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借金の返済を迫られて殺人を犯した男を匿う黒木。中学校の資料室で教師から猥褻行為を受けていた事件を回想する由美子。そして義弟の死の周辺を克明に描き、まさに掉尾を飾る「最後の資料」。罪の意識はこれほどまでに人間を洗練させるのか? そして用意された罰は時として人を輝かせる。法の裁きではない。殺人、放火、売春、のぞき、強制猥褻……極めて個人的で強烈な9つの罪と罰を収めた傑作短編集。
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Posted by ブクログ
いきなりだが、性行為を中心とする、男女の性の有り様について、品格と機知を伴って、9編は描かれる。ただし1人称小説が多い。 山田詠美を「短編小説の名手」と評価する、評論家が現れたことも肯ける。 黒人男性との性行為を描いて出発したイメージの強い、山田詠美の作家としての成長を読む思いである。ネタバレ...続きを読むを書いていられないので、関心を持つ方へはご1読を薦める。もっとも、もっと荒々しい世界を描き続ける作品を期待する、僕もいた。 彼女を見直して、後期の小説をもっと読みたい思いがする。
はじめて読んだ山田詠美さんの本。 描かれているのは恋愛と罪の意識。 どれも都会っぽいおしゃれさとロマンチックさが詰め込まれているかんじがして、なるほどこれが山田詠美かと思いました。笑 歯が浮くようなセリフを堂々と言う登場人物にすこしドキドキしたり(外国っぽい!)泣きそうになる切ないお話もあったり。...続きを読む 特に忘れられないのは「熱いジャズの焼き菓子」と「瞳の致死量」 ダントツで好きだった。
自分の男が人を殺したってどうってことない。けれど、自分の男が自分ではない女のためにポリシーを曲げるのは許せない。 恋愛はミステリーじゃなくてサスペンスかな。ふたりは常に共犯者で、裏切るのは恋が終わるとき。 瞳の致死量とYO-YOがすき。
9つのお話が入った短編集。 「おれ、今日人を殺してきちゃった」 もし、自分の愛する人にそう告げられたら。 自分の愛する人は、ださくてもボロボロでも、どんな状態でも愛しくて、 例え彼が人を殺したとしても、その事も女心をつかむのかもしれない。 愛する人に愛を囁かれるように、そう告げられた黒木。 ...続きを読む 彼は、自分の彼女を名字で呼ぶ。それが彼の(ちっぽけな)主義。 「順子に悪かったな。」 愛する人から出てきたこの言葉が全てを終わらせた。 だって私の名前は、黒木みどり。 人を殺したこと、ずっと外に出ずお風呂の無い部屋で二人で過ごすこと、愛する人をかくまうこと、全て許せたはずなのに。。。 愛する人が他の女のためにちっぽけな主義を曲げたことは許せなかった。 男の人には分からないかもしれない。でも、私にはよく分かる。泣きたいのに泣けない、みどりの気持ちが。 「体には、誰でも性的な匂いがまとわり付いている。」 でも、それに気づいているか、いないかでは大きな差がでる。 性的な匂いって人によって違う。 自分の性的な匂いを知ってる人と知らない人。 自分をどれだけ魅力的にみせれるかが、ここだと思う。 そして、その自分の匂いをかがせることで、その匂いにひきつけられ離れられなくなる人がいる。 マグネットのように。
一時期彼女の書くものは全部一緒じゃないか、と思ってたが、『姫君』を読んで見る目変わった。 日常を生きる人がいきなり犯罪と関わる・・・というのはよくあるし、私が好きな乃南アサも書きまくってるが、書く人によってこんなに違うんだ。 話としては『アイロン』が好きだけど、最後の『最後の資料』には泣いてしまった...続きを読む。
罪って何かって考えさせられる作品☆ 教師と生徒の恋愛ですが・・・ 教師はやがて罪を犯してしまいます。。。 でもほんとに罪なのは? ミステリアスな生徒はやがて 大人になっても男性の心を 掴み続けるのです☆ 女の怖さもありますが 魅力的です☆
彼女の文章は何でこんなに艶と色気があるのか。 まるで上等なカクテルを飲んでるみたい。 久々に山田詠美さんの本を読んで、 あぁ、この人はこんな文章を書くんだと 改めて認識した。恋愛そして己の 罪と罰をモチーフにした短編集。 一つ一つ光るものがあって、 私はとくに最後の資料が好き。 さらりと読めるんだけ...続きを読むど、それでも とても印象に残った。一つ一つの言葉、 文章、行動がきらりと光り、心に残る。
これか、色彩の息子が一番すきかも。 多分中高で江國香織さんや川上弘美さんとかにハマってた時期に古本屋で見つけ出して読んだ。
1番刺さったのはあとがき。 「人との関係を作って行く時、必ず、後悔という事態に遭遇する。」 泣いたのは、最後の資料。 憧れたのはマグネットの由美子。 好きなのはYO-YOの門田くん。 しかし、性格的に近いのはアイロンの私かしら。 (電車で何かが起きたことは無いけれど)
10年前の作品と思えないぐらい、今の時代の若者にマッチしてると思う。 罪を犯さない人っていうのは、現実問題いないような気がする。 日常生活の中で、罪は日常と非日常の間にあるような気がして、私も日常を生きるのに疲れたとき、日常を憎んでしまったとき、罪にぶつかってしまうんではないかっていうのはある。...続きを読む 罪についての短編集と最後のお話は義理の弟さんが病で死んでしまったことで描かれた短編集です。 あとがきもハッとさせられました。 大満足です。
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