一穂ミチのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『スモールワールズ』は、様々な人たちの、それぞれの関係性が魅力的な短編集だった。
特に印象に残ったことは、「正しさと優しさは違う」ということ。正論や怒りにも、相手や状況に応じた配慮が必要で、怒る権利があっても傷つける権利があるわけではない。
また、「小さなかけらが足りないだけでダメになるものなんかくだらない」という言葉に対する「この世にあるものはみんなそうなんじゃないでしょうか」という返答からは、日々の全てを大切にすることの大事さを学んだ。「小さなことだから」と蔑ろにすることで、大切なものを壊してしまう恐ろしさがある。
それぞれに、それぞれの関係性と適切な距離感がある。そんなことを考えさせられる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
絶妙なバランスを保っている装画のように、男女関係も保たれているのかも······。そんなふうに思えた短編集。タイトルも絶妙。一穂ミチさんの表現力もさすがだった。
【エンパイアライン】
人には見えないものが見えても、心のバランスを保つためなら、それでいいと思えた。
【わたしたちは平穏】
平穏な気持ちで暮らせることが一番。過去はもう終わったことだから、気にしないのが一番と思った。
【月を経る】
月のものをこんなふうに言ってくれる人となら、きっとうまくいきそうな気がした。
【あなた】
単身赴任帰りの夫に聞きたいけど聞けないこと。あるあるだけど、これから少しずつ聞けそうな感じがした。
【すげえ泣くじゃん】
「怖い」という気持ちを押しのけるように、茶化すような言葉を言ってしまうこと。そういうときもある。でも、その本当の気持ちを伝えてもいいと思える人に出会えてることに気づけてよかったと思った。
【たぶんそんな感じ】
言葉って難しい。伝えるのって難しい。でも、気持ちが伝わっているとわかったときはすごく嬉しい。そんな感じ。 -
Posted by ブクログ
一穂さんの小説が好きで、本のデザインも好きだったので購入。裏表紙に書いてある説明通りの本だった。
「ごしょうばん」は非常に切なかった。人はなぜ戦をしてしまうのかを考えてしまう作品だった。
「大阪の叔父さん」のおじさんのセリフが良かった。「何かを選び取ったわけやなくて、消去法や。自分にとってどうしても無理なもん、耐えられへんもんを削いでいったらこうなっとたんや。ほかのかたちにはなられへんかった。」人のペースがあるのになと、人のパーソナルの部分をいって後悔してしまうときに感じた気持ちになった。
「sofa &...」が一番好きな作品かもしれない。
ソファー視点から私が客観的なのに、優しく進んでいくが良い。
「神さまはそない優しない」の奥さんの「好きじゃないけど、嫌いな友達って、必要なの。だからあたしのほうが意地悪なの」の意味がわかるような人生を歩みたい。
「前夜」は短い物語だけど、すごい好きな作品。「家のことって、お雑煮の味つけくらいしか気軽に言えないかも。何かブレーキかかっちゃう。『よそはよそ』ってそういうことでもあるのかなあ。」や「一緒に、どんな『うち』を作るんだろうって。おでんの味も、カレーの味も、私の家でもあなたの家でもないものになっていくはずだからー。」大人になって、恥ずかしいうちのルールを話せるようになったが、自分が笑うのは良いが、信頼してない人に言われのは嫌だという気持ちを思い出した。結婚って最近はいいイメージないことが多いが、新しいうちを作れる機会って同棲や結婚だなあと思うといいなと思った。
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Posted by ブクログ
40代の大人の恋愛とミステリーがいいバランスで楽しめる作品。
東京から程遠い五島で男女が失踪し、その妻と恋人という本来なら交わらない2人が共に島に渡り、消えたパートナーの行方を追う。島での滞在中に築かれる2人の関係性の描き方が良かった。性格こそ違えど、同じ痛みを抱えた2人だからこそ理解し合えることがあって、少しずつ芽生える信頼関係が素敵だと思った。
島という狭い世界で起こった過去の出来事や失踪の真相はやるせなく、現実の厳しさを感じるものだった。誰もが大切な人を失って初めて、その存在の大きさに気付くんだろう。多実を想う青司の気持ちが痛いほど伝わってきて、切ないラストは特に印象に残った。
重い現実が描かれていた分、途中で描かれるファンタジー的な要素には少し拍子抜けしてしまったけれど、登場人物の心情が丁寧に描かれた優しい作品だと思った。
「しみじみ振り返るほどでもなかったはずのささやかなやり取りは日常が壊れてしまってから光り輝いて見えるし、後悔はいっそう苦い。」