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十七歳の私たちは、「はるか遠くにある未来」を夢みていた――
私=林由起子には、林美怜と林圭一という同じ「林」の苗字を持つ友人がいた。やがて圭一は美怜と付き合うようになり、三人の関係に変化が訪れる……。国籍や性別を超えた三人の友情、その積み重ねた時間を描いた表題作をはじめ、「日本語文学」を拡張する傑作作品集。
完全に普通のひとなんか、この世に一人もいないよ。誰もが皆、それぞれ、ちょっとずつ、普通じゃないんだ。(「永遠年軽」)
おじいちゃんはね、二十歳までは、日本人だったんだよ。(「誇り」)
父が、おりこうさん、と言ってくれるから、ガイジン、とか、タイワン、とはやしたてられても耐えられた。(「おりこうさん」)
Posted by ブクログ 2023年01月07日
美怜と圭一と由紀子。三人は十七歳の時に知り合った。皆苗字が林だ。それで下の名前で呼び合うことになった。美怜だけは、「ハヤシ」ではなく、「リン」だった。父親が台湾人で、22歳になるまでに中華民国か日本か国籍を選択しなければならないと話していた。日本人でもなく台湾人でもない自分が宙ぶらりんで悲しいとも。...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月25日
最後の「おりこうさん」はすこぶる面白かった。
他の二篇は、文体が気になってあまり入り込めず。
作者独自の文体だと思えばいいのか、ネイティブでないせいなのか、いわゆる「手練れの書き手」ではないせいなのか、そこのところが今ひとつわからないのだが。
最後の「おりこうさん」は、その文体さえも、冴えがあった...続きを読む
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