川上弘美のレビュー一覧

  • 水声

    Posted by ブクログ

    あいかわらずの美しい日本語で描きだされる不思議な家族愛。
    でも、これは女の人の物語だったなあ。読みすすめるうちに疎外感を覚えるほどに。

    あと、江國香織さんのあとがきが素晴らしかった。
    時折こういうあとがきがあるから、文庫版も買いたくなるんだよね。

    0
    2023年02月26日
  • 猫を拾いに(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    掴めそうで掴めない、ほんわか優しい短編集。
    小人だったり、お盆からずれて帰ってくる霊だったり、人の色が見えたり、カチカチ感情の数を数えたり。不思議なはずなのに、さも「日常のストーリですけど?」という感じで普通に書かれているストーリーだらけで、現実世界でも、私の知らないところでこんな世界が実は繰り広げられているのではないか、と思えてしまう。

    お気に入りは「ぞうげ色で、つめたくて」「クリスマス・コンサート」「9月の精霊」。

    0
    2023年05月12日
  • 溺レる

    Posted by ブクログ

    恋愛の、特に男女の関係のその部分だけを濃く濃く表現した短編集って感じでした。なんで彼と一緒にいるのか、なんで別れるのか、なんで彼が好きなのか、ということよりも『その人が好き』という感情だけが濃い。
    お気に入りは『七面鳥が』でしょうか。彼を蹂躙したいって、普通、使いません…。

    0
    2023年02月09日
  • ざらざら(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    若い女性が内心考えている(と想像させるような)話がたくさん収録されていて、男性の私は読んでいてドキドキしてしまった。

    0
    2023年01月04日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    日常生活の変な話や微妙な気持ち・失恋が書かれてるけ気持ちを追体験したり、不思議な世界に触れられる。
    山口さんが出てくる話が好き。

    「ざらざら」の続編らしいのでざらざらも読んでみたいなー

    0
    2022年12月17日
  • 夜の公園

    Posted by ブクログ

    久々に川上弘美さんの小説を読み、その表現力の高さに驚き、感動する。

    主人公はたまたま知り合った若い男と不倫をし、主人公の親友は、主人公の夫、主人公の不倫相手の兄、それからよくわからないけどもう1人の男性と少なくとも関係を持っている。

    泥沼でしかないのに、川上さんの手に掛かればもはやファンタジー。美しく清いとさえ感じる。

    0
    2022年12月02日
  • 猫を拾いに(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    自分の中の星新一はこういうお話を書きそうだなあと勝手に思ってしまうような、ひとつひとつの話が不思議でふわふわしていた。

    詩集みたいな、突拍子もないけどそういう世界なんだなと納得してしまう馴染み深い味わいがあった。

    0
    2022年11月28日
  • 夜の公園

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     章ごとに、リリ、幸夫、春名、暁と視点が移っていき、お互いが緩く関わり合いながらそれぞれの生活や将来を変化させていく話。
     全体を通して大きく視点が二周しており、一周目では四人全員の浮気現場がバレる同じ事件についてのそれぞれの視点だったが、二周目ではリリが離婚を決めたことを発端に章が進むごとに時間も進んでいっており、とても面白かった。物語の登場人物は、皆どこか自分の居場所に悩んでおり、どうしてここにいるかも分からないけど、それでも何かしらを求めて生きていく。薄暗く少しでも遠くにいる相手の顔などほとんど見えないが、近くを通り過ぎたり一緒に歩く時にはちょっとは、はっきりして見え、それでも離れれば分からなくなる最初に描写された「夜の公園」の散歩が、そのままこの小説のテーマなのかなと思った。
     文章に関しては章の登場人物ごとにイメージを変えており、春名は軽く幸夫はどろっとしているという風な印象を受けた。だからこそ川上弘美らしさを文章全体から感じることは少なかった。また、描写が素晴らしく、特にリリの妊娠が発覚した時やその後の決意の描写が好きだった。ただ、純文学なのでつっこむ方が野暮なのかもしれないが、最初の暁のナンパに乗るリリのシーンで、お互いの考えや心情などが全く分からず、動機が薄いように感じた。

    0
    2022年11月20日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

    Posted by ブクログ

    全てにそつがなく、ストレートに愛情表現したかと思えば、子供のように心にスルスルと入り込む。情を交わした10人の女性の視点によって描かれる、モテる男ニシノユキヒコの生き様。ニシノさんを背景に、各章の女性の個性が浮かび上がっていると感じた。
    きまって去られてしまう。女は生涯寄り添えない相手と本能的に察知しているから。それはそうでしょうね…思い出はせめて綺麗にしたいから。
    読み終えるまでに、ニシノさんの魅力に触れればと思ったけど、なかなか難しかった。関わった女性側の気持ちもあまりわからない(人の気持ちなど、他所のものが容易に理解出来るものではないという事だろう)。しかし、不適切な関係であるのに、生臭さを感じさせない川上弘美さんの品のあるさらりとした心情描写すごくて、特に「しんしん」から面白く読み入った。
    愛に満たされることなく飢えて怯える心情が、女性との関りから読み取ることが出来た(なんとなくだけれど)気がする。
    強いようで弱い。人の呼び方が様々なように、人は多面的で色々な面を持ち、相手側からの見方で浮き彫りにされるということが伝わりました。
    必死に自分を模索しているのに、ふわふわ不思議な空気に包まれ宙を浮いているような余韻が残った。自分の居場所をみつけることは難しそう。

    0
    2022年11月20日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    【2022年63冊目】
    「センセイの鞄」を読んだときにも「あぁ、この作家さん好きだなぁ」と思ったのですが、本作を読んでより理由がわかりました。

    登場人物の感情、間合いを含むテンポ、空気感、性格…その表現がとても豊かで、ずっと主人公を中心に繰り広げられているかつ章ごとに副題は変わるのに飽きさせることがない。

    私と彼の関係性の変化
    中野さんと彼女の関係性の変化
    マサヨさんと彼の関係性の変化

    物語の中で全部少しずつ変わっていく関係性

    とても心地よく読めました。

    0
    2022年10月31日
  • 夜の公園

    Posted by ブクログ

    ふとした、言葉にならない感情を上手に表していた
    そんなに近いところで関係ができるのか?とは思ったけれど

    0
    2022年10月25日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ある街に住む10人くらいの人の日常や人生について書かれた短編小説。

    他人のプライベートを覗き見している感じで面白いなって思う。特に恋愛とかエッチとかの話がね。

    角田光代が影響を受けたとと言っていつしかの取材で紹介していた小説家っていうことで読んでみた小説だけど、さすがに角田光代のおすすめだねって思った。作風が少し似ているなって。

    0
    2022年10月03日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

    Posted by ブクログ

    伊勢物語、きちんと読むの初めて。
    川上弘美さんの日本語は美しいな。
    和歌の訳がそこはかとなく典雅だ。
    物語絵でよく出てくる有名な九段の八橋、宇津山だけにあらず。
    しかし業平はすごいね、さすが歴史に名を残すプレイボーイ…

    三十段の、歌を「逢うのは 一瞬 恨みは 永遠」て訳すのはしびれる。伊勢物語もすてきだけど川上弘美さんもすてき。

    最後125段
    「生きるとは
     なんと
     驚きに満ちたことだったか」
    ってところなんて、めっちゃすてきじゃないですか


    もりみーの竹取物語もすごく面白い。
    もちろん元の話自体が面白いけど、彼の訳がなんともシュールで人間臭くて好きだ。
    しかしなんておもしろい話なんだろうなぁ、古事記とかも面白くてユーモアあふれてるけど、竹取物語のファンタジーたまらん。昔の人すごい。

    0
    2022年09月27日
  • おめでとう(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    川上弘美さんの本は不思議。
    短編で、明らかな小説なはずなのに、途中エッセイなのかと思ってしまう瞬間が何度もある。
    もう一度読み返すと、やはり小説。ファンタジーでもないのに世界観が少しふわふわしていて面白い。

    0
    2022年09月26日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    雑多なものが所狭しと詰め込まれた空間って、
    無条件にときめいてしまうたちなので、
    古道具屋という舞台設定にまず惹かれた。

    だからさあ、が口癖の適当店主中野さん、
    中野さんのお姉さんで芸術家のマサヨさん、
    少々ぼんやりしたアルバイトの男の子タケオ、
    中野さんの愛人?らしき“銀行”ことサキ子さん、

    古道具屋関係の人達は
    ちょっと浮世離れしているというか、
    変わっている。
    変わっている、というのが第一印象だ。

    でも、物語を読み進めると、
    彼らの人間くささを知ることになる。
    このリアリティと非現実感のバランスが絶妙だ。

    ヒトミとタケオのじれったい恋愛に、
    もしくはマサヨさんの大人の恋愛観に、
    はたまた中野さん(中年オヤジ)の愛嬌に、
    あるいはサキ子さんの心の変化に、
    きっと誰もがどこかで自分の経験を重ね合わせて、
    はっとすることがあるんじゃないだろうか。

    誰もが強さと弱さを持っていて、
    意思や感情を持っていて、
    生きている一人の人間という感じがして
    すごくよかった。

    主人公であるヒトミの人間らしい感情は、
    主人公であるが故に1番見えづらいんだけど、
    ラストの“悲しかったよ”で全部もっていかれた。

    主人公に自分を投影しながら
    読むケースがあると思うけど、
    ヒトミがひとりの独立した人間だって、
    このシーンで強く感じた。

    川上弘美さんの作品は『某』とか『神様』とかを
    読んだことがあって、
    ちょっとファンタジックな世界観の中で、
    だからこそより克明に現実が見えてくる、
    みたいな印象だったので、
    それと比べると
    舞台設定に現実感が強いなと思ったけど、
    SFもファンタジーもなしに
    この作風は成立するんですね。

    『某』が好きだからこそ敬遠してしまっていた
    『センセイの鞄』も読んでみようと思った。

    0
    2022年09月19日
  • 蛇を踏む

    Posted by ブクログ

    【2022年56冊目】
    作者いわく「うそばなし」が詰まった三篇。タイトルの「蛇を踏む」は終始さっぱり意味がわからなくて、最後まで狐につままれたような心情で読み切りました。

    「消える」も不思議な話ではありましたが、雰囲気的にはこちらの方が好みでした。

    「惜夜記」はさらに短いうそばなしが細切れに詰まっており、独特の世界観で広げられる話を楽しんで拝読しました。表現の幅があるだけではここまで書ききれない、「うそばなし」の引き出しが豊富な作者だからこその、話の数々でした。

    時間を置いてまた読みます。

    0
    2022年09月14日
  • センセイの鞄(谷口ジローコレクション) : 2

    Posted by ブクログ

    先月に続いて2を購入。

    原作を読んだのはいつだったか。センセイと月子さんの島への旅行はうっすら覚えていたかどうか。
    月子さんの気持ちはしっかりセンセイにむかって、でも、
    「その気持ちを箱に仕舞うことにする。袋縫いした絹の布にきれいに包んでおしいれの奥に置かれたあの大きな霧箱にしまったんだ。」
    「恋情とかなんとかどうでもいいや」なんて心の揺れもあり、結局、センセイに寄り添っていく。
    最後は、原作よりも至極あっさりとした印象。

    センセイが老人であることを、谷口さんはしっかり描いている。でもこの恋物語にはため息が出た。

    0
    2022年08月31日
  • 真鶴

    Posted by ブクログ


    川上弘美さんの文体が美しい。いるはずもないものを語るとき、そこにはリアリティがあった。
    「ーーみなひとしく日を受けている。目をつむり、両のまぶたいっぱいに日を受けるーー」
    主人公の京は全身に、目に見える世界に光を感じて、失踪した夫に想いを馳せる。ついてくる女はもういない。

    0
    2022年08月31日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

    Posted by ブクログ

    ハードカバーの本を20年近く前に買って、度々読み返している。
    この小説のすごいところ(というか作者のすごいところ?)は、ストーリーのその場に自分もいるような感覚で読めるところだと思っている。
    気まずい空気とか、じわじわと寂しさが込み上げる場面とか、その場の暑さとか湿度だとか、
    登場人物が感じているものをリアルに自分も感じられる文体が魅力。
    20年前はニシノさんみたいな男性は嫌だなって思いながら読んでいたけど、年を重ねふと自分がニシノさんみたいな生き方をしているかも、と気付くから人間って不思議だなと思う。

    0
    2022年08月06日
  • センセイの鞄(谷口ジローコレクション) : 1

    Posted by ブクログ

    去年、世田谷文学館の谷口ジロー展で、谷口さんがこの作品を書いていることを知ったが、販売コーナーには無かった。結果、谷口ジローコレクションの配本を待つことになった。
    川上弘美さんの原作を読んだのは、いつだったか。帯に川上さんの一文「こういう話だったんだ!描いていただいて、ほんとうに知ったような心地です。」がある。
    本当にそう言う感じ。老境のセンセイと月子さんが淡々と吞んでいる漫画。偶にキノコ狩りやお花見があるけれど。
    急いで読んじゃいけないんだよと心に言い聞かせながら、頁をめくる。
    気がつくと、月子さんの気持ちにセンセイが占めているのが何とも言えず、沁みるなあ。
    この後は、8月配本の続巻を待つばかり。

    0
    2022年07月30日