あらすじ
盲目の女の子とわは、大好きな母と二人暮らし。母が言葉を、庭の植物が四季を、鳥の合唱団が朝の訪れを教えてくれた。でもある日、母がいなくなり……それから何年経っただろう。壮絶な孤独の闇を抜け、とわは自分の人生を歩き出す。おいしいご飯、沢山の本、大切な友人、一夏の恋、そしてあの家の庭。盲導犬ジョイと切り拓いた世界は眩い光と愛に満ちていた。涙と生きる力が溢れ出す感動長編。(解説・平松洋子)
感情タグBEST3
匿名
後半の展開に驚き
前半は幸福感溢れる生活が描かれていてテンポも緩めだったのに、後半は次々に変化する状況、明かされていく真実に飲み込まれるかのように一気に読み。
人は善しか選ばない。
その人がどうしてそれを最善だと思ったのかと考えを巡らせると心が痛む。
そんな中でも自分を見失わず、新しい礎を築いていった主人公の生き方は爽快感が残った。
Posted by ブクログ
表紙の可愛らしい絵とタイトルに惹かれて手に取った本でしたが、前半が壮絶すぎて何度も読むのをやめようかと思ってしまいました。辛い。苦しい。
主人公とわさんが保護されて本当によかった。フィクションのはずなのに、本気でとわさんの心配をしてしまう。そして登場人物の全てを、とわさんにとって悪い人でないか警戒してしまう。まるで私も目が見えなくなったかのように、怖くなってしまう。
ジョイとの出会い、写真屋のおじいさんとのお話、とってもよかったな。
本を読んで泣いたことなんてあったかな?子どもの頃はあったかも。大人になってから初めて本を読んで泣いてしまいました。
Posted by ブクログ
加害を加えた側にも辛い過去があったからと言って、その罪がそれだけで許されることはない。痛み、傷、苦しんだ時間に対しての真摯な謝罪をとわさんも受けたかったはず。それでも、その願いが叶わない時、わたしはとわさんのように、力強く再び人生を歩み出していくことができるだろうか…。
Posted by ブクログ
小川糸さんの作品、初めて読みました。
感情を揺さぶられるような物語を避けてるので、前半は胸がヒリヒリするような展開でしたが、ページをめくる手が止まりませんでした。
盲導犬への賛否は踏まえた上で…いつかリタイヤ犬を引き取って我が家に迎えたいと考えているので、十和子のジョイとの出会いは私にとっても嬉しいサプライズ。
後半はジョイとの日々に心をほくほくあたためながら読み進めました。
視覚のない人生というのは、豊かだなぁと感じました。草木の匂いや、人の匂い、人や動物の手触り、視覚以外の五感はこんなに豊かに物事を捉えるのかと。
目が見えることは便利だけど、見落としてること、感じ取れてない情報が膨大なのかもと感じました。
自分の生きてない人生を疑似体験できる、読書の至福を味わえた1冊。
とても良い時間を過ごしました。
Posted by ブクログ
最初はふわふわしたお話かと思った。
絵本のような描写の中に怖さもあった。
主人公の心の動きの展開が早すぎると感じたところがあるけど、応援しながら読んだ。
Posted by ブクログ
母と2人きりで庭のある家で暮らしていた盲目の少女とわ。10歳の誕生日を過ぎたある日、母が突然姿を消し、飢えと孤独に苛まれつつ闇の中を生き抜く。時が流れ救出されてのち、大人になったとわは心優しい人たちと出会い、盲導犬ジョイと共に自らの足で世の中を歩み出す。闇の中でも僅かに光を失わずに居られたのは流れてくるピアノの音。そしてかつて母が読み聞かせてくれた物語の世界。人生において光になるものは何か、幸せとは何か、その本質に立ち返される物語。
とわのような過酷な環境ではないけれど、私も言いようのない閉塞感に囚われて身動きが取れない感覚になった時、そんな心を解放してくれるのは読書でした。
とわの、ささやかな事に幸せをしみじみ感じ入る姿勢が好ましく、過去に縛られること無く自分の意思で前を向いて生きていくことの醍醐味を教えてもらったような気がします。
Posted by ブクログ
タイトルは、主人公のとわの住む家にある庭から。
母親とふたりぐらしのとわは、目が見えないながらも母親から大切に育てられていた。しかしその生活にはとわの知らない秘密があり、ある日その暮らしは一変する。
物語は、母親と生活する前半と新たな生活を始める後半に分かれる。一時は読み進めるのも辛くなるとわの暮らしであったが、決して自分の人生に悲嘆したりせず自分なりの暮らしを続けるとわの姿にはこころが救われる思いであった。香りや音を通じて世界と繋がっているため、これらの描写がとても繊細で、鮮やかに想像をかきたててくれる。母親とある花を重ねる終盤のシーンは、世他人には表現できない、とわ自身から見た母親の姿をうまく表現していた。
Posted by ブクログ
小川糸先生の作品を読むのは4作目。他の先品の幸せな日常を裏付けるかのような、生きることの楽しさを辛い側面からも描いた一冊。
目が見えない主人公がどうやって世界を味わい対話していくのかが美しい文章で巧みに表現される。本そのもの、物語が好きだという主人公に心の底から共感してしまう。読書を心から愛する人にはたまらない文章が出てくる。
とわの心の美しさが、寒い日に飲むシチューのように内側をじんわりと温めてくれる。
Posted by ブクログ
小川先生の状況描写が巧いからこそなのだが、途中までの状況描写があまりにも過酷で投げ出しそうだった。だが、そんな中でも庭にやってくる小鳥のさえずり、窓から聞こえるピアノの音色、花々や草の香りに心を動かし、強く生きようとする主人公に私が励まされて読み進めることができた。後半は多くの人と動物の支えを得ながら、自立した生活を送ろうとする十和子の様子に心が動かされた。比較することではないけれど、私も立ち上がって頑張らないと、と思えた。私も彼女に会えたら「とわちゃん、頑張ったね」って言いたいなあ。
Posted by ブクログ
表紙からは想像しなかった結構重めの話。
当たり前の生活ってこんなにも幸せなのに
幸せってことを忘れてしまうし
生きてるだけですごいことなのに
欲が出てきて求めちゃうのって
仕方ないけど感謝して生きないとね
でも欲張りになるのってそれがある意味
満ち足りていて幸せで恵まれてる印でもあるよね。
Posted by ブクログ
前回「針と糸」のレビューで、糸さんの小説を大して読んでもいないのに勝手に「命」と「食」の二本柱と思い込んでいた…と書いた!
糸さんにも糸さん推しの方にも本当に失礼極まりない!
本書を読んでその二本柱プラス、大切な柱「再生」がある事を知った。
「命」の先に「再生」がある事でちゃんと救われる。
他人がどう思うかではなく、自分がそこにひと筋の光を見出せればそれが本人にとっての再生なのだ。
「針と糸」を読み、糸さんの思考に少し触れた事で小説を読みながらその向こうに糸さんの顔がチラつく。
とわと母、魔女のマリさんと母…の向こうに糸さんと糸さんの心の中にある母が見える。(気がする)
小説の背景に糸さんの母への様々な想いが見え隠れするから、なんとも切なくなったり、痛くなったり、嫌悪感に満ちたり…でも…憎悪や嫌悪の向こう側に、糸さん、本当はお母さんを愛おしく思っているんだなぁと…これまた勝手に想像した。
そして改めて、とわの、糸さんの芯の強さも感じた。
自分なりの芯をきちんと心の中に持っていてそれがブレずにとわや糸さんを支えている。
羨ましい限りだ…
やはり「血縁というのは、時に厄介で、手ごわい。絆にも呪縛にも、両方なりえる怖さがある。」
この言葉に全てが集約される。
なかなか「命」を直視出来ない自分も「命」の先に「再生」のキーワードを見つけたから、これからも糸さんの小説に触れていきたい!
Posted by ブクログ
母との幸せな暮らしから一転して、孤独や飢えに苛まれる描写が痛々しかったです。そこで終わらず、自分の足で立ち上がり、他者とのかかわりをもつ中で人生が再生していく救いのあるお話でした。
視覚に頼らない、嗅覚、聴覚、触覚を通した世界の描写が素敵でした。
Posted by ブクログ
中盤あたりは凄絶な状況が続き、あまりのことに目をそらしたくなった。はやくどうにかここを脱することができますように、と祈りながら駆け足で読んだ。
とわが、薬や周囲の人々の助けをかりながら、なんとか生活を立て直すことができたのは奇跡といっても良いと思う。
盲導犬ジョイとの絆や、周囲の人々との交流があたたかい。
写真のくだりは思わず涙が出た。母親は許されざることをしたが、それでもとわとの間には、繋がる想いもあった。はたから見れば罪の重さが変わるわけではないが、とわには確かに救いだろう。
ただ、とわが少しずつ社会と繋がり、前を向いて歩き出す後半の展開の方を、もう少しじっくり読みたかった気がする。
Posted by ブクログ
とわが経験したこと、とても考え難い壮絶な闇の暮らし。そのトンネルを抜けて、自分を取り戻し自分の暮らしを営むようになって、本当にほっとした。周りに愛ある人がいたからこそ。
Posted by ブクログ
どうやってこんな話を書くんだろう。
糸さんは感傷的なのにセンチメンタルすぎない、最高のだし加減
誰もがきっと母からの完璧な愛など受け取ったことがなくて、少しずつ歪んでるんだろう
Posted by ブクログ
前半は辛い内容でした。早く家から出て助けを求めて欲しいと心に思いながら、超スピードで半分程読み、発見してもらえてからはじっくりと読みました。養育放棄の親はいつの時代にも居ますが、厳しい状況から救われて、盲導犬にも恵まれて強く生きる主人公に生命力に感動しました。
Posted by ブクログ
「止まない雨はない」
生き抜くことの重さを痛感する前半から一転して、生き続ける希望や悦びを感じる後半へ。人の支えや盲導犬ジョイとの出会いが、十和子の活力となって、その活力が周りを照らす。「生」の魅力を感じた一冊でした。読んでよかった。
Posted by ブクログ
娘が本当に人間なのか?と疑いながら読んでた。本当に人間だった。
人間じゃない感じ(サイコパス感)があったのは娘ではなく母の過去だった。
Posted by ブクログ
怖い話し。
母と娘の関係。
目の見えない主人公。
子供のころに関係がある人が母親だけ。
封鎖されているのに、本人はそれが当たり前。
お出かけする靴もない。ということに衝撃を受けた。
母に何があったのか?
視覚情報がないから、匂いや感覚などの表現が巧みで読んでいて楽しかった。
小川糸さんの話では、おしゃれな友人が良く出てくるな。
わたしの人生の端っこと端っこが、結ばれて丸い形のリースになる。
最後は幸せな方向で進んでいったので救われた。
Posted by ブクログ
序盤は幸せな日常が描かれつつも、やや不安定さや不気味な影を感じた
中盤は辛辣な生活と主人公の淡々とした前向きな思考に哀れみと愛らしさを感じた
終盤は読んでからのお楽しみという事で!
Posted by ブクログ
勝手にこっそり娘を産み落とし、社会に触れさせず、学校にも行かせず、外に出さないから靴さえも買ったことはなく、そんな娘を置いて蒸発し、そのように育てられた娘だから、社会的な生活が送れず、異常な生活で何年も一人で過ごす でも、途中からは前向きにいろんなことに挑戦して幸せですよ! という感じの物語。
いろいろツッコミどころのありすぎる作品だった。
そして、オットさんはなぜ途中で物を持ってくるのをやめたんだろう?ワンピースの色は何色だったんだろう?
Posted by ブクログ
どんな本か全く分からず読み始めたので、読み始めて少し気持ちが辛くなりました。けれど、やはりとわに分かりやすく丁寧に優しく色々教えてくれていたお母さんがとても素敵だなと思いました。
私はマリさんが若いときに悩んでいたお母さんとの付き合い方に共感しました。
Posted by ブクログ
2024.11.6
とわが10歳の時に写真館で撮った母との写真が、2人で顔を見合わせて笑っている写真だったことを知った時、涙が出そうになった。
とわの母親は確かにいけない事をしたけど、そうせざるを得ない状況があったのかなと思うと何も言えない。
よくひとりで十何年も生き延びたね。
そして保護されて素敵なお友達もできて盲導犬の相棒もできて良かった。
鳥の声で朝を知り、庭の匂いを嗅いで季節を知る全盲のとわの生活がこれからも穏やかに続きますように。
Posted by ブクログ
盲目のとわちゃんの世界がまるで見えているかの如く表現されていて感慨深いです
目が見えないことは不自由だけど不幸ではないこと
盲導犬のジョイと出会ってからの彼女の気持ちの変化はこれまで彼女が何歳かすらわからなかった分を補って余りあるほどの進化でした
彼女は匂いや空気から光を見出すことが出来て、そこに色彩を生み出す力が本当に素晴らしい!
Posted by ブクログ
すごく辛い経験をし、それでも強く生きていこうとする強い女性の話。出会った人々との繋がりなど、とても丁寧にかかれていてよかった。優しい気持ちになれる本。
Posted by ブクログ
結構衝撃作だった。
最初は児童文学っぽいのどかさと不思議な空気感で満ちてたけど、次第に不穏な展開に。
話の展開はともかく、小川糸さんの作品はほとんどがご飯がすごく美味しそうで、物語をより魅力あるものにしているなあと思った。
とわが作った牛丼美味しそう。
Posted by ブクログ
前半の壮絶さの描写にびっくりし、そこから抜け出し、社会の中で助けを得ながら自立して生きていくとわこの後半の描写のギャップに少しついていけない感じもありましたが、心に残るお話しでした。
後半では、目が見えない人でもこんなにたくさんのことが一人でできるんだ、ということに驚きました。(きっと現実にはそこにたくさんの不便さや、大変さがあるのでしょうが)。作者の方は、たくさん取材されて書かれたのでしょうね。
盲導犬は、動物が大好きなユーザーさんにとっては、生活のためだけではなく、本当に心の支えになることでしょう。