小説・文芸 - 幻冬舎作品一覧

非表示の作品があります

  • あいたい気持ち
    3.3
    十九歳の誕生日を目前にして、琴子は「ここじゃない、どこか」に思いを募らせる。自分の世界に閉じこもった彼女がそこから飛び出すきっかけは、一人の少年だった。少年の叔父への琴子の切ない片想い、彼がその面影を追う謎の少女。新しい出会いが彼女を過去から解き放っていく--。
  • 雪を待つ八月
    3.7
    「他に好きな人ができた」という年下の恋人・雪道の告白で、二年にわたる同棲生活が終わろうとしている。彼が出ていく日まであと一カ月。恋のはかなさを嘆き、彼が好きになった人を想像する優美は、八月の空に雪が降るような奇跡が起こることを祈る--。世界中で一番近くて遠い二人の切ないけれど暖かい恋物語。
  • 深い深い夢の中
    4.0
    恋愛も就職もうまくいかない逸子の部屋に、突然従妹の美雨が転がり込んでくる。「殺し屋」に追われているという彼女のもとに、男たちが訪ねてくるが、その誰もが殺し屋とは思えない姿だった。戸惑う逸子はいつしか「本当の愛」を巡る大きな渦に巻き込まれていく……。毎日を愛するためのメッセージにあふれたラブストーリー。
  • 恋の罪
    4.1
    「君は誰?」「私は、妹よ」月美は記憶喪失になった青一と山奥の小さな家で新しい生活を始める。永遠の愛を手に入れるため、二人の関係を思い通りに作り変えようとする月美だったが、一人の女の出現でその計画が狂い出した--。無垢にして残酷なこの「罪」を誰が裁くことができるのか?この世に絶対的な愛は存在するのか?
  • 一緒にいたい人
    4.0
    「この女の子、誰?」恋人のユキオの部屋に彼の従姉・ミリが転がり込んできた。突然はじまった三角関係。つき合って二年目の初実は、ユキオとの恋を取り戻すことができるのか? 忘れられない憧れの人、新しい人との出会い……。東京・目白を舞台に、眩しい夏を予感させながら、それぞれの恋がもう一度始まる--。
  • 愛の病
    3.7
    今日も考えるのは、恋のことばかりだ--。彼の家で前の彼女の歯ブラシを見つけたこと、出会った全ての男性と恋の可能性を考えてしまうこと、別れを決意した恋人と一つのベッドで眠ること、ケンカをして泣いた日は手帖に涙シールを貼ること……。“恋愛依存症”の恋愛小説家が、恋愛だらけの日々を赤裸々に綴ったエッセイ集第1弾。
  • 幸福病
    4.3
    平凡な毎日。だけど、いつも何かが私を「幸せ」にしてくれる--。大好きな人と同じスピードで呼吸していると気づいたとき。新しいピアスを見た彼がそれに嫉妬していると気づいたとき。別れた彼から、出演する舞台を観てもらいたいとメールが届いたとき。--恋愛小説家が何気ない日常に隠れているささやかな幸せを綴ったエッセイ集第2弾。
  • 淋しがり
    3.7
    思い出だけで生きてゆける。豊潤な思い出さえあれば。「私」は自分がとてもあやふやな存在に思われてくることがある。思い出をたくさんコレクションするために恋人をつくるのだろうか。あるいは恋のはかなさを知りつくしたために、思い出を保存しておこうと考えはじめたのか。結婚を選ばず恋に生きる7人の女性の記憶の宝箱。恋愛小説集。
  • 陽だまりの午後
    -
    もうトシだなあ。ひとりでいるときは、素直にそう思っている。けれど一歩ひとなかにでた場合は、この言葉はとても耳ざわりなものに聞こえるらしい。もうトシだから、と口走っても、まわりから許してもらえる年齢は、一体いくつからなのか? 変化する女の20代から40代を、ユーモアあふれる筆致で綴った、大好評エッセイ。
  • 大人になったら淋しくなった
    3.7
    「これからの人生を考えると、私は深々とため息をついてしまう。どうやって生きてゆけばいいのだろう、と」。夫なし、子なし、趣味なし、人生の目標なし。けれど、むなしさのあまりため息をつく単調な日常が、自分にとってはむしろ心地よく変わってきたことに、ここ数年で気づいたのだ――。覚悟を決めた大人におくる、傑作エッセイ。
  • 若くない日々
    3.3
    52歳で突如結婚を思いたち、なじみの居酒屋でよく会う独り者に同居を持ちかける蓮子(「夢ふた夜」)。かつて歯牙にもかけなかった同僚にほだされる自分に戸惑う八千代(「フレンズ」)。人知れず抱えてきた女のプライド、処世で身についた妥協と諦念……。もう若くはない女たちの、やりきれないけど愛おしい日々のかけらを精緻に描く短編集。
  • 私から愛したい。
    3.0
    「必死にならざるをえないときは、どんな人生にもある。私もまた同じそれをくぐってきたにすぎない」。恋、仕事、そしてひとりの時間。積極的に、自分から愛してゆくことで女の人生は大きく変わる。「恋愛運をまねくポイント」「男の見方」「寂しさからの脱却」を核に、“愛する者がゆえの幸せ”を追求する、エッセイ36編。
  • やさしい春を想う
    3.0
    <やさしい春を想う 心は風になる 静かな静かな落ち着く場所 ここでは愛さなくてもいいんだね>強さと繊細さ、そして可笑しみをたたえた、銀色夏生の、温く静謐で、時にユーモラスなイラストと物語と詩の世界。
  • サマー・バレンタイン
    3.7
    二十四歳の志織は、高校時代思いを寄せていた夏彦と六年振りに再会し、変わっていない彼を眩しく思う。そしてあの頃を懐かしむ「大人」になってしまった自分に気づき、胸の痛みを感じた。久しぶりに再会した高校の仲間たちも、現実に傷つき、迷っていた――。青春の輝きを見失いかけた「大人たち」の焦燥と不安、そして新たな旅立ちを描く青春小説の傑作。
  • 僕のとてもわがままな奥さん
    3.8
    きれいな奥さん。なんでも上手にこなす素敵な奥さん。幸せなご主人。こんなパッとしないご主人にどうしてあんなに美人の奥さんが? ……でも違います。誰にも言えませんが、僕の毎日は、ちょっと地獄なのです。とてもきれいでわがままな奥さんナオミと結婚したジュン。二人が繰り広げる愛と涙の日々を綴る、笑えてほんのり温かい長篇小説。
  • ねこみせ、がやがや 大江戸もののけ横町顛末記
    3.3
    高利貸しの銀蔵に井戸の中へ突き落とされた十二歳の勝太。起きたら、そこは人の子が一人もいない妖怪の町だった。勝太は「人の子」であるがゆえに、妖怪奉行の犬神に捕まってしまう。だが、すんでのところで黒猫の猫又・サジに救われ、河童の九助、お茶ばかり飲んでいるぬらりひょん、男女の妖怪・青行灯とともに、「黒猫サジの妖怪飛脚」で働くことになる。しかし今度は、文福茶釜が営む茶屋の売り上げを盗んだと疑われてしまい――。はたして勝太は人の世に帰れるのか。待望の新シリーズ開幕!
  • まねきねこ、おろろん 大江戸もののけ横町顛末記
    3.0
    江戸で暮らす勝太とかえでのところに、招き猫のつくもんが転がり込む。つくもんは、かつては唐の仙虎だったという。その力を借り妖怪の町に戻ると、町はもぬけの殻。人形浄瑠璃『平家物語』の“人形”たちに乗っ取られていたのだ。黒猫サジ、妖怪奉行犬神ら妖怪集団と、義経、弁慶ら人形軍団の対決の行方は!?新キャラクター満載のシリーズ第三弾!
  • たびねこ、とことこ 大江戸もののけ横町顛末記
    3.0
    やっとの思いで妖怪の町から江戸へと戻った勝太だが、妹のかえでは、女衒の銀蔵に西へと連れ去られた後だった。そこへ現れたのは、お岩の幽霊。人の町でも妖怪飛脚を始めた黒猫サジに、かつての夫・伊右衛門が待つ箱根まで手紙を届けてほしいと依頼する。勝太はサジ、ぬらりひょんら妖怪仲間と一路、東海道へ。はたして、かえでと再会できるのか。
  • 日々の考え
    3.6
    遠くの電線にとまっている鳩をパチンコで撃ち落としたり、人に言えないようなエロ話を披露する素敵な姉との抱腹絶倒の日々――。ユニークな友人と見つける小さいけれど、人生にとっては大きな発見! そして、心ない人へは素直な怒りもたぎらせる。読めば元気がふつふつとわいてくる本音と本気で綴った爆笑リアルライフ。
  • ひとかげ
    3.8
    気功師のとかげと、児童専門の心のクリニックで働く私。ある夜、私がとかげに結婚を申し込むと、とかげは「秘密があるの。」と答えた――。語られるとかげの子ども時代の惨劇と、それによってもたらされた深い傷。そして、私もとかげと向き合い、心の闇をさらけ出す。叫びをあげるふたりの魂が希望をつかむまでを描く感動作!
  • スウィート・ヒアアフター
    3.9
    お腹に棒がささった状態から生還した小夜子は、幽霊が見えるようになってしまった。バーに行ったら、カウンターの端に髪の長い女の人がいる。取り壊し寸前のアパートの前を通ると、二階の角部屋でにこにこしている細く小さい女の人がいる。喪った恋人。元通りにならない頭と体。戻ってこない自分の魂。それでも、小夜子は生き続ける。涙あふれる書き下ろし小説。
  • 夢について
    3.7
    手触りまであるカラーの夢だって見ることができる著者のドリームエッセイ。会えるなんて思ってもいなかった、憧れの藤子F先生と対談して大感激した話。死んでしまった大切な友人に夢のなかで再会できた話など、優しい気持ちにさせてくれる〈青い〉出来事を綴った二十四編。夢は美しく生きるためのもうひとつの予感。
  • ひな菊の人生
    3.5
    生まれついて父はいない。そして幼くして、母までも事故で亡くしたひな菊を支えたのは、親友のダリアだ。ダリアがブラジルに旅立ち十数年、二十五歳のひな菊は、ダリアとの「林の中」の鮮やかな想い出を胸に今を生きる――。哀しくも温かな人生をひな菊は語る。奈良美智とのコラボレーションで生まれた夢よりもせつない名作。
  • ハードボイルド/ハードラック
    3.7
    「ハードボイルドに生きてね。どんなことがあろうと、いばっていて。」最後になった電話でそう言っていた千鶴。彼女のことを操り返し思い起こす奇妙な夜を描く「ハードボイルド」。死を待つ姉の存在が、ひとりひとりの心情を色鮮やかに変えていく季節を行く「ハードラック」。闇の中を過す人々の心が光り輝き始める時を描く、二つの癒しの物語。
  • 純愛ラプソディ 竹内まりやを聴きながら
    -
    誰だって、恋をすれば主役になれる――。 「純愛ラプソディ」「駅」「告白」「シングル・アゲイン」など、竹内まりやのラブソングの名曲をモチーフにした書き下ろし恋愛小説集。不倫、片想い、出逢い、別れ……前向きで、ちょっぴり切ない恋愛と、かけがえのないピュアな友情を通して、八人の女性たちが「明日の私」を探していく。
  • PRIDE 今井美樹を聴きながら
    -
    十年来の恋人の存在を言えないまま、運命の男・友尚に心身ともにのめり込んでしまったフリーライターの夏美。それに感づいた恋人は、突然強引に結婚を進めようとして……。表題作「PRIDE」のほか「白のワルツ」など、今井美樹のラブソングをモチーフにした恋愛小説集。自分なりの「幸せ」を模索する八人の女性たちのピュアで前向きな物語。
  • 全思考
    4.1
    地球温暖化も、携帯電話による人類総奴隷化も、すべての危機は、気づいたときには手遅れだ。道具の発明で便利になれば、その分だけ人間の能力は退化する。人類は叡智を結集して、破滅しようとしているのか!? 生死、教育、人間関係、作法、映画――五つの角度から、稀代の天才・北野武が現代社会の腐蝕を斬る。世界の真理に迫る傑作エッセイ!
  • その桃は、桃の味しかしない
    3.7
    高級マンションに同居する、奏絵とまひる。姉妹でも友達でもない二人の共通点は、同じ男性の愛人であることだった。割り切って始めた共同生活で二人分の食事を淡々と作り続けるうち、奏絵の心境は変化していく――。若い女性から圧倒的な支持を集める恋愛小説の新旗手が「食べること」を通して、叶わない恋と女子の成長を描いた長編小説。
  • スパイクス ランナー2
    3.8
    東部第一高校陸上部で五千メートルを走る加納碧李は、清都高校のランナー・三堂貢から挑発の言葉を投げかけられる。天才とまで謳われる貢が、なぜ碧李に? 本能で走ろうとする碧李と、レースを知り尽くした貢。二人が対峙したとき、その走りに化学反応が起きる――。反発しながら求め合う少年の肉体と感性が跳躍する、超人気シリーズ第二弾!
  • あたまのサプリ みみずくの夜メールIII
    -
    「千所千泊」という目標をたてて、日本列島の知らない町や村を、無謀にも一千カ所訪れることを計画した。一度でも足を運んだ場所はカウントしない。とにかくはじめての所だけをたずねて歩く。自分があまりに日本国のことを知らないことに愕然としたのが、五十代にさしかかってのことだ――(本文より)。全国各地の旅先で、毎週書き綴られた 夜メール 。朝日新聞連載で圧倒的好評を博した名エッセイ。
  • 恋愛マニュアル
    -
    フリーライターの夕希は、三十代後半になって書いたエッセイ『恋愛マニュアル』がブレイクした。夕希の弟で惚れっぽい政好、八年越しの不倫をしている智美、十年来の恋人がいるが若い男子にときめく真由子……。夕希を取り巻く人々は、様々な局面で『恋愛マニュアル』を繙いていく。全ての人の胸に響く恋愛の真理を鋭く描いた連作小説。
  • 妻と夫と男たち
    3.0
    夫が三カ月の長期出張をすることになった結婚四年目の水奈。彼が不在の間に、かつての恋人や不倫相手と再会したり、年下の部下の言葉にときめいたり、同僚の夫に襲われかけたり……と、心身がざわめく出来事が起こる。様々な局面で意外な事実や自分の本音を知った水奈は、ある衝動に突き動かされる。現代女性の結婚観をリアルに綴る連作長編。
  • 恋愛生活 彼女が決めたこと
    3.0
    エスニック雑貨店のオーナー遼子(39)は、八歳下の夫・修二の浮気に気づく。問いつめられた彼は、あろうことか彼女が結婚前、十一年間不倫していたことを持ち出し反撃したのだった。悩む遼子の元へ、かつての不倫相手・光橋の息子が訪ねてきた。ガンで死んだ彼からの手紙を持って……。現代を生きる全ての女性に送る、リアルで切実な恋愛小説。
  • 新しい靴を買わなくちゃ
    3.6
    妹とパリを旅するはずが、到着早々置き去りにされ、呆然と立ちすくむセン。そこに偶然通りかかったパリ在住の日本人女性・アオイは、センが落としたパスポートで足を滑らせ転んでしまう。ヒールを折ってしまったアオイと、パスポートを破損してしまったセン。靴が導いた、恋に迷う女と道に迷う男の運命の恋。おとぎ話のような三日間が始まった。
  • 恋愛生活 ダブルブッキング
    -
    「男が途切れたことのない女」と女友達に言われる雪乃(29)。結婚十カ月で夫に先立たれた今も、二人の男性となんとなく関係している。ところが、その二人が玄関先で鉢合わせた上、ずっと甘えてきた「安全な男友達」からは突き放されてしまう。楽しく恋していたいだけなのに、どこか寂しい、そんな女性のエロティックで少し切ない物語。
  • 恋愛生活 忘れられない人
    3.0
    二児の母の香奈美(32)は、家庭に不満はないが、専業主婦ゆえの孤独を感じていた。働きに出たいけれど、仕事は見つからない、そんな時、五歳下の男と不倫をしてしまうが、体だけの関係を続ける気にはなれなかった。そして十年前に別れた、忘れられない男に会いたくなってしまう……。現代を生きる主婦の切実な思いが胸を打つ、長編小説。
  • 私だったらこう考える
    3.7
    ――あなたは不幸じゃない、あなたの幸福観がまちがっているだけだ。人は大人になるにつれて、生きる上での価値観をお金や権力や美や若さから、精神的なものへとスライドさせることができなければ、生きていることがとてもつらいものになるのではないか―― 質問に答え、解放に導く。銀色夏生が今、思うこと。
  • 恋愛生活 五年目のクリスマス
    4.0
    OLみはる(29)は十歳上の元上司と不倫を続けて五年になる。不満はあるが、心も体も安定しきったこの関係を止める気になれない。けれども雑誌の企画で不倫体験者の座談会に出席し、心が揺れ始めた。もうすぐ五年目のクリスマスを迎えるが……。不倫の恋のリアルな本音から、現代女性の愛と結婚の理想と現実を切実に描く、長篇小説。
  • 恋愛生活 恋に不器用な女
    3.0
    映画宣伝会社に勤める知香(32)は、妊娠したかもしれない。が、父親の可能性のある男が二人いる。七年ぶりに寝た昔の恋人と、最近挙動不審な年下の恋人。結婚は? 仕事は? 父親は? 知香は悩むが……。淋しくはない、でも満たされてもいない、そんな現代を生きる男女の恋と友情、理想と現実が胸に響く、シリーズ第一話。
  • 絶体絶命1 署長の首
    -
    近松署署長を任命されたばかりの久米正治郎警視は窮地に追い込まれた。大きな手柄を立てることも、目立ったミスをすることもなく、無事に停年を迎えることだけがささやかな夢だったのに、着任早々、所轄内で連続殺人事件が発生し、未解決の責任を追及され続けた。署内で完全に孤立した久米の運命は? 本格警察小説。
  • 夫と妻と女たち
    3.5
    付き合って三年になるモデル、大胆に誘惑する若い女子社員、かつての年上の恋人、一夜だけの激しいセックスをしたゆきずりの女、そして妻……。三十四歳の潤一は、外の女たちも家庭も上手に「両立」させているつもりだった。けれども、女たちは潤一の本心などお見通しで……。男と女の本音と建前が交錯する、エロティックでリアルな恋愛小説。
  • 情事の果て
    4.5
    不倫相手から結婚を約束され、ひたすらそれを信じ続けた女が男の裏切りを知った時、惨劇は起こった。思いあまって男の八歳になる娘を殺害してしまったのである。ところが、それを知った男が彼女に命じたことは、何と自分の娘の死体を捨ててくることだった……。克明に綴られた女の「性愛日記」を元に愛憎の真実を再現する力作ドキュメント!
  • 夢の回廊
    3.0
    男は長年忘れていた記憶を繰り返し夢で見ていた。それは五十数年前、終戦直後の朝鮮長屋で過ごした少年時代。殺害された友人が警察の裏庭で乱暴に解剖され内臓を引きずりだされた姿だった。次第に現実と夢の境界が曖昧になった男は、殺戮と快楽が同じと思い始めていく……。表題作ほか六篇、醒めない悪夢の果てにある暗黒世界を描く傑作短篇集。
  • 今日の空の色
    3.6
    鎌倉に小さな古い家を借りて、久し振りの一人暮らし。朝は早起きしてお寺の座禅会に参加し、夜は屋上でビール片手に満天の星を観る。ペンギンと恋人のように待ち合わせして夕食を楽しんだり、近くの小川をホタルと一緒にお散歩したり。携帯もテレビもない不便な暮らしを楽しみながら、本当に大切なことに気付く日々を綴った大人気日記エッセイ。
  • 寄る年波には平泳ぎ
    3.8
    「クツ」を「クソ」と読み間違えて自己嫌悪、「一つ買ったら三つ捨てる」の習慣で物減らしに挑戦、年をとり頑固になったネコを「できるだけ、がんばれ」と激励、ネットの罵詈雑言に憤然、エンディングノートの書き方に逡巡。……長く生きてると何かとあるけれど、控えめな気合いを入れて、淡々と暮らしていこう。人生の視界が広くなるエッセイ。
  • 一度死んでみた
    4.3
    父親のことが大嫌いで、未だ反抗期の女子大生・七瀬。ある日、父親が急死したとの連絡 が。実は彼の会社が開発した「一度だけ死ぬ薬」を飲み、二日間だけ仮死状態にあるのだ った。だが、社内の裏切り者により、本当に火葬されそうになり……。「まだ、お父さんに伝 えたいこと言ってない」。父の秘書と共に、七瀬は父親を生き返らせることができるのか !
  • すぐそこのたからもの
    4.1
    「ママ、最近こわい声が多すぎる。もっとかわいい声でしゃべって」。息子チビちゃんの思いがけない一言に、ふと我が身を振り返る。家事に育児、執筆、五匹の動物の世話でてんてこ舞の日々は果てしなく思われたが……。シッターさんに愛を告白したり、深夜に曲をプレゼントしてくれたりする愛息とのかけがえのない蜜月を凝縮した育児エッセイ。
  • 新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか
    3.9
    時代を作る人は、いつだって古い道徳を打ち壊してきた。誰かに押しつけられた道徳ではなく、自分なりの道徳で生きた方がよほど格好いい。自分なりの道徳とはつまり、「自分がどう生きるか」という原則だ。今の大人たちの性根が据わっていないのは、道徳を人まかせにしているからだ。それは、自分の人生を人まかせにするのと同じことだと思う。
  • 花のベッドでひるねして
    4.1
    海辺で拾われた捨て子の幹は、血の繋がらない家族に愛されて育った。祖父が残したB&Bで忙しく働きながら幸せに過ごしていたが、廃墟のビルに明かりが点いてから不穏な出来事が起こり始める。両親の交通事故、夢に出る気味の悪いうさぎ、玄関前に置かれる小石……。歪んだ世界を、小さな村の平凡な営みが正してゆく。希望が芽吹く傑作長編。
  • もしもパワハラ上司がドラゴンにさらわれたら
    3.5
    「このままでいいのか、おれの人生?」そう思いながらブラック企業で働く浩一。このパワハラ上司さえいなくなれば! そんな願望を抱いた時、突然ドラゴンが現われ、上司が さらわれてしまい――。人間のストレスが生み出す魔物で新宿駅はダンジョン化!?謎の毒舌イケメン剣士ニコライとヘタレ男子浩一コンビは、上司を無事に連れ戻せるのか?
  • 去年の冬、きみと別れ
    3.6
    ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか? それは本当に殺人だったのか? 「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実は――。話題騒然のベストセラー、遂に文庫化!
  • 神様長屋、空いてます。 新大江戸もののけ横町顛末記
    -
    妖怪だけが棲む「もののけ横町」のはずれにひっそり佇む「神様長屋」。住人は呑んだくれで引きこもりのダメダメ神様ばかりで、管理人である商売繁盛の神様・福助は頭を抱える毎日。とうとう長屋を追い出された面々は流れ着いた江戸・神田で寂れた通りの町おこしを手伝うことに。そこへ謎の「黒い招き猫」が現れ――。もののけ横町・神様編、開幕!
  • 舞妓はレディ
    3.5
    「舞妓になりたい!」。京都の花街に、鹿児島弁と津軽弁のバイリンガル少女・春子がやってきた。風変わりな大学教授の計らいで舞妓見習いになった彼女だが、京ことばに四苦八苦、舞踊や鼓や三味線の稽古では失敗ばかり。それでも春子は前を向く。京の花街に生きる本物のレディになる日を夢見て――。豪華絢爛に描く舞妓エンターテインメント小説!
  • うたかたパンチ
    -
    お笑いコンビ「松本ハウス」の松本キックが、「まずい料理を出す店」「満員電車」「動かないエレベーター」など、日常に紛れる些事を凝視し、独特で強烈な妄想力で物語に昇華。 あくまで真面目、でも不思議、そして天然。不気味で笑えて、ちょっと怖くて、読んでいるとクセになる、今までにない“不条理文芸”。 <収録作品> ・まずい料理を出す店 ・年齢不詳な ・局地的満員電車 ・すべて見ている ・検証の結果は、 ・言葉会議 ・おじいちゃんのチャレンジ ・毒グモ・セアカコケグモ探索 ・クリーンな議員 ・おせち料理殺人事件 ※本書は幻冬舎plus(http://www.gentosha.jp)に連載された「うたかたパンチ」を加筆修正したものです。
  • 恋する日本語
    3.9
    甘くて切ない、35のちいさな恋の物語 「あえか」「紐帯」「那由他」「玉響」…耳にしたことはあるけれど、意味がよくわからない日本語。たとえば、「赤心」とは「偽りのない心」のこと。「一曲」とは「ちょっとすねる」こと。言葉の意味をひもといてみると、そこには恋人たちの何気ない日常の瞬間が溢れている。日本語の美しい響きと甘く切ない恋心が堪能できる35のショートストーリー。
  • リムジンで朝食を
    4.0
    日曜の朝、マンハッタン。すべるリムジンの中には、冷えたシャンパンとキャビア、そして贅沢を極めてニューヨークを生きる二人の女。男たちの残酷な視線を浴びるごとに、美しく磨かれていくミラノの女たち。極上の愛は極めつけの贅沢を知るものだけが甘受する蜜。それは、残酷なまでの真実――。ロンドン、パリ、香港、モルディヴ、東京――、九つの都市を舞台に描かれる、鮮烈な九つの情事。
  • 勝負の極意
    3.7
    私はこうして作家になった! 苦節二十年。どうしても小説家になりたかった男は卓越した商才と博才を駆使し、ついに悲願を成就した。「二足のわらじ」を履きながらも小説を書きつづけ、競馬で飯を喰ってきたのはなぜか? それは生活の糧を得られなければ、小説に専念できず、当然デビューなど果たせないからである。痛快人生必勝エッセイ。
  • マグネット
    3.9
    借金の返済を迫られて殺人を犯した男を匿う黒木。中学校の資料室で教師から猥褻行為を受けていた事件を回想する由美子。そして義弟の死の周辺を克明に描き、まさに掉尾を飾る「最後の資料」。罪の意識はこれほどまでに人間を洗練させるのか? そして用意された罰は時として人を輝かせる。法の裁きではない。殺人、放火、売春、のぞき、強制猥褻……極めて個人的で強烈な9つの罪と罰を収めた傑作短編集。
  • 4U ヨンユー
    3.7
    男が長いことつかっていたバスタブの湯は、はたして、スープか――? 毒きのこを食べに長野に出かけたマル、彼への桐子の暖かな想いを綴る「4U」。死んだ風変わりな少女の記憶を辿り、デビュー前の自らを思い起こす「眠りの材料」。右手のない渚子、彼女の義兄への激しい想いと、熾烈な自己愛を描く傑作「天国の右の手」ほか、9つの恋のケミストリーを収録した珠玉の作品集。
  • 社外取締役
    3.6
    大学で日本史を教える高屋が安請け合いした大手企業の社外取締役就任の依頼。だが、彼を待っていたのは醜い権力闘争と、かりそめの社長の椅子だった。それでも経営の舵取りで自身の存在感を示そうとする高屋を、さらなる男の嫉妬が襲う。彼はこの窮地を切り抜けられるのか? 真のコーポレートガバナンスのあり方を問う、企業法律小説の傑作。
  • 修羅を生きる
    3.0
    自らの父親をモデルにした最高傑作『血と骨』の原点にして、著者のあまりに凄絶な半生記――破天荒な青春時代。マルクス主義への傾倒。詩への耽溺。事業の失敗。大借金。大阪を出奔し、仙台へ。再び無一文になり、東京でタクシードライバーになる。神をも恐れぬ強大な父親への骨肉の葛藤と、女と酒に溺れた無頼と放蕩の日々を綴る衝撃の回顧録!
  • ぼくはビート
    3.0
    黒のソフト帽が見てきた幾つもの色恋沙汰を追う表題作「ぼくはビート」、初めて悪態をつく事を知った激しい愛を描く「YOU KNOW WHO」、一日に一度、憎しみ合って別れる二人の「ぼくの愛は韻をふむ」ほか、男と女の間に漂う贅沢な恋の糸を甘く織り上げる、どこまでも心にしみいる恋のテン・ストーリーズ。
  • 逆転 リベンジ
    3.0
    五三歳にして家電メーカー本社を離れ、子会社を閉鎖するよう命じられた上和住。だが、復職を約束されたはずの人事には思わぬ落とし穴が――。一介のビジネスマンによる、自分を裏切った上司と会社への未曾有の復讐劇。“法”を味方につけた彼の、究極の選択とは。働く男の誇りを賭けた戦いを描く表題作ほか全一七編を収めた企業法律小説集。
  • フリーク・ショウ
    4.3
    1巻495円 (税込)
    狂乱の夜を重ねるクラブ、ムゲン、エンバシィ。とびきりの肉体と、傷ついた美しい心をもつ女と男たちの想いは、熱く交わる。ルーシィ、マーク、ナルオ……。ダンスフロアで我を忘れるパーティフリークスの熱狂的な恋と、誠実で少し孤独な日々の暮らし。失恋は初めてじゃない。次の巡り合いを素直に見つめ、果敢に恋する肉体と心を描く恋愛小説。
  • MBO マネジメント・バイアウト
    3.5
    1巻495円 (税込)
    「あなた自身がギャラクシー・デパートになる、とは、あなたがギャラクシー・デパートを買収することです」――解任寸前の雇われ社長・小野里は大木弁護士の助言に躊躇した。しかし小野里は巨大グループのオーナーを相手に取締役会で過半数株主を追放し、外資系ファンドを操り、経営権乗っ取りの勝負に出た……。MBO戦争を告げる企業法律小説!
  • 買収者 アクワイアラー
    3.3
    1巻495円 (税込)
    「先生、あの男をビジネスマンとして二度と立ち上がれないようにしたいんだ」――大木弁護士は驚いた。依頼者は六五歳の功成り名を遂げた男。かつての先輩で今は犬猿の仲の大物財界人の六二歳の妻を奪うため、彼の会社を乗っ取るという。株主代表訴訟、公開買付、第三者割当などを駆使した合法的復讐=敵対的買収を描く企業法律小説の新機軸!
  • 性遍歴
    4.3
    1巻495円 (税込)
    中学三年の冬、麻美子は初めての口づけをかわした。性の目覚めと好奇心、体の変化、初恋、セックス、別れ、結婚、妊娠……一人の女の性にまつわる心身の成長、ヰタ・セクスアリスの「性遍歴」。誰もが経験する、恥ずかしくて、この上なく愛しい季節……。みずからの欲望に忠実であろうともがく人々の切ない恋を描いた、極上の性愛小説集。
  • チューイングガム
    4.0
    1巻495円 (税込)
    ココとルーファス。出会うまでのふたりは、決して幸福ではなかった。けれど、陽灼けを唯一のアクセサリーにクラブを訪ねたココは、そこでルーファスに出会う。たちまちココの心は、彼の瞳で綺麗な色に染められる。お喋りのルールは、尊重し理解し合うこと。結婚までのすべての恋愛の出来事を自らの体験をもとに描く、恋愛“結婚”小説。
  • 株主代表訴訟
    3.6
    1巻495円 (税込)
    百貨店の赤木屋は会長の藪田とその愛人の美恵子に支配されていた。ある日、監査役の水上のもとに「三十万株以上の株主」と名乗る正体不明の男たちが現れた。「赤木屋を私物化している藪田と美恵子の経営責任を追及せよ、さもないと訴える」と恫喝された水上は絶体絶命の危機に……。外資の買収戦略を描く戦慄の企業法律小説。
  • ドアD
    3.7
    1巻495円 (税込)
    優奈は、大学のテニスサークルの仲間七人とともに、見知らぬ部屋に拉致された。一つだけあるドアは施錠されている。突然、壁穴から水が噴き出した。瞬く間に水位は喉元まで……。溺死を免れるには、一人が部屋に残り、ドアの開錠のスイッチを押し続けるしかない。誰が犠牲になる? 人間の本性を剥き出しにした、壮絶な殺人ゲームが始まった。
  • 120%COOOL
    4.1
    1巻495円 (税込)
    青虫の唇を持つ妻との奇妙で、とびきり官能的な結婚生活を綴る「唇から蝶」。原書や英字新聞で雑然とする学生の部屋で、人妻が感じるせつない愛を描く「NEWSPAPER」。100%じゃだめだ。120%のクールを求めて、N.Yの冬を過す3人の愛と生き方を捉えた表題作。誰でもできる恋なんてつまらない。山田詠美が新しく描いた9つの鮮烈な愛。
  • 株主総会
    3.7
    1巻495円 (税込)
    リストラ目前の総務部次長が株主総会で突如社長を解任し、年商二千億の会社を乗っ取った。彼の身にいったい何が起こったのか? そして、会社の行方は? 総会屋問題で揺れる日本中の大企業の経営者たちを恐怖のどん底に叩き込んだ衝撃のベストセラー! 現役の超一流弁護士が商法上可能な限り熾烈な攻防を描き、企業に生きる男たちの存在理由を問う企業法律小説。
  • レンタル・チルドレン
    3.4
    1巻495円 (税込)
    愛する息子・優を病気で亡くした泰史と冬美は、子供のレンタルと売買をしている会社P.I.を紹介された。二人は、リストの中から優と瓜二つの子供を見つけると、迷わず購入を決める。しかし一カ月後、その子供は急速に老化し、顔が溶けていく……。泰史は真相を求め、P.I.の研究所に忍び込む。そこでは、日夜恐ろしい実験が繰り返されていた。
  • ひとり暮し
    3.6
    1巻495円 (税込)
    東京の大学へ入ってひとり暮しがしたい―。そんな願いが叶い、入学と同時にアパート生活を始めた依子を待っていたのは、複雑な事情を抱えた隣人たちだった。不審な品物を大量に隠し持つしのぶ、女優の卵で自殺未遂を繰り返す真弓、家出中の愛。依子は予想もつかない事件に次々と巻き込まれていく。てんやわんやの新生活を描くユーモア青春小説。
  • 別れの美学
    5.0
    別れについて考えることは、恋そのものについて考えること。別れは人を弱らせるけれど、その悲しみが、愛情の大切さや、人への優しい接し方をも教えてくれる。「憂うつな心のための処方箋」「男のふり方」「不倫の終わり」など十二章からなる、感動のベストセラー、新装改訂版。これから先、よりすてきな恋をするあなたに捧げる失恋論。
  • ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー
    3.6
    1巻495円 (税込)
    「体はね、お菓子のようなものよ。心はね、パンのようなものなのよ。ベイビー」(「ME AND MRS. JONES」より)。「女の愛し方を知ってるの?」「体は知ってるけど、心の方は自信がねえな」(「FEEL THE FIRE」より)。ソウル・ミュージックの名曲タイトルを冠した8つの短篇からなる、極上の恋愛小説集。センセーションを巻き起こした第97回直木賞受賞作にして、著者の代表作!
  • 陰日向に咲く
    3.9
    1巻495円 (税込)
    劇団ひとりの大ベストセラー小説が電子書籍化!ホームレスを夢見る会社員。売れないアイドルを一途に応援する青年。合コンで知り合った男に遊ばれるフリーター。老婆に詐欺を働く借金まみれのギャンブラー。場末の舞台に立つお笑いコンビ。彼らの陽のあたらない人生に、時にひとすじの光が差す――。不器用に生きる人々をユーモア溢れる筆致で描き、高い評価を獲得した感動の小説デヴュー作。
  • ×ゲーム
    3.4
    1巻495円 (税込)
    映画化のベストセラー小説。小久保英明は小学校の頃に「×ゲーム」と称し、仲間4人で蕪木毬子をいじめ続けていた。あれから12年、突然、彼らの前に現れた蕪木は、積年の怨みを晴らすために壮絶な復讐を始める……。
  • 涙のような雨が降る
    4.3
    1巻495円 (税込)
    お前は今日から川中歩美だ――少年院を出たその日から、私は財閥令嬢の身代わりとなった。本物の歩美はどこにいるのか? 陰謀が渦巻く中、真相をつきとめようと試みた少女が見たものとは。
  • Fコース
    3.4
    1巻495円 (税込)
    四人の女子高生が挑んだアトラクション「バーチャワールド」。新作「Fコース」のミッションは美術館からの絵画強奪。敵の攻撃をかわし、ようやく目的の絵を前にしたが……。 シリーズ第二弾!!
  • Aコース
    3.4
    1巻495円 (税込)
    五人の高校生が挑んだ、新アトラクション「バーチャワールド」。「Aコース」を選んで炎の病院に閉じ込められた彼らは、敵を退け、そこから脱出できるのか? 書き下ろしシリーズ第一弾。
  • 天使の代理人(上)
    4.0
    1~2巻495円 (税込)
    生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。過去、数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子はある日、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔を見た。その時から罪の償いのために半生を捧げる決意をした彼女は、声高に語られることのない“生”を守る挑戦を始める―。胎児の命、そして中絶の意味を問う衝撃作。
  • 僕はこうして作家になった ―デビューのころ―
    5.0
    作家デビュー以前の若き日。激動の時代、熱き思いを秘めて、つねにハングリーだったあの頃……。当時のエッセイや小説の一部、日記など貴重な資料を生かした青春記。五木寛之はどのようにして作家になったのか? さまざまな困難にぶちあたりながらも面白い大人たちや仲間に出会い、大きな運命の流れに導かれてゆく一人の青年の情熱と熱い日々がいきいきと伝わってくる衝撃の告白的自伝、ついに電子書籍化!
  • みみずくの夜メール
    4.0
    笑って、涙ぐんで、考える。低気圧に弱い。めったに風呂に入らない。洗髪は前より増えて一、二カ月に一回。偏頭痛もちである。夜更かし。ああ、人生というのはなんと面倒なんだろう。面倒だ面倒だとつぶやきながら、雑事にまみれた一日が終わる。そんなふうにして日が過ぎ、夜が行く。旅から旅へ、日本中をめぐる日々に書かれた、朝日新聞連載中に、圧倒的な好評を博したユーモアあふれる名エッセイ。
  • 元気
    3.0
    「元気」とは単に人の活気ある姿、いきいきとした動作などをいうだけの言葉ではない。天地万物を生みだし、それを生かしているエネルギーの根元を「元気」という。人間の命を一滴の水にたとえた『大河の一滴』の著者が、古代中国の文献や最新科学の情報などをふまえて取りくんだ、新たなる生命論。「『死』を思えば元気になる」「すべての健康法は気やすめである」などの中身の濃い元気法や、人の命の流れつく先をイメージした「海」の物語は、生の根源に迫る大作となった。著者が長年大切にしてきたテーマを総括したトーク・エッセイ「暗愁のゆくえ」も収録。
  • 運命の足音
    3.3
    人はおのれの運命を感知することができるのだろうか? はたして天寿というものを知ることは可能なのか? 生まれた場所と時代、あたえられた「運命」によって人が背負ってきたものは何か。「これを言ってしまわなければ死ねない、とずっと感じていた――」。 戦後五十七年、胸に封印して語りえなかった悲痛な記憶の物語。驚愕の真実から、やがて静かな感動と勇気が心を満たす。『大河の一滴』『人生の目的』に続く著者渾身の告白的人間論、衝撃のロングセラー。
  • 大河の一滴
    3.9
    どんなに前向きに生きようとも、誰しもふとした折に、心が萎えることがある。だが本来、人間の一生とは、苦しみと絶望の連続である。そう“覚悟”するところからすべては開けるのだ――。究極のマイナス思考から出発したブッダや親鸞の教え、平壌で敗戦を迎えた自身の経験からたどりついた究極の人生論。不安と混迷の時代を予言した恐るべき名著が、今あざやかに蘇る。〈心の内戦〉に疲れたすべての現代人へ贈る、強く生き抜くためのメッセージ。
  • 幕末武士道、若きサムライ達
    3.0
    ロック世代の小説家の旗手・山川健一が独自の視点から幕末・明治維新の歴史を提示したしエッセイ集。 武士道がその内に秘めた力をいかんなく発揮したのは、幕末から明治維新にかけての混乱の時代においてだった。今で言う高級官僚としての武士ではなく、食うや食わずの下級武士や農民出身の若者達が世の中を動かした。  坂本龍馬や高杉晋作、西郷隆盛、勝海舟や山岡鉄舟、そして新選組の時代である。 これを、幕末武士道と呼ぶことにしたい。かつて戦国武士道があり、それが観念化することによって『葉隠』武士道が生まれた。時代は幕末になり、一種の揺り戻し現象とも言うべき幕末武士道の誕生が、維新を可能にしたのである。(『幕末武士道、若きサムライ達』前書きより)
  • 新選組、敗れざる武士達
    4.0
    ロック世代の小説家の旗手・山川健一が独自の視点から幕末・明治維新の歴史を提示したしエッセイ集。 新選組の面々は、先祖代々のうのうと家禄を食んできた身分としての武士階級ではなく、自らの意志をもって立った日本で最初の思想集団だった。上からの押し付けではない自らの規律を作って、隊の全体を律した。薩長の志士達に十分に拮抗し得る思想を、戦いの日々の中で育んでいったはずだ。  短い時間のなかで刻々と変わっていった新選組の思想とは何だったのだろうか? 近藤勇や土方歳三、沖田総司や山南敬助、藤堂平助や伊東甲子太郎を犬死にさせないために、ぼくら一人ひとりがそれを考え抜かなければならないのだと思う。それを、本書で探ってみたい。(『新選組、敗れざる武士達』前書きより抜粋)
  • ジーンリッチの復讐
    -
    1巻509円 (税込)
    2020年の没落した日本を舞台とするサイエンスフィクション。厚生労働省、大学病院、製薬会社の人間が突然激しい発作に襲われ、廃人と化す不可解な事件が起こる。被害者は皆、ある電子メールを開いた瞬間、パソコンから放たれた強い光線を受けていた。その時、18歳でゲーム会社を経営する日比野裕之のもとに、リリカというハンドルネームを持つ女性から「あなたを買いたい」と連絡が入る。これが物語の始まりだ。彼は有能な遺伝子研究家の遺伝子から作られた人工生命体だ。2020年には彼のような「ジーンリッチ」とそうでない人間「ナチュラル」が存在し、彼らは共存か淘汰か、という選択に直面する。医療の発展やITを進化論にあてはめて解釈する独特な世界が描かれた傑作小説。
  • 窓の外を眺めながら、部屋のなかに座っている。
    -
    1巻509円 (税込)
    時代を見つめる冷徹な眼。研ぎ澄まされた文体が5年の間に綴った16篇。話題を呼んだノンフィクション・ノベルを含む作品集。90年から95年に執筆された傑作中・短編をすべて収録。
  • ぼくは小さな赤い鶏
    -
    1巻509円 (税込)
    作家自身のプロデュースによる10代の習作「羊の水」「ブラインド・ケイブ・フィッシュ」から最新の実験小説「任意性のアザラシ」までを収めた作品集。
  • さきちゃんたちの夜
    -
    1巻512円 (税込)
    音信不通になった友人を、彼の恋人と探す編集者の早紀。 生前母と絶縁していたおばの遺言を受け取った紗季。無料の豆スープを近所に配る祖父母のもとで育った咲。子どもが好きだけど産むことができない、乳児院で働く沙季。絵本作家の事務所で働く崎と、父親を失った小さな姪のさき。 それぞれの“さきちゃん”たちの日々を描いた5つのストーリー。 誰かが決めた立派な人生ではなく、自分自身の毎日をしっかりと歩む“さきちゃん”たちの、すがすがしい生き方に力づけられる短編集。
  • なんくるない
    4.0
    1巻512円 (税込)
    相手が離婚を言い出さなければ自分から言い出したはずだった。なのにこんなに悲しくて心にしこりが残ったままなのは何故なんだろう――。堂々巡りの自分から抜け出すために決めた沖縄旅行。がじゅまるが運んできてくれた出会いによって、私は自分自身を許すこと、誰かを自然に好きになる尊さを知った。 表題作「なんくるない」始め、「ちんぬくじゅうしい」「足てびち」「リッスン」を収録。沖縄を愛するすべての人々へ捧げる小説集。
  • みずうみ
    4.1
    1巻512円 (税込)
    ママを看取ったちひろは、ななめ向かいのアパートに住む中島くんと奇妙な同居生活を始めた。過去に受けた心の傷によって、体の触れ合いを極端に恐れる中島くん。中島くんに惹かれながらも、彼の抱える深い傷に戸惑いも感じているちひろ。恋と呼んでいいかわからない二人の関係が続く中、ある日中島くんから、一緒に昔の友達に会ってほしいと頼まれてーー。苦しみを背負った人々を癒す希望の物語。
  • アムリタ (上)
    4.1
    1~2巻512~543円 (税込)
    甘い笑顔を持つ美しい妹が心を病み、死んだ。姉の私は頭を打ち28年間の記憶を失ってしまう。さらに弟が未来の一部を予知できるようになって……。“半分死んだ”ようになった私と“チャネリング小僧”になった弟は、高知やサイパンへの旅の中で、生命の輝きを取り戻していく。無力感にとらわれ、心が闇に近づく時、支えてくれる日常の確かな手触りと輝きを描ききった。人類を救う永遠の傑作。
  • うつくしい人
    4.0
    他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。発作的に旅立った離島のホテルで出会ったのはノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人マティアス。ある夜、三人はホテルの図書館で写真を探すことに。片っ端から本をめくるうち、百合は自分の縮んだ心がゆっくりとほどけていくのを感じていた-。
  • 人生勉強
    3.5
    ささやかな人生を願っていても、生きていくのは大変だぁ。次から次へと、頭を抱えたくなるような問題が噴出してくるのだ。自分勝手な人々、摩訶不思議な南の島、あやしげな健康食品……。ままならないこと盛り沢山。それでも、一度きりの人生だから、楽しまなくちゃ損なだけ! 笑いと怒りと涙とともにやって来た、まったく新しい私小説。
  • おかめなふたり
    4.2
    ある雨の夜やってきたおかめ顔の猫「しい」ちゃんは、臆病で甘えん坊、そして暴れん坊の女王様だった。隣の先輩猫をいじめたり、ノミにたかられたり、風呂に落ちたり……。それまでの、ひとり静かに暮らしていた日々はお陰で一変、大騒ぎ。たまには腹も立つけれど、かけがえのない存在、しいとの「愛情生活」を綴る、笑えてジンとくるエッセイ。
  • なたぎり三人女
    3.5
    ヒロコ・物書き41歳、ミユキ・ヘアメイクアップアーティスト44歳、マキコ・イラストレーター39歳。ある時は将来のために食堂経営を計画、ある時は体の衰えを気にしてダンベル体操、そしてある時は頑張る自分にブルガリの指輪をプレゼント…。迷いながらも人生を楽しむ、酸いも甘いもかみわけた大人の女三人の、ささやかだけど豊かな日常。

最近チェックした本