一穂ミチのレビュー一覧
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書店にまつわる短編5編。読んでから1週間経って内容はもうすでにうろ覚えだけど、5編ともみんな良かった!
読書って内容をずっと覚えていられなくても(私の記憶力の問題かも)読んでる時が楽しくてワクワクしていればその時間を楽しめてるってことでもうじゅうぶんな気がする。
その点でこの本は合格!
特に一穂ミチと三浦しおんの短編が好きだった。
三浦しおんは書店勤務があるかのように書店員の仕事内容に詳しかった。
商店街にある小さな書店、でもしっかり固定客もついていてパートとバイトも雇える余力がある。カブで配達ついでに見守りもして(お得意さんが倒れてるのを救ったり)こんな書店が実際あったら働いてみたいなぁ。と思ったなり。 -
Posted by ブクログ
純粋な甘い恋愛はここにはない。こんな恋があってもいいのかな、これも恋なのかな、という恋の物語6編。表紙の鳩とバナナとさくらんぼが不安定。たぶん、だし、恋は首を傾けているし。
タイトルが作品全体を端的に表している。
登場する男性が理想的とも言えるくらい優しくて、言って欲しい言葉をかけてくれる。一穂ミチさんの作品としては全体に明るい印象を受ける。
6話目が好き。タイトルもとても良い。
▷以下一部内容に触れます
エンパイアライン
エア猫まではいいけど、実子猫からの感染リスクを心配したり、エア猫が危ないと泣きじゃくたり、およそ理解できない‥のだけれど、電車のエア相手と話すおじさんの相手が見えてしまった僕は彼女を理解してしまう。
わたしたちは平穏
薄い恋愛関係にある、互いに体力も気力も乏しい虚弱な二人は、平穏に暮らしている。低温なはずの若月さんの過去に関わる麗華の姿をしたものが現れるが、彼女は冷凍庫の中?もしやホラー展開?でもまあ二人は平穏。
月を経る
閉経前の生理不順に困惑する緋佐子と同棲中の年下彼氏。人生の始まりに用意されていた扉はいつしか閉ざされ、戸締りの連続が待っている。そう思っていた緋佐子の目の前に開かれた扉を、彼女は開けるのか開けないのか。
月経という言葉に対して、趣があると言葉にできる保がとても良い。そんな風に思ったことはなかった。
あなた
結婚当初の3年以降、娘が生まれてからも夫はずっと単身赴任。家に戻った夫との関係が掴めない。ふと気付いた目の整形疑惑に鬱々とする中、パート先の同僚に陰謀論?を吹き込まれる。それはそれで怖い。結局夫には目のことを聞けたのだろうか。
すげえ泣くじゃん
母をたずねて大阪までやってきた甥っ子。彼女と3人で母を捜すドライブに出かける。
「すげえ泣くじゃん」言い方がイヤ。分かるような分からないような。ここの言い争いがおかしくてとても良い。
「大人なんかみんなバカ。お前だけ賢くいる必要はない」一にそのまま伝えてあげれば良かったのにね。この後、実は‥があるのだが、甥っ子の訪問をきっかけに、彼女との関係を再び築くことができそうか。
たぶんそんな感じ
施設のおばあちゃん(実は大叔母)が口笛だけを使うようになった。おばあちゃんの住んでいた家を訪ね、今その家にいる住んでいる橘さんに会って、知らなかったおばあちゃんの過去を知る。おばあちゃんの口笛の理由も明らかになる。
おばあちゃんの口笛、多分そんな感じ。
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ネタバレシンドかった。
1/3くらいから、主人公達が思うように2人がきっともう戻ってこないとは理解していたけれど、でもやっぱりどこかで戻ってきてくれるなら、と期待してしまいながら読んでいた。
途中に「死にたい、じゃなく、消えたいと思った」という文章が出てくるが、本当にその通りだと思った。本当に苦しいとき、私もそう思ったから、凄くよく分かってツラかった。
最後のシーンはホンットに泣いた。ボロボロ泣いた。その終わり方はズルいよ、泣くよ。
あとは、青さんがこれからお母さんに会って、会った後に沙都子さんとそのお子ちゃんとどんな話ししたとか話したり、今後も良い関係で繋がっていけたら、今回のことがみんなにとって一緒に乗り越えていけるものになるといいな、と願ってしまう。
第三者が話す結果論の感想でしかないけど、浦さんの行動は自分勝手だったなとやっぱり思ってしまう。重彦さんに直接手を下すならまだしも(ダメだけど)、息子のハルさんのせいでは全くないし、それをぶつけるのも間違ってたと思う。あと、久美子さんに罪を全部負わせたことも、ちゃんと謝るべきだと思う。人の人生狂わせておいて。
文章にもあったけど、真実が表沙汰にならないからこそ、一生後悔して、一生罪を背負っていって欲しいと思う。 -
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二人の少女・結珠と果遠の邂逅と再会を描いた物語かと思いきや、それぞれの母親のあまりの毒親ぶりにのけぞってしまう。
暴力やネグレクトといった分かりやすい虐待ではない。過度なオーガニック志向や過剰な習い事など、押し付けられる親の価値観に振り回される子どもたちの理不尽さが痛いほど伝わってくる。
そして後になって、それらが思想や信条ですらなかったことが明らかになる。結局は、自分自身がいちばん大事だっただけなのだ。その事実があまりにもやりきれない。
結珠と果遠は三度にわたって出会う。
なかでも、その後の二人の関係を決定づける少女時代の出会いの場面は白眉だ。先に述べた母親たちの毒親ぶりも含め、互いに強く惹かれ、執着や依存にも似た感情を抱いていく背景が丁寧に描かれている。
また、物語は結珠と果遠、それぞれの視点から交互に語られている。そのため二人の感じ方や行動原理の違いがよく分かるのだが、作者は決して語りすぎない。十分に理解できる一方で、読者が想像を巡らせる余地が残されている。その絶妙な描き方に感心した。
500ページを超える長編にもかかわらず、読み終わるまであっという間だった。
面白かったです。
後記:本作は恋愛小説を対象とする島清恋愛文学賞受賞作とのこと。LGBTQ疲れでなんとなく避けちゃったんだけど、二人の関係は執着や依存ではなく恋愛と捉えた方が良かったのかな。恋愛なんかを超えたもっと切実な思いだと感じました。 -
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ネタバレ第171回直木賞受賞作。コロナ禍の世相を背景に描かれる短編集。タイトルは「罪」と「パンデミック」を掛け合わせた造語だとか。
コロナ禍以降、感染症流行をきっかけとして変化した社会を描くものが増えた。それだけ人の心に与えた影響は大きいということであろう。
コロナで調理師の職を失い新たな就職先が見つからない中、息子の話をきっかけにとある老人と知り合う話、豪雨の夜に命を落とした少女が幽霊としてコロナ禍の現代を見つめる話など、ちょっとした人間の愛憎情欲入り乱れた6つの短編がさらっと読みやすい形で描かれており、まさに大衆娯楽作品たる直木賞にふさわしい作品なのであろう。 -
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プロポーズをした翌日に盗撮をして捕まった啓久。そして、その恋人の新夏。
この現実を「恋」と「愛」と「やさしさ」で乗り越えていけるものなのか?
当事者でなければ「すぐ別れるべき」、「示談で済んだなら気にしない」、「自分なら〇〇だけどね」と、好き放題に言えるのもわかる。
でも、どうしたいのか、どうするべきなのか、すぐに答えを出せない新夏の様子や、啓久が自分のしたことに向き合う様子は、多くの思いや葛藤が詰まっていて、「自分なら…」と何度も考えさせられたし、外野の短絡的な意見の無責任さも感じた。
特に後半にて、啓久の人柄や考え方が見えてくると、新夏が何故、彼を理解しようともがいたのかがわかり、やるせなくて苦しい気持ちになった。
読み終わった時にすっきりできる内容ではないけれど、後味の悪さはない。
色々と考えさせられる部分が多くて、私は読んで良かったと満足感が持てる一冊だった。