一穂ミチのレビュー一覧
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遠い地で、見知らぬ男と海に消えた恋人の多実。
謎の多い事故の真実を求めて、男の妻だという沙都子と遠鹿島へ向かい、失踪の真相を明らかにしていくというお話し。
遠鹿島という小さなコミュニティの中でのヒエラルキーや、人間関係の良し悪しがこの物語の重要な要素であり、多実がなぜ見知らぬ男と消えてしまったのか、その真相は思わぬ展開でした。
本作は、大切な人が突然いなくなるという『喪失』がテーマで、痛みは消えることなく、共存していかなければならないことを痛感しました。
切ない描写が続きますが、ラストの青吾のシーンは切なくも解放されたような気持ちになりました。 -
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ネタバレコロナ禍という特殊な状況下で生まれた、様々な「罪」を巡るミステリ短編集。
一話目の「違う羽の鳥」は、アングラな世界観ながらも物語に引き込む力が強く、結末のその先を想像させる力強いエネルギーに溢れている。
一転して二話目の「ロマンス☆」では、どこにでもある家庭の風景が描かれる。自粛生活の閉塞感が生むリアルな軋みから、些細な掛け違いで日常が崩壊していく様は、誰の身にも起こりうる恐怖として迫ってくる。
本作に収められた物語は、どれもコロナ禍という異常事態が招いた「罪」に基づいている。悍ましい結末も、救いのある結末も、すべてが予測不能だ。当時、世界を覆った「まさか」という感覚が、ここでは登場人物た -
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一穂ミチさんの新作長篇。評価は5よりの4。少し時間が経って再評価するかも。
知らない男と知らない地で失踪した恋人。何があったのかを知るために足跡を辿る、というあらすじ。ミステリ色が濃いように見えるけど、非現実要素もあり、最後まで読むとやっぱり恋愛小説だったなあという感想。
非現実要素が突如出てきた時には正直あれ?と思いましたが、段々馴染みました。喪失感と存在感のギャップがずっと物語の根底にあって、それがラストシーンにも繋がっていて、ある意味一貫していたようにも思えます。
ラストシーンは辛かった‥。切なくやりきれない思いが残る小説でした。目の前の現実を大切にしたいと改めて思います。
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Posted by ブクログ
海難事故にあった恋人には、どんな秘密があったのか? 大人の恋愛を描いたミステリー #アフター・ユー
■あらすじ
タクシー運転手の青吾が帰宅すると、同棲していた多実がいなくなっていた。数日待ってみるも連絡が取れず不安に思っていると、海難事故の連絡が入る。しかもその時多実は見知らぬ男と一緒だったというのだ。その後、男の妻である沙都子と合流、事故のあった遠鹿島に向かうのだった…
■きっと読みたくなるレビュー
愛ってやつは年を重ねても鮮やかさを失うことはありませんよね。本作はそんな大人の愛を描いた物語です。
ストーリーとしては、行方不明になってしまった恋人や関連する情報を調査すべく、関係者の沙都