川上弘美のレビュー一覧

  • 七夜物語(下)

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    とても良い世界でした。面白かったです。
    優しい語り口と、童話のようなストーリーの中に、立ち止まって考えてしまうような言葉がすっと入ってきます。
    完璧に見えるものはほんとうは完璧じゃない。
    夜の世界から帰ってきたさよと仄田くんは成長したのだと思います。ふたりのその後はもう重ならないのかな。
    少し寂しさも感じる、けれども良い物語を読みました。

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    2018年08月16日
  • 夜の公園

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    ゴーヤチャンプルーを作った翌日にたまたま手にとって読んでしまった。ゴーヤ炒めをスパムで作るとか通ではないか。
    しまった、ゴーヤ料理するたびこの物語を思い出してしまうよ。

    それぞれの配役、ドラマにするとしたら誰かな。
    春名は黒木メイサ、リリは比嘉愛未?う~ん、どうでしょう。

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    2018年09月07日
  • 夜の公園

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    面白かったです。
    川上弘美さんは、不思議でおかしなうそばなしも好きなのですが、恋愛小説も悲しいおかしみがあって好きです。
    川上弘美さんの恋愛小説は、寄る辺ない、という気持ちになります。
    ちょっと人寂しくなる感じ。
    この小説は、他の作家さんが書かれるともしかしたらすごくドロドロしたものになりそうなのですが、川上弘美さんはどこまでも静かでした。
    終盤の幸夫の、「瞬間なのだ。憎しみも、愛着も、よろこびも、哀しみも。離れてしまえば薄い。薄くなる。」というのはすごくすとんと心に落ちました。
    物語の中で、登場人物たちが「どうしてここにいるんだろう」と思うのが何度も出てくるのですが、わたしもわからないな、と

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    2018年07月08日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    ネタバレ

    恋っていう名前のものじゃなかった。でも、知らんふりは、できないものだった。
    知らんふりできなかった想いは「あたし」の中に確かにずっと残ってる。

    雑誌『クウネル』に連載された22の短編集第2弾。
    今回も様々な「あたし」達の揺れ動く想いに、私の気持ちも揺さぶられっぱなし。
    第1弾から続く修三ちゃんとアン子の親友コンビに加え、初登場の誠子さんと山口さんコンビもとてもいい。
    この二組は長編にしてほしい。

    この他印象的だったのは『海石』。川上さんの不思議ワールド全開の話で初っぱなからやられた。
    どうして「陸のいきもの」は相手を好きになると混じり合わないようにしてしまうのだろう。
    「海のいきもの」のよ

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    2018年07月06日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    ネタバレ

    雑誌『クウネル』に連載された23話の短編集。
    改めて思う。私、このシリーズ好きだな、と。
    どの話も可愛くてほのぼのしていてラストはちょっといい気分になれて、このままずっと読んでいたくなる。

    『オルゴール』の主人公のつぶやき「やっぱり、恋をしたいな」に象徴されるように、様々な恋の話が繰り広げられる。
    中でも『コーヒーメーカー』『山羊のいる草原』の修三ちゃんとアン子の二人のやり取りは大好き。前回読んだ『猫を拾いに』(シリーズ第3弾)で出てきたおかまの修三ちゃんは第1弾から出てたんだね。
    恋人とうまくいかずうじうじ悩むアン子に向かってバッサリ言いきる修三ちゃん、私も叱って!

    『春の絵』の小学4年

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    2018年07月05日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    好き、恋、愛、いろいろあるなかで、楽しくて桃色なことばかりじゃなくて、それこそ心が「ざらざら」することは少なからずあって。
    失恋とか今までの関係が変わっていってしまうやるせなさの中にいるときに、しっとりと読んだら、ざらざらした気持ちが少しは落ち着きそうな、そんな本。

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    2018年06月22日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    面白かったです。「ざらざら」に引き続きとても好きな世界でした。
    恋ってままならないけど、良いものです。
    「結婚てうまくできそうにない」と、修三ちゃん好きだ、は今も変わらず思うことです。
    ケチャップごはん、わたしもやってみよう。
    ふわふわ読みましたが、ずっと浸っていたい世界です。
    とても心地好いです。

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    2018年06月12日
  • 椰子・椰子(新潮文庫)

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    ネタバレ

    いいなぁ。
    川上さんのこの世界観はクセになりそう。
    ふわふわして優しくて。

    川上さんの夢日記が元になった物語。
    川上さんの紡ぐ「うそばなし」は現実離れしているのにとても自然体で、読んでいてすんなり受け止められるから不思議。
    「解説」の南伸坊さん曰く「奇妙で、トボけていて、ヘンなんだけれども、とてもホントウらしいところが魅力」
    まるで夢の中にいるかのような安らかさ。
    思わず微笑んでしまう位、おおらかに気持ちのいい読書を楽しめた。

    おどおどして転ぶばかりじゃ人生渡っていけない、とわたしは心に期した。「好き好き大好き」と叫ぶなり、わたしは恋人にローキックを浴びせかけた。ーーこのフレーズが好きすぎ

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    2018年06月01日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    はしばみ色ってどんな色だろうって調べたし、やっぱり胸ばっかり見られたら嫌かなぁ、とも考えた。
    高い波はこない。でもずっと、気持ちよく揺蕩っていられる。
    そんな川上さんの本が、好きです。

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    2018年04月15日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    この小さなお話たちの漂わせる空気がとても好きです。
    ふわふわと、しんみりと、恋したり恋を失ったり、それでも生活したり。あんなに愛したのに、今では少しも心を動かされない相手、わたしにも居るなぁと、わたしもしんみりしました。
    まるで、誰かの話を隣で聞いているようです。
    おかまの修三ちゃんがやっぱりとても好きで、わたしもこんな友だちに出会いたいです。
    綺麗な青に卵の、かわいい表紙も好きです。

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    2018年04月04日
  • なんとなくな日々(新潮文庫)

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    とても楽しく読みました。
    「なんとなくな日々」というタイトルがぴったりな、川上弘美さんのなんとなくな日常。素敵なタイトルです。
    なんとなくでも、くすっと笑ってしまう日々です。
    こちらも、ふらっと旅に出たい気分になりました。
    川上弘美さんの世界も心地好くて好きです。心が穏やかになりました。

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    2018年02月23日
  • ゆっくりさよならをとなえる(新潮文庫)

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    とても好きな空気です。
    たくさんの本のこと、と、まごまごした感じ、が、心地よいです。平らかな気持ちになりました。
    魚喃キリコさんや小川洋子さんの本を読まれていたりするのも嬉しいところです。
    居酒屋さんや本屋さんにも行きたくなります。
    読みたい本も増えます。良かった。

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    2017年12月22日
  • センセイの鞄

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    ネタバレ

    年齢のせいにしないで、ツキコさんとちゃんと恋愛してくれて良かった。
    好きか嫌いかには、好きか嫌いかで答えてほしいから。
    毎晩少しずつ読むのが楽しみだった。
    最後は号泣した。
    それだけ、もだもだしながら、私もセンセイとの思い出を積み上げているような気になっていたのだと思う。

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    2017年12月16日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

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    ずっと、同じでなんていられないんだなぁ。
    どんなに居心地がよくても、同じところに同じようにはいられない。
    悲しいなぁ。寂しい。
    そしてまた、昔みたいに、って思っても、それはたぶんできないことなんだ。

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    2017年12月07日
  • おめでとう(新潮文庫)

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    再読でも、とても寂しくて好きです。
    記憶をなくし続ける物語の次に、忘れないでいようというこの物語を読んだのでなんだかそれが印象的でした。
    なんと表現していいかわからないくらい、ふわふわととりとめない空気ですが、それでもこれは恋愛なのかもしれません。レンアイ、と片仮名にしてしまう方がぴったりかも。
    どのお話も寂しくて好きなのですが、ラストの「おめでとう」が一番好きです。再読して初めて、「西暦三千年一月一日のわたしたちへ」と書いてあることに気付きました。滅びを感じさせる世界観が素敵です。
    昔、好きだった人に差し入れとして渡したことがあります。読んでくださったかはわかりませんが。
    わかりやすいのは「

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    2017年12月05日
  • おめでとう(新潮文庫)

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    ☆5つは付け過ぎなんですけどね、色々と考えるネタを貰った作品なので、ちょっとサービスです。
    川上さんは多彩な作品を書く人のようですが、この短編集でも幾つかのパターンが出て来ます。
    「センセイの鞄」を思わせるちょっと不思議な主人公の恋愛を描く「天上大風」、「蛇を踏む」のようにファンタジックで寓意的な「運命の恋人」、そして男女の一場面を見事に描く「川」など。それぞれが見事だと思います。
    しかしいずれにしても、緩やかにうねり、決して白波の立つことの無い瀬戸内の海のような、どこかゆったりした流れがこの人の持ち味という気がします。

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    2017年10月30日
  • 椰子・椰子(新潮文庫)

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    再読です。読んでいると、へんてこな世界がかわいくて面白くて、心が立ち直ってぽかぽかしてきます。なにがあっても不思議じゃないなぁと、おおらかな気持ちになりました。不思議なのですが、今いる世界と地続きな気がします。恋したり、失って蛸を煮たり。この川上ワールドも大好きでした。

    「オランダ水牛」のラストで、「好き好き大好き」と言いながら、恋人にローキックを浴びせるなんて、戸川純かな…とちょっと思いました。

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    2017年10月17日
  • 神様 2011

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    著者のデビュー作。
    くまと私が散歩するファンタジー。
    熊の神様が印象的。

    微笑ましくて、クスッと笑えるストーリー。
    気軽に何度でも読み返したくなる本。

    非日常体験よりも、
    日常でちょっと楽しかったことを重ねていく方が
    安心して幸せな気持ちでいられる。


    今回、新たに作品が加えられているのだが、
    (タイトル神様のあとに2011が追記されているように)
    原発事故後を時間軸に置かれている。

    同じ登場人物、同じ場所、同じシチュエーション。

    けれども日常そのものが変わってしまった。

    著者のあとがきが印象的。
    「日常は続いてゆく、
    けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう

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    2017年08月04日
  • 女性作家が選ぶ太宰治

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    読んだことのある作品もそうでない作品もあったけれど全体を通して楽しかった。
    やっぱり太宰治が好きだなぁと。

    女生徒、恥は読んだことのあった作品。好きな作品は何度読んでも楽しめるし、何度だって読みたくなる。
    そのうちまた読みたい。

    古典風、秋風記。今回初めて読んだ作品の中ではこの2篇が私の中でベスト。2度、3度と読み込んでいきたい。

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    2017年07月13日
  • ハヅキさんのこと

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    書き始めの一行から、何気ないちょっとした生活の中に入って、淡々とした物語が始まる。
    すっと終わりがくるけど、その余韻がたまらない。
    作品の中では「琺瑯」「浮く」「森」が好き。

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    2017年06月17日