ブックライブの書店員おすすめレビュー

すべて のおすすめレビュー

  • ブックライブ書店員

    君主テオと魔法師シルーカが挑む国盗り物語。テオは故郷の開放を目指し、シルーカはテオの未来を見つめ続ける。さすが水野良というべき世界観はもちろんだが、ふたりを支える仲間たちが魅力的です!
    シルーカに超甘く、そしてヴァルキリー並みに強い邪紋使いのアイシェラ。テオに敗れたものの、シルーカと同じくテオの夢を叶えるために忠誠を誓う君主ラシック。超強力な仲間を得て、テオは夢のために、シルーカのために皇帝聖印(グランクレスト)を手に入れられるのか!ヤングアニマルからコミカライズもされた、今最も注目される戦記ファンタジー!

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    15の物語が収められた、SF短編集。
    いかにもSFらしい話もあれば、純文学っぽい話もあり。でも、どれもすごくいい!
    中国移民の二世である息子と母との心の隔たりと悔恨を、「動く紙の動物」というファンタジックなギミックを使って、素晴らしい物語へと織り上げている「紙の動物園」。
    縄文字(縄の結び目で文字を表したもの)を知る部族の長と、それを遺伝子ビジネスに利用しようとするアメリカ人との騙し合いが描かれ、文化人類学SFとでもいうような独特の世界観が楽しめる「結縄(けつじょう)」など、どれも粒揃い。読み終えたあと、しばし空想にふけりたくなる、そんな話がたくさん詰まっている。

    しみじみとした叙情性とともに、孤独や諦念のようなムードを感じるのは、ケン・リュウという作家自身が中国からの移民であるというところが大きいのかもしれません。
    SF好きにはもちろん、物語を愛するすべての人に勧めたい良作です。

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    「ひたむき」という言葉が、これほどまでに似合う漫画は珍しい。
    主人公・宮本大は、世界一のサックスプレイヤーになるという夢を持っている。
    たいていの人間なら、才能がないとか、周囲が理解を示さないとか、さまざまな理由をつけて諦めてしまうことを、大は決して諦めない。雨の日も風の日も、ただひたすらサックスを吹き続ける。
    もちろん、大もはじめから上手かったわけではないし、運良くよい指導者につけたことが成功の後押しをしたことは確かだが、大のその愚鈍なまでのひたむきさというのは、何ものにも代えがたい“才能”である。
    音楽漫画というと、スタイリッシュな印象があるかもしれないが、この漫画はそれとは真逆。泥臭く、暑苦しいほどに熱い。だからこそ、リアルな手触りを持って我々の心に迫ってくるのかもしれない。

    この作品を読んで、生のジャズが聴きたくなった人は多いんじゃないかなあ……。
    一介のジャズ好きとしては、これを機にジャズが盛り上がってくれるといいなと思います。

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    オメガバースというと、どうしても発情期などのエッチ方向に興味が向きがちですが、こちらは「男でも妊娠できる」オメガバースの特徴を活かした子育てBLです。
    サラリーマンの夫・弘と、専業主夫・真生、そして彼らの息子・ひーくん。3人の穏やかな日常風景がメインですが、オメガへの差別やアルファ至上主義な父親との葛藤なども描かれており、ほのぼのした中にもピリッとスパイスが効いています。いつもは優しい弘が、真生やひーくんを傷つけようとする相手に対して黒いオーラを放つのも、ときめきポイント。直接的には描かれていないものの、彼らが過去に抱えてきた葛藤や苦悩は端々から読み取れるので、幸せそうな3人の姿に胸がぎゅっとしてしまいます。癒やされますよ!

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    つきあって8年のゲイカップル・千秋と和馬。そろそろ同居したい千秋に、和馬はこのままでいいと言い放ちます。ですが、ある日、幼馴染の巴が「娘を預かって欲しい」と言ってきて……。
    いわゆる子育てBLですが、これがもう、すっごくかわいい!見た目は金髪ヤンキーですが、手先が器用で(クリエイター系)いつのまにか幼稚園の付き合いにも馴染んでる和馬と、ヘタレワンコっぽさはあるものの、和馬を心から愛し守ろうとする千秋。2人のラブラブっぷりにも癒やされますが、娘のあゆちゃんがまたかわいい!母親似のきっぷの良さは幼稚園児とは思えないほど(笑)。他人同士が「家族」になることの意味……その答えをあたたかく、やさしく描いた本作。エッチシーンも可愛くてオススメです♡

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    義兄からかけられた一言がトラウマとなり、他人との食事を避けてきた豊は、ひょんなことから穣と種という年の離れた兄弟と食事をともにするようになります。
    孤独に慣れ、心を閉ざしがちだった豊ですが、兄弟と過ごすことで食事の美味しさ、他人と触れ合うことのあたたかさを知ります。
    幸せな食卓の記憶がないのだと、穣に告白するシーンで思わず号泣。互いに傷を抱えた2人だからこそ、人に優しくなれるのだとしみじみ実感させられます。
    エッチなシーンはほとんどないんですが、そんなことどうでもいい!彼らをいつまでも見守りたい…!上田家の壁になりたい…!と思ってしまいます。
    おにぎりが食べたくなること間違いなしなので、炊飯器のスイッチを押してからどうぞ!

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    ノーベル医学生理学賞を受賞した東工大栄誉教授の大隅良典さんが学者を目指す契機となった良書

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    屑の信念で屑を裁く、新たなダークヒーロー
    この作品の魅力は、復讐代行屋の2人・カモとトラのキャラにある。
    「法で裁ききれない悪人に制裁を加える」という話は、漫画でもドラマでも多く見る設定だ。しかし、裁く側がサイコパスや快楽殺人者、はたまた人智を超えた存在だった場合、目を覆いたくなる残虐シーンの連続に、ここまで感情移入することはできない。
    カモとトラには、代行屋をやるそれぞれの理由がある。依頼人の話に怒り、時には泣くこともある、血の通った人間だ。相手が救いようのない人間とは言え、「目には目を」のやり方で拷問し死に導く彼らを、手放しで褒めることはできない。だが、共感せずにはいられなくなる。

    5巻で、カモは悪人に「人間を殺すなんて やろうと思えば誰にでもできる」と言い放つ。ではなぜ、人は人を殺さないのか?その問いに対する彼の持論は、独特だが的を射ており、そこにこの作品の信念が集約されていると言っても過言ではない。彼らもまた「屑」であるが、屑にも通すべき筋や矜持があり、なにより「人の心」があるのだ。
    そして、救いのないストーリーの合間の、彼らの鍋パーティーや居酒屋のひとときにホッとさせられ、人間らしい彼らにどこか親近感を覚えるのだ。

    1~5巻が「第1部」で、現在は第2部として『外道の歌』が連載中。金にならないのに代行屋を続けるカモの過去が明かされたり、同業者とのアレコレもあったりしそうな今後に期待。(書店員:おにぎり)



    リアルな表情に圧倒される
    表向き古書店を営む強面の男と、チンピラ風情の居候。二人が依頼人に代わって復讐をする相手は、法で裁かれることのない非道な罪を犯した屑のような人間たち。
    ショッキングな描写やまさしく胸糞な犯罪者たちに意識を持っていかれがちだが、被害者側の葛藤や苦悩がリアルなタッチで丁寧に描かれていることにも注目したい。本作の主人公であるカモは、復讐を代行するにあたり一切の迷いやブレがない。だからこそ、被害者側の表情の変化や心の開放が際立つ。

    人が人を裁くというテーマは、読み手に葛藤を生みがちだ。いわゆる私刑に表向きは反対しつつも、理不尽なニュースを目にすれば、会ったこともない犯人に憎しみを抱き、被害者と同じような苦しみを味わえばいいのに、と思ったりする。
    だからこそ、一切の迷いなく、自らを「屑」と言い切った上で制裁を下すカモの姿が見たいのだと思う。
    第二部である『外道の歌』では、これまで断片的にしか描かれなかったカモの過去が少しずつつまびらかに。こちらにも期待。(書店員:塩もみキュウリ)



    淡々と繰り返される復讐代行
    対照的な性格のふたりの男性による、淡々と繰り返される復讐代行。
    容赦ない復讐行為は正義の執行のようでいて、勧善懲悪でない自覚や自嘲的であったり。
    彼らの動機や過去はあまり多くは語られないが、繰り返しからにじみ出るそれらには味わいがあり、一抹の美学なようなもすら感じられる。

    過去を背負い開放されるということ、印象的なタイトル「善悪の屑」の意味するものとは、続きが待ち遠しい。(書店員:メイドカフェ同好会員J)



    読み始めると止まらない!ダークなサスペンスドラマ
    復讐代行屋の男2人が、社会の屑を成敗、成敗~!というと、よくある裏社会系漫画と思われがちですが、これがなかなか面白い!
    基本的には一話完結で、実際の事件を参考にしていると思われる話も多い(女子高生コンクリ殺人とか、尼崎事件、スーパーフリーなど)です。
    屑たちの所業はあまりに非人道的で、精神的にきついところもあるのですが、それだけに復讐シーンは痛快。
    目には目を、歯には歯を、をリアルに実践する2人に、ついつい快哉の声を上げてしまいます。
    あとこれ、意外にほっこりする話もあるんですよね。
    3巻のお鍋のシーンとか、あれ、なんかこの2人かわいいかも…なんて思ったりして。
    残酷描写だけがウリの作品とはひと味違うので、ぜひ読んでみてください。(書店員・水玉)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    特に目立つわけでもないけれど、なぜかモテる男性っていますよね。ニシノユキヒコはまさにそんな男。モテすぎるがゆえに、交際~浮気~別れをエンドレスで繰り返す。そんなニシノユキヒコの人生を、彼に恋したりされたりした女たちの目線から語り継ぐ物語。しかし、ニシノユキヒコは読み終わってもどこかふわふわした存在のままだ。ただ、確実にわかるのは「本気で誰かを愛すること」を理解していないという部分だけ。モテまくってはいるけれど、彼の人生に本気の愛があったのか。そもそも恋とか愛ってなんだろう。考え出すと不毛なテーマだからこそ、考えずに身を委ねて読んでみてほしい。
    モテすぎる男の一生なんて、さぞスキャンダラスな物語になるんじゃないかと思いきや、川上弘美にかかればまるで深夜のお茶漬けのようにさらさらと心地よく、そしてどこか寂しく描かれる。さすが、くまと散歩にいったり、女になった蛇と暮らす話を描いてきた小説家。非日常をあっさり自然に日常へ流し込む技術にうっとりしてしまう。
    竹野内豊さん主演の映画もかなり気になるところです。(書店員・えい子)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    藤原竜也・綾瀬はるか他、豪華キャスト出演の映画「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」原作小説としてご存知の方も多いのではないでしょうか。作者である米澤穂信といえば、TVアニメ「氷菓」の原作シリーズ「古典部シリーズ」をはじめとした“小市民シリーズ”など、人の死なない日常系ミステリを得意とするイメージがあります。しかし、本作ではそれらと全く雰囲気を異にする命がけの犯人当てゲームが繰り広げられます。
    舞台はクローズド・サークル「暗鬼館」。12体のネイティブアメリカン人形やノックスの十戒など、作中に散りばめられた本格推理小説へのオマージュも満載。一見すると“館もの”要素を取り入れたフーダニット(殺人者は誰だ?)の正統派ミステリかと思いきや、ロボットが登場したり主人公や名探偵キャラがまさかの展開に!ウルトラCに脱帽です!(書店員・こしあん)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    FacebookやTwitterの利用が増えたためか、ここ数年で「伝え方」をテーマにした本がずいぶん増えました。なかでも今年よく目にしたのが、この本。

    著者は数々の受賞歴を持つコピーライターですが、昔は伝えることが大の苦手だったそう。そんな彼が苦労の末、発見した「伝え方の技術」は読むだけでも面白く、すぐに使ってみたくなります。
    一方、「伝えベタ」ゆえに仕事がうまくいかず、会社に行くのも憂鬱だった著者が自らの努力で“売れる”コピーライターとなった、その道筋にも感心させられました。全く自分に向いてないと思う仕事でも、その人の考え方と努力次第で、道は拓けるものなんですね~。

    ちなみに、この本の印税の一部は、世界の子どもたちの識字率向上に使われるそうです。著者いわく「小さい頃にコトバを学んだかどうかで、人生がまるで変わる」から。素敵な試みだなぁ~と、購読してなんだか良いことをした気分になりました(これも著者の「伝え方の技術」かも…!?)。(書店員・パンダ)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    2012年の本屋大賞を受賞し、松田龍平さんと宮﨑あおいさん主演の実写映画でも話題となった本作。
    いつもなにげなーく使っている辞書の裏側に、こんなドラマが潜んでいたとは…!
    「辞書」の持つ、愛想のなさやお堅いイメージのせいか、エライ先生たちが事務的にクールに作っていると思っていたのは、どうやら間違いだったようです。
    熱い、熱いよ…!
    辞書作りに携わる人たちの、なんといきいきとしていることか!
    興味のない人間にしてみれば、「あがる」と「のぼる」の違いなんてどうでもいいことだけど、主人公の馬締くんにとっては大問題。融通がきかなくて、クソ真面目で不器用……でも、そこが逆に愛おしい。こういう男はいい女を捕まえるものである…と思ったら、ほらやっぱり。
    そう、これは仕事小説としても、ラブストーリーとしても楽しめる、おいしい一冊なのです。
    ちなみに、2016年秋にはノイタミナ枠でアニメ化も予定されているそう(キャラデザはなんと雲田はるこ先生!)。(書店員・水玉)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    上野千鶴子が世に介在する男女観を記号論的に分析し、我々の中で無意識的に培われた性差にまつわる自意識の存在を公にしたとき、日本はバブルムード最高潮で「モテ」が支配する世界にいて、そんな中一部の対極に『オリーブ』が位置していて、彼らはカウンターカルチャー的に「モテ」を内在化していた、そんな80年代。
    それから20年、いまや草食男子と非恋愛価値観が幅を広げ、肌感としては「モテ」を受け入れられる者と受け入れられない者が50:50くらいかも。
    鈴木涼美は前者で、「女子」たるアイコンを積極的に活用する(マジ笑える)。ジェーン・スーは後者で、「女子」たるアイコンへ疑問のナイフを投げ続ける(抱腹絶倒)。湯山玲子は越境的存在で、後者を理解し2つの世界を行き来する前者(むしろ尊敬すら覚える)。マツコ・デラックスはもはや性差を超越しているゆえ、(そしてポジション的には中村うさぎも同じく)、はなから客観的。
    つまり、これらは現代若者の精神史をカジュアルに理解する著作たちなのである。
    要は、こんな人たちもいるのねカタログ的な、ダイバーシティ促進の参考書として活用するか……もしくは、人生気楽にいこうよってことじゃない?(書店員・エイミー)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    【2014年本屋大賞2位受賞作品!!】
    病で夫<一樹>を亡くしたテツコと、一樹の父親<ギフ>の、奇妙だけど切ない、悲しいけどどこかあたたかい、二人暮らしの物語。
    この物語は、この三人の話だけでなく、一樹の幼馴染や従兄弟、テツコと結婚したい<岩井さん>、ギフの亡き妻<夕子>などそれぞれの人物にスポットをあてた短編が、連作となってひとつの物語を作っています。

    「自分には、この人間関係しかないとか、この場所しかないとか、この仕事しかないとかそう思い込んでしまったら、たとえ、ひどい目にあわされても、そこから逃げるという発想を持てない。呪いにかけられたようなものだ。」
    「逃げられないようにする呪文があるのなら、それを解き放つ呪文も、この世には同じ数だけある。」
    「悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだ。」

    心に沁みるコトバ、丁寧な暮らし、切ないけれど前向きに生きる力が、この本につまっています。
    2015年に仲里依紗さん主演で実写ドラマ化され、また、渡辺ペコさんによるコミカライズ作品も発売されています。(書店員・あんにん)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    同じキャリア警察官の主人公「竜崎」と、幼馴染「伊丹」の物語。
    とにかく「竜崎」のキャラ設定が秀逸!万事の『原理原則』に忠実で、しがらみの多い警察機構の中、ただひたすら『正論』『理屈』を武器に超合理的に全てを進めていく姿が痛快になってくると、あなたは立派な「竜崎」ファンです。堅物過ぎてヤな奴なのは否めませんが、対照キャラの「伊丹」が、それだけじゃないことを読者に説明してくれます。
    的確な判断と部下への指示。こんな上司なら一生ついていきたいっす(かなり堅苦しいけど)。
    ドラマ出演者が形容したのは「警察版 半沢直樹」。主人公のキャラは全く違えど、組織内の権力争いとスッキリする読後感は確かに似ているかも。1巻ごとの完結ですが、続巻も読みたくなること必至!そして続巻も期待以上です。(書店員・ラーダニーバ)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    1日経ったらどんな記憶も忘れてしまう特異体質の探偵・今日子さんと、いつもトラブルに巻き込まれるフリーター隠館くんの物語。設定自体はもっとも探偵には不向きと思われるのに、それが逆に物語をスピーディーな展開にしていて…凄いです!

    隠館くんが今日子さんとどんなに仲良くなっても、今日子さんは絶対に忘れてしまう…
    でも、何だか会うたびに距離が縮まっていく(ように見える )今日子さんに萌え要素あり!!!

    明らかにされていない伏線も、今日子さんの忘却の謎も、二人の関係性も含めて次回作が待ち通しい新作ミステリー !
    (書店員・DO)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    2009年に満34歳でこの世を去った伊藤計劃先生。普段SFを読まないため、縁遠かったのですが、シンプルかつ恐ろしい表紙とタイトルに惹かれ…。
    何をするにも本人認証が必要となり、いつ、どこで、何をしたかが全て記録・管理されるようになった近未来。それにより全世界が平和になるのでは決してなく、「ジェノサイドが頻発する後進諸国」と、「テロを一掃した先進諸国」に二分されている。
    いずれ、そんな世界になっても不思議でないと思ってしまう自分がいます。 ひょっとすると、いま私たちがお茶を飲みながらぼんやりと享受している「平和」も、「誰かに仕向けられた何か」によって作られた錯覚なのかもしれません。それが良いのか悪いのか、読み終わってからも考えてしまいます。
    『ハーモニー』『屍者の帝国』に続き、劇場アニメ化も決定しました。(書店員・ラーダニーバ)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    「ファンタジスタ不要論」。1990年代にその言葉が聞かれるようになってから、ロベルト・バッジョを始めとする数多のファンタジスタたちはその存在意義を問われた。
    しかし!現代の日本に、とびきりのファンタジスタが現れた。
    その名も関くんである。もちろんサッカーマンガ、ではない。
    関くんが教室で織り成すトリッキーな「遊び(暇つぶし?)」の数々に、我々は魅了され、時に鋭いツッコミを入れたくなるだろう。関くんにツッコミを入れたくなったら、ぜひ彼の横の席の横井さんとツッコミ対決をしてほしい。彼女が心の中で繰り広げるツッコミのスピードと着眼点は、関くんのトリッキーな動きに負けず劣らず、珠玉の輝きを放っている。
    サッカー好きのあなたにも、お笑い好きのあなたにも、もちろんマンガ好きのあなたにも、自信を持ってオススメできる作品である。
    テレビアニメ化、ドラマ化もされているので、そちらも要チェック!(書店員・アンコウ)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    あなたは何のためにマンガを読むだろうか。娯楽?暇つぶし?感動したい?
    それらを求めている人には、このマンガは不向きだ。

    退屈を嫌う主人公・将也が、聴覚障害を持つヒロイン・硝子をいじめるところから物語は始まる。「障害といじめ」という、少年誌にしてはディープなテーマを描いているが、「いじめる側」と「いじめられる側」は固定化されず、あるきっかけで逆転する。いじめられて初めて、将也は自分のあやまちと、硝子の強さに気付く。

    この話に説教臭さはない。むしろ淡々と2人と周囲の関係が描かれ、第2巻で少しずつ将也の変化が見えてきたところだ。「障害者にも分け隔てなく」と、声高に叫ぶでもなく、泣くでもなく、無理に感動を誘うわけでもない。「さあ、どうする」と、読みながら宿題を出されている気分になる。

    元となった読切版は、かつて新人賞を受賞したものの、その内容のために掲載が見送られてきました。しかし『別冊少年マガジン』に掲載されるやいなや、その号の読者アンケートで『進撃の巨人』や『惡の華』を抑えて1位になったというから、この作品の影響力がいかほどか分かります。
    私は読切版を読んだ時に、久々にいい作家に出会ったと感じました。それだけに、連載版を今後も大切に描いてほしいと、切に願っています。(書店員・鮭)

    2022年07月20日
  • ブックライブ書店員

    30歳独身男。香川出身で東京在住。実家はうどん屋で、現職はウェブデザイナー。
    出身や境遇は違えど、主人公の宗太のように、都会に憧れて、上京して早数年なんて人は、星の数ほどいるんじゃないかと思う。実家近くのスーパーで、子連れの同級生に偶然出会ったりして、いろいろと考えさせられるなんてこともよくある話だ。
    自分と重なる部分も多く、親近感を感じずにはいられない本作は、親の葬式を済ませて、空の実家に戻ってきた宗太が、うどん釜の中で眠りこける不思議な子どもと出会ったことで、何も無いと思っていたはずの故郷で、何かを見つける心温まるストーリー。
    しかも、宗太が出会ったのは、うどんとかえるが大好きで、耳としっぽがある男の子っていう…!?この冬、ほんわかした2人の日常を温かく見守ってみてはいかがでしょうか?(書店員・新星)

    2022年07月20日