川上弘美のレビュー一覧

  • 猫を拾いに(新潮文庫)

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    いろんな、好き、についての物語。

    好き、って何だったっけ。
    恋愛だけでなくて、友達とか、腐れ縁とか、離れがたいもの、執着してしまうもの、気が付いたらそばにあるもの。
    好き、にはたくさんの形があって、それを標本のように集めてみたら、少しは、好き、が分かるだろうか。

    でも、たくさんの好きを抱えていたら、そのうち抱えきれなくなってしまいそうだから、本当に捨てられない、最後に残ったものだけを、好き、と呼んでみようと思う。

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    2025年05月28日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    ジャンルで言えば異世界ファンタジーなのだが471pある本書で「夜」の世界に行くのは300pあたりである、和製ファンタジーって異世界に行くまでめちゃくちゃ長いがちよね。グリクレルにまた会いたくて七夜物語のちょっとした後日談かな?ぐらいの気持ちで読み始めたのだが哀しくも清々しい読後感に包まれる良い小説だった。川上弘美先生のキャラクター達は本当にお別れになるのが寂しくなる。

    あとがきで笑った、ピーツピジジジジ、鈴木博士の研究をみて以来野山でカラ系の声を少しばかり聞き分けられるようになったのだが、私が近づいた途端警戒鳴きをさせることが多々有りちょっと傷つく

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    2025年05月18日
  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)

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    生と性と死をめぐる、命についての神話。

    命は水(aqua)の中で生まれ、水の中へ返り、水の中を巡って、再び生まれる。
    肉体は土(terra)に埋められ、分解され、心はまだ生者のそばにいるけれど、やがて死を理解して、肉体のある土へ帰って行くだろう。
    それなのに、命はまるで空気(aer)から生まれるように、突然体の中へやって来る。その異物感、自己愛。動物としてのニンゲン。
    動物であるから、男と女が共にいる。その間には、火(ignis)がある。燃える炎、消えかけたりくすぶったり一息に燃えがったり。同じところを巡り巡る。
    そして世界(mundus)が、立ち現れる。何千年も繰り返される、物語。

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    2025年05月17日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    はるか遠い未来の物語。
    全く別の場所の、別の話が連なっていくのかと思いきや、驚いたことにそれぞれの短編がほんの少しずつ繋がっていた。
    ここで語られている世界は、人口密度が極端に低く、母と子どもたちが暮らしていて、男はたまにしか出てこない。
    原始的な雰囲気がうかがえるけれど、コンピューターが出てくるあたり、大昔の話ではないようだ。
    ごく限られた地域のことのように思えるのに、なんだか壮大で、目に見えない何かに飲み込まれていきそうです。
    私たちはいったいどこへ連れて行かれるのだろう。

    最初は曖昧でぼんやりとした感じだったのが、「大きな鳥にさらわれないよう」と次の「Remember」あたりから、見え

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    2025年05月05日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

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    面白かった!
    ニシノユキヒコと関係のあった女性たちの視点で書かれた連作
    恋愛でイカれてる女の人の小説が好きなのだけど、どの人も彼の女ったらしっぷりにやられて良い感じに狂わされていて、とても私好みだった。
    単に"悪い男"の本かなとも思ったけど、ニシノくんもニシノくんでなんか可哀想…と思ってしまうところもあり、ともすればやっぱりそこがいかにも"悪い男"でもあり…
    こんな男に一度はかどわかされてみたいわね〜

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    2025年05月05日
  • 100万分の1回のねこ

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    有名作家による絵本「100万回いきた猫」のトリビュート作品集。
    人それぞれの作品が詰まっていて面白い。
    一冊の絵本からこんなに物語が生まれるんだなぁと感心。

    この本から一人の気になる作家さんとの出会いがありました。
    井上荒野さん。
    他の作品も読んでみたくなりました。
    トリビュート作品って、こういう出会いがあるのも魅力ですね。

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    2025年05月05日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

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    ちょっぴり生きづらい人たちのお話。生きやすく生きられるならとっくにそうしてるんだけど、今の生きづらい生活もちょっぴり愛おしい。窮屈なのがかえって心地いい。そんな人たちのお話。

    「ずっと雨が降っていたような気がしたけど」「銀座 午後二時 歌舞伎座あたり」「儀式」「二百十日」「土曜日には映画を見に」がとくに好き。サブカルチャーとはこういう作品だと僕は思う。孤独を孤独のままに受け止めてくれるもの。いつも僕はそういうけど多分この本みたいなことなんだと思う。どれもマジックみたいなお話だった。どのへんがマジックか、実はあんまりピンときてないんだけど、「マジック」って言葉が頭のなかに浮かんでる。だからマジ

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    2025年05月03日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    国際ブッカー賞の最終候補と知り、興味を惹かれて読んでみた。著者の作品は「センセイの鞄」以来。「センセイの鞄」から想像していたものとはまるで違う世界が描かれていた。
    壮大な一族物語的なものと人工知能を組み合わせたものとでも読んだら良いか。
    私にはとても面白かった。
    再読したい。

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    2025年04月29日
  • 七夜物語(下)

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    あっという間に読み終えてしまった「七夜物語」。
    よかったです。
    夜の世界の一緒に冒険することによって距離が近づいたさよと仄田くん。
    最後の戦いで仄田くんがさよのことを思いやる場面が最初の頃と比べて本当に成長したね、仄田くん!という感じでした。
    そんな2人が冒険を終えて、夜の世界のことを忘れてしまったことが寂しいなと思いました。
    続編の「明日晴れますように」も楽しみです。

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    2025年04月26日
  • 七夜物語(中)

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    少し成長した仄田くん。
    おっ!と思う場面も増えました。
    さよは割と大人っぽいところがあったので安心して読めました。
    夜の世界で若かりし頃の両親に出会ったさよと、自分そっくりの「情けない子」に向き合った仄田くん。
    読みながらこれは元の世界で2人が向き合わなければいけないことと関係しているのかなぁと思いました。
    さよが久しぶりに父親に会う場面は好きでした。
    ウバが2人に問いかけたことは私たちにも問われているような気がしました。

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    2025年04月26日
  • 七夜物語(上)

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    グリクレルが怖くて悪いネズミかと思っていたらそうではなくて一安心。
    仄田くんはもっと冷静で思慮深い子だと勝手に思っていたのでちょっとがっかり。
    さよが小学四年生にしては大人。
    主人公は小学生だけど、大人向けのファンタジーな気がします。
    最終巻を迎えるまでにさよと仄田くんがどれだけ成長するか楽しみです。

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    2025年04月20日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    JR九州の豪華寝台列車ななつ星の旅のアンソロジー。
    読んでいてどんな列車なのかと調べてみたら本当に豪華で本当にめっちゃ素敵

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    2025年04月17日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

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    川上弘美の作品は、高校の現国の授業以来、「神様」以来だ。神様も、不思議ですべてを語らない感じが好きだったのだが、この作品も多くを語らない不思議な世界観が好きだ。短編集ということもありすんなりと読めてしまった。特に天罰を下す人間(?)の話と3人の女性が旅館で2人の男性に出会う話が良いと思った。また彼女の作品を読みたいと思えた。

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    2025年04月04日
  • 神様

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    本作は九つの短編集で構成されており、著者のデビュー作である。『神様』のように実在の動物もいれば、『河童』のように実在しないものをモチーフにしたもの、さらに、『夏休み』に登場する、具体的にどんなものかわからない、読者の想像にまかせるなど、多種多様なファンタジー小説である。

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    2025年03月31日
  • 100万分の1回のねこ

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    『100万回生きたねこ』からインスパイアされた短編集。色々な作者の思う「ねこ」を感じられた。猫は色っぽくて好き。

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    2025年03月01日
  • 七夜物語(下)

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    ネタバレ

    寂しいよ〜〜もうグリクレルに会えないなんて、さよと仄田くんがこの大冒険を覚えてないなんて、全てを覚えてる我々を置いていかないでくれ〜〜〜〜
    終わり方があっさりしていて、ものすごい冒険をしたのに「まあ、それなりによかったんじゃない?」ってなんでもないように言う夜明けの住人が好き、RPGをクリアした子供に寄り添う大人みたい。最後何もできない子供だった2人がご飯を作るシーンが何よりも好き、三度三度のごはんを食べることが何よりも大事って着地が好き、なんだかチェンソーマンを思い出した。

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    2025年02月22日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

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    川上さんの短編は好みです。何冊か読んだので、少しずらしたような部分を、これこれ、と楽しみながら読み進めたり。
    解説にある 脳内のワイルドな部分をより味わえる が共感です。

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    2025年02月16日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

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    前作と全く違うように見えて、魂を同じくするような物語。
    好き、嫌い、苦手、楽しい、自分で考えて自分の言葉で表そうとする少年少女の成長譚。
    変わっていく自分。変わっていく相手。本当に大切なものは何なのか。静かに心に染み込む物語。

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    2025年02月09日
  • 神様

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    すごく好きだった。
    ファンタジーというのか?ちょっと不思議な短編集。設定の非現実さが気にならないくらい自然ですんなり入り込める。温かかったり切なかったり明るくなれたりちょっと泣けたり、短編ごとに読後感は違うけど、どれも読んで良かった〜!と思うお話ばかり。
    特に『クリスマス』ってお話が好きだった。3人の酒盛りが楽しそうで切なくてなんか泣けた。コスミスミコもウテナさんもわたしもめっちゃいい。
    川上弘美さん初めて読んだのですが、文章がやわらかくてやさしくてとても好きです。

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    2025年02月07日
  • 王将の前で待つてて

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    #ヨンデルホン
    #王将の前で待つてて / #川上弘美(#集英社)
    #ドクリョウ #ヨミオワリ

    冬の夜に と金となりて読み終える

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    2025年02月03日