一穂ミチのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
名前をつけられない複雑な感情や、
理解されにくい、かけがえのない存在を
描いた6編の短編集
エンパイアライン
わたしたちは平穏
月を経る
あなた
すげぇ泣くじゃん
たぶんそんな感じ
良かったのは《すげぇ泣くじゃん》と
《たぶんそんな感じ》
《すげぇ泣くじゃん》は、テンポのいい会話が
心地良く、最後にはびっくりする展開も。
少し切ないけど余韻が残る終わり方だった。
《たぶんそんな感じ》は、何を訊かれても指笛で
しか応えなくなってしまった、施設で暮らす
認知症の進んだ大叔母の話。ラストの大叔母の
口笛は‥きっと、たぶんそんな感じ。
あまり受け付けなかったのは《エンパイアライン》
合コンで出会った彼女は「猫ファースト」付き合い始めて半年、やっと会わせてもらった愛猫はなんとエア猫。彼女の世界観や不可解な存在に寄り添おうとする主人公の青年に共感する人が多いらしいが‥
本人達が良ければそれでいいか‥
どの話も、登場人物たちは複雑な感情を抱えた
まま終わっている。表紙のイラストのような
アンバランスな緊張感のある関係であっても、
どこか「恋しい」という彼らの気持ちが、
しみじみと伝わってきた。 -
Posted by ブクログ
「盗撮」という罪を犯した啓久、「写真を撮ること」を仕事にしている新夏、「両親のYouTubeチャンネル」で日常的に被写体を担っている莉子。
「撮る」という行為の意味や重さの違いがそれぞれの価値観や人生を形作っていて、この3人の設定は絶妙だなあと思う。あらすじを読んだ時は、自分や身近な人の罪にどう向き合うかという話を想像していたから、もう一歩踏み込んだ世界を見せてもらえた気がして、一穂ミチさんはやっぱりすごい。
後日談的な「恋とか愛とかやさしさより」の終盤の莉子ちゃんの台詞がものすごく好きで、『尊重』って恋とか愛とは別の形で相手に差し出すことのできるやさしさなのかなと思った。相手を尊び、重んじること。
人間の持っている善悪のグラデーションとか感情の複雑さがいつもとても大切に扱われていて、いつか一穂ミチさんの脚本のドラマや映画を観てみたいなと密かに思っています。
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Posted by ブクログ
ネタバレ今までの一穂さんの本とは一味違うような…
面白かったといえば面白かった、ただ今どき要素満載で、ドラマ化、映画化、狙ってる??
ミステリーの中のファンタジー要素がそうさせてる?
好き嫌い分かれそう。
今までの一穂さんだけの書き方で全部書いてほしかったな…と思ってしまう
二転三転するのはいい、最後もあり、ただどう転がってく?と思わせてなんとなく繋がっていく、特に母だ、と決めつける?展開の薄さ、一気に読まないと、なんでこうなる?と読み返すほど薄い感じもあった
タクシー会社で働く川西青吾と多実の生活、ある日旅立った多実が帰宅せず一変。
多実の弟、康二が現れたり、出口沙都子が訪ねてきたり… 沙都子は夫の波留彦が失踪
2人でその真相を明らかにしようとする。
舞台が五島列島なのも興味深い。
島に訪問して真相を探る2人に次々見つかるキー、出会う人々、おじかアイランドツーリズムの浦耀司、その父の謎の死、出口重彦一強の島社会、
ツーリズムも助け、ヨガ講師の池田みどり、
誰が誰を好きで、島を活性化したいと思って、でもよそ者と島民という確執、閉鎖的な日本の田舎の縮図がとてもよく表されていたのかと。
怖い、怖い…
簡単とちゃうんや、と思い知った。当たり前に傍にいた人間を喪って、生きていくのは。多実がいなくなっても仕事に支障は出ないし、電車のダイヤも乱れないし、コンビニも閉まらない。でもやっぱり青吾の世界は一変して、慣れるというより心を麻痺させる時間を引き延ばしていくしかない。これからずっとそれが続くのかと想像するだけで絶望的な気分だった。死にたい、じゃなく、消えたい、と願った。骨の一片も残さず、この世に存在した事実ごと消滅してしまいたい。
「今も昔も、うんざりするほど口さがない人はいますよ」みどりは切って捨てるように言った。「人間って、情報に飢えるんですよね。こんな狭い島だと、隣近所のきのうの晩のおかずまでエサになる。都会の人が無関心なのって、いちいち首を突っ込まなくても情報のほうから押し寄せてくるせい。今はネットがあるから遠鹿もちょっと変わってきたなとは思いますけど」