あらすじ
「体はね、お菓子のようなものよ。心はね、パンのようなものなのよ。ベイビー」(「ME AND MRS. JONES」より)。「女の愛し方を知ってるの?」「体は知ってるけど、心の方は自信がねえな」(「FEEL THE FIRE」より)。ソウル・ミュージックの名曲タイトルを冠した8つの短篇からなる、極上の恋愛小説集。センセーションを巻き起こした第97回直木賞受賞作にして、著者の代表作!
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セックスと恋心が直列に繋がった、ブラザー、シスターたち。日々が積み重なり、この遠い果てに人生が出来上がる。その彼らの頭の中にすべりこむ。ポルノじゃない、文学だ、これは。
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初めて読んだ山田詠美作品です。イケイケな感じの女性達が主人公ですが、内面はか弱くて傷つきやすかったり実は強がりだったり、みんなとても女のコで可愛い。そこそこ遊んできた方なら彼女達の気持ちに頷かずにはおれないでしょう。大好きな一冊です。
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山田詠美が直木賞。
いったいどんな作品なんだろう。
と思って読んだのよ。
読むのは二回目なんだけどね、私も大人になったのか
すっごくしみじみと読むことが出来たわ。
この人の本で必ず出てくるのがメイクラブ。
同じ作家でも渡辺淳一なんかはすっごく官能的で厭らしい感じがするのに
この人の作品ってすっごくキレイなことだ。
って思わせてくれるのよ。
まるで映画のワンシーンのような感じ。
だから読んでても飽きないのよね。
8つの短編小説集。
どれもこれも素敵なストーリーばかりだったわ。
最初から引き込まれていくから1日で読んじゃった。
★WHAT'S GOING ON
結婚した主人公アイダがバーで昔別れた男ロドニーに会うストーリー。
★★★★☆
★ME AND MRS. JONES
ティーンエイジャーのウィリーが尻軽女のMRS. JONESに恋をしたお話。
★★★★☆
★黒い夜
婚約者がいるティナに恋をしてしまったジョニーのお話。
これは『ひざまづいて足をお舐め』に出てきた話と一緒だ~。
★★★★☆
★PRECIOUS PRECIOUS
ティーンエイジャー・バリーの切ない恋を描いたストーリー。
★★★☆☆
★MAMA USED TO SAY
ステップマザー・ドロシーに恋してしまったティーンエイジャー・ブルースの話。
★★★★☆
★GROOVE TONIGHT
魅力的な女性・デニスに嫉妬するカーティスの恋。
これがこの短編集の中で一番納得いかない物だった。。。
★★☆☆☆
★FEEL THE FIRE
恋人に死なれたイヴァンを慰めるルーファスの切ない思い。
★★★★☆
★男が女を愛する時
一度会っただけで、恋に落ちることを宣言したウイリーと画家・私の短い恋話。
★★★☆☆
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たしかこれで直木賞受賞しはったんだったなと。
粋でせつない短編集。たぶん自分は一生こんな恋愛は出来ない気がするくらい、大人の匂い。。。
下手に書くと下品になっちゃいそうな設定も多いのに、この人が書くと神聖なことのように思えるのも不思議なところ。
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ソウル・ミュージックが好き。
でもこの本の登場人物のように全身全霊で誰かを愛したことはないなあ・・・。
大人になったらもう一度読み返したい一冊です。
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20年以上前の作品だからか、何かこそばゆいわ…と思いながら読み進めたらビックリ、すごい面白いじゃないの…!
こんなに読みやすい恋愛短編集は初めてです。随所に出てくるスラングや古めかしい言い回しがムズムズするのですが←、文章のリズムが良いので慣れてくると逆にクセになりそうでした^^
大人の駆け引きを描いた話が多めですが、私は十代の男の子達がキレイなお姉さんに翻弄される話のが好きでした^^
まったく違うタイプの人間を、似たようなテーマでここまで表現できるってすごいな…
ある時、街ですれ違った男の上着の中の匂いを嗅いで、私は昔の男を思い出して道の真ん中で泣きたくなる。
ある時、バーで流れる黒人音楽は特定の男を思い出させて私を泣かせる。嗅覚があって良かった。5感が正常で良かったと、神様に感謝するのはこんな時。そして、恋物語を泣かずに書ける自分の理性にも感謝する。
“WHAT'S GOING ON”“ME AND MRS・ JLEFT(RC[-1],1)S”“PRECIOUS PRECIONS”“MAMA USED TO SAY”“FEEL THE FIRE”八つのソウル・ナンバーが奏でる、粋で素敵な愛の物語。"
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ソウル・ミュージックに詳しくないので、タイトルに使われているのが
全て実存する曲のタイトルであるとか、そういうことは全然知らない。
が、前編にたゆたうゆったりとした他の流れ、心の動き、それに従わざるを得ない体
えもいわれぬ雰囲気があった。
よしもとばななさんがよく、エロい文章と表現していたけど、
まったくそのとおりだなと思う。そういう意味が、よく分かってきた。
なんだろう。単純に、恋っていいかもって思えるような。
下世話な意味でなく、恋とセックスは切り離せないものだと
普通に思えてしまう。
解説がまた、趣向が面白かった。翻訳家ならではの視点である。
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はやく読める本がいい本だ、という決まりはない。実際、わたしはこの本を読みながら何度も立ち止まったし、何度もページを閉じた。つまり、それだけ感情の動きに耐えられなかったのだ。決して悪い意味ではないけれど、正直にいうといまのわたしには刺激的過ぎた。どの作品も過去の傷をえぐるし、いまの恋心をいっそう深くさせるからだ。
中高生のころのわたしは、ある一部の作品を抜かして山田詠美が好きではなかった。今回読んで見て、その理由がよくわかった。山田詠美の書く恋愛は、学生のころのどこか守られた位置にいてする恋愛ではなくて、大人になって自分の孤独を思い知った者がする恋愛なのだ。思い知る。あのころの恋愛といまの恋愛は、地続きにあるものだとしてもまったく異なるものなのだと。
というのも、わたしにはその孤独が、自分でお金を稼いで自分の暮らしを保ってゆく者にしか味わえないものに見えるからだ。自分しか自分を守れないシビアで当たり前の現実に身を置かねば、ここに書かれたような恋愛はできないと思うからだ。だから、いっそうに不思議である。当時、山田詠美を好きだといっていた少女たちは、背伸びでそういっていたのだろうか。それとも、本当にこんな気持ちを味わっていっていたのだろうかと。
なんにせよ、わたしは恋するあの人に逢いたくなった。かなわないけれど、いますぐに。
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第97回直木賞受賞作品。7つの短編集からなる本でどの話もセックスがキーになっているのに嫌らしさを感じさせない洒落な短編映画のような物語。
個人的には、最後の話に出てきたウイリーの「僕も、セックスは大好きなんですけど、セックスを我慢するのも大好きなんです」という台詞にびっくりしました(笑)。
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1987年第97回直木賞
三島由紀夫の「美徳のよろめき」の新解説の山田詠美さんをリスペクトで直木賞受賞の作品を
当時読んだはずですが、ほぼ覚えていない
というより、小説として興味が持てなかった
ような気がする
詠美さんが 自らを日本語が綺麗に扱える世の中で一人だけのシスターとして書き上げた恋愛小説
当時は世界が違いすぎて受け入れ難さがあったけれど 一種の恋愛小説として納得できるとこまで年齢を重ねた模様
この作品の後も途切れることなく活躍されていて
山田さんの使う言葉や文章が 惹きつけるパワーがあるんだろうなあと思う
ご本人さんもなかなかパワーある女性だったような記憶あり
Posted by ブクログ
第97回直木賞受賞作品。アメリカの黒人らの恋愛模様をR&Bのように甘美なグルーヴィーな文章に乗せて描く。あとがきを読むと自分自身を「日本語が一番うまいSister」と称する山田詠美氏の私小説に近いのかもしれない。全体に流れる何処か投げやりで何処か哲学的な雰囲気は山田詠美氏ならでは。ただ、終始男女関係を基にした恋愛事情を描いた内容にやや食傷気味。
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ストレートな恋愛小説。セックスに直結しすぎな感もあるが、気持ちの動きの描写が巧い。登場人物が日本人ではないのがいいのだと思うが、反面感情移入ができなかった。
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【フレーズメモ帳】
「色恋沙汰は人間が人間であるために不可欠の要素である。悲しくて、楽しくて、そして、甘い。これらの感情は具体的に生活を送るのにはほとんど役に立たない。役に立たないからこそ贅沢である。私は心の贅沢を知っている男や女が大好きだ」
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思春期の時分に読んで、あらぬ妄想を駆り立てられた覚えのある小説。ソウルミュージックの歌をタイトルに添えた短編の数々。楽譜は読み取るものでは無く、感じ取るもの。猥雑ながらもどこか優美さを心に留めてしまうのが魅力な小説。
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この作家さんは長編で挫折したことがあって、でも短編が良いと聞いたので初期のこちらを。知人に「どれも黒人さんと寝る話なんでしょ」と訊かれて「うん」としか答えられなかったのですが(笑)、でも読みやすいし、知らない世界の話だし、楽しめました。他の短編も読んでみようかな。
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ひとりの男を愛すると三十枚の短編小説が書ける。この法則を私を最近知った。小説が書きたいから恋をするのか、恋をするから小説が書けるのか、いずれにせよ、色恋沙汰は人間が人間である為に不可欠の要素である。かなしくてたのしくて、そしてあまい。
‐‐‐あとがきより
山田詠美の直木賞受賞作。
ソウルミュージックみたいに渋い小説。
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なんと直木賞。直木賞も粋なことしてたんだねって驚きました。相変わらず、あとがきもステキ。あとがきも9つ目の短編として数えたいくらいに。「ひとりの男を愛すると三十枚の短編小説が書ける」のならば、この短編集は8人の男への愛が詰まっているということか。この短編集には愛すべき女たちと男たちが出てくるけれど、本当にみんな恋愛に身も心を濃密に捧げていて、その濃度にクラクラきてしまう。山田詠美の肉体に対する価値観とか、恋愛に対する姿勢とかの基本が全て詰まっている。正直、黒人だからどうだ、黒人の魂がどうだっていうのは私には全くわからないけれど。黒人にこだわる必要はないとも思う。山田詠美も黒人を描くのは、あくまで「慣れ親しんでいるから」なんでしょう。
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いやーこれはエイミーの数ある短編集の中でも秀逸な一作ですよ。だってどれもめっちゃいいもんマジで。好きな曲がたくさん出てきたのも嬉しかったし。ただ「FEEL THE FIRE」の終わり方だけはエイミーに珍しくチ陳腐イプイだった気がするんだけど!w
Posted by ブクログ
“したいときだけにしてたら、僕たちの間ではそれは遊びで終わるよ”ってのに、むっちゃ、はっとさせられました。内容としてはどれも切羽詰ってるかんぢで好きなのだけど、挙げるとすれば「me and mrs. jones」と「黒い夜」が好き。読み始めて思う。似ているけど、どこか違う香りがすると。ざわざわした雰囲気の中に、その香りを作っている1冊です。どこか何かが違う香りを8種類も味わえてしまう1冊。あとがきを読んで笑ってしまった。amyさん。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作品。体を得る=心を得るでは決してないこと、けど心無くては体を合わせることも出来ないこと。あぁいう場面も
ダイレクトな表現じゃないのにダイレクトに伝わってくるとこが凄い。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作品で8つの短編が収められた一冊。
日本人とは違う黒人から醸し出される香りや空気・リズムを文章でリアルに伝えてくれる、山田詠美さん独特の作品。
登場する黒人女(シスター)、黒人男(ブラザー)の言葉遣い一つ一つがとても魅力的。
個人的には「PRECIOUS PRECIOUS」と「男が女を愛する時」が好き。(07年5月30日)