで不満、もしくは退屈を抱えていたのだろうか。
そうすると見えてくる蛇の正体。
「カリギュラ効果」だと思う。
ダメだと言われる、怖いと思うほど、やってみたい、見てみたいと思う裏腹な心。
どんな人にでも経験があると思う。
坊主はよくわからないが、サナダは退屈な毎日、ニシ子は満たされない心を抱えていて、蛇を自ら作り出したと言ってもいい。
存在を無くしたい、極端になりたい、蕩けたい、堕落したい。
でも心の底では堕ちたくな -
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Posted by ブクログ
あなたは、高校時代の先生の名前を覚えているでしょうか?
人間は群れで生きる生き物であり、日々誰かしら新しい人と出会い、その名前を記憶していくことを繰り返していきます。そんなことはないと思われるかもしれませんが、あなたは無意識のうちにテレビのニュース報道や、ネットのSNSを通じて日々新しい人たちと出会っているはずです。一方で私たちの記憶容量には限界があります。関係しなくなった人の名前は自然と忘れていくものです。それは、かつて恩師として私たちにいろいろな知識を授けてくれた学校の先生も同じことです。担任はまだしも、ましてや特定科目の先生の名前まで記憶し続けるのは容易ではありません。しかし、世の中は