集英社文芸単行本作品一覧

  • 文芸漫談 笑うブンガク入門
    4.2
    小説の書き方・読み方がクスクスわかる! ヒカルがボケて、いとうがツッコむ! 芥川賞作家と稀代の仕掛け人が捨て身でおくる、“漫談スタイル”の超ブンガク実践講座。渡部直己(座付作家)による、ためになる脚注付き。
  • プリテンド・ファーザー
    4.0
    「俺たち、一緒に住まないか? 」 恭平と章吾。正反対の同級生。 唯一の共通点は、1人で子どもを育てていること――。 シングルファーザーとして4歳の娘を育てる36歳の恭平。亡き妻に任せっぱなしだった家事・育児に突如直面することになり、会社でもキャリアシフトを求められ、心身ともにギリギリの日々を送っている。そんななか再会するのが、高校の同級生・章吾。シッターというケア労働に従事しながら、章吾もまた、1人で1歳半の息子を育てていたのだった。互いの利害が一致したことから2人の父と娘と息子という4人暮らしが始まるも、すぐにひずみが生まれて……。 「ケア」と「キャリア」のはざまで引き裂かれるすべての人に贈る、新しい時代のための拡張家族の物語!
  • プレデター
    3.6
    「あなたはなぜ、この取材を始めたのです?」 明海和(あけみ・かず)はストリートチルドレンの取材を続けるうち、謎の集団・プレデターに襲撃される――。 都市再開発計画の名のもとに首都が七つのゾーンに区切られ、格差社会化が進む2032年の日本。 web情報誌“スツール”の記者・明海和は、独自に子ども狩と人身売買の取材を続けていたところ、カササギと名乗る人物に突き当たる。和が待ち合わせ場所に行くと、そこに現れたのはまだ十代の男性だった。彼は、これ以上取材を続けると「殺されますよ」と警告する。 なぜ、子どもたちの取材をすることが危険なのか? なぜ、国際的なモデル都市でストリートチルドレンが生まれるのか? 和は、自身の父親も“闇の子どもたち”の取材をしていたことを明かすが……。 ジュブナイル小説の名手による新たな代表作誕生!! 格差社会の闇に切り込む、ディストピア長編。
  • HEALTH RULES 病気のリスクを劇的に下げる健康習慣
    3.9
    医師で世界的な研究者である著者が、質の高い論文175本を選び抜き、がんや脳卒中、糖尿病、アレルギーになるリスクを劇的に下げるメソッドをまとめました。「7時間以上寝る」心筋梗塞のリスク20%減、「白米を1日1杯以下にする」糖尿病のリスク24%減など、具体的な方法を食事・睡眠・運動・入浴といったカテゴリー別に網羅。確かな科学的根拠(エビデンス)を1冊の本にぎゅっとまとめました。病気になってしまうその前に知っておきたい、今日から実行できる「最強」の健康習慣。
  • ペニー・レイン 東京バンドワゴン
    4.0
    人が人を呼ぶ、この下町の温かさよ……! 銭湯、豆腐屋さん、花屋さん、和菓子屋さん、染小物店……語られてこなかったご近所とそこに暮らす人々にスポットライトがあたる、下町ラブ&ピース小説。 堀田家の絆はますます深まる、大人気シリーズ第18弾! 堀田家の暮らす下町に〈日英テレビ〉のロケ隊がやってくる!? そして迎える、“大引っ越し大会”。そんな慌ただしい日々に飛び込んでくるのは、新規開業するお店の謎や、突然の放火疑惑、思いがけない告白に、大事な家族のメンバーとの別れ……。巡る時代を共にしてきたご近所の仲間たちと、改めて「LOVE」を分かち合う。
  • 星めがね
    -
    作家としての強烈な方法意識を学んだジェイムズ・ジョイスを中心に、グレアム・グリーン、夏目漱石、谷崎潤一郎、伊藤整、大岡昇平ら、作家と作品に迫る丸谷才一の文学的エッセイ集!
  • 堀田善衞上海日記 滬上天下一九四五
    5.0
    1945年、中国の国民党宣伝部にいた堀田善衞は、この地で敗戦を迎える。魔都とも称された上海で、27歳の青年は、敗戦から帰国までの1年半の混乱状況を詳細に日記に記し続けた。戦後日本に繋がる時代の出発点と、閉塞した状況下での青年の懊悩を描いた貴重な記録。
  • 本日も晴天なり 鉄砲同心つつじ暦
    3.8
    時は幕末。江戸城下、大久保の地。長く泰平の世が続き、代々この地を守ってきた鉄砲同心たちは火薬の原料を転用したつつじ栽培の内職に励み、時季には美しい花々を求めて多くの人が集まる江戸名所となっていた。礫家は鉄砲同心の御役に固執する頑固者の老父・徳右衛門、つつじ作りに類まれな才を発揮する息子・丈一郎、物忘れが多くなってきた祖母・登代乃、温和な母・広江、勝気な嫁・みどり、生真面目な孫・市松の六人暮らし。喧嘩も笑いも絶えない一家が大小様々な事件に巻き込まれて――。温かな“お江戸家族小説”。
  • 僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回
    4.4
    未来はすでに僕を侵食し始めている。未曾有のパンデミック、加速する気候変動……人類の自己破壊的な営みとともに、「日常」は崩壊しつつある。それでも流れを止めない「生命」とその多様な賑わいを、いかに受け容れ、次世代へと繋ごうか。史上最年少で小林秀雄賞を受賞した若き知性が2020年春からの「混沌」と「生まれ変わり」を記録した、四季折々のドキュメント・エッセイ!
  • 僕は僕のままで
    4.7
    5人のゲイが依頼人の人生を変える! エミー賞を2018年には3冠、2019年には4冠と、連続受賞を果たした世界的人気リアリティ・ショー『クィア・アイ』。その出演者<ファブ5>のひとり、ファッション担当タンがはじめて語る、過去と今、差別と多様性、自分らしさを貫く生き方とは。軽妙なブリティッシュジョークに満ちた、愛すべきエピソードの数々。
  • 母性のディストピア
    4.3
    宮崎駿、富野由悠季、押井守――戦後アニメーションの巨人たちの可能性と限界はどこにあったのか? 宮崎駿論4万字、富野由悠季論10万字、押井守論10万字の作家論を中核に、アニメから戦後という時代の精神をいま、総括する。そして『シン・ゴジラ』『君の名は。』『この世界の片隅に』――現代のアニメ・特撮が象徴するさまよえるこの国の想像力はどこにあるのか? 『ゼロ年代の想像力』『リトル・ピープルの時代』とその射程を拡大してきた著者の新たな代表作にして、戦後サブカルチャー論の決定版。
  • ポール・ヴァレリーの遺言 わたしたちはどんな時代を生きているのか?
    4.0
    堀江敏幸さん推薦!《二度の戦乱を生き、精神の危機を見すえていた詩人の声に耳を傾けながら、著者はそこに諦念ではなく希望を上塗りして、二十一世紀に生きる人間への信頼を言葉で回復しようとつとめた。稀有なユマニストの思索の跡がここにある。》 「わたしはおよそ四十年ぶりにパリにもどって来た」。一生をパリに捧げたフランス文学の泰斗が邂逅する、さまざまな時代の、記憶のなかの人々。みずみずしい最後の随想集。 「わたしを東京にひきとめるどんな係累も、どんな仕事も、すでになかった。そのときわたしは、古来稀なり、といわれる年齢に近づいていたけれど、歳など問題でなかった。残りの人生を賭けるつもりで、半分は運命のめぐりあわせを受け入れて、もう半分は自分の意志で、力が衰えはじめたからだを、若さの盛りにあったわたしを見守ってくれたパリの懐にもういちどゆだねてみようと、こころを決めたのだった。ある年の四月、わたしはおよそ四十年ぶりにパリにもどって来た」(本文より)
  • 政と源
    4.0
    東京都墨田区Y町。つまみ簪(かんざし)職人・源二郎の弟子である徹平(元ヤン)の様子がおかしい。どうやら、昔の不良仲間に強請られたためらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが――。弟子の徹平と賑やかに暮らす源。妻子と別居し、ひとり寂しく暮らす国政。ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚!
  • マザリング 現代の母なる場所
    3.8
    「マザリング」、性別を超え、ケアが必要な者に手を差しのべること――。揺らぐ命に寄り添う母の、孤独と疎外感。この社会で不可視化される、「弱き身体」の居場所とは? 記録されてこなかった妊娠出産期の経験をすくいあげ、「母」の定義を解体し、いまを生きる人々の声から、ケアをめぐる普遍的思考を紡ぐ。イケムラレイコ、イ・ラン、寺尾紗穂、ドミニク・チェンらへの取材も収録。
  • マチズモを削り取れ
    4.3
    路上、電車、学校、オフィス、トイレなど、日本の公共空間にはびこる〈マチズモ=男性優位主義〉の実態をライターが徹底調査! ジェンダーギャップ指数、先進国でぶっちぎりの最下位――「関係ない」はもうありえない。夜道を歩くことの恐怖、通学・通勤中の痴漢被害、発言権を奪われる不条理……最も身近な日常の場面から、変わらないこの国の「体質」をあぶり出す。
  • Matt
    4.2
    日本から移住してはや5年。父と二人、オーストラリアに暮らす安藤真人は、現地の名門校、ワトソン・カレッジの10年生(16歳)になった。Matt(マット・A)として学校に馴染み、演劇に打ち込み、言語の壁も異文化での混乱も、乗り越えられるように思えた。そこに、同じMattを名乗る転校生、マシュー・ウッドフォード(マット・W)がやってくる。転校生のマット・Wは、ことあるごとに真人を挑発し、憎しみをぶつけてくる。「人殺し! おれのじいさん、ジャップに人生台無しにされたんだ!」。第二次世界大戦、日本とオーストラリアの、負の歴史。目をそむけてはならない事実に、真人――マット・A――は、自らの<アイデンティティ>と向き合う。人種が、言語が、国が、血縁が、歴史が、17歳の少年の心と体を離さない。
  • 幻の旗の下に
    4.0
    日中戦争の拡大を受け、東京オリンピックの返上が決まった1938年。大日本体育協会は、オリンピックに代わる国際大会の開催を画策していた。立教大学野球部出身で、末広の秘書を務める石崎は、体協幹部や陸軍などの政治的な思惑に疑念を抱きながらも、平和の象徴としての代替大会を開催するべく「面従腹背」な面々と交渉を重ねていく。一方、ハワイにある日系人野球チーム「ハワイ朝日」のマネージャー・澤山の元に、旧知の石崎から電報が届く。返上された東京オリンピックの代わりとして開かれる「東亜競技大会」に、野球のハワイ代表として参加してくれないか、という招請状だった――。幻に終わった1940年東京オリンピック。代わりに計画された、新たな国際競技大会。その実現と参加に向け、海を越えた友情を信じて奔走する二人の若者がいた。知られざる歴史を浮かび上がらせる圧巻の交渉小説!
  • 嫁ぐ日 狸穴あいあい坂
    3.3
    元火盗改方与力の祖父と麻布狸穴町で暮らす結寿が、八丁堀同心の妻木道三郎とともに、界隈で巻き起こる事件の謎を解き明かす大人気シリーズ。妻木への初恋を胸の奥にしまい、御先手組の小山田家へ嫁いだ結寿。やがて夫の万之助と心を通わせあい、娘の香苗が誕生。ところが、予期せぬ出来事が婚家を襲う。辛い別れを経て狸穴町へ帰った結寿。懐かしい人々との穏やかな毎日が始まるかと思いきや、かつてのように、妻木とともに様々な事件の解決に走り出すことに。押し込み騒動、花魁殺し、子攫い……。罪に苦しむ人々の心を解きほぐすうちに、結寿自身の心にも変化の時が訪れて――。
  • 真夜中のマリオネット
    3.9
    殺した後、一晩かけて遺体をバラバラにする殺人鬼――通称「真夜中の解体魔」。婚約者を殺された救急医の秋穂は、深い悲しみを抱えながらもなんとか職場に復帰をしたところだった。そこに運ばれてきたのは、交通事故で重傷を負った美少年・涼介。無事、命を救うことができたが、手術室を出た秋穂に刑事が告げる。「彼は『真夜中の解体魔』だ」と――。涼介に復讐しようとする秋穂に、涼介は綺麗な涙を流しながら訴える。「僕は罠にかけられただけなんです」と――。無実に思える証拠を見せられた秋穂は、ためらいながらも涼介と真犯人を探すことになる が……。涼介は真犯人に操られた哀れな人形(マリオネット)なのか、それとも周囲を操る冷酷な人 形遣いなのか。衝撃のクライマックスに、きっとあなたは絶叫する。
  • マンザナ、わが町
    -
    真珠湾攻撃から4カ月後。アメリカ合衆国カリフォルニア州オーウェン郡マンザナ。そこに日系人を隔離する強制収容所があった。移民として、そしてアメリカ合衆国市民として、血のにじむような苦労の末に築き上げた財産と名誉を突然、政府によって奪われ、敵国日本の血を引くという差別的理由だけで強制収容された数万の人々――。そんなマンザナ収容所内で情報宣伝のため、職歴をもとに集められ、奇妙なプロパガンダ劇『マンザナ、わが町』を演じるように命じられた5人の日系女性たち――アマチュア劇団の演出家兼ジャーナリスト・ソフィア岡崎、浪曲師・オトメ天津、ステージマジシャン・サチコ斎藤、歌手・リリアン竹内、映画女優・ジョイス立花。彼女たちは数日後の上演に向けて、戸惑いながらも稽古を始めるのだが……。彼女たちの葛藤を通して、民族とは、国家とは、そして人間の尊厳とは何か、が鮮やかに浮かび上がってくる。上質なユーモアにくるんで、井上ひさしが現代に遺した熱いメッセージ。泣けて笑えて、胸を打つ傑作戯曲。
  • 真ん中の子どもたち
    3.4
    【第157回芥川龍之介賞候補作】“四歳の私は、世界には二つのことばがあると思っていた。ひとつは、おうちの中だけで喋ることば。もうひとつが、おうちの外でも通じることば。”台湾人の母と日本人の父の間に生まれ、幼いころから日本で育った琴子は、高校卒業後、中国語(普通語)を勉強するため留学を決意する。そして上海の語学学校で、同じく台湾×日本のハーフである嘉玲、両親ともに中国人で日本で生まれ育った舜哉と出会う。「母語」とはなにか、「国境」とはなにか、三人はそれぞれ悩みながら友情を深めていくが――。日本、台湾、中国、複数の国の間で、自らのことばを模索する若者たちの姿を鮮やかに描き出す青春小説。
  • 見憶えのある場所
    3.6
    結婚をしないまま、娘・千草を産んだゆり子。スーパーのパート勤めの間、千草は母・菜穂子のもとに。父が出ていったあとに一人暮らす母のいる家は、ゆり子の「見憶えのある場所」だった。千草の姿に重なるように家族の日々と忌わしい記憶が蘇る。母はゆり子と千草の生活にかかわるうちに、次第に常軌を逸していく…。母と娘の確執、それぞれが抱える苦悩を丹念に描く注目の小説。
  • ミシンと金魚
    4.2
    【第45回すばる文学賞受賞作】認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。父から殴られ続け、カケイを産んですぐに死んだ母。お女郎だった継母からは毎日毎日薪で殴られた。兄の勧めで所帯を持つも、息子の健一郎が生まれてすぐに亭主は蒸発。カケイと健一郎、亭主の連れ子だったみのるは置き去りに。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続けるカケイの腹が、だんだん膨らみだす。そして、ある夜明け。カケイは便所で女の赤ん坊を産み落とす。その子、みっちゃんと過ごす日々は、しあわせそのものだった。それなのに――。暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟……絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。
  • みずうみのほうへ
    3.7
    【第38回すばる文学賞受賞作】父と二人で出かけた七歳の誕生日旅行。「サイモン」という人物を想像するゲームで一緒に遊んだあと、父が船上から姿を消し、ぼくはたったひとり、夜の海に取り残された。湖のある小さな町で暮らす伯父のもとに引き取られたぼくは、大学卒業後に港町に出て、水産物加工場で働きはじめる。楽しみは週に一度のアイスホッケー観戦だった。二十代最後の年にぼくは偶然、サイモンそっくりの人物と遭遇。やがて、中古車販売を営む「サイモン」のもとへ週末ごとに通い、ガレージで過ごすようになっていく。だがある夜、突然「サイモン」が、ぼくと父しか知らないはずの言葉を口にして――。時間と空間を自在に交差させながら、喪失の果ての光を繊細に描き出す、新しい才能の誕生。
  • 水たまりで息をする
    3.7
    【第165回芥川賞候補作】ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが――。
  • 水の匂いがするようだ 井伏鱒二のほうへ
    5.0
    【第17回角川財団学芸賞受賞作】井伏鱒二、生誕120年。本作では、初期から晩年までの作品を貫く、「魚」「水」「釣り」というモチーフが、いかに井伏にとって生の本質を形作っているかを明るみにし、井伏の作品群が21世紀の読者にとって思いがけないほど新鮮で強い感動を与えるにちがいないことを見事に描き出す。「おれは、勉強しだいでは、谷崎潤一郎にはなれるけれども、井伏鱒二にはなれない」と太宰治が評した作家の新たな魅力を見つけよう。僕たちの新しいイブセがはじまる。
  • 【カラー版】未来国家ブータン
    3.8
    【電子版特別カラー写真収録】略して『みらぶ~!』。「わが国に未知の動物はいません。でも雪男はいますよ。」そのひと言にのせられて、私はヒマラヤの小国に飛んだ。雪男を探しながらも、「世界最高の環境立国」「世界で一番幸せな国」と呼ばれる本当の理由にたどりつく。電子版には特典写真2点を追加収録。
  • ミーツ・ザ・ワールド
    4.2
    【死にたいキャバ嬢×推したい腐女子】 焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開く――。推しへの愛と三次元の恋。世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は……。金原ひとみが描く恋愛の新境地。
  • 無間道
    4.0
    逝くな、生きろ――。自ら逝くこと=自殺が賞賛され、心中(デュオ)や集団自殺(マルチ)が大流行する社会。自殺死体が街中いたるところに放置され、カラスがそれらをついばみ、人々は裏庭で死体を焼却し、無造作に埋めている。死臭と腐敗臭にまみれて、日々を送る主人公・竹志は、ある朝、恋人の彩乃が一人(ソロ)で逝ったことを知らされる。一緒に逝こうと誘われていたのに、竹志はそれを断ったのだった。最期の別れに、彩乃の生家を訪ねた竹志を待っていたものとは……。(「無間道」)独特の視座で、生の現実と歪んだ世界を鋭く描く気鋭の中編集。リアルな絶望と怒り、そして希望にあふれた傑作。【収録作品】無間道/煉獄ロック/切腹
  • ムサシ
    4.0
    武蔵と小次郎、ふたたび相まみえる! 「巌流島の決闘」から6年。じつは生きていた佐々木小次郎が、宮本武蔵に再び果たし状をたたきつけた。二大剣客の因縁の対決の結末は? はたして人間は憎しみと報復の連鎖を断ち切ることができるのか――。笑いと感動の中に、9.11以降、21世紀の世界が抱える普遍的な問題を浮き上がらせる、井上ひさし晩年の傑作。蜷川幸雄演出で、ロンドン、ニューヨークなど世界各地で上演され大きな反響を呼んだ名舞台が電子版戯曲で蘇る。
  • むつかしきこと承り候 公事指南控帳
    3.5
    江戸時代、薬屋ながら副業として公事(裁判)の相談に乗る時次郎。そこそこ儲かっているが、高い書物を買うので余裕はあまりない。それと子作りに熱心でない事を恋女房からは責められ通しだ。おまけに持ち込まれるもめ事は、一筋縄ではいかないものばかり。不貞を働いたとして殺された夫の潔白を証明したい、息子が呪い殺されたのでそのことをお上に訴えたい、破産したのに財産を隠していた相手から金を取り戻したい――。さて、次はどんな厄介な事件が舞い込んでくるのやら?
  • 【無料】「東京バンドワゴン」10周年記念小冊子
    無料あり
    3.7
    シリーズ累計130万部突破! 「東京バンドワゴン」シリーズ10周年を記念して、シリーズ全巻の試し読み&小路幸也特別インタビュー(「青春と読書」5月号収録)を収録した無料小冊子を配信いたします。老舗古書店「東亰バンドワゴン」に舞い込む謎を、大家族の堀田家が人情あふれる方法で解決する大人気シリーズの入門ガイド。

    試し読み

    フォロー
  • メビウス・ファクトリー
    3.6
    町の住民のほとんどが働く巨大工場。しかし、そこで何が作られているのか、実は、誰も知らない――。妻子を連れて地元の町にUターン就職し、町一番の工場に就職したアルト。完璧な管理システムを持った工場は、町民の誇りと憧れの存在だったが、アルトは働き続けるうち、徐々に工場の“秘密”に気づきはじめ――。閉鎖的な企業城下町を舞台に、現代日本を照射するSF長編。【目次】第一章 新入社員/第二章 鑑定士見習い/第三章 熟練工/第四章 新入社員、その後/第五章 新人鑑定士/第六章 パンデミック/第七章 お尽くし
  • 楊花の歌
    3.8
    【第35回小説すばる新人賞受賞作】 一九四一年、日本占領下の福建省廈門。 大阪松島遊廓から逃走して、上海、広州、香港と渡り歩き、廈門に辿り着いたリリーは、抗日活動家の楊に従い、カフェーで女給として働きながら諜報活動をしていた。あるとき、楊から日本軍諜報員の暗殺を指示され、その実行者として、琥珀色の瞳と蛇の刺青が印象的なヤンファという女性を紹介される。 中秋節の晩をきっかけに強くヤンファに惹かれていくリリーにとって、彼女と過ごす時間だけが生への実感を持てるひとときになっていた。 しかし、楊から秘密裏に課されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった……。 戦時下の中国・廈門を舞台に流転する女性たちの愛と葛藤を描く、圧巻の熱量を放つ第35回小説すばる新人賞受賞作。
  • 友罪【電子特別版】
    4.1
    【電子版限定特典つき】―過去に重大犯罪を犯した人間が、会社の同僚だとわかったら?― ミステリ界の若手旗手である薬丸岳が「作家になる前から書きたい題材でした。人間の内面をとことん掘り下げた、現時点の集大成です」と語る、児童連続殺傷事件に着想を得て、凶悪少年犯罪の「その後」を描いた傑作長編!ジャーナリストを志して夢破れ、製作所に住み込みで働くことになった益田純一。同僚の鈴木秀人は無口で陰気、どことなく影があって職場で好かれていない。しかし、益田は鈴木と同期入社のよしみもあって、少しずつ打ち解け合っていき…。一方、同じ製作所で働く事務員の藤沢美代子は、職場で起きたある事件についてかばってもらったことをきっかけに、鈴木に好意を抱くようになる。ある日、元恋人のアナウンサー・清美から「13年前におきた黒蛇神事件について、話を聞かせてほしい」と連絡を受けた益田は、13年前の残虐な少年犯罪について調べを進めるうち、その事件の犯人である「青柳」が、実は同僚の鈴木なのではないか?と疑念を抱きはじめ……。 電子版限定!「青春と読書」’13年5月号に掲載された、著者インタビューも収録。
  • 愉快な青春が最高の復讐!
    3.0
    気鋭の小説家、初のエッセイ集。パーティーもBBQもフェスも見当たらず、学生でもない。でもこれは紛うことなき青春だ! 会社の同期五人との、謎の熱狂。平日は毎晩のように誰かの部屋に集まり、一台のベッドにぎゅうぎゅう詰めで眠る。会社のロッカーに共用の風呂道具を入れて、仕事帰りにみんなで銭湯に通う。北は北海道から南は長崎まで、弾丸旅行へ行きまくる――。「私が体験した青春は、ジェネリックだったのかもしれない」。記録魔だからこそ振り返ることのできる、あまりにもさっぱりとした自虐エッセイ! どうか笑ってあげてください。
  • 夢伝い
    3.9
    孤独を愛する人気作家が突然の断筆宣言。担当編集者は作家の住む地方へひとり、向かった。作家を脅かすものを探しに――(「夢伝い」)。地球に近づいてきた惑星、現れた女遍路――。四国に戻って来た私は、40年前の午後を思い出していた(「送り遍路」)。自らの胎内で卵を孵すセグロウミヘビ。海洋生物マニアの男は「彼女」を手に入れてから生活が一変し……(「卵胎生」)。未知のウイルス性感染症が蔓延した後、「新しい世界」の幕が開けた。男は都心から自然豊かな土地に移住を決め、恋人とはリモートで関係を深めていたが……(「果て無き世界の果て」)など、昭和から現代までを舞台に、日常に潜む怪異や心理の歪みから生まれる怪奇を描いた全11話を収録。
  • 夢の痂
    -
    「トコトコ旅行く 天子さま あちこちおたずね 天子さま」さあ大変。敗戦まもない昭和22年、天皇の東北御巡幸の行在所(宿舎)に内定した大地主・佐藤家は、上を下への大騒ぎ。たまたま居候していた元大本営参謀・三宅徳次を急ぎ仮の陛下に見立て、つつがなくお迎えするためにおもてなしの猛特訓を始めたが……その首尾やいかに。農地改革と民主化を背景に、戦争指導層の責任を鋭く問い直す、東京裁判3部作の掉尾を飾る渾身の傑作戯曲。
  • 百合中毒
    3.6
    二十五年前に家族を捨てて出ていった父親が突然戻ってきた。妻と娘夫婦が経営する八ヶ岳の麓の園芸店へ。二十歳下のイタリア人女性と恋仲になり一緒に暮らしていたが、彼女が一人で帰国してしまったというのだ。しかし娘たちはとっくに大人になり、妻にはすでに恋人がいた。次女の遥は叫ぶ。「許さないから。絶対に。出てってよ。早く出てって!」長女の真希は苛立つ。「大恋愛して出ていったのなら、二度と戻ってこないのが筋ではないのか」妻の恋人・蓬田は夜ごと彼女からの電話を待つ。「俺はまるで女子高生みたいだな」そして妻の歌子は思い出す。夫との出会いの場所に咲き乱れていた花のことを。家族とは。夫婦とは。七人の男女の目線から愛を問い直す意欲作。
  • よき時を思う
    3.6
    よき時、それはかつての栄光ではなく、光あふれる未来のこと。 いつか、愛する者たちを招いて晩餐会を―― 九十歳の記念に祖母が計画した、一流のフレンチシェフと一流の食材が織りなす、豪華絢爛な晩餐会。 子どもたち、孫たちはそれぞれの思いを胸にその日を迎える。 徳子おばあちゃんは、なぜ出征が決まった青年と結婚したのか? 夫の戦死後、なぜ数年間も婚家にとどまったのか? そしてなぜ、九十歳の記念に晩餐会を開くことにしたのか? 孫の綾乃は祖母の生涯を辿り、秘められた苦難と情熱を知る――。 一人の命が、今ここに在ることの奇跡が胸に響く感動長編!
  • 夜果つるところ
    3.6
    執筆期間15年のミステリ・ロマン大作『鈍色幻視行』の核となる小説、完全単行本化。 「本格的にメタフィクションをやってみたい」という著者渾身の挑戦がここに結実…! 遊廓「墜月荘」で暮らす「私」には、三人の母がいる。孔雀の声を真似し、日がな鳥籠を眺める産みの母・和江。身の回りのことを教えてくれる育ての母・莢子。表情に乏しく、置き物のように帳場に立つ名義上の母・文子。ある時、「私」は館に出入りする男たちの宴会に迷い込む。着流しの笹野、背広を着た子爵、軍服の久我原。なぜか彼らに近しさを感じる「私」。だがそれは、夥しい血が流れる惨劇の始まりで……。 謎多き作家「飯合梓」によって執筆された、幻の一冊。 『鈍色幻視行』の登場人物たちの心を捉えて離さない、美しくも惨烈な幻想譚。※電子版はリバーシブル・カバー仕様ではありません。
  • 来福の家
    3.5
    中国語を学ぶ日本人恋人に、自身を揺るがされる在日台湾人女性…第33回すばる文学賞佳作受賞の「好去好来歌」と「来福の家」収録。台湾、中国、そして日本。3つの言語が織りなす初めての快感――。在日台湾人の著者が解き放つ新しい文学!!
  • 『ラブカは静かに弓を持つ』ロングセラー記念ガイドブック(試し読み付)
    無料あり
    4.0
    誰かを救うチェロの音色。きっと、あなたの心にも響く―― 少年時代、ある事件に遭遇し、トラウマを抱え生きる橘樹。 勤務先の上司から呼び出され、音楽教室の違法行為を探るための潜入調査を命じられる。 橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始めるが、次第に彼の演奏に魅了され……。 感動の音楽小説『ラブカは静かに弓を持つ』のロングセラーを記念して、斉藤壮馬さん、篠田節子さんとのスペシャル対談、著者・安壇美緒さんへのインタビュー、さらにスペシャルショートストーリー『音色と素性』を収録したガイドブックを配信します。 ぜひダウンロードしてお楽しみください。

    試し読み

    フォロー
  • リバー
    4.3
    《「本の雑誌」が選ぶ2022年度ベスト10 第一位!》 同一犯か? 模倣犯か? 群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見! 十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。 かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。 娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。 若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。 十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか―― 人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説!
  • 理不尽ゲーム
    4.1
    欧州最後の独裁国家ベラルーシ。その内実を、小説の力で暴く。群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスク。老いた祖母だけがその回復を信じ、病室で永遠のような時を過ごす一方、隣の大国に依存していた国家は、民が慕ったはずの大統領の手によって、少しずつ病んでいく。10年後の2009年、奇跡的に目覚めたツィスクが見たものは、ひとりの大統領にすべてを掌握された祖国、そして理不尽な状況に疑問をもつことも許されぬ人々の姿だった。時間制限付きのWi-Fi。嘘を吐く国営放送。生活の困窮による、女性の愛人ビジネス。荒唐無稽な大統領令と「理不尽ゲーム」。ジャーナリストの不審死。5年ごとの大統領選では、現職が異常な高得票率で再選される……。緊迫の続く、現在のベラルーシの姿へとつながる物語。
  • 良妻の掟
    3.6
    女たるもの、したたかでなくては。 元バリキャリ・現小説家志望のアリスは不満だった。夫に伴い渋々引越した古い屋敷は、相当な手入れが必要な物件だったのだ。いざ掃除すると、古い料理本や1950年代の雑誌など、前の女主人ネリーの暮らしていた痕跡が見つかった。 庭と植物を愛する、良妻の鑑であったはずのネリーには、どうやら深い秘密がありそうで…。 ニューヨーク郊外の屋敷を舞台に、時代を超えたシスターフッドを描く。 北米ベストセラー・エンタテインメント小説! 【著者プロフィール】 カーマ・ブラウン(Karma Brown) カナダのオンタリオ州生まれ。ジャーナリスト、作家。ウエスタン・オンタリオ大学で心理学と英語を専攻し、その後ビジネスコンサルティング会社のマーケティング部門で働きながら、ライアソン大学大学院でジャーナリズムを学ぶ。 のちに小説やノンフィクションを執筆するようになり、本書は小説5作目にあたる。 現在はトロント郊外で夫、娘、犬と暮らしている。 【訳者プロフィール】 加藤洋子(かとう・ようこ) 文芸翻訳家。ハンナ・ケント『凍える墓』、デレク・B・ミラー『白夜の爺スナイパー』『砂漠の空から冷凍チキン』(以上集英社文庫)、クリスティン・ハナ『ナイチンゲール(上・下)』(小学館文庫)、ケイト・クイン『戦場のアリス』『亡国のハントレス』『ローズ・コード』(以上ハーパーBOOKS)など訳書多数。 【原題】 Recipe for a Perfect Wife
  • リリアンと燃える双子の終わらない夏
    4.3
    リリアン28歳、人間嫌い。自己肯定感はかなり低め、将来への希望もない。1995年、春の終わりに、そんなリリアンのもとに友人のマディソンから手紙が届く。おもしろい仕事があるので、彼女の暮らすお屋敷まで来てほしいという。それで、頼まれたのは10歳の双子のお世話係。なりゆきに任せて引き受けたけれど――子供たちは興奮すると〈発火〉する特異体質だった!? 全米ベストセラー作家ケヴィン・ウィルソンが涙と笑いで〈リアル〉に描く、ほろ苦い愛情と友情の物語。ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、USAトゥデイ紙、タイム誌、ピープル誌ほか、10の全米主要メディアが年間ベストブックに選出!
  • ルコネサンス
    3.7
    大学院でサルトルを学ぶ中条珠絵は、亡き祖母と母と暮らした一軒家で一人暮らしを続けていた。生後すぐに母は離婚し、父とは二十数年会っていなかったが、ある日、伯父から再会を勧められる。迷った末に銀座のバーで出会うが、なりゆきから娘と名乗らないままに食事を重ね、恋愛にも似た感情を覚える。自身の結婚を機に、改めて父娘としての再会を果たすも、家族であれば持っているはずの共通の思い出がないことに気づく。郷里への旅や父の闘病を経て、ようやくたどり着いた父娘の在り方とは――。父娘がお互いを家族とふたたび認める(ルコネサンス)までの軌跡を描いた著者の自伝的フィクション。
  • 令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法
    3.2
    通称:令和反逆六法―― 六つのレイワ、六つの架空法律で、現行法と現実世界にサイドキック! 「命権擁護」の時代を揺さぶる被告・ボノボの性行動、「自家醸造」の強要が助長する家父長制と女たちの秘密、「労働コンプライアンス」の眩しい正義に潜む闇……。 痛烈で愉快で洗練された、仕掛けだらけのリーガルSF短篇集。 【収録短篇および各話の架空法律】 ◇第一話 動物裁判 礼和四年「動物福祉法」及び「動物虐待の防止等に関する法律」 ◇第二話 自家醸造の女 麗和六年「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達(通称:どぶろく通達)」 ◇第三話 シレーナの大冒険 冷和二十五年「南極条約の取扱いに関する議定書(通称:南極議定書)」 ◇第四話 健康なまま死んでくれ 隷和五年「労働者保護法」あるいは「アンバーシップ・コード」 ◇第五話 最後のYUKICHI 零和十年「通貨の単位及び電子決済等に関する法律(通称:電子通貨法)」 ◇第六話 接待麻雀士 例和三年「健全な麻雀賭博に関する法律(通称:健雀法)」
  • ロマンス
    4.0
    ロシア近代演劇の巨人・アントン・チェーホフ、その波乱の生涯を描く評伝劇。ボードビルに憧れる少年期、医師として活動する青年期、劇作家として名声を得た壮年期、そして結核により死を覚悟した晩年期。生涯を通して彼を支えた二人の女性、妹・マリヤ、恋人・オリガとの心の交流をまじえ、チェーホフの一生をひとつの「ボードビル」として活写する。ボードビルという演劇ジャンルを、高め、練り上げ、文学にしようとしたチェーホフ。「喜劇だ」「いや、悲劇だ」――いまも世界中で喧しい議論の的となるチェーホフ戯曲の本質を、井上ひさしが解き明かす。戯曲本編に併せ、著者自身による「原稿ができるまで」を大公開。※「原稿ができるまで」は、画像収録となります。タブレットなど大きい端末でご覧いただくのに適しています。
  • 若葉の宿
    3.3
    京都の町家旅館で祖父母に育てられた、若い女性の揺れる心情を描く「小説すばる新人賞」受賞第1作。京都の小さな町家旅館・山吹屋に生まれた夏目若葉は、父を知らず、母も幼い頃に失踪したため、祖父母に育てられた。旧来のスタイルを守り続ける山吹屋は、グローバル化の波が押し寄せるなかで、年老いた祖父母の手で細々と経営が続けられていた。旅館を継ぐ決心がつかないまま20歳を過ぎた若葉は、祖父の伝手により、老舗の大旅館で新米の仲居として修業を始める。一方、中学からの親友・紗良は、芸妓を志す。失敗を繰り返しながらも仕事を覚えていく若葉は、先輩からの厳しい叱責に戸惑い続ける日々を送っていた。そんなある日、山吹屋に買収の話が持ちかけられる。さらに、若葉が勤める大旅館にも激震が……。
  • わたしに会いたい
    3.3
    『くもをさがす』の西加奈子が贈る、8つのラブレター。 この本を読んだあと、あなたは、きっと、自分の体を愛おしいと思う。 「わたし」の体と生きづらさを見つめる珠玉の短編小説集。 わたしを生きるための言葉。#Imissme ――わたしに会いたい。 コロナ禍以前の2019年より、自身の乳がん発覚から治療を行った22年にかけて発表された7編と書き下ろし1編を含む、全8編を収録。 ・「わたしに会いたい」――ある日、ドッペルゲンガーの「わたし」がわたしに会いに来る。 ・「あなたの中から」――女であることにこだわる「あなた」に、私が語りかける。 ・「VIO」――年齢を重ねることを恐れる24歳の私は、陰毛脱毛を決意する。 ・「あらわ」――グラビアアイドルの露(あらわ)は、乳がんのためGカップの乳房を全摘出する。 ・「掌」――深夜のビル清掃のアルバイトをするアズサが手に入れた不思議な能力とは。 ・「Crazy In Love」――乳がんの摘出手術を受けることになった一戸ふみえと看護師との束の間のやり取り。 ・「ママと戦う」――フェミニズムに目覚めたママと一人娘のモモは、戦うことを誓う。 ・「チェンジ」(書き下ろし)――デリヘルで働く私は、客から「チェンジ。」を告げられる。
  • わたしは異国で死ぬ
    3.5
    2022年度ニューヨーク公共図書館若獅子賞受賞作 大勢の平和的抗議者たちが特殊部隊ベルクトに攻撃され、負傷者や死者が出ている。ウクライナは事実上、非常事態となっていた……。 ボストンから来たウクライナ系米国人女性医師、チョルノービリ原発近郊出身の鉱山技術者、かつてFEMENに参加した青い髪の女性活動家、独立広場でピアノを弾く元KGBスパイの老人、そしてジャーナリストたち……。 冬のウクライナ、首都キーウで交錯する、それぞれに過去を抱えた人々の運命。激動の時代を背景に展開する喪失と希望への物語。 史実とフィクションで織りなす、圧巻のデビュー長篇小説。 (原題 I Will Die in a Foreign Land)
  • 私を愛して下さい(十津川警部シリーズ)
    -
    旅行作家の菊地文彦が、東京の自宅で刺殺された。直前に岩手県の宮古へ取材に行ったことが判明。捜索にあたる十津川警部は、相棒の亀井刑事と宮古へ向かう。菊地が訪れた姫川村の寺で、砕かれた石碑に“列”という刻字を見つける。東日本大震災で破損しただけでなく、故意に粉砕したと感じた十津川は、石碑の由来を調べ始める。第二次大戦の特攻作戦に繋がると睨んで鹿児島へ飛ぶが……。特攻隊員の妻の命の叫びが、現代の殺人を呼んだ!? 岩手と鹿児島を舞台に描く戦争&旅情ミステリー。書き下ろし。
  • 悪い姉
    3.5
    「平穏な生活のために、姉を殺すことにしました」三月生まれの倉石麻友と、四月生まれの姉・凜。ふたりは生まれの近い年子のため、同学年として同じ高校に入学した。高校二年生になった春、麻友は姉を殺す計画を立てる。姉は誰もが振り返るような美少女だが、実は意地悪で残酷。幼いころからいじめなどの問題行動を繰り返していた。ずっと「毒姉」との決別を夢想しては敗れてきた妹の、試行錯誤の行方は? そして、妹自身が抱え続ける罪とは――。思い込みから解き放たれ、自由へと向かう物語。
  • わるもん
    3.3
    【第42回すばる文学賞受賞作】――純子ちゃんもあるやろ、お父さんに有罪だしたこと。硝子職人の父はいつの間にか「箕島家」から取り除かれてしまった。工場(こうば)で汗を流して働く以外は縁側から動かず、家族を見なかった父はどこへ行ったのだろう。笑顔が増えた母、家には寄り付かない姉の鏡子と祐子。ときどき現れる「ミシマ」さんという男性。純子だけが母の視線を受けながらずっと家にいる。大好きなレーズン、日課の身長測定、ビーカーで飲む麦茶、変わらない毎日の中、あるときから純子は父の「コンセキ」を辿り始める。日本のどこかで営まれる家族の愉快でちょっと歪んだ物語。
  • 我は、おばさん
    4.2
    『更級日記』から『マッドマックス 怒りのデス・ロード』まで、古今東西の文学・エンタメ作品をひもとき、ポジティブに「おばさん」を再定義する、カルチャー・エッセイ。ジェーン・スーさんとの特別対談も収録! 大手出版社で編集者としてキャリアを積み、現在はマンハッタン在住で文筆業の傍らコメンテーターとしても活動する著者の最新刊。
  • グリフィスの傷
    NEW
    -
    からだは傷みを忘れない――たとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも。 「傷」をめぐる10の物語を通して「癒える」とは何かを問いかける、切々とした疼きとふくよかな余韻に満ちた短編小説集。 「みんな、皮膚の下に流れている赤を忘れて暮らしている」。ある日を境に、「私」は高校のクラスメイト全員から「存在しない者」とされてしまい――「竜舌蘭」 「傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます」。公園で「わたし」が「あなた」を見守る理由は――「グリフィスの傷」 「瞬きを、する。このまぶたに傷をつけてくれたひとのことをおもう」。「あたし」は「さやちゃん先生」をめがけて、渋谷の街を駆け抜ける――「まぶたの光」 ……ほか、からだに刻まれた傷を精緻にとらえた短編10作を収録。
  • キャント・バイ・ミー・ラブ 東京バンドワゴン
    NEW
    -
    愛を歌って生きていく。 新たな門出や、新たな生命(いのち)。堀田家のラブ&ピースはまだまだ続く! いつにも増して「LOVE」にあふれた大人気シリーズ第19弾! 人気アイドルグループ〈カラーナンバー7〉の新曲を研人が手がけることに。なぜか堀田家にメンバーが来て作業を進めるという流れで……。堀田家全体が浮足立つなか〈東亰バンドワゴン〉の隣地への〈クリエイターズ・ビレッジ〉の準備は進んでいく。そして、夏に迫る堀田家の新たな生命(いのち)の誕生や結婚式! 今年も堀田家は賑やかで温かで、「LOVE」に包まれている。

最近チェックした本