川上弘美のレビュー一覧
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2011年3月11日に東日本大震災が起こり、川上弘美は3月中にこの小説を書き、自ら出版社に持ち込んだ。掲載されたのは「群像」2011年6月号だから、5月初旬発売で原稿の締切はおよそ4月20日あたり。刊行された小説として福島の原発事故をとりあげた最も早いもののひとつだった。本書にはこの時に発表された「神様 2011」の前に「神様」というタイトルの短編がおさめられている。並置されていると言うのが正しい。ぼくは2012年になったくらいか、当時勤めていた会社の同僚女性に本書を、短いし読みやすいだろうなと考えて、貸した。神戸の出身で阪神淡路大震災を経験していて、東日本大震災のすぐあとに東京へ引っ越して
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「好きな本があるよ、いい本があるよ、みんなもよかったら読んでね!」という、あとがきにあった川上弘美さんの声がたくさん聞こえてきた、面白い書評集でした。
好きな人がおすすめとして語ってくださるのを聞くのは楽しいです。小川洋子さんしかり、この川上弘美さんしかり。読み友さんたちも勿論。
どれもこれも面白そう…と思いましたが、今すぐにでも、と思ったのは、「むずかしい愛」、ジム・クレイス「死んでいる」、ジャネット・ウィンターソン「オレンジだけが果物じゃない」、倉橋由美子「老人のための残酷童話」、町田康「告白」、古井由吉「辻」、酒井順子「枕草子REMIX」、久世光彦「謎の母」です。
心に残った一文は「(中 -
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面白かったです。
あわあわとした、姉と弟の日々。
パパ、ママ、そして姉である主人公の都と、弟の陵。別々に立っているようで、とても濃密に絡まっていました。
戦中戦後や昭和の事件、昭和天皇の崩御、そして地下鉄サリン事件や地震も出てきて、姉弟のこれまでの時間の経過が描かれるのが印象的でした。降りたいときに降りることは、できない。でも、降りたくないときに降ろさせられる。生きるって難儀です。
好きだった、という告白はとても残酷で甘美な気がします。姉弟というものは思ったよりも近いかもしれません。
不思議と嫌悪感は全くありませんでした。
あわあわと、ぼやぼやと過ぎて行きました。 -
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ネタバレ川上さんお得意の、女達の恋の短編集はやっぱりいいな。
ちょっと風変わりな困ったちゃん達の恋愛模様にニンマリしたりアハハと笑ったり。
友人が思わずつぶやいたセリフ「まったくもう、困った、でもいい人だねこの人は」にも激しく同意。
不倫相手の元恋人に憑かてる内に仲良くなったり、論理的思考を持っているのに鈍感だったり。
みんな呑気でおおらかで。
愛すべき困ったちゃん達の逞しさに元気をもらった。
大人のしっとりと湿り気のある恋愛物も良かった。
「俺150年生きることにした。そのくらい生きていればさ、あなたといつも一緒にいられる機会もくるだろうしさ」
別れ際にそう言った彼。
途方もない年数は叶うわけはな -
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面白かったです。
川上弘美さんは、不思議でおかしなうそばなしも好きなのですが、恋愛小説も悲しいおかしみがあって好きです。
川上弘美さんの恋愛小説は、寄る辺ない、という気持ちになります。
ちょっと人寂しくなる感じ。
この小説は、他の作家さんが書かれるともしかしたらすごくドロドロしたものになりそうなのですが、川上弘美さんはどこまでも静かでした。
終盤の幸夫の、「瞬間なのだ。憎しみも、愛着も、よろこびも、哀しみも。離れてしまえば薄い。薄くなる。」というのはすごくすとんと心に落ちました。
物語の中で、登場人物たちが「どうしてここにいるんだろう」と思うのが何度も出てくるのですが、わたしもわからないな、と -
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ネタバレ恋っていう名前のものじゃなかった。でも、知らんふりは、できないものだった。
知らんふりできなかった想いは「あたし」の中に確かにずっと残ってる。
雑誌『クウネル』に連載された22の短編集第2弾。
今回も様々な「あたし」達の揺れ動く想いに、私の気持ちも揺さぶられっぱなし。
第1弾から続く修三ちゃんとアン子の親友コンビに加え、初登場の誠子さんと山口さんコンビもとてもいい。
この二組は長編にしてほしい。
この他印象的だったのは『海石』。川上さんの不思議ワールド全開の話で初っぱなからやられた。
どうして「陸のいきもの」は相手を好きになると混じり合わないようにしてしまうのだろう。
「海のいきもの」のよ -
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ネタバレ雑誌『クウネル』に連載された23話の短編集。
改めて思う。私、このシリーズ好きだな、と。
どの話も可愛くてほのぼのしていてラストはちょっといい気分になれて、このままずっと読んでいたくなる。
『オルゴール』の主人公のつぶやき「やっぱり、恋をしたいな」に象徴されるように、様々な恋の話が繰り広げられる。
中でも『コーヒーメーカー』『山羊のいる草原』の修三ちゃんとアン子の二人のやり取りは大好き。前回読んだ『猫を拾いに』(シリーズ第3弾)で出てきたおかまの修三ちゃんは第1弾から出てたんだね。
恋人とうまくいかずうじうじ悩むアン子に向かってバッサリ言いきる修三ちゃん、私も叱って!
『春の絵』の小学4年 -
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ネタバレいいなぁ。
川上さんのこの世界観はクセになりそう。
ふわふわして優しくて。
川上さんの夢日記が元になった物語。
川上さんの紡ぐ「うそばなし」は現実離れしているのにとても自然体で、読んでいてすんなり受け止められるから不思議。
「解説」の南伸坊さん曰く「奇妙で、トボけていて、ヘンなんだけれども、とてもホントウらしいところが魅力」
まるで夢の中にいるかのような安らかさ。
思わず微笑んでしまう位、おおらかに気持ちのいい読書を楽しめた。
おどおどして転ぶばかりじゃ人生渡っていけない、とわたしは心に期した。「好き好き大好き」と叫ぶなり、わたしは恋人にローキックを浴びせかけた。ーーこのフレーズが好きすぎ