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「不純で鈍感な大人。けっこうわたしは、好きだ」「ときどきスランプは、やって来る」「さくら餅の、あの葉っぱはどうするのか」「寝そべってものを読む癖のある子供だった」……日常のこと、読書のこと、子供のころの思い出。優しさと可愛さと愉快さが同居する、心が温かくなるエッセイ集。未収録の一編も書籍初収録!
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Posted by ブクログ
とても柔らかくてしみじみとしたエッセイ。言葉が水のように染み込んできます。ゆるゆると日々を過ごしてらっしゃるようで、でもそんな中で、離婚されたり、悪性の腫瘍が見つかって手術されたりしていたことを知り驚きました。死を、身近に感じます。生きていく中でスランプに陥っても、この川上弘美さんのエッセイを読んで...続きを読むしんと沈んでやり過ごそうと思います。読めて良かったです。
さらっと(それでいてわくわくして)読んだが、今までの中で一番心に残ったエッセイだと思う(著者の中で)。 川上弘美さんが小説を書かれるとき、まずはじめに全体の「雰囲気」を決められていることを知った。 内容や筋道については曖昧なままでいいのだが、雰囲気が決っていないと書き始められないと。 笑えばいいの...続きを読むか悲しめばいいのか判断のつかない微妙な、 道端の空き缶を蹴ってみたが外れて気まずい、 世の中の全部を許してしまいたくなるうきうきした、 例えば、そういう様な雰囲気。 著者の小説を読むと、それぞれ独特の空気がある、と伝わってくるのはそのせいなのだと思った。ふわふわして掴みどころがなく、時々奇妙でそれでいてその中には現実の問題、その先に希望が見える。一つ一つ違う雰囲気。 背筋がぴんと伸びておられ真面目でそれでいて、(天然系の)面白さ、ときに少女のような可愛らしい雰囲気(私などがいうのはとても僭越なのですが)。少し向こうから微笑んでおられるような川上さんのイメージがそのまま表されているエッセイだと思った。 セーター 霜月 毛玉ができた男の子のセーターのお話。(私も)男性がセーターを着ることがなんかいいな、と思っている。のでとても印象に残った。 スランプのお話 時々スランプはやってくる。仕事、人間関係でなく「生きていること自体」のスランプ。助けて、と誰かに言っても、誰も助けてくれない。誰かに助けられるのも、本当は困るし(そうだ!時と場合にもよるが、自分で乗り越えなきゃ、ですよね、助けてもらったとしたら後にひくし。ただ言ってみたいだけ、誰か助けてって)。 そういう時はどうするか。 そういう時には、水のたまった瓶の底に沈む小石のように、ただ一人しんとしている。 (そうか、ただ一人しんとする!)
エッセイはその人の素の部分が見られるから、怖くもあるけどハマった時には一気に好きになります。 小説家は難しい堅いことを考えていそうなイメージ。もちろん、それで間違ってはいないと思うけれど、結構変わり者だったりもするものですね。 川上さんの著作は、不思議な世界観で、その不思議さが垣間見えた気もするし、...続きを読むそうでもない気もするし。 秋の散歩道で、これまでに出会った人や想い出、考えたことがとりとめもなく際限なく蘇ってくる感覚が分かる気がしました。
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