川上弘美のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公の名前が最後まで分からない連作短編。名前がなくても、この人のやわらかいまなざしは一貫していて居心地が良かった。
一話ずつご近所さんたちが登場して、ちょうどよい距離感でそれぞれ交流して、だんだん季節が巡っていくのが良かった。こんな風に付かず離れず穏やかに周囲と関わって生きていけたら、幸福な人生と言えると思う。少し寂しい別れもあるところが良い。
人間社会で暮らす熊、梨の妖精、叔父の幽霊、河童、壺の魔人、鬼、人魚。色んな存在が世界を共有していることが不思議で可愛くておおらかで、少し怖い。
生きることに疲れたらこんな本を読みたいと思わせてくれる、どこかあたたかい作品だった。 -
Posted by ブクログ
この方のジャンル、そしてこの本の内容は
まちがいなく「恋愛小説」だと思うのだけれど、
解説を読むと、どうもご自分ではそんなつもりはないらしい。
「ただお酒を飲むような話が好きなんだけど、
いつの間にか登場人物の間で恋愛が始まってしまう」
のだそうだ。
ということは「恋愛小説」という型は
話が進んでいくうえでの舞台設定、もっというと
フォーマットのようなものなんだろうか。
たしかに、殺人事件とか警官小説とかAI未来小説ではなく、
川上さんが選ぶフォーマットは一貫して「恋愛」である気がする。
今回のお話も、男女4人の恋愛をベースに、
でもちょっと怖い結末も待っている。
※中公文庫238 -
Posted by ブクログ
ネタバレ川上弘美さん大好きだったんだけど、この作品はまだ読んでなかった、なんだかタイトル的に難しそうと言うかなんだか神々しそうな感じがしてちょっと手に取れなかったけど、読んでみたら、なんだ!!!!めちゃくちゃかわいい話!!!!!!ほっこり。する。
2日くらいで読み終えちゃって勿体ないという気持ち。
「神様」ってタイトルを聞いて当たり前に人型の神様を想像してたけど、くまの神様かい。
くまの料理は本当に美味しそうだな、自然豊かなところでピクニックして、すごく素敵。
その分、主人公と同じくくまが帰ると知ったら、ちょっと寂しくなった。最初は、大男をくまと表現してるのかと思ったけど、くまはくまなんだ。そりゃ、人 -
Posted by ブクログ
冒頭の一話目、遠い未来の日本を舞台にした幻想的な短編……としみじみ読んだところが、先へ進むにつれて世界は様相を何度も変え、最終的にSF的神話体系となってぐるりと巡る。眩暈がするような読書体験だった。
人類はいつか必ず滅ぶだろう。私たちは必ず死に絶えるだろう。その先にあるのが絶望だけなのか、その過程にこそ救いがあるのではないか。
祈りに満ちた眼差しが全編に染み通っていて、背表紙の「新しい神話」の評もなるほど、と。
聖書に所縁のあるような人名もところどころに見受けられ、個人的には福音書のようにも感じられた。
エリ、エリ、レマ、サバクタニ。その過程にこそ神の慈愛は注がれていた。 -
Posted by ブクログ
昔の章
すべての女をとりこにする魅力的な男、ナーちゃんと結婚した主人公、梨子。
常に他の女性の影が消えない夫との暮らし
夢の中では別の女として生きます。
貧農の家から10歳で売られ、江戸吉原の、かむろ
になります。
廓での生活が、食べ物、着るもの人間関係などなど、かなり詳しくて興味深い。
夢の中では、かむろとして、生き、話してはいるものの、気持ちは現代の梨子のままなのです。
昔昔の章
現実の世界で梨子は、ナーちゃんの子供を産みます。
夢の中、今度は源氏物語より少し前の時代へ。
10歳で、貴族の姫さんに仕える女官である、女房として働きます。
そして姫さんは婿取りをして…
平安貴