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Posted by ブクログ
「好去好来歌」「来福の家」の2編がおさめられている。
私は読後感がすっきり幸福感が残る後者が好き。
2編とも台湾生まれ日本語育ちの作者でしか書けない、気づけないエピソードがちりばめられているようで興味深かった。自伝的小説?次のほかの作品を読んでみたい。また、2編とも親戚や祖父母さらにはその上の世代までの血縁の強いつながりを感じさせるお話だなぁと思う。私がそういったつながりをあまりもたないので、敏感になってしまっているのかも。
「好去好来歌」は黒髪のほっそりした主人公で姚愛寗を想像しながら常に映像を観るように読みすすめた。映画にできそう。台湾人で日本語が不得意な母との衝突に悲しくなってしまった。望まずに日本育ちとなってしまった自分との葛藤とまざってしまい自分では制御不能となってしまう少女のこころのもやもやを想いこちらが苦しくなる。
「来福の家」は前者と似た境遇ではあるが、主人公笑笑は少しふっきれているように感じられる。少し大人というか。自分の中のバランスも自分でとることができているようで安心して読み進めることができた。笑笑と姉がふたりしかできない言葉さがしをするところ、笑笑と里実が秘密の名前をもつところの女子特有のキラキラコソコソクスクストークの場面がお気に入り。笑笑がウェイウェイを連れて迷子になってしまった日の描写が暑い気温と色濃い緑と台湾の音が感じられ、むあっとした。姉歓歓が子供にどんな名前をつけたのか気になるところ。
Posted by ブクログ
第33回すばる文学賞(2009年)佳作となった「好去好来歌」と「来福の家」の二編を収録。「好去好来歌」は著者自身の来歴を綴ったような一編。台湾生まれで3歳から日本で育った若い娘・楊縁珠(よう・えんじゅ)の言葉への思いと自己のアイデンティティーを探る物語だ。母語を持たない者の漠然とした心理的不安がよく描かれた一編。まさに著者のような立場の者ににしか書けない作品だ。このタイトルに使われている「好去好来歌」とは、本来、山上憶良が唐への出発を目前に控えた遣唐大使・多治比広成へ送った歌のことで、北京へ留学するボーイ・フレンド田中への惜別と縁珠からの励ましと受け止めた。「来福の家」は一転、明るいお話。前作同様、台湾から仕事のためにやって来た両親の元、幼いころから日本で育った二人姉妹、姉・歓歓と妹・笑笑の物語。それほど長くない物語の中に、言葉をめぐる日台中三か国の関係と、外国で暮らす人々の言葉の苦労などがよく組み込まれている。どちらかと言えば、肩肘張らない表題作の「来福の家」の方が好ましく思えた。
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