川上弘美のレビュー一覧
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川上弘美さんの小説のなかなら「蛇を踏む」以来の奇妙な作品群。
はっきり言うとすごく変。笑
けど癖になるし、妙に惹かれてしまう。
雛型と人間の恋「物語が、始まる」、幸運の座敷とかげと主婦たちの日々「とかげ」、迷い込んだ奇妙な猫屋敷「婆」、姉妹が父親の本家の墓を探しておかしな世界に迷い込む「墓を探す」。
さらっと説明しただけでも奇妙さが溢れてしまう短編集。
最初2つのお話は読み物としても面白く、「物語が、始まる」は切なさもあり、「とかげ」は妙にエロティック。
だけど後半2つのお話は、ぼんやり読んでいると物語に置いてきぼりを食らう感じが。何がどうなってこうなっているのか…考えてもどうしようもない類 -
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竹取物語・伊勢物語・堤中納言物語・土佐日記・更科日記
どれも学校で古典や歴史で学んだ物語ですが、一度も
読んだことがありませんでした。(絵本とかあらすじみたい
なものを除いて)
初めて読みましたが、現代と異なって違和感のある部分
もありますし、想いのほか現代でも共感できる部分も
多く面白く読めました。現代訳が秀逸であったことも
要因だろうと思います。
中でも、伊勢物語の和歌と話しの内容の奥深さ。単なる
恋愛だけではなく人とのつながりを大事にしてきた文化
が垣間見える部分。
堤中納言物語の短編小説のような、また現代でも共感できる
家族や仲間での何気ないやり取りの記載。
土佐日記の紀行文としての情 -
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お仕事小説であり、恋愛小説であり、人間ドラマでもある。面白いバランスの作品だった。
主人公は、中野商店という古道具屋でアルバイトをしているヒトミ。経営者の中野さんはけっこう適当で、仕事中たびたび出かけて行っては、不倫相手のサキ子と会っている。
ヒトミは同僚アルバイトのタケオと、付き合っているのかいないのか、微妙な関係が続いている。
中野さんの姉であるマサヨさんは芸術家で、中野商店の面々と程よい距離感で絡んでいる。
そして月日が過ぎ…というお話。
雰囲気は緩いのだけど、実はものすごく深い。
人と人の関係(とくに恋愛)のままならなさ。若いからこそお互い意地を張ってすれ違って、そこから数年過ぎた -
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2016.6.22
『夫を好きだから、夫にまだ関心があるから、夫の身内との関係がぎくしゃくする』
ヤキモチ焼きな私にとって、これほど救われる言葉はこれまでなかった。
今のパートナーとの関係が、随分ラクになりました。
日常の、"家族"を軸とした人との関係の間に起こる気持ちを、主人公・菜月の目線で丁寧に言語化されています。
そして、やや非現実的な"これでよろしくて?同好会"。友達でもない、知り合いでもない人たちだから、友達には言えないようなことも話せたり。自分について話しているわけではないのに、自分にも心当たりがあって。そうやって、人の意見を聞いたり、 -
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久々に川上弘美さんの本を読みました。
【パスタマシンの幽霊】のレビューで、川上弘美さんの文章は美しい!と書きました。
この本でもやっぱりそう感じます。
そして優しい!読んでいて、安心できるというか、心を任せられるというか…
川上さん、どこへでも連れて行って~!というような気持になるというか~(笑)
上原菜月は夫と二人で暮らす専業主婦。
偶然、元カレの母、土井母と再開する。
土井母が菜月を誘ったのが『これでよろしくて?同好会』
興味をそそられ菜月が参加してみると、そこに集う面々は老若女女。
そうの老若男女ではなく、老若女女!!
同好会では議題があって、書記がいて…
でも、堅苦しいものではなく -
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森見さんの話が聞きたくて講演会に行って、欲しくなって買った本。森見登美彦さんの「竹取物語」は、確かに森見さんらしい。ファンタジーで、竹林が出てきて、美女も出てきて、そして男たちが片想いをする。川上弘美さんの「伊勢物語」は、授業でやった文章が出てきて懐かしい。在原業平すごい笑 中島京子さんの「堤中納言物語」は、歌の訳も三十一文字にしているのがすごい。こんなに楽しい物語だったんだと驚き。堀江敏幸さんの「土左日記」は、ひらがなで訳して貫之の考えを示すという独特の訳。江國香織さんの「更級日記」は、これも授業でやった文章が懐かしい。歌の訳など工夫されているのが伝わってきました。
古典文学のエキスパートで