無間道

無間道

小説・文芸
1,408円 (税込)

7pt

4.0

逝くな、生きろ――。自ら逝くこと=自殺が賞賛され、心中(デュオ)や集団自殺(マルチ)が大流行する社会。自殺死体が街中いたるところに放置され、カラスがそれらをついばみ、人々は裏庭で死体を焼却し、無造作に埋めている。死臭と腐敗臭にまみれて、日々を送る主人公・竹志は、ある朝、恋人の彩乃が一人(ソロ)で逝ったことを知らされる。一緒に逝こうと誘われていたのに、竹志はそれを断ったのだった。最期の別れに、彩乃の生家を訪ねた竹志を待っていたものとは……。(「無間道」)独特の視座で、生の現実と歪んだ世界を鋭く描く気鋭の中編集。リアルな絶望と怒り、そして希望にあふれた傑作。【収録作品】無間道/煉獄ロック/切腹

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    *ネタバレ、っていうほどないです。

    文章から、作家の波打つ動脈のようなものが感じられた。
    今にもちぎれそうな、破裂しそうな血管と、その中に流れる熱い血潮。

    喉にへばりつくような空気感、臭気、粘り気。
    星野智幸の小説にはこういう「気候」がよく用意されてるけど
    わたしこれが好きだなー。

    この『無間道』という小説からは
    すぐに読みとれるストーリーはない。
    主人公の動きを追うようなストーリーじゃなくて
    3章にわたって繰り返される構造が
    「物語」として浮き上がってくる。

    たぶんだれでも気づくだろうな。
    「これは無限ループのおはなしだ」って。
    物語の構造自体がストーリーを引き寄せ、
    それはまた小説全体の書き方にも及んでる。

    だからきっと本当に読むべきは
    その無限ループじゃないんだ。
    「無限ループ」っていう言葉から想像されるのは
    <まったく同じことの繰り返し=無意味>だと思うんだけど
    この小説で感じられる反復は、ずれを、ともなっている。
    繰り返しているんだけどずれている。
    ずれているんだけど繰り返してるといえる。
    似ているけど違っていて、違っているけど同じに思える。

    ずれてるからそこに、
    新しい意味がまた繋がっていくんじゃないかと
    新たな可能性を見つける可能性があるんじゃないかと
    思えてしまうんだ。

    ありえない世界のリアリティを
    疑わせない描写力。
    さすが命の懸けられた小説だったと思います。

    読むほうのわたしも、何度か死にましたw
    というか今生きてるのか、
    生きてる証拠ってなんなのか、
    「自分」が生きてるってどうしたら確信に至れるのか
    だからもしかしたら死んだことあるのかもしれないとか、
    わからなくなって危なかったよ。
    でも絶望はしなかった。
    大きなテーマでもあると思うけど「自殺」という問題。
    ここでは、「自逝」か。

    境界を飛び越えても終われない人の道。
    自殺に救いはないという定説ができそうな小説です。

    映画化はできんよね。
    無残に腐った逝体の描写ばかり際立って
    小説のメインであることばの細工を伝えることが
    むつかしくなるから。

    何回も読める小説でした。

    0
    2012年06月26日

    Posted by ブクログ

    短編3作。「無間道」「煉獄ロック」「切腹」。日本人が「神州人」と呼ばれる世界。自殺する者が絶えず、死体処理も追いつかない惨状。一人で死ぬことを「ソロ」二人は「デュオ」など、とにかく死んじゃう死んじゃう。「生きていても死んでも同じ」と恋人との「デュオ」の誘いを断る竹志。竹志自身も本当は…。あとの2作も、竹海、竹光と主人公の名前は共通点があり、死んでも同じような世界があるということか。とにかく描写がエグイので、普通の人にはお勧めしかねます。「死にたい、死にたい」と思ってるアナタは、一度読んでみてください。評価は…つけにくいですね(汗)「設定は幻想的かもしれないが、私は極めてリアリスティックな小説だと思っている」(作者、帯より)

    0
    2009年10月04日

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