「体はね、お菓子のようなものよ。心はね、パンのようなものなのよ。ベイビー」(「ME AND MRS. JONES」より)。「女の愛し方を知ってるの?」「体は知ってるけど、心の方は自信がねえな」(「FEEL THE FIRE」より)。ソウル・ミュージックの名曲タイトルを冠した8つの短篇からなる、極上の恋愛小説集。センセーションを巻き起こした第97回直木賞受賞作にして、著者の代表作!
ある時、街ですれ違った男の上着の中の匂いを嗅いで、私は昔の男を思い出して道の真ん中で泣きたくなる。
ある時、バーで流れる黒人音楽は特定の男を思い出させて私を泣かせる。嗅覚があって良かった。5感が正常で良かったと、神様に感謝するのはこんな時。そして、恋物語を泣かずに書ける自分の理性にも感謝する。
“WHAT'S GOING ON”“ME AND MRS・ JLEFT(RC[-1],1)S”“PRECIOUS PRECIONS”“MAMA USED TO SAY”“FEEL THE FIRE”八つのソウル・ナンバーが奏でる、粋で素敵な愛の物語。"