川上弘美のレビュー一覧
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装丁だけでなく本文にも祖父江さんの楽しい仕掛けが込められている川上さんの東京日記シリーズ。
帯に「けっこうホントの日記です。」と書かれてあるように、5分の4はホントのカワカミさんの日記のような短編の卵たち?少しの脚色がどこなのか…なんてどうでもよく、粛々と内に外に伸び縮みする川上さんの毎日から生まれる言葉が愛らしい。
ある春の日に、花茣蓙を手に入れたという友達に誘われて公園に花見へと出掛け、桜と柳の美しい公園でお弁当やお酒を開ける長閑な一日。沢山の花びらが舞い散る中、交代で花茣蓙を担ぎ合いながら駅まで歩く帰り道。もう過ぎゆこうとしている春の幸福な後ろ姿を見送るようで心が静かに和らいだ。
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ネタバレ少し変わっていつつも平穏な家族の成り行きを時代を行きつ戻りつしながら流麗な文章で描く。家族それぞれの個性がきっちり描かれており読みやすい。主人公、都の目線で徐々に明かされる家族の秘密も興味深く、数々の伏線が回収されていく。家族とは、恋愛感情とは、死とはを考えながら読み進める。母親の死、地下鉄サリン事件の死、日航機墜落の死をきっかけに人は揺れ、秘めていた欲望を実行するのは自分の死も意識するからなのか、本能なのか。
都と弟の陵との心地よく歯がゆい関係性を興味深く読んだ。恋愛感情は同居する時間と反比例して低下していく不思議は全ての人において当てはまることではないのかも。 -
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ネタバレ普通の日本の風景のように始まった物語だが、進むにつれてどこかおかしい。違和感がどんどん増えていく。
ほとんど絶滅している人類の、最後の生き残りたちが生きる様子を、詩的な文章で描いていて、本当にこんな未来になるかもしれないと思わせる力がある。
世界観がはっきりしていて、最後の方でそれを説明しすぎてしまうところがやや難点か。雰囲気から読み取れるぐらいにしておいた方が、詩的な文章とのバランスがよかったかもしれないと思った。
ともあれ、想像力はすばらしく、読者の頭の中にも想像の世界をくっきりと立ち上げることができるすばらしい文章だった。これは映像では決してできない、文学だけが持つ力だと思う。 -
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「ルツ」という女性が様々な平行世界で、どんな選択をしてどういう生き方をしているかを、それぞれ描いているという物語。
誰しもが「あの時こうしていたら」と、生きていく中で思ったことがあると思うけど、それが物語の中で行われていて、すごく満足感のある話だった。
最終的にはそれぞれが、幸せというものを発見して噛み締めていた。
中には、「それで本当に幸せって言えるの?」と思えるような結末もあったけど、それぞれ自分が選択した人生だから、っていうのが答えなのかな?
小説を書いた世界線の話、身近な人間を参考に物語を広げて書いているっていうのが面白そうすぎて私も書いてみたいな、と少し思った笑
でもそう簡単に上手く -
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ネタバレ前作『七夜物語』の主人公鳴海さよと仄田鷹彦の二人は、冒険のあとそれぞれの人生を送り、大人になった。
そしてさよの息子の絵(かい)と仄田君の娘(りら)は小学4年生、同じ学校のクラスメートである。
りらは、クラスの女子三人組にいじめられている。
父親の仄田くんもそうだったように、頭はいいのに空気を読まない、少し変わったところがあるからだ。
絵はりらがいじめられている事に気付いても、しばらくは何もしなかった。
どうしたらいいのかわからなかったし、そのことについて考えるのも気が重かったからだ。
ふたりが冒険に出るきっかけはそういうことだったのだけど、そこに至るまでの絵の日々、りらの思いなどが丁寧に -
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寝る前から読み始め、次の日のお昼頃には読み終えた。
真鶴、まなづる。
良い響き。
神奈川県に真鶴半島という場所がある事をGoogleに教えてもらった。
文章から真鶴の海の香りを感じ、瀬戸内海の海の香りも感じた。二つの海の香りは全く違く感じた。
ついてくるもの、とは何だったんだろう。
この物語からたくさん、"距離感"というものを感じた。
京と娘の百、礼、青茲。
皆、距離を感じた。
京と礼の、近づきたいのに近づかせてくれない押し問答は読んでて途中とても辛くなってしまった。
主人公京と1番距離が最終的に近かったのは多分、ついてくるもの、だっただろう。
友達、になったんだと思う。