一穂ミチのレビュー一覧
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"『自分』を決めるのは、自分じゃないと思わない?
誰かと接した境界線がそのまま輪郭になるんだと思う。"
深く共感した。
自分という像を象るのは、
自分とその外にあるものの間にあるものだから、
自分の意思だけでは線は描けない。
多実はそれを、島みたいだと表現した。
波が押し寄せるときは自分が消えちゃいそうだけど
またいつか波が引いて自分が大きくなったり。
それの正体が例えばモノだったり、コトだったり、誰かだったり。
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物語は青吾のパートナーである多実が、ある日突然、旅行へ行くといって消息を絶ったところから始まる。
警察に行方不明届を出して、数日後に遥か遠い五島列島の -
Posted by ブクログ
綿矢りささんの「深夜のスパチュラ」は、現代っぽくて入ってきやすい。でも文章が続いていて読みにくい。主人公がかわいい。
一穂ミチさんの「カーマンライン」は、表現できないけれど良さがあって好きだと思った。双子って素敵だなあ。
遠田潤子さんの「道具屋筋の旅立ち」は、いかにも昭和的な男と、女の話で最初は嫌だなあって読んでた。でも、八角魔盤空裏走(はっかくのまばん、くうりにはしる)という言葉を聞いてからの優美の自分自身と向き合っていく姿が清々しかった。最後の誠とのシーンがなんかいいなあって。
窪美澄さんの「海鳴り遠くに」は、紡がれている物語の雰囲気がなんだか好きだなあ。最後ちゃんと結ばれてよかった。 -
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ネタバレ盗撮をした恋人と自分なら別れるか。
これをずっと考えながら読み進めてたけど、
セーラー服着せて
ラブホ行って写真撮るところから理解できんくなった。
啓久の犯罪を犯したのに
傲慢というか、
出来心、自分はそっち側の人間じゃない
みたいな見下した感じが嫌悪感。
瀬名の電車に乗ると人が変わったようになってしまい、
再犯してしまうのとか、
あ、これって病気というか
直せないものなのかも、
と思ってしまったり。
私と、
私たちと、
そういう人たちの境目ってなんなんだろ。
誰しも、そちら側になる可能性がある中で
自分は違うと言えるのだろうか。
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ネタバレ11/25?〜11/29
面白かった!とても読みやすいし、だいたい体の底が震えるような怖さがあった。コロナ禍にフォーカスを当てていて、コロナ前ならナニコレという感じだが、自分の経験と反芻して、確かにそうだったな、いや今もそうなのだけど、懐かしく思った。
母が面白いというので読んでみたが、たしかに面白かったな。
①違う羽の鳥
死んだはずの同級生に似た、いや似ていない女が現れて…という話。
実際は替玉自殺で別人として生きていたというオチ。こわい。
②ロマンス☆
夫婦関係のうまくいかない妻が、イケメン配達員との巡り合わせを求めて、デリバリーしまくる話。オチ怖すぎ。
③燐光
短いのに、かなり緩急と -
Posted by ブクログ
私の母親はここまでではないけれど、でもなんとなく似たようなものを感じた。
私の母はきっと私のことを愛してくれているし、私を大事に思っているのだろうけれど、それはやっぱり私が高校2年生くらいになってからだなあと思う。それまでの間、私にとって母は味方ではなかったし、未だに母は私の味方ではないと思う(きっと母は私のことを味方だと言うのだろうけれど)。
家族って、決して味方じゃなくたっていいのだと思う。父はずっと、私との距離感をはかりかねているし、妹は私が何をしようときっといつまでも私のことを好いていてくれる。母は私のことを勝手に似たような人間だと見ている。でも、この世に味方なんていないなんてことはな