川上弘美のレビュー一覧

  • 某

    Posted by ブクログ

    不思議な小説だった。SFのような哲学のような。結局よくわからないまま終わった事柄もいくつかある。余韻を味わう感じの物語。

    "誰でもない者"という、見た目は人間そっくりの生命体が老若男女・国籍問わず姿かたちを変化させながら日々を過ごしていく。前の姿での記憶ははっきりととは限らないが受け継がれる。そうして何人かの人間への擬態を経て、しだいに愛着や家族、共感といった感覚を身につけていく様子は、一人の人間が赤ちゃんから大人へと成長していくのと似ている。

    個人的には前半までが物語のピーク半分過ぎたあたりからは失速した感じ。にしても展開が読めないし、"誰でもない者&quo

    0
    2025年06月06日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    タイトルと表紙のインパクトにつられて買った。

    最初はなんだかふわっとして不思議な世界観が今までには読んだことのない感じで、好きなタイプの本じゃないかもと思った。でも読んでるうちに、これは理解するとか共感するとかではなく、雰囲気を楽しむ、身構えずに私もふわっと読むと楽しめることに気づいた。
    「逆行サークル」の話は年齢が近いこともあり、どちらかというと共感だったかも。

    印象的な言葉が多く、おもしろい設定なんだけど全体的にきれいなお話が詰まっている。

    0
    2025年06月04日
  • 東京日記4 不良になりました。

    Posted by ブクログ

    ありそうで、なさそうな。なさそうで、ありそうな。
    でも実際には気付かず素通りしていそうなエピソードの数々。
    別次元の話ではないのに、なんだか不思議な情景に思えるのも、また不思議。

    0
    2025年05月28日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    人為的に作られた環境で人はどう生きていくのか。繋がりがあるようなないような集落が衰退したり生命維持方法が進化したりするディストピア。

    時系列を理解するのにちょっと苦労しましたがそれもまたこの作品の良さなのかと感じました。

    SFをこのタッチで表現できる稀有な作家さん。2回読んでもまだまだ理解できないけど素晴らしい魅力を持った作品です。

    2025年の国際ブッカー賞最終候補ノミネート作品。こちらは 残念ながら受賞には至りませんでしたが受賞作のBanu Mushtaqさんの『Heart Lamp』もできれば読んでみたいです。

    0
    2025年05月27日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

    Posted by ブクログ

    人間の行く末の話
    静寂に包まれた空間で大きな母に語られ
    人類滅亡を理解する
    わたしたちは変わらなかった
    愛し合い憎しみ合い争い合い何回も繰り返しても同じで何十万年も

    だけど世界はゆっくりと循環する
    変化を伴った形で生み出され
    葬られ
    分解され
    そしてまた世界に還元される

    国際ブッカー賞逃したことを残念に思う。

    0
    2025年05月27日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ある小さな商店街にすむ人たちの日々。

    ただ誰かと知り合うだけで、ただ誰かとすれちがうだけで、ただそこにいるだけで、ただ息をするだけで、何かを決め続けてきたのだ。

    幸せになったり、不幸せになったり。
    生きている限り、新しいことは起こる。

    0
    2025年05月22日
  • 神様

    Posted by ブクログ

    教材研究のため、表題作の「神様」だけ読んだ。
    語り手の「わたし」は、たまたま三つ隣の部屋に引っ越してきた「くま」から、近所の河原までハイキングに誘われる。「くま」は、川で取った魚を干物にして、「わたし」にプレゼントし、別れ際に親しい者同士で行う故郷の習慣だと言って抱擁を交わした。「わたし」は、そんな「くま」と過ごした一日を「悪くない一日だった」と思う。

    「わたし」と「くま」の間には、「くま」が「わたし」の父のまたいとこにあたる人物にかつてお世話になったという関係があった。「わたし」にとってその関係は、「あるか無しかわからぬような繋がり」だったが、「くま」はその関係を「縁(えにし)」というやや

    0
    2025年05月13日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

    Posted by ブクログ

    切ない。はっきりしない。ゴールが見えない。もやもや。
    そんな雰囲気がかえって心地よい小説。
    早朝の霧がかった、しんと静かな湿った道路を歩く時のあの気持ち。心の真ん中にぽっかりとあく孤独の穴。これを生涯抱えて生きることに呆然とする一方で、どこか満たされているようにも感じる不思議。
    Reading through the entire book what we got at the very last was just “魂が「するっと近くに寄った気がした」”。What sort of purity is that.
    でも何よりも心強い一言。老いてなお誰かとそんな関係性を、何よりその感性を持てるの

    0
    2025年05月11日
  • これでよろしくて?

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     川上弘美さん・・・(申し訳ないのですが)聞いたことはある・・くらいで、よく知らない作家さんでしたが、芥川賞を取ったこともある作家さんなのですね。
     お義母さんとの言葉にできない感情のやりとり、お義母さんと義妹、お義母さんと義弟のお嫁さんとの関係を見る目など実に繊細。そればかりを考えているとおかしくなりそうだが、ちょっと年上の利害関係のないお姉さまたちに話を聞いてもらったり、いろんな事件を経ると関係が少しずつ変わっていくことに気づく。
     わが身を振り返っても、昔けむたくて仕方なかった人たちも30年たつと亡くなったり、元気がなくなったり・・病気になるほど悩むことなんてなかったんだなと今にして思う

    0
    2025年05月05日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

    Posted by ブクログ

    「七夜物語」の続編。
    大人になったさよと仄田くんに出会えた!
    大人になった仄田くんは小学生の頃よりしっかりしたなぁ。大人になったのね、仄田くん!と思いました。
    夜の世界のことを覚えていないさよと仄田くんが悲しかった。
    2人の子供である絵とりら。それぞれの親の性質を受け継いでいる感じがしました。

    0
    2025年05月04日
  • 七夜物語(下)

    Posted by ブクログ

    敵はいつも自分自身だ。
    どうか戦わないで、と願う。話し合いで解決できない相手でも、どうか戦わないで。
    話し合うのでも、戦うのでもない、三つ目の選択肢があればいいのに。
    人間はいつもどっちつかずで、ゆらゆらしていて、あいまいだ。
    そのあいまいさは、人間の良いところでもあり、悪いところでもあり。
    夜が明けたら、もう現実は今までと同じではない。
    たとえ覚えていなくて、新しい物語を体の底に沈めて、もう同じ自分ではいられない。同じ自分であるはずがない。
    物語を読むとは、そういうことなのだ。

    0
    2025年04月26日
  • 七夜物語(中)

    Posted by ブクログ

    現実と夜の世界は混じり合い、パラレルワールドのように重なって、時間と空間を越えてすべてが同時に存在している。
    最初の夜に、グリクレルの台所で遭遇したミエルは、さよと仄田くんでもあったのだろう。
    グリクレルが作っていたたくさんの料理は、さよと仄田くんのためでもあったのかもしれない。
    夜の世界は現実とは違うけれど、違うことを経験することで見えてくる現実もある。
    それは、見たくない現実かもしれない。
    さよと仄田くんはちっぽけなただの小学四年生で、でもこの夜の世界では、イキモノの代表にもなる。
    ゆらゆらと右往左往するばかりであっても、物語は進んでいく。

    0
    2025年04月26日
  • センセイの鞄(谷口ジローコレクション) : 2

    Posted by ブクログ

    何度も何度も読み返すくらい原作の空気が大好きなんだけど、漫画になってもその空気が見事に再現&引き継がれててびっくり。

    あの作品のコミカライズを谷口ジローさんに依頼しようと思った人、すごいと思った。
    なんというか作風がめちゃくちゃ噛み合ってるんだよな。

    0
    2025年04月22日
  • 七夜物語(上)

    Posted by ブクログ

    さよと仄田くんの、二つの夜の冒険。

    本の中と現実は違う。
    二人はそれぞれ本の中に逃げながら、現実を生きている。
    でも、本の中がやり直しのきかない危険な場所だったら。

    0
    2025年04月12日
  • 水声

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    水、と、鳥。崩壊と変化を、モチーフにのせて描いている。崩壊は「死」も含む、ただ変化しているようで、根本は変化していないのかも。
    肌を重ねる様子を、太刀魚に譬えて描くだろうか…言葉がきれいで驚いた。

    0
    2025年03月30日
  • これでよろしくて?

    Posted by ブクログ

    【2025年39冊目】
    専業主婦の菜月は、いつもの決まりきった買い物道で元彼の母親である土井母に出会う。「これでよろしくて? 同好会」なるものに誘われ、戸惑う菜月だったが、思い切って参加してみるとそこは年齢が様々な女の集まる語り場だった。

    劇的なことが起こるわけではありません。殺人が起こるわけでもないし、不幸のどん底に叩き落とされるわけでもない。けれど、日々生活をする中で誰もが感じている感情の揺らめきを、見事に描き切っています。

    夫との距離感、姑との距離感、義妹の他愛ない一言、相違する価値観、異なる習慣、他人と関わる上で「おや?」と思って、燻ってしまう感情。主人公の菜月の戸惑いを、同じよう

    0
    2025年03月29日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    大聖堂
    不動産屋 1匹だけ動物飼うという設定
    面白い なかなかない
    1号室のカーブァーさん じつはキレイな人

    ずっと雨が降っていたような気がしたけれど
    普通でない、変わった、その人しかないもの
    女性ってひかれる?
    同じものを2つ買う主人公
    好きな男の人のスペアもほしいという
    世界に二人といない珍しい男になりたいというのに惹かれた
    光月と出会って、スペアのことを考えることやめた

    二人でお茶を
    トーコさんはっきり発言していて、自分の素直な気持ちそのまま言えてる。純粋、うらやましいとも思ってしまった。
    なんだかんだ、トーコさんとミワさんがニコイチで息が合ってるのかな

    銀座 午後2時 歌舞伎座あ

    0
    2025年03月20日
  • 猫を拾いに(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    短編小説を好きになったのは川上弘美のおかげ
    これより短いと素通りしてしまうし、これ以上長いと取り込まれてしまう、そういう絶妙な距離感にある異世界(それも、日常と限りなく地続きな)の数々を、今作でも沢山味わえた

    0
    2025年03月19日
  • 王将の前で待つてて

    Posted by ブクログ

    一作目で好きになり続けての2冊目。
    近年のものに含め、一年毎に一句選び評がついている付録付き。
    前回の生活の一部を川上風にはあるものの、なんだか不穏さを滲ませるものまであって物語の始まりや転換部を読んでいるような印象。
    連作?や見たことある型のものもありより生活感が増した印象。
    命というものを歪にした時に、楽しんでいる風もあり突き放した感じもある?

    0
    2025年03月17日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

    Posted by ブクログ

    七夜物語と続編。
    リンクしているけど
    そこまでファンタジーではなく。

    みんなのその後が知れて良かった!

    0
    2025年03月16日