感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2012年06月26日
*ネタバレ、っていうほどないです。
文章から、作家の波打つ動脈のようなものが感じられた。
今にもちぎれそうな、破裂しそうな血管と、その中に流れる熱い血潮。
喉にへばりつくような空気感、臭気、粘り気。
星野智幸の小説にはこういう「気候」がよく用意されてるけど
わたしこれが好きだなー。
この『無間...続きを読む道』という小説からは
すぐに読みとれるストーリーはない。
主人公の動きを追うようなストーリーじゃなくて
3章にわたって繰り返される構造が
「物語」として浮き上がってくる。
たぶんだれでも気づくだろうな。
「これは無限ループのおはなしだ」って。
物語の構造自体がストーリーを引き寄せ、
それはまた小説全体の書き方にも及んでる。
だからきっと本当に読むべきは
その無限ループじゃないんだ。
「無限ループ」っていう言葉から想像されるのは
<まったく同じことの繰り返し=無意味>だと思うんだけど
この小説で感じられる反復は、ずれを、ともなっている。
繰り返しているんだけどずれている。
ずれているんだけど繰り返してるといえる。
似ているけど違っていて、違っているけど同じに思える。
ずれてるからそこに、
新しい意味がまた繋がっていくんじゃないかと
新たな可能性を見つける可能性があるんじゃないかと
思えてしまうんだ。
ありえない世界のリアリティを
疑わせない描写力。
さすが命の懸けられた小説だったと思います。
読むほうのわたしも、何度か死にましたw
というか今生きてるのか、
生きてる証拠ってなんなのか、
「自分」が生きてるってどうしたら確信に至れるのか
だからもしかしたら死んだことあるのかもしれないとか、
わからなくなって危なかったよ。
でも絶望はしなかった。
大きなテーマでもあると思うけど「自殺」という問題。
ここでは、「自逝」か。
境界を飛び越えても終われない人の道。
自殺に救いはないという定説ができそうな小説です。
映画化はできんよね。
無残に腐った逝体の描写ばかり際立って
小説のメインであることばの細工を伝えることが
むつかしくなるから。
何回も読める小説でした。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
『無間道』
「右へ行こうか右へ行こうか、まっすぐ右へ進もうか、
待てよ、右へ行く道があるかもしれない、
探してみよう、ほらあった、一緒に右へ行ってみよう」
「いずれにしても、いつだって俺は思い込まされており
その思い込みの自分から逃れることは決してできないのだ」
『煉獄ロック』
「かけ...続きを読むがえのない二年間を蕩尽し倒してくれ。
命の限界ぎりぎりまで迫って、快楽を貪ろうではないか」
Posted by ブクログ 2009年10月04日
短編3作。「無間道」「煉獄ロック」「切腹」。日本人が「神州人」と呼ばれる世界。自殺する者が絶えず、死体処理も追いつかない惨状。一人で死ぬことを「ソロ」二人は「デュオ」など、とにかく死んじゃう死んじゃう。「生きていても死んでも同じ」と恋人との「デュオ」の誘いを断る竹志。竹志自身も本当は…。あとの2作も...続きを読む、竹海、竹光と主人公の名前は共通点があり、死んでも同じような世界があるということか。とにかく描写がエグイので、普通の人にはお勧めしかねます。「死にたい、死にたい」と思ってるアナタは、一度読んでみてください。評価は…つけにくいですね(汗)「設定は幻想的かもしれないが、私は極めてリアリスティックな小説だと思っている」(作者、帯より)