小川糸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今年2冊目の読書は、小川糸さんの『食堂かたつむり』。同棲相手にすべてを奪われ、ショックから声を失った倫子。一文無しで帰郷した彼女を待っていたのは、長年確執のあった「おかん」だった。
「自分には料理しかない」と気づいた倫子は、実家の敷地で小さな食堂を始めることに――。
本作はいわゆる「料理小説」の枠に留まらない。倫子が心を込めて作る料理をベースに、母娘の確執と和解、そして主人公の心の再生が丁寧に描かれていく。
母との関係にはハラハラさせられるが、村の人々の温かさが物語を優しく包み込んでおり、終始心地よく読み進められる。そして終盤、予想もしなかった衝撃の展開が訪れ、思わず涙があふれてしまった。 -
Posted by ブクログ
妊娠中に出会えてよかったと思えた一冊。妊娠9ヶ月になり、早く産みたいということばかり考えていたが「こんなふうに自分の子供と四六時中一緒にいられるなんて、なんて贅沢なのだろう。」という一文にハッとさせられた。これはたったの10ヶ月しかできないことだし、夫にもできない私だけの特権なんだなと思ったらこの貴重で尊い時間を大事にしようと思った。
この話に出てくる妊婦さんの出産シーンはどれもリアルだか、不思議と不安を掻き立てられる訳ではなく、むしろドキュメンタリーを見た後のような気持ちで感動し私も頑張ろうと勇気づけられた。
ラストシーンが急展開すぎたので星4つですが全体的に心温まる内容で素敵な作品。 -
Posted by ブクログ
たまに読みたくなる小川糸さん。
いくつか作品を読んでみて、“喪失”がテーマの一つとしてあると思うのだけど、今回もそこからの“再生”のお話。ただ今回は同性愛もテーマになっていて方向性が少し意外に感じた。
違和感を感じる設定は節々にあるものの(他の方が突拍子もないと表現しているけどまさにそれ)、どうしようもなく悲しい状況も、どうにか受け入れて前を向いて生きようとする姿に励まされた。
とはいえ草介のくだりはちょっと苦しいかな。やさしい性格ゆえに我慢を重ねた結果、限界を超えて精神がやられていく描写+誰にも言えない感情への葛藤と…救いがなかった。