ブックライブの書店員おすすめレビュー

すべて のおすすめレビュー

  • 夫婦間の不満が山積み。
    でもお互いにお互いの事を解ってあげられていないだけ!?
    もし夫婦の中身が入れ替わったらお互いを理解しあえるようになるのでしょうか…。

    倉木ちとせは、夫の堅、2歳の娘と暮らすワーキングマザー。
    同じマンションの階違いに暮らすちとせの母に助けられながら、仕事と育児をこなしていました。

    しかし、ちとせがインフルエンザになってしまっても堅はスマホゲームばかり。
    ちとせは具合の悪さと夫への苛立ちで、思わずフライパンを投げてしまうのです!!
    見事命中し倒れる堅。ちとせも高熱で倒れてしまい…次に目が覚めると、ちとせと堅の中身が入れ替わっていたのです!
    戸惑いながらも二人は入れ替わり生活を送ることに。

    入れ替わって生活することによって、はじめて相手の生活や置かれている立場を知ることになった二人。
    お互いが相手のことを理解できていなかったことに気づいてゆくのです…。

    自分の不満をぶつけて相手をこらしめ、スカっとさせる話は多くありますが、この物語はそれだけでは終わりません。
    スカっとさせつつも、相手への思いやりに気づかせてくれるのです。

    中でも印象的なのが2話です。

    娘のななせの成長が他の子供よりも遅れていることを気にしていたちとせ。
    ママ友から「ななせちゃんはおままごともできない」と指摘され、ショックを受けます。
    なんとか娘がお友達とおままごとができるようになって欲しいと、夫婦でおままごとをやってみせることを提案します。
    その時に今までの自分の生活がどんなであったかとイメージしてもらおうと、ちとせは以前の堅の態度を再現してみせるのです。
    娘のいたずらに翻弄され、助けを求める母役の堅。
    しかし父役のちとせは「お父さんはまだ仕事中だから無理」と助けません。
    そこで初めて堅は自分の態度がいかに悪かったかと気づくのです。
    しかし、ちとせも堅に対して怒りを隠さず対応していた事に気づかされ、普段のお互いの態度を反省し笑い合うのでした。

    生活する中で相手に対する不満は多くあると思います。
    ですが不満を抱いているのは必ずしも自分だけではなく、相手への思いやり次第でいくらでも変化していけるのですよね。

    ママ友や、子供の成長、夫婦関係や仕事…数々の問題を盛り込んだ今作。
    二人が入れ替わったままどう生活していくのか、今後どんな波乱が待ち受けているのか、今後の展開が気になります!!

    2022年07月20日
  • 偶然の出会いから、恋人関係を偽装している内にお互いの事が気になって…。
    という見覚えのあるストーリーに思えるかもしれません。
    ですが、赤ちゃんの頃に取り違えられた男女。
    しかもふたりは親同士が勝手に決めた許嫁同士というエッセンスが加わる事により、新しいラブコメに昇華していると思います!!

    描くのは『山田くんと7人の魔女』『ヤンキー君とメガネちゃん』の吉河美希先生!!
    吉河先生、流石です!!と言いたくなる、ツボを押さえた設定と物語展開は読む人の心をグっと掴みます。
    そして、何よりもどの女の子も可愛い!!

    超お金持ちのお嬢様として育った天野エリカと、賑やかな一般家庭で育った名門進学校で万年2位の海野凪。
    全く違う環境で育った二人が偶然出会ったことで物語がスタートします。

    親が決めた男性と結婚させられそうになり、なんとか阻止を企むエリカは、偶然出会った凪に彼氏役をしてもらう事を提案します。
    嫌々付き合わされる凪ですが、お互いの不遇な環境にシンパシーを感じ次第に打ち解けていきます。
    しかしエリカにはお迎えが…。
    今後もう出会うことがないだろうと別れた二人でしたが、凪が本当の親との面会の場所にいたのは…さっき別れたハズのエリカだったのです!!

    エリカと凪はお互いが取り違えられた赤ちゃんだったという事実に驚愕する一方、凪の本当の両親から告げられたのは、二人が結婚して二人とも自分の子供になればいい!という驚きの提案でした。

    しかし凪は、学年1位の女子・瀬川ひろが気になっており…。
    更には凪と実の兄弟ではないとしった妹も何やら思う所があるようで…。

    最初は恋愛感情のなかった凪とエリカですが、この二人の気持ちがどう変化していくのか…
    最終的に凪は一体誰と結ばれるのか…!?
    壮絶な恋の物語の開幕です!!

    自分だったらどの女の子と付き合いたいかを考えながら読み進めてみてください!!

    2022年07月20日
  • 主人公の岸本愛利はヴァンパイア。
    ただ、吸うのは血液ではなく精気を吸い取ります。

    ある時、触れるだけで実の弟を殺してしまった愛利。
    その時初めて、愛する人や親しい人との絆が成立したときに精気を吸い取ってしまうヴァンパイアであると母親から教えられるのです。
    それ以来彼女は深く人と関わることを避け、一夜限りの男の精気を吸い取り死に至らしめてきました。

    ある日いつものように一夜限りの男と行ったホテルから出てきたところを高校教師・藤原に見つかってしまいます。
    藤原が勤務する学校の制服を着ていた愛利を自分の生徒と勘違いした彼は、なにかと愛利を気に掛けます。
    最初は迷惑がっていた愛利でしたが、藤原の熱意を受け次第に気持ちが変化してゆき…
    ある日愛利に触れた藤原が倒れてしまいます。
    そう、愛利が精気を吸ってしまったのです。
    愛利と藤原との間に絆が成立した証拠でした…!!

    ヴァンパイアが出てくる物語は人気が高く、数多くありますが
    この物語のヴァンパイアは他作品とは大きく異なります。
    血液を吸うのではなく精気を吸うところはもちろん、太陽も苦手ではありませんし、寿命も特に長いわけでもない。
    ただ、生きようとしているだけで人を死なせてしまう存在として描かれているのです。

    人を好きになれば、相手の精気を吸って死に至らしめてしまう。
    相手のためには、関わらない事が一番良いと解っているけれど…。
    正にヤマアラシのジレンマ状態の愛利。
    「本当は孤独に生きるべき存在なのに」という愛利の母・愛捨の言葉が胸に刺さります。

    揺れ動く愛利の気持ちが切なく描かれる中、相次ぐ不審死に警察が捜査に乗り出します。
    果たして愛利の恋愛はどうなるのか。愛利や愛捨の罪は暴かれてしまうのか!?
    悲しい愛と運命のミステリーラブロマンスです。

    2022年07月20日
  • 貴女の部屋は、理想の部屋ですか?

    部屋は心を映す鏡とも言います。
    この物語は、部屋の状況を通して、働く女性の等身大の姿を描いています。
    「理想の自分」と「今の自分」にギャップを感じている方に是非読んでいただきたい作品です。

    どんなに仕事が忙しくても、メイクとファッションに気合を入れてキレイを維持する、一見女子力高めな俵あいな。
    しかし、彼女の自宅は服や空き缶が散らかった汚部屋でした。
    「かたづけなきゃ…」と思いながらもどうにもできない日々。

    そんな彼女の憧れは、ベランダから見える同じマンションの窓際に観葉植物がかざられた部屋でした。
    「きっとかたづいたお洒落な部屋に違いない。私もそんな部屋で生活がしたい…」
    そう思えば思う程、自分の部屋とのギャップに打ちのめされてしまうのです。

    仕事も上手く回せない。
    仕事が終わらないから彼氏とのデートもドタキャン。
    部屋が散らかっているから彼氏に立ち寄ってもらうこともできない。
    そんな状況に心が限界を迎え、家の前に立ち尽くしてしまうあいな。

    その状態の彼女を救ってくれたのは、苦手だった同僚の深川でした。
    なんと、憧れだったあの観葉植物のある部屋の住人は彼だったのです…!!

    深川のアドバイスの甲斐もあって、自分の生活ペースを築こうとするあいなでしたが、付き合っている彼との関係に陰りが…!?

    心が荒んでくると部屋が荒れてくる。
    部屋が荒れてくると心が荒んでくる。
    そんな卵が先か鶏が先か論争にも陥りそうな「かたづけ」ですが、みなさんも思い当たる節があるのではないでしょうか。
    キレイな部屋で生活したいけれど、毎日仕事に追われ、かたづける気力がわかない…そうしている間に部屋はどんどん散らかっていく…という状況、私はよくあります…!!

    「キレイな部屋」は「理想の自分」
    「散らかった部屋」は「今の自分」を表しているのだと思います。

    しかし、あいなが「今の自分」を隠し、付き合っている彼氏に見せている姿は「理想の自分」。
    会社で「理想の自分」を見せていたはずの深川に見られたのは「今の自分」と、捻じれた状況に陥るのです。
    好きな人の前では「理想の自分」でいたい気持ちは解りますが…。それって無理しているということで、どこかで歪みが生じますよね…。

    要領よくできない自分に苛立ちを感じながらも、理想の部屋で理想の生活をするために必死に足掻くあいな。
    彼女が今後、どう「理想の自分」に近づけるのか見守ってあげてください!!

    2022年07月20日
  • 独身男性は里親になることができるのか…!?
    親とは、家族とは!?を考えさせられる物語です。

    漫画家の鈴木旭は、元保育士という経歴の持ち主。
    彼は保育士当時、雪の日に母親から置き去りにされ、児童相談所に引き取られた山本高嶺くんのことがずっと心残りでした。
    そう、その出来事を漫画に描くほどに…。

    3年後、そのおかげで漫画を読んだ高嶺くん本人からファンレターが届き、二人は再会を果たすのです!!

    母親に捨てられるというショックな出来事があったにも関わらず、高嶺くんは強くしっかりと成長しているように見えましたが、やはり心の奥深くに傷を残していました。

    そんなある日、旭は児童福祉士の秋山から「里親制度」の話を聞きます。
    旭は「自分が里親になれませんか?」と聞くも、「養育上の親」の条件を満たしていないからムリであると告げられます。
    「鈴木さんは山本くんのために生き方を変えられますか?」という秋山の言葉が胸に刺さる旭。

    思い悩んでいる旭に担当編集である重松が言った
    「誰かのために自分が変わっていくのって案外悪くないよね」
    という言葉をキッカケに、旭は高嶺くんのために何ができるかを模索していきます。

    自分の周りから人がいなくなることに恐怖をおぼえる高嶺くん。
    それでも弱音を吐かずにいる健気さに思わず涙が出ます。

    家族じゃないし、友達でもない二人の関係。
    全く血の繋がりがないふたりは「家族」になれるのでしょうか…。
    いつの日か高嶺くんが救われて欲しい…。その助けに旭がなって欲しい。
    そう思わずにはいられません。

    2022年07月20日
  • 航空会社勤務の風信子、34歳。
    学生時代から仲の良い頼れる先輩・常子と、元アイドルのCA・恵倫と共に楽しく仕事できて、年下の彼氏・晴くんとも結婚寸前で充実ライフを送っていると思っていた…はずだったのに…。

    ある日家に帰ったら、家財道具や金目のもの一切合切と共に彼氏がトンズラしていたのです…!!

    後に、彼の名前は偽名で妻子持ちだったことも発覚。
    全て信子の勝手な思い込みだったと知り、愕然とします。
    落ち込む彼女を叱咤激励しながらも側で支えてくれる常子と恵倫。やっぱり信じられるのは友情ですよね…!!

    そんな中、信子は参加した飲み会で出会った男性・円谷と偶然の再会を果たします。
    なんとその男性は信子と同じ会社の飛行機のパイロットだったのです!!
    しかも、男女どちらからも人気のある、顔よし性格よしのスーパーキャプテン。
    好きになること待ったなし!という相手ですが、その左手の薬指には指輪が…。

    それでも、信子はドラマみたいな恋はいらないと言います。
    信子が望む恋愛は、自分と同じ熱量で好きになってくれて、とにかく裏切らない人との恋愛。
    それって至ってフツーの恋ですけれど、フツーが一番難しい。
    好きな人が自分のことを心から好きになってくれるって実は凄い奇跡なのではないでしょうか…。

    描いているのは『林檎と蜂蜜』で知られる宮川匡代先生。
    各キャラクターが魅力的に生き生きと描かれているのは流石です。
    イケメン円谷キャプテンに至っては、恋愛マンガの男性としてはパーフェクトなかっこ良さ!!
    女性の心を鷲掴みです!!(あえて「女子」じゃなくて「女性」!!)

    円谷キャプテンと信子の関係はどうなってゆくのか…。
    今後の恋の展開に注目です!!

    2022年07月20日
  • いなくなった人たちを思い出にできない、それでも生きることを選んだ人たちを描く濃密な物語。

    “場所の幽霊”と呼ばれる今はもう無い風景が視える男。
    死んだ人の“音”が聴こえる少女。
    ふたりの出会いは、救いをもたらすのか、それとも…。

    幽霊と聞くとホラーやオカルトマンガのように思えますが、怖いのが苦手な方、ご安心ください。
    この物語は幽霊そのものよりも、大切な人が亡くなり自分は残されたという苦悩を描くヒューマンドラマです。

    美術系予備校の塾講師・鶴見也徒は恋人である渦子を洪水で亡くします。
    彼女の遺体は見つからず、それ以来鶴見は彼女が流されたであろう場所に2人で暮らしていた家の“場所の幽霊”が視えるように。
    渦子がいない世界でどう生きていけば良いのか解らず喪失感に苛まされる鶴見ですが、あるとき登校拒否の女子中学生・早淵今に絵を教えることになります。
    彼女もまた震災をキッカケに死んだ人の音が聴こえるようになり、誰からも理解されず苦悩する日々を送っていたのでした。

    はじめて自分を理解してくれた鶴見に、早淵は次第に心をひらいてゆきます。
    そんな彼女に対し鶴見は、“場所の幽霊”が視える場所で音を聴いてくれないかと頼みこみます。
    「渦子は本当に死んだのか、彼女はその場所で自分を待っているのかどうかを知りたい」と言われ、早淵は一度は断ったものの、鶴見の気持ちが痛いほど解るため音を聴くことを承諾します。

    そこで彼女が聴いたのは鶴見を呼ぶ鈴の“音”。
    しかし彼女は「何も…聴こえない。ここには何もいないよ」と鶴見に嘘をついたのでした。

    震災や人の死を描く本作、ただ「死」に対する恐怖や悲しみを描くのではなく、「死」を受け止める人の弱さや強さを描いているのだと思います。
    愛する人がいない世界で生きることがその人にとって本当に幸せなのか…痛烈に考えさせられます。
    亡くなった人を置いて、自分だけ前へ進んでいいのか。進んでも許されるのか…。
    「ただ平穏に暮らすことがうしろめたく感じる。」というセリフがずっしり心にのしかかります。

    『累』の松浦だるま先生最新作。
    掲載当初は短期連載だったのですが、好評につきシリーズ連載となったのも頷けます。

    喪失とそこから先を生きる人間の“音”に耳を澄ましてみてください。

    2022年07月20日
  • 大正末期、舞台はどんな狂った夢でも叶うと言われている魔都・上海。
    そこを訪れた、川島芳子の夢は、男になって国家の大業を担うような冒険をすること!!

    産みの親と育ての親、二人の父から男の生き様を教わった川島芳子。
    彼女は、父が誇れる自分になるには女ではダメだと思い至り、男になるべく上海の怪し気なサスーン商會を訪れます。
    そこで「他の誰かの“夢”をかなえる」という仕事をこなす条件で男になる秘儀を受けるのです。

    しかし、秘儀を受け男になったはずが、依然として女の姿のまま…。
    そんな彼女に与えられた仕事。それは田中隆吉と共に紫禁城に軟禁状態の廃帝 溥儀を助け出すことでした。
    救出作戦の中で窮地に陥った彼女でしたが、あるキッカケにより男に変身し…!?

    本当に「一時的に男になる力」を得た川島芳子ですが、その方法がなんとも吃驚で…。
    『聖骸の魔女』で魔女の変身を描いた田中ほさな先生。
    今作でもトリッキーな変身を描いております!!
    どういう方法で変身するかは、ぜひ読んで確認してください。

    清の粛親王・愛新覚羅善耆と満蒙独立運動の先駆者・川島浪速など、実在の人物名が出てくるので歴史好きはワクワクしっぱなしです!!
    (ただし史実に基づいた物語ではなく、実在の人物名が出てくる冒険活劇です!)

    物語のテンポがよく、登場するキャラクターはどれも個性が強く魅力的です。
    天真爛漫な川島芳子が女でありながら男たちに向かっていく姿も可愛らしいですし、男になると一転し逞しく無敵モードになる爽快感はクセになります!!

    男と女、ふたつの夢を追うことになった川島芳子が最後に選ぶのはどちらなのか…
    今後の展開から目が離せません!!

    2022年07月20日
  • あなたが「結婚式」を挙げるとしたら、何を求めますか?
    価格?華やかな会場?豪華な料理?
    それとも、式の内容に拘りたいですか?

    ふんわりとした空気感は右に出るもの無し!!『孤食ロボット』の岩岡ヒサエ先生が描く、ウエディングプランナーの物語です。

    この物語の主人公は、フリーのウエディングプランナー 猪名川こよみ。
    大手ホテルのブライダルスタッフから独立し、自分で何でもこなすやり手です。

    彼女の元には結婚式にこだわりのある人から漠然としたイメージしか抱けていない人まで、様々なカップルが訪れます。
    そんなカップルにこよみは
    「2人の馴れ初めを教えてください」ではなく、「お2人の生まれてから覚えていることをお聞かせください」と話を始めるのです。
    その人が何を大切にしてきたかを知り、そこからその人のためのプランを考えるのです。

    第1話でこよみが提案したのは、幼い頃から本のある空間が好きな新婦と本を読む事が好きな新郎という、「本が好きである事」が共通しているカップルへの「図書館ウェディング」!!

    本好きな私としてはとても憧れるプランです。
    壁一面の書棚に並べられた本と横スライドする梯子をバックに結婚式なんて…素敵じゃないですか?

    こよみは色々と手を尽くし借りられる図書館を探しますが、図書館は営利目的であってはいけないために貸し出し禁止であったり、飲食で本が汚れる可能性があるから貸せない…と、中々実現に漕ぎつけることができません。
    それでも諦めずにいたところ、場所を提供してくれる私設図書館が見つかったのです!
    提供してくれる図書館側の想い、プランナーの想い、式を挙げる側の想いがひとつになり、素敵な結婚式が執り行われる事に!!

    カップルの人生に真摯に向き合い「結婚式」という人生の一大イベントを“最高の1日”とするべく奔走する彼女の姿を見ていると、読んでるこちらも幸せにさせてもらえる気がします!!

    是非この作品を読んで、今日を“最高の1日”にしてみてください!!

    2022年07月20日
  • 「生きる権利」は持ち合わせていても、「生きる目的」を見失いがちな現代。
    そんな時代だからこそ、「生きることに必死」であるキャラクターが活躍するアツいマンガを読みたくなるのではないでしょうか。

    時は14世紀―
    弟殺しの罪で捕えられ千人を倒して出獄したエリオは、身に覚えのない罪で処刑寸前の貴族の娘ララと出会います。
    一度は死を受け入れたものの、運命に抗うことを決めた少女ララは、己を信じ突き進むエリオと共に逃亡の旅に出ることに。

    二人を追うのは罪人を裁くことに執念を燃やすバルド。
    さらに謎の暗殺者も現れ、より混迷を深めます…。
    ララに重大な出生の秘密も判明し…!!
    カスティージャ王国の大地で繰り広げられる逃亡バトル歴史活劇開幕です!!

    逃亡の途中、素足のララにエリオは自身の靴を差し出します。
    でもララは貴族出身。
    罪人の靴を履くことに一瞬躊躇いを覚えるのですが、すぐに自分が無意識に人を見下していると気づきます。

    それは無実であると訴える彼女の言葉に耳を貸さず、罪人と決めつけて笑いものにしていた群衆と同じではないでしょうか。
    その気づきにより、ララは自分が身勝手な人間であったと反省し、今までの価値観を捨て真っすぐに強く生きるために逃げることを誓うのです。

    正しいことが正しいとされない時代、不条理に立ち向かう彼女の姿に、読む側の拳にも力が入ります。
    また「自分自身を信じる!」と言い切るエリオだからなのか、ララや周りからの差別も飄々と受け流し、向かい来る敵を軽々と打ち砕く姿に、スカっとすること間違いなしです!

    強さ・正直さ・友情が揃った王道の少年マンガが好きな方には是非読んでいただきたいストーリーですが、
    さらに注目すべきは、描くのが『錻力のアーチスト』『シュガーレス』など、ガチンコマンガに定評のある細川雅巳先生であることです。
    力強いタッチで描かれる迫力ある画面は流石の一言です!!

    「生きる事に貪欲であれ。」というメッセージが胸を打つ今作。
    波乱が予見される今後の展開から目が離せません!!

    2022年07月20日
  • この世に未練を残し地縛霊となってしまった死者に対し、国土から退去(成仏)してもらうように説得・交渉する部門、「国土交通省 幽冥推進課」。
    そこで働く事になった朝霧夕霞は、数々の地縛霊と出会い彼らが無念なく成仏できるよう邁進していきます。
    竹林七草さんによる小説『国土交通省国土政策局幽冥推進課』のコミカライズ作品です。

    地縛霊というモチーフながらホラー的な怖さや陰鬱さはなく、
    コメディタッチでどんどん読み進めることができます。
    それでいてどの物語もラストには思わず涙してしまうのです…。
    私も電車の中にも関わらず涙をこぼしそうになりました。

    幼少の頃、仕事が忙しく自分を構ってくれない母を困らせようと毎日泣いていた息子。
    そんな彼も自分が親となり、当時の自分の態度が母を苦しめていた事に気付くのですが、母は意識不明の状態で謝罪の気持ちを伝えることができません。
    一方、生霊となり動けなくなってしまった母もまた忙しさにかまけて子供と向き合えなかったことを悔いており、双方の思いを知った朝霧は二人の後悔の念を取り除くために奔走します。
    ラストの親子の対話シーンは悲しくも温かく、胸に迫るものがあります。

    様々な理由により地縛霊となってしまった死者達。
    ひとりひとりに真摯に向き合いその人達のために尽くす朝霧を、是非応援してあげてください!!

    2022年07月20日
  • 平凡な中学生・若葉が曾祖母から相続した洋館で出会ったのは、「あかずきん」を名乗る謎の少女。
    彼女が言うには、曾祖母は描いた絵を具現化する力を持つ「書の魔導士」だという。
    若葉はその能力を受け継ぎ、魔獣「あかずきん」と共に魔女たちの戦いに巻き込まれてゆく…

    凶暴で獣のような「あかずきん」ですが、文句を言いながらも若葉の危機を救ったり、敵のために動いたり、そこかしこに優しさを感じさせるシーンがあり、幼い少女という姿でありながらもカッコよさを感じます!!
    そんな「あかずきん」に翻弄される若葉ですが、純粋に向き合う事で信頼関係を築こうとしており、魔導士と魔獣というバディ関係も見所です!!
    1巻では魔導士による具現化能力も魔獣も多種多様である事が解りつつありましたが、「あかずきん」の真の能力は未知数で、今後が気になるところ。

    こういうファンタジーマンガが読みたかった!と思える、アツい王道少年マンガ。
    この躍動感は、是非アニメ化して欲しいです…!!

    2022年07月20日
  • 文明が水没し氷河期を迎えた滅びかけている世界、人類は限られた環境でなんとか生き延びていた。
    ユキはダメ人間なりに、血の繋がりのない家族であるリッカと共に生きてゆくため働くことを決意した!!

    人類が滅びかけた世界って聞くと、終末系SFかと思いますよね?
    でも絵柄を見ると、ほのぼの作品とも思えますよね。
    読み進めていくと、どちらの予想もいい意味で裏切られます!

    どのキャラクターも自然体で、とにかく会話のテンポが秀逸。
    セリフやコマの「間」が独特で引き込まれます。
    滅びかけている世界でも悲壮感はなく、普通に日常を送っていく姿に
    そうだよね、当たり前って大事だよね…!と思わせられるのです。

    中でも一番心に響いたのが、「第4話 ビールが飲みたい」で、
    自分が最も苦手とする仕事の担当にされてしまった登場人物が
    「向いてないけど仕方ない 仕事だからやらないと」
    となんとか頑張ろうとするのに対し、同僚が発した
    「いい人やめてはいかがですか」
    「自分を犠牲にするのも長くは続きませんよ」
    というセリフ。心にグッサリきました…。
    都合がいい人間を演じることで円満に回る事もある。
    そして、都合のいい人間である事を辞めるのは、それ相応に勇気がいる。
    現代の我々の仕事や人間関係を考えさせられる話でした。

    ダメ人間でもいいじゃない!
    ごはんは1日3食おいしくいただきましょう!!

    2022年07月20日
  • 恋に仕事に婚活に…毎日一生懸命生きる29歳女子4人のリアルを描く!!

    不倫経験ありのバリキャリOL沙代、
    同棲中の彼と結婚に至れず「このままでいいのかな?」と思っている看護師美晴、
    高嶺の花であるため、自信もプライドも高い社長秘書 茜、
    自分に自信がなく流されやすい、セフレ体質の金融OL美和。

    各キャラクターごとに展開されてゆくのですが、
    どれもあるあるが散りばめられています。

    「私は普通の男でいいって言ってんのよ」
    このセリフは婚活女子ならば誰しも抱く思いだと思う。
    でも「普通」って一番難しい。

    それぞれのちょっとしたエピソードがグサグサ心にきます…
    女性ならこの4人のうち誰かには共感できるのではないでしょうか。

    あまりに心に刺さるので、婚活中の女性は心を強くもって読んでください!!

    2022年07月20日
  • 突然、父が通り魔に殺された。
    そんな父の葬式に現れた、愛人と噂されている風俗嬢。
    最初は財産狙いかと疑ってかかり、
    「同じ女として信じられない 穢らわしい」
    と吐き捨てた加奈だったが、ある事をキッカケに徐々に心を通わせてゆく。

    絵柄は独特であり、その可愛らしさからメルヘン作品のように思えますが人間の闇を描いており、かなりヘヴィーな内容となっています。

    他人が見ている姿は、その人のほんの僅かな一面でしかない…
    同じ人でも、見る角度が違えば全くの別の印象を持つ。
    この物語の根底にはそういった事がある。
    人間は真の意味では分かり合えないかもしれない。それでも、少しでもお互いの幸せを願い合えたら、自分自身も幸せになれるのかもしれません。

    次から次へと物語が展開してゆき、ラストの予想だにしない展開に衝撃がはしります!!
    是非、その衝撃を味わってみてください。

    2022年07月20日
  • 昨今、セックスレス夫婦や不倫の物語はよく見かけますが、アンハッピーな物語が多いですよね…。
    そういったドロドロ・アンハッピーな物語に疲れた方におすすめしたいのがこちら!
    リアルな夫婦の問題を描きながらも、どこか突き抜け過ぎていて笑える(笑うしかない?)物語です!!


    妻の過去の性体験を知り自分より経験豊富だったことに劣等感を抱き、それ以来EDに悩まされている高遠敦28才。
    夫との性生活が上手くいかない事を解消しようと、妻・優が考えた手段は、なんと「自分がペニ○ンを付けて夫の前立腺を攻める!」という事だった!

    見事に敦の局部は元気になったが、中々その先の「優を満足させる」までに至れない敦。
    性行為は男性側が女性を導くものだと思っていた敦にとって、自分が妻に責められる事で満足感を得られるという事は受け入れ難い現実であった。

    そんなある日、酔いつぶれた会社の後輩・加持を家に連れて帰った敦。
    酔いから覚めた加持は放置されていたペ○バンを発見してしまう。
    それだけに留まらず、「先輩の嫁」が加持が学生時代に色々な性体験を仕込んだ元カノだった事が発覚!!

    そんな事を露とも知らず、敦は優とのセックスに成功するものの自分が攻められない事に物足りなさを感じる事を加持に相談してしまう…。


    「怖かったものの、自分がEDだからせめて嫁のやりたいように…」
    と、優に攻められる事を受け入れた敦のけなげさに思わず胸を打たれるものの、
    次第に「嫌じゃない…」と快感に目覚めて開花していく敦の姿は、まるでメス堕ち。
    BL好きはグっとくるのではないでしょうか。

    また、プライド故に素直になれず
    「EDになった理由だって、今本当にして欲しいことだって、俺は言えないんだ」
    と悩む姿は、男性なら「わかる!!」と思うのではないでしょうか。

    敦から相談される加持も、裏を知りながらも何も知らないフリをして「おもしれ―!!」と火種を撒きまくるので、悪役のようであるのですが、
    自分が優に捨てられたという事を受け入れきれていない故だと思うと、なんだか憎めないんですよね。

    自分の黒歴史そのものである加持との再会によって、今の幸せが壊れるのではないかと気が気ではない優。
    この危機的状況をどう乗り越えるのか!?
    どのキャラクターも、本来の自分の一部を隠しながら生きており、その隠している部分とどう向き合うかがポイントになっています。


    なんと作者の松田環さんは今作が初の単行本なのだそうですが、
    話のテンポが良く、次から次への展開にひたすら翻弄されること間違いないです!!
    私、ラストの加持のセリフには「え!?ちょっと待って!?」と思わず声が出てしまいました。

    色々な要素を盛り込んだ作品ですので、女性でも男性でも楽しんでいただけるのではないでしょうか。
    この先どうなってしまうのか気になってしょうがない、波乱だらけの夫婦コメディ、是非読んでみてください。

    2022年07月20日
  • SFというと、ディストピアやサイバーパンクやスチームパンクを思い浮かべがちですが、この作品はそれらと一線を画しています。
    地上と宇宙を繋ぐ「東京軌道エレベーター」なるものが開発された世界で、エレベーターガール・伊奈と「東京軌道エレベーター」を訪れる人々の、優しい物語。

    この物語に出てくる人々は宇宙へ行くことよりも「東京軌道エレベーター」に乗る事が目的である事が多いのです。それほど、「東京軌道エレベーター」は魅力的という事なのだと思います。
    (もちろんそこは、エレベーターガールの伊奈さんあってこそ!!ですが。)

    己の業績を悔い罪に苛まされている老人や、宇宙人がいる事を信じている子供、テロと対峙する各国の要人など、訪れる人々はそれぞれ事情を抱えているのです。

    1話完結のオムニバス形式で進んでいきますが、中盤から干渉者の存在や多次元宇宙であることが明かされ、よりSF感が増してゆきます。

    個人的には、「東京軌道エレベーター」は片道どれくらいの時間乗っているものなのだろうか、長時間なら食堂などがあって宇宙食など食べる事ができるのだろうか?もしそうなら、グルメジャンルとしてもいけるのでは…などと妄想が膨らむばかり…


    SFであり、日常系であり、ヒューマンドラマであり、ミステリ要素もある今作、今後の展開が楽しみです。

    2022年07月20日
  • 同級生から絶望的なイジメを受けている主人公優馬。
    どんなイジメも「ハガキ職人として有名になり、放送作家になる」という夢に希望を抱き、受けて流してきた。

    しかしそんなある日、雨里 涼という救世主が現れた。


    彼は優馬をイジメる同級生に対し
    「次、俺の優馬に手ェ出したら殺すよ」
    と、撃退するのです。

    面白くないイジメる側。
    更にイジメる側には、人を痛めつけるのに躊躇しない西野というヤバい奴が…!!


    何故、雨里は優馬を助けてくれるのか…
    正義感が強い訳でも、哀れみでもなく、自分の身を危険に晒してまで優馬を助ける理由が全く解らない所に、えも言えぬ不気味さを感じます。

    読み進める程、イジメる側の西野と守る側の雨里のどちらがよりヤバイ奴なのかが解らなく…


    原作は『ドリィ キルキル』の蔵人幸明。漫画を担当しているのは、『今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね』の榊原宗々という、最強タッグの今作。
    この二人ですから、更なる衝撃と恐怖の展開が待ち受けているに違いありません!!

    2022年07月20日
  • ダイエットは永遠のテーマですよね…。
    かく言う私も、万年ダイエッター。
    何故痩せないのか…。

    そう!食べているから!!

    では何故「痩せたい」と思いながらも食べてしまうのか。

    So!これ位は良いだろうとすぐ油断するから!!

    意志を強く持つってとても大切ですよね。
    よく「我慢するダイエットは続かない」と言われますが、そもそも我慢をしないでいたから今こうなってるんだよ!!と思うのです。
    そんな、痩せる方法は解ってる。でもダイエットを完遂する自信がない方にこそ、是非読んでいただきたい。

    幼少期から太っていた作者は、それ故に色々な事から目を反らし、太り続けた結果体重が100kgを超えるまでに…!!
    そんなある日、仲良くなった男友達から「痩せろ」と言われるのです。
    その男友達のセリフが凄い。
    「努力もしてない奴が努力する前からウジウジ言うな!!!」

    おっしゃる通りー!!!
    心臓にグサグサ突き刺さりました。

    更に、頑張ってもどうせ報われない!と言う作者に対し言ったセリフがこちら。

    「勝っている人間は何も辛くないのか?
    何も努力していないのか?
    勉強していないのか?」

    自分が恥ずかしくなりました。
    よし、ダイエット頑張ろう。

    作者もそうしてダイエットを始めるのですが、紹介されている運動や食事は自分でもできそう!と思えるものばかりです。
    更に、男友達のスパルタ指導を見ていると、「そうか!ここまでやらなければいけないんだ!今までここで諦めていたけど、それがいけなかったんだ!!」と自分に喝が入ります。

    しんどいながらもダイエットに励む作者でしたが、次第に男友達に対する恋心を自覚し始め…

    作者のダイエットと恋がどうなったかは、是非読んで確かめてみてください!!

    2022年07月20日
  • え?これ、本当にジャンプマンガなんですか!?

    主人公は正義感の欠片もなく、己の欲望に忠実なデンジ!!
    食パンにジャムを塗って食べるような普通の生活に憧れを抱くほどのド貧乏。

    そんなデンジはある日、弱った悪魔・ポチタを見つけ、助ける代わりに自分を助けるという契約を交わす。
    そのおかげでデビルハンターとしてなんとか生き繋いで来たデンジだったが、ある日罠にはまって殺されてしまう。
    その時だった。ポチタがデンジの心臓となりデンジを生き延びさせたのだ。

    胸から生える紐を引くと…体からがチェーンソーが生えた魔人に変身!!!
    その戦い方は、非人道的かつ、凄惨!!
    正に悪魔的!!

    こんなぶっ飛んだ主人公で本当に大丈夫!?と思いつつも、あまりに素直なデンジがたまらなく魅力的!!

    デンジは能力を買われ、軽い気持ちで公安デビルハンターとなったが、その生活を維持することはできるのか!?

    人間は、恵まれていても夢を見てしまうもの。
    デンジの更なる夢は叶うのか…?

    2022年07月20日