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Posted by ブクログ
初読み作家さん。
ある男の愛人である二人の女の子のルームシェアのお話。
設定は胸糞なんだけれど、意外とすんなり読めちゃう。
裏表紙のあらすじに「「食べること」を通して、叶わない恋と女子の成長を描いた長編小説」とあったけど、私にはそれほど「食べること」は印象に残らなかった。いい意味で。最近、食べものや食べることをサブテーマにしたコンテンツが多すぎて、正直食傷気味なので。
少しネタバレになるけれど、主人公が終始淡々としていて、だけれど何も感じていないわけではないと吐露する、ともすれば咆哮するとも表現できる場面に胸を打たれた。
彼女たちを愛人とする男の描写が最低限なので、彼個人への憎悪を抱きづらい仕掛けなのも嫌な気持ちにならず読み進められた理由かも。
作者は歌人さんらしい。文章表現は特に目新しい感じはしなかったけれど、物事の切り取り方、着眼点が斬新だなあと感じて、そこが歌人さんぽいのかなと思うなどしました。
この作家さんもっと読んでみようかな。
Posted by ブクログ
ルームシェアの相手と自分の共通点は、同じ男性の愛人であること。
と設定だけ見るとどれほどの修羅場を想像するかというところですが、実際は静かすぎるくらいに静かな物語。
けどその静かさは穏やかさを装っていながらもとてもぴりりとしたものだと感じました。
主人公たちひとりひとりの感情や行動の理由がすべて語られるわけではないけど、それにもどかしさを感じるひともいるかもしれないけど、そのもやっと感がリアルですきでした。
女の子は自分の感情を説明しないのでなく、できないのです。そのくせ目の前にいる女の子が同じことをしてると苛つくわがままな生き物なんです。
Posted by ブクログ
食べることは、生きることだとわたしは思っている。
実際、誰かが家に一緒にいるときは三食の心配をするけど、ひとりだと何かを作ったり支度をしたり、あまりしない。
だからひとり暮らしは向かないと、心底思っている。
この小説は、ひとりの男性が付き合っているふたりの「愛人」という立場の女の子がメインだ。
男性が生活費を払ってくれる高級マンションに、ふたりは同居している。
色白で二重で目がぱっちりとしていて読者モデルの経験もあるというまひると、まひるよりひとつ年下のホームセンターでバイトをしている奏絵。
奏絵の目線で、日々は語られる。
愛人同士が同じマンションに同居し、男性は定期的にそこに来て3人で食事をする。
もちろん個別に外で会うこともするけれど、そこに秘密はないからお互いがいつ男性に会ったかを知っている。
「おかしい」し、「狂気じみている」のに、せかいはとても静かだ。
ときどき、呼吸すら薄くなるほどの静けさ。
色の鮮やかさもあまり感じない世界の中で食事がとても鮮やかに見えて、あぁこの人たちは生きようとはしている、と感じた。
食べることは生きることだ。
オムライスも中華スープも麻婆豆腐も、桃も。
まひるの脆さや危うさや幼さ、奏絵の目線の俯瞰やまひるへの思いに、ときどき苦しくなりながらも一気に読んでしまった。
加藤千恵さんの小説はいくつか読んでいるけど、これが一番好きかもしれない。
「おかしい」状況に住んでいるふたりがどこへ向かうのか。
生きることに正解なんてきっとなくて、でもみんな正解を欲しがる。
だけど正解じゃなくてもあたたかい空気はきっとあるし、自分の中にすとんと落ちる現実にもきっと出会える。
明日に目を向ければ、きっと。
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