川上弘美のレビュー一覧

  • わたしの好きな季語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    まず、ブックデザインが好き。
    カバーデザイン、カバーをとった本のデザイン、
    折々に挟まれた、トレーシングペーパーのデザインが
    そこはかとなく「和」のテイストを感じられ。

    季語も知らないものが多く、
    それに伴う作者の語り、エピソードも好き。

    眺めても、読んでも味わいのある本。
    手元に置いて、四季折々、開いていきたい。

    0
    2021年08月09日
  • 森へ行きましょう

    Posted by ブクログ

    あの時違う選択をしていれば、そんな人生がどこかで続いていて… そんな妄想が広がっている。
    どちらの人生も違うようでどこか似ていて、でも結局は自分のこれまでを自分でどう意味づけるかなんだな。

    0
    2021年08月06日
  • 東京日記3 ナマズの幸運。

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2011年発刊の10年前の本。10年前から脱力系をやっているのだ。

    『インフルエンザの注射に行く。この医院には中村先生の日と原田先生の日があるのだけれど、そしてぜんそくの薬をもらうために毎月一回、三年以上は通っているのだけれど、いまだに中村先生と原田先生のちがいが判らない。

    もしかしたら、同一人物がその日の気分によって名前を変えているのだけかもしれないと疑う。』

    『大発見をする。ごきぶりは、モーツァルトをかけると、出てくる。マーヴィン・ゲイをかけると、ひっこむ。』

    『歯医者さんから帰ってきたこどもが、
    「今日ね、先生に『うちの母は、まだ少しずつ成長してるんです』って教えたんだ。」と報告

    0
    2021年08月03日
  • 真鶴

    Posted by ブクログ

    本当によかった
    日が差し光り輝くものへの愛おしさ

    自分が子供になったり大人になったり頑なになったり薄くなったり、母に対して痛みをくわえてしまっていることとか、でもそれは自分でもどうしようもないことだったり 形の定まらなさ

    どうしても満たされなくて何かを求め続けていて 本当に相手を愛しているのには間違いないのだけれど 相手ではなく結局自分を見ているのだけだということとか

    最初から最後まで何かドラマ展開があるわけではなくただ淡々と移りゆく日常とか心情とか関係性とか細かく掬い取られてゆく
    今目の前にあるもの 感じられることが本当のことでそれを確かめながら生きていくしかない それは一見不安定で不

    0
    2021年07月26日
  • 水声

    Posted by ブクログ

    ただただ美しい言葉の羅列が並び、そこには静謐とした雰囲気が纏っていた。禁断の行いでありながら、それを問題視にしているわけでもなく、ごく当たり前の状況、出来事として綴られている。個人的に川上弘美さんはファンタジー要素が多い印象があったけど、今作ではそれは薄らいでいて好みだった。「真鶴」と同等か、それ以上の傑作。

    0
    2021年07月14日
  • わたしの好きな季語

    Posted by ブクログ

    川上弘美さんは理系の人だと思っていたが、理系の人は俳句や詩を構築するのがうまいのではないだろうか?と勝手に思っている。
    俳句には季語というものがあり、それを織り込んで俳句を作らなければならないので難しそうに感じているが、それが定型の美しさを生むのだろうか。
    この本は、季語を元にしたエッセイ。句作をしなくても楽しむことができる本。その季語を使った有名な俳句も知ることができる。
    ご本人の俳句も控えめながら掲載されているが、句作16年目という句集「機嫌のいい犬」を読んでみたくなった。
    どんな言葉が飛び出してくるだろう。

    0
    2021年06月20日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

    Posted by ブクログ

    錚々たる方々の訳した古典文学!
    竹取物語がモリミーの手にかかると、翁や貴公子たちの下心がスケスケで困惑するかぐや姫が目に浮かんでしまう。
    和歌の訳がまたニヤニヤ。
    むかし男ありけり、の伊勢物語はこんなに長いお話だったのかと驚いた。恋愛だけでなく友情や仕えた親王とのやり取りが印象的だった。
    男としか出てこないので、これが業平のことなのか、時期はいつなのかとモヤモヤもするけれど、一遍の凝縮ぶりに愕然とする。
    堤中納言物語はいろんなテイストの話が襲いかかってきて気が抜けない。
    和歌の訳が絶妙!
    有名な虫めづる姫君の女房たちの嫌らしさときたら、普通に和歌を訳しただけでは伝わってこないかも。
    土佐日記、

    0
    2021年06月06日
  • いとしい

    Posted by ブクログ

    とりとめもなく奇妙で不思議な人や事柄がたくさん出てきて、頭が混乱しそうになった。といっても最後は「いとしい」に辿り着くだろうと読みすすめる。
    最初はお伽話のようなおかしな笑いの場面もあるが、だんだんこわい話になってゆく。毎晩現れ、目の前でいとなみをするアキラとマキさんのユーレイ。一回につき2万円で関係を持つチダさんとミドリ子。玄関に猫を置いてゆくストーカー。兄妹の愛。愛する男性が膜におおわれ休眠してしまう話とか。なぜこうもいくつもでてくるのだろう。ストーリーの筋は、と考えたところ読み込めない。これは雰囲気を堪能しようと思った。やはり文章にひきつけられる。
    泣けたのは、ユリエがオトヒコさんを、「

    0
    2021年06月04日
  • 森へ行きましょう

    Posted by ブクログ

    物語ももちろん良いが小説の技巧が凝っていて面白い。ミステリー感がある。ちょっとしたきっかけで人生は大きく変わるのだなと。

    0
    2021年05月23日
  • 夜の公園

    Posted by ブクログ

    川上弘美さん。私が人生で一番尊敬している先生が好きな作家さん。そろそろ読んでみようと思って手にとった。
    四人の男女の、恋愛を中心にしたお話。
    前半から、すごくたんたんと出来事と感情がつづられていていた印象。ぜんぜん説明が少なくて、わからないところはまっすぐわからない、という感じ。
    ただ、ときおりすごく強い力でわたしの経験と感情をひっぱられる予感がした。しかし、そもそもしっかりと心を動かすには、私の人生経験が合わないんだろうなという印象。
    すごく理解できる人はすごく泣いてしまいそうと思った。
    まだわたしには早かったかも。

    0
    2021年04月30日
  • 物語が、始まる

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    目次
    ・物語が、始まる
    ・トカゲ
    ・婆
    ・墓を探す

    どれもこれもそこはかとなく哀しいような恐ろしいような、ちょっとエロティックでもしかするとユーモラスな作品ばかり。
    だけど一番好きなのは、やっぱり表題作だなあ。

    男の雛型を拾い、同居していくうちに…っていう話なんだけど。
    男の雛型ってのがまずよくわからない。

    ”大きさ1メートルほど、顔や手や足や性器などの器官はすべて揃っている。声も出す。本が読め、簡単な文章が書け、サッカーのルールは知らないがボールを蹴ることはできる、というくらいの運動能力がある。子供の背丈だが、顔つきは子供ではない。かといって、大人でもない。どちらともつかぬ、雛型らしい

    0
    2021年04月26日
  • 森へ行きましょう

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    同じ人間のあるかもしれないいくつかの違う人生。生まれてからの長いパラレルな道のりを同時に描く作者の野心作だなと思います。
    読み始めは登場人物が主人公の名前の文字が違うだけで、みんな同じ名前なので入り込めないほど混乱する。でも読み進めていくうちに、それぞれの世界の中でそれぞれのキャラが立って行って混乱は収まっていきます。
    大きな事件が起こるわけでもない(それぞれの人にとっては人生は大きな事件ですが)けど、少しの選択、少しの変化で誰でもに違う人生があるんだという、それが美しい文体で書かれて悪くない読後感でした。

    つくづく思うのは、つらい、幸せ、悲しい、愉しい、虚しい、色々な場面はあれどつまら

    0
    2021年03月19日
  • わたしの好きな季語

    Posted by ブクログ

    ことばの力を感じる本。暮らしから生まれた季語が愛おしくなるような…。見開きで読み切れる短い文章だけど、気づきがあっておもしろい。

    0
    2021年03月10日
  • わたしの好きな季語

    Posted by ブクログ

    無条件にこういうのが好きなので、いつでもパラパラしていたい。
    ステキにハンドメイドの連載だからか、少し「ご婦人」感があるのは気にしすぎ?
    とまれ安定の著者、気の抜けた、でも美しい季語にまつわるエッセイ。

    0
    2021年03月09日
  • 神様 2011

    Posted by ブクログ

    東日本大震災を受けて、デビュー作「神様」を題材に「ポスト震災」「ポスト福島第一原発」を描く。既存作を題材にして改変を行うことで、日常の在り方が変わってしまったこと、そしてそれは二度と戻ることがないことを描き出した方法論が見事だと思う。実際、10年が経っても東日本大震災、福島第一原発の事故は消し難い傷跡を残しているのだから。

    0
    2021年02月27日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    どこにでもある、なんてことない町の風景。それを織りなす人々の、ひとつひとつの人生に歴史があり物語がある。その価値というものは持ち主にしかわかりえないけれど、人生は必ずしもその持ち主だけのものではない。そんなことを客観的に垣間見せてくれるような短編集だった。さして特別な事件は起きないけれど、何気ない言動が波紋のように静かに広がり周囲に影響を与えていく様がリアルだった。

    0
    2021年02月22日
  • わたしの好きな季語

    Posted by ブクログ

    美しい季語、美しい俳句。
    日本語の一つひとつを噛み締めて、移りゆく全ての季節を味わいたくなりますね。

    0
    2021年02月17日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    再読。川上弘美さんの文章が好き。自分と全く違うタイプの登場人物たちの中に自分と同じ部分を感じた瞬間の棘が刺さる感覚がよい。

    0
    2021年02月14日
  • 森へ行きましょう

    Posted by ブクログ

    生まれてから60歳までの人生を、それぞれの年代ごとに追っていくのは、自分の人生の振り返りにもなり、たまに自分の年齢と照らし合わせたりして、共感しながら進んでいった。途中までは・・
    気づいた時には迷路の中。
    あ、迷路じゃなくて森の中なんだ。

    0
    2021年02月12日
  • 森へ行きましょう

    Posted by ブクログ

    1966年同じ日に生まれた二人の女の子留津とルツ。
    選ばなかった道をもう一人の誰か(自分)が別の世界で生きている。別の世界で同じ名前の彼、彼女が恋人や友人として関わりあう。
    うっかるするとどちらの世界の出来事か分からなくなるほど、複雑に繋がっている不思議な森の中の世界です。

    0
    2021年02月11日