あらすじ
高級マンションに同居する、奏絵とまひる。姉妹でも友達でもない二人の共通点は、同じ男性の愛人であることだった。割り切って始めた共同生活で二人分の食事を淡々と作り続けるうち、奏絵の心境は変化していく――。若い女性から圧倒的な支持を集める恋愛小説の新旗手が「食べること」を通して、叶わない恋と女子の成長を描いた長編小説。
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Posted by ブクログ
高級マンションに同居する平井さんの2人の愛人、奏絵とまひる。食べるシーンや料理のシーンがおいしそう!奏絵の落ち着いたキャラと女の子全開なまひるの対照的なキャラがよい。いつまでもこのままではいられない二人がせつない。
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初読み作家さん。
ある男の愛人である二人の女の子のルームシェアのお話。
設定は胸糞なんだけれど、意外とすんなり読めちゃう。
裏表紙のあらすじに「「食べること」を通して、叶わない恋と女子の成長を描いた長編小説」とあったけど、私にはそれほど「食べること」は印象に残らなかった。いい意味で。最近、食べものや食べることをサブテーマにしたコンテンツが多すぎて、正直食傷気味なので。
少しネタバレになるけれど、主人公が終始淡々としていて、だけれど何も感じていないわけではないと吐露する、ともすれば咆哮するとも表現できる場面に胸を打たれた。
彼女たちを愛人とする男の描写が最低限なので、彼個人への憎悪を抱きづらい仕掛けなのも嫌な気持ちにならず読み進められた理由かも。
作者は歌人さんらしい。文章表現は特に目新しい感じはしなかったけれど、物事の切り取り方、着眼点が斬新だなあと感じて、そこが歌人さんぽいのかなと思うなどしました。
この作家さんもっと読んでみようかな。
Posted by ブクログ
なんかもう、ぐしゃぐしゃの、どうしようもない気持ちを、加藤千恵さんはいつも代弁してくれる。
夏に旬のかわいい桃。甘くてやわらかい桃。傷つきやすい桃。本当は渋みもあったりして。旬は短かったりして。そんな恋の話。
今の自分の恋と重ねて読んだ。
うまくいかないことなんてわかっているのに、やめられないのはなぜだろう。
Posted by ブクログ
表紙のイラストのインパクトがありつつ淡い感じがそのまま物語とマッチする。
解説までを含めて比較的サラッと読める印象。
読み終わったときの達成感や納得感が多少薄いような気もするが、それも含めて良さという感じ。
何より桃のシーンが印象的。
本編の視点が変わらず分かりやすく、内容は重みがあるがそれぞれの人物に必死感がありつつも淡白でかつ人間味もある。
少ない登場人物の浅くて深い関係性に引き込まれた部分もあり彼らの今後が幸せであることを祈る様な気持ちになった。
Posted by ブクログ
ルームシェアの相手と自分の共通点は、同じ男性の愛人であること。
と設定だけ見るとどれほどの修羅場を想像するかというところですが、実際は静かすぎるくらいに静かな物語。
けどその静かさは穏やかさを装っていながらもとてもぴりりとしたものだと感じました。
主人公たちひとりひとりの感情や行動の理由がすべて語られるわけではないけど、それにもどかしさを感じるひともいるかもしれないけど、そのもやっと感がリアルですきでした。
女の子は自分の感情を説明しないのでなく、できないのです。そのくせ目の前にいる女の子が同じことをしてると苛つくわがままな生き物なんです。
Posted by ブクログ
まひるに憧れるような愛しく想ってしまうような。ウィスキーを出されたときに悪酔いしている様な、気付かないふりをしたい時の様な感覚の後味の本。読んでる時の味は薄いビールの様にもっとすっきりしているけど。不思議な小説です。
個人的に後書きは好みに合いませんでした。
Posted by ブクログ
食べることは、生きることだとわたしは思っている。
実際、誰かが家に一緒にいるときは三食の心配をするけど、ひとりだと何かを作ったり支度をしたり、あまりしない。
だからひとり暮らしは向かないと、心底思っている。
この小説は、ひとりの男性が付き合っているふたりの「愛人」という立場の女の子がメインだ。
男性が生活費を払ってくれる高級マンションに、ふたりは同居している。
色白で二重で目がぱっちりとしていて読者モデルの経験もあるというまひると、まひるよりひとつ年下のホームセンターでバイトをしている奏絵。
奏絵の目線で、日々は語られる。
愛人同士が同じマンションに同居し、男性は定期的にそこに来て3人で食事をする。
もちろん個別に外で会うこともするけれど、そこに秘密はないからお互いがいつ男性に会ったかを知っている。
「おかしい」し、「狂気じみている」のに、せかいはとても静かだ。
ときどき、呼吸すら薄くなるほどの静けさ。
色の鮮やかさもあまり感じない世界の中で食事がとても鮮やかに見えて、あぁこの人たちは生きようとはしている、と感じた。
食べることは生きることだ。
オムライスも中華スープも麻婆豆腐も、桃も。
まひるの脆さや危うさや幼さ、奏絵の目線の俯瞰やまひるへの思いに、ときどき苦しくなりながらも一気に読んでしまった。
加藤千恵さんの小説はいくつか読んでいるけど、これが一番好きかもしれない。
「おかしい」状況に住んでいるふたりがどこへ向かうのか。
生きることに正解なんてきっとなくて、でもみんな正解を欲しがる。
だけど正解じゃなくてもあたたかい空気はきっとあるし、自分の中にすとんと落ちる現実にもきっと出会える。
明日に目を向ければ、きっと。
Posted by ブクログ
ある男性の愛人ふたりがシェアハウスしている、って嫌な設定のはずなのにそういうどろどろした感じとか嫌らしさがあまりないのがすごいなと思いました。語り部は淡々としているけれど、でもなにも考えてないわけじゃなくて考えすぎてるんだろうなと思う。もう一人の愛人・まひるも、めちゃくちゃ暴れたり横暴に振る舞うわけじゃない弱い女の子でしかない。そして男も強いわけじゃないふつうの人で、どちらも恨むに恨めなかった。ふたりがどこへ行くのか。すこしでもしあわせになってほしい。
Posted by ブクログ
同じマンションでルームシェアをしている、まひるとわたし。
共通点は、同じ男性の愛人であること。
ユニークな設定。
だけど、普通じゃないからこそ、共感しながら読み進めるのがかなり難儀。
主人公の奏絵が平井さんのことが本当に好きなのか、世界が狭くならないようにバイトをしているのになぜおかしな生活を続けられるのか、始めようと思ったのか、何がきっかけでまひるは奏絵に話しかけだしたのか、謎が多いままずっと進んでしまう。そこにモヤっと。
個人的に好きな展開だったラストにやっと希望が見えて良かった。
Posted by ブクログ
まひる、平山さん、奏絵。ここは2人が不倫相手で、でも一緒に暮らしてるっていう意味の分からない話。かなえは平山さんよりまひるの方に思いを馳せるし、何かおかしい。違う、と思いながら生きてる。引用したフレーズだけど、これ非常にわかる。やりきれなくて泣いたところでいったい自分がどういう意味を込めて、だれのために泣いてるのか分からんものを知られたくはないし、泣きたくもないなあと思った。この本にオチはないし、最終ふたりでおうちでていこうってなるんだけど、私は現状がだめだと思ったらすぐに足を洗えるような人になりたい。あと奥さん全部知ってるのに知らんふりしてあげられるとかすごいな。私には無理
Posted by ブクログ
淡々と話が進んで(登場人物に感情の起伏があまり無いから)、この後が気になるところでで終わってしまった。
解説は良かった。まさにその通りだと、頷いてしまう。
Posted by ブクログ
不思議な本だった。
食事の描写が巧みすぎて、ああ、こうやって流されていくもの、強烈な印象を残していくもの、あるよなあ、って。
感情の機微にはっとさせられ続ける一冊だった。
わたしはやっぱり、彼女の短歌が読みたい。